私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

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独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主、不定期投稿、各専門用語については後書きにて補足。
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

2019.1.1
今年、最初の投稿です。
本年も何とか続けて、書いて行きたいと思いますのでよろしくお願い致します。

今年のお正月は彼女にしました!
1話限定恋物語の番外編
では、どうぞ~



グリモア 番外22  2019初詣編

先週、初雪が降り本格的に寒くなって来ていたが、間もなく皆が楽しみにしている冬休みがやって来る。

今年も実家に帰る予定が無い為、学園寮でまったり過ごす予定だった。そして可能なら彼女と一緒に初詣に行けたらいいなと考えていた。

 

□□□

学園内

何度か彼女を誘うと試みたが最後の勇気が出ず、未だ誘うことが出来ないでいた…… 今日が登校最終日だ。明日からは冬休みに入ってしまう。ここで誘えないと本気で寂しい正月を迎えてしまう。

 

廊下で彼女が帰るタイミングを計りながら、そんな事を考えていると彼女が帰り支度してやって来た。

 

結城聖奈

年齢16歳 身長150㎝ 体重49g B78 W57 H80

趣味:計算 特技:勘定

 

「ちょと、今いいか?」

怒られて断られる気もするが、勇気を出して声を掛ける。

 

「うん? どうした。何か先日の資料で不備でもあったか? 私の方でも確認したが問題は無かった筈だが……」

 

「いや、そうじゃ無くて、明日から冬休みに入るだろ。その前に話があって……」

 

「金なら貸さんぞ! と言うかお前の方がクエストをこなしている分、私より持っているはずだ!」

 

「いやいや、そんな事じゃないよ。1月1日は空いてるか? 空いてるなら一緒に初詣に行かないかと思って誘いに来たんだ」

 

「わ、私とか? 二人きりでか?」

 

「そのつもりだけど、ダメかな?」

 

「そうでは無いが…… 私と話しをしていても、つまらなくないかと思ってな…… 会えば怒り、計算と書類の手伝いをさせ、話すことは金の事ばかりだ。つまらなくないかと思ってな?」

卑屈な事を言っているが、自分でその事に気付いているなら大丈夫な気もするが……

 

「そんな事はないよ。俺は気にもしないから一緒に行こう!」

再び、思い切って誘う。

 

「分かった。特に用事もない。お前が良いならいいぞ」

 

やった!心の中でガッツポーズする。

 

「行く場所は任せてくれ。後でメールする」

聖奈は頷き、任せると言って去っていた。

 

よし、初詣のスケジュールを考えなければ! 自分も急いで寮に戻り初詣のデートプランを調べ始める。

 

□□□

初詣

 

駅で待ち合わせしてからバスで目的地の神社に向かう予定だった。

 

「待たせたな。少し時間が掛かってしまった」

いつも見慣れている制服姿ではなく、振袖姿の聖奈がいた。

「振袖姿、凄く似合ってるよ」

多分、振袖を着るのに時間が掛かってしまったのだろう。ここで褒めないほどヘタレではない。

 

「そ、そうか? せっかくだから形から入って見ようと思ってな。あ、ありがとう」

褒められ顔を赤くした聖奈はとても可愛く見えた。

 

□□□

神社入口

 

目的の神社は、鎌倉時代の創建と伝わる「五龍神社」だった。五行思想に基づき五龍神がお祀りされている神社で、明治時代に大国主命『オオクニヌシノミコト』を合祀したことから、縁結びのご利益があるとされている。

 

「ここが今日の目的地、お勧めの神社だ」

 

「どんな御利益がある所なんだ?」

縁結び!とは言え無いので、もう一つの御利益を説明する。

 

「五龍が祀っていて、その内の一つに金龍様がいるんだけど、金運に恵まれるらしいよ」

 

「なる程、私にはぴったりと言う訳だな」

 

「他にも色々と御利益がある神社じゃだから見て回ろうと思う。でも先ずは屋台にでも行ってみよう」

 

□□□

参道脇

 

参道には所狭しと沢山の屋台が出店していた。

 

「お昼も近いし、何か食べる物でも買おうか? あそこでたこ焼き売ってる。あれにしよう」

 

「ちょっと待て! あのたこ焼きの値段、おかしく無いか? なぜ1000円もするんだ! 」

 

「え? 祭り価格と言うか屋台特有の価格じゃないかな?」

 

「なる程、これが噂のぼったくり価格か…… 初詣でならではか…… 私も見習わないとな。いかに需要を促進するかだな」

 

「え?」

何の話しになっている?

 

「経済が回るだろう? 浮かれた気分になりみんな金を消費するからな」

なるほど、そう言う事か……って! 聖奈らしい考え方だな。

 

「なら、経済を回す為にも買って来るよ」

急いで屋台に向かって走り出す。後ろの方からもっと良く考えろ! と止める声が聞こえたが、聞かなかった事にしてたこ焼きと焼そばを買って来た。

 

「一緒に食べよう。嫌じゃ無ければ半分にして食べよう。そしたら色々と食べれると思うんだけど」

 

「む、確かに半分づつ食べれば、一度に食べる量も少なく、予算的にも半分の価格で色々と食べれると言う訳だな! そこまでの発想は無かった…… 見直したぞ!」

普通に仲良く食べたかっただけど…… まぁ、そう言う事にしておこう。

 

□□□

本堂

 

長い行列になっていたが、二人で世間話やクエストの話をしている内に自分達の番が回って来た。

 

「そう言えば正確な作法が必要か? お前は知っているか?」

 

「合掌、お辞儀、鈴を鳴らして二礼二拍一礼する。俺の動きを見て真似すればいいよ」

以前、神凪神社で教えてもらった事があるのだった。

 

縁結びの神様。どうか隣にいる聖奈の恋人になれますように! 目を瞑り気合を入れお願いした。

 

「しかし、お前は凄いな。何でも知ってるいるのだな。それに比べ、私は金計算以外は疎いな……」

 

「たまたま、知っていただけだよ。それにそんな卑屈にならなくても……」

仕事をしている時には無いが、こうしてたまに卑屈になる癖が彼女にはあった。

 

「それで何をお願いしてたんだ? だいぶ長い時間お願いしているようだったが?」

 

思い切ってこの機会に気持ちを伝えてみよう……

 

「ちょとここだと言い難いから少し場所を変えよう」

神社の一角に風飛市が一望出来る場所があり、そこで気持ちを伝えようと決める。

 

「凄いな、空が透き通っていて風飛市が良く見える。中々の場所だな。うん? どうした。そんな真面目な顔をして……」

 

「さっきの続きだけど、以前から仕事を手伝う様になって一緒にいる時間が多くなっていただろう?」

「その頃から聖奈の事を好きなんだ! 俺の恋人になって欲しい」

 

「貴様は、な、なにを言ってるんだ。本気なのか?」

 

「本気だよ。聖奈の事が好きなんだ」

 

「……前にも言ったかも知れないが、私は金勘定しか出来ない女だからつまらいぞ? それこそ学園にはもっと可愛いい女の子達が沢山いるはずだ」

 

「俺は聖奈がその事に気付いていて変わろうと努力している事を知ってるし、いつも皆の事を考えて行動している優しいさ。それとたまにしか、見せてくれないけど聖奈の笑顔が好きなんだ」

仕事では厳しいがそれ以外では、素直で優しい所が大好きなっていたのだった。

 

「……お前も物好きだな。こんな私にも普通に接してくれて、色々な事を嫌がらず教えてくれる。私もそんなお前の優しさに実は惚れていた…… その…… 私の方こそ…… よろしく頼む」

 

「うん。今日から恋人関係だ!」

 

「そ、それは分かったが、何をすればいいのだ? は! まさか! 風紀委員が言っている不純異性交遊か?!」

 

「それはいつかと言う事で…… あれをしよう!」

 

「あれとは?……」

 

 

 

 

□□□

おみくじ売場

 

「一緒におみくじを引こう! どうしてもこう言うのが欲しくて」

袴をモチーフにしたかわいいおみくじで、中を開けると“結び紐”が2つ入っているのだった。大きい結び紐は境内の結び処へ結んで帰り、小さい結び紐は持って帰る事が出来るのだった。

 

また、縁結びの神社とあって、二人で持てるお揃いの御守りも売っていた。

ペアで持てる「恋愛守」は、おみくじと同じく緋色と水色の袴型の珍しいお守りで、恋人や夫婦など愛で結ばれた二人が末長く幸せになれるよう祈りが込められている物らしい。

 

「お揃いっていう物も悪くは無いかな~と思って。恋人同士って感じがするだろう?」

 

「確かに…… それにしても意外だな? こういう物を欲しがるとは…… お前の可愛い所を見れた訳だし、恋人同士も悪くないな」

小さく微かだったが自然な笑顔で彼女は笑う。

 

□□□

帰り道

 

「さて、今日は久々に楽しかったぞ。銀河のおかげだ」

 

「い、いま何って……」

 

「恋人同士だからな。お前とか貴様とかでは、何か違う様な気がする。それに銀河も私を聖奈って呼び捨てにしてるだろう?」

 

「そうだな。でも凄く嬉しいよ」

彼女に手を差し伸べ、そして手を繋ぎ二人とも照れながら歩き出す。

 

「あ!」

彼女が急に声を上げたと思ったら急に抱きついて来た。

外が寒いせいか? 彼女の体温がとても暖かく幸せを感じ、思わず抱き締め返してしまう。

 

彼女も照れているのか? その時、不意に彼女が顔を上げる。可愛いな…… キスしてもいいのだろうか?

そのまま勢いに任せ、彼女の唇にキスをする。

 

「は! ば、馬鹿! そう言うつもりで抱きついたのでは無い!」

「下駄の鼻緒が切れてしまったのだ……」

足下を見ると確かに鼻緒が切れていた。

 

「ごめん。つい…… 聖奈が可愛くて……」

 

「あ、謝らなくてもいい。嫌じゃなかったから……」

 

二人とも照れてしまい、何を話していいか? 分からなくなってしまった。

 

「そうだ! 下駄を直さないと!」

急に我に返り、慌てて言う。

 

「そ、そうだな! どうしたものか……」

その後、デバイスで直し方を検索して応急措置して何とか直す事が出来た。

 

「助かった。ありがとう」

 

「でも、本当はお姫様抱っこやおんぶしてあげても良かったけどね?」

 

「こ、これで十分だ!」

顔を真っ赤にさせてた彼女を見て、ますます好きになるってしまう。

 

「さて、今年も良い年になる様に頑張ろう」

 

「そうだな。私も銀河と一緒なら自分を変えられるかも知れないな。お互い頑張って行こう」

 

二人で手を繋ぎながら帰りのバス停に向かう。

 

                  END

 




明けましておめでとうm(_ _)m

いつもお読みいただきありがとう御座います。

多忙で中々、投稿出来ていませんが今年も頑張って行きますのでよろしくお願いします<(_ _)>


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