私立グリモワール魔法学園~Another story   作:風飛の丘

51 / 65
独自解釈、独自設定により原作を大切にされている方はご遠慮下さい。主人公はオリ主、不定期投稿、各専門用語については後書きにて補足。
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。

2018.1.1
今年、最初の投稿です。
本年も何とか続けて書いて行きたいと思いますので、よろしくお願い致します。

今年のお正月は彼女にしました!
1話限定恋物語の番外編
では、どうぞ~


グリモア 番外17 初詣 2018 編

新年を迎え、今年こそは良い事がありますようにと思いながら初詣に出掛けようと準備していた。

誰かと一緒に出掛けられたらよかったが、みんな実家に帰ったり用事があったりと忙しい様だった。まして、好きな人を誘う勇気もなかった。

 

一人、寂しく学園前のバス停まで来ると赤を基調に白の水仙が描かれた着物姿に、長い髪を上で結っている女の子が立っていた。

一瞬、着物姿といつもと違う髪型に目を奪われてしまったが、そこに立っている女性は密かに想いを寄せている人だった。

 

こちらに気づいた水無月 風子が、近寄って来て声を掛けてきた。

水無月 風子 16歳 身長150㎝ 体重40㎏ B76 W54 H78 趣味:アナログゲーム 特技:取締り

 

「おや、どーも。明けましておめでとーごぜーます」

「新年からあんたさんのお顔が見られて嬉しーですね。これからお出掛けですか?」

 

「明けましておめでとう」

「そ、その着物凄く似合ってるよ。あれ? でも着物姿という事は、今日は見回りは無しなのか?」

 

「ありがとーごぜーます。行事とあらば、見回りしているイメージですか? それは、ちげーねーですがね」

「正月ぐらいは、なーんも考えないで楽しく過ごしたいもんです」

 

「それもそうだな…… もし、良かったら俺と一緒に初詣に行かないか?」

なんとか勇気を振り絞って誘ってみた。

 

「うちも一人なんで、いーですよ」

簡単にOKをもらえた…… 今年の運を全て、この場で使い切った気がするが、こんなチャンスは二度と無いかもしれないと思いつつ、このチャンスを生かさなければと思った。

 

 

□□□

風飛市

「普通に神社で参拝でも良かったけど、今年は七福神巡りをしようと思って、いいかな?」

 

「お任せです。エスコートはおねげーしますよ」

 

「最初は笑福来門の神、布袋尊の所へ行ってみよう」

風飛市内には歩いて回れる距離に、七福神がそれぞれ祀ってある小さな神社がある。元々、一人で回る予定コースだったので、あらかじめ場所は覚えていた。

 

■千客万来・家運隆盛の神■

無病息災・夫婦円満・金運の布袋様

 

「さて、最初の布袋様に着いたぞ」

鳥居をくぐり中に入ると、祠に布袋尊の像が見えた。

 

「たしか…… もの凄く金運が上がる神様。あんたさんのクエストの頻度を考がえると、じゅーぶんじゃねーですかね」

 

「まぁ、そうだけど初詣にぐらいにしか来ないだろう?それにお金はあって困る事は無いし……」

 

「それはちげーねーです。今日はあんたさんに、おねだりさせてもらえそーですね」

 

「任せろ、それぐらいお安い御用だ」

一緒に初詣、デートと呼べるか? 呼べるよな! 多少の無理なお願いでも聞く覚悟を決めた。

 

「それでは、さっそくおねーげーします。一緒に買いにいきましょーよ。まずはたこ焼きです」

 

 

■商売繁盛・除災招福の神様■

 

「次は商売繁盛の神、えびす大神の神社へ移動だ」

歩いて15分位の距離にあるので、世間話をしながら歩いているとあっと言う間に到着した。

 

「説明書きがあるな……」

立て看板があり、読んで見ると…… イザナミ、イザナギの間に産まれた子で、古くは大漁追福の漁業の神。七福神で唯一日本由来の神様と書かれてあった。

 

「あんたさんは、卒業したら何か? 商売でも始める気ですかねぇー。教えてもらえねーですか?」

 

「店か…… それはそれで面白いそうだけど、今の所は予定は無いな」

 

「まぁ、魔法使いって言うだけで疎まれる世の中じゃ、しゃーねー部分はあります」

「うちもじょーだんで、聞いただけですから気にしねーでくでせー」

 

確かにそうだな…… と思いながらも彼女と一緒に、パン屋とか花屋とか、何か? お店でも出来たら嬉しいなと思った。

 

■五穀豊穣・子孫愛育の神様■

福徳開運の神、大黒天

大黒天は、大自在天の化身とも言われ、大国主命と神仏習合したもの。大地を掌握する神様

 

「開運グッズがいっぱいあるじゃねーですか。何か一つ買って行きましょー」

 

運気アップする大黒天が飾られたストラップをお揃いで購入した。これはこれで、好きな子と同じ物を持てる事が嬉しかった。

 

「しかし、今までうちは七福神めぐりはしたことねーです。よく思いつきましたね」

 

「俺も初めてだよ。七福神めぐりは、七難即滅、七福即生だからちょうど良いなと思って、今年はチャレンジしてみたんだ」

 

七つの災難から逃れ、七つの福徳を授かる御利益があるらいし。

 

「あんたさん、以外と詳しいじゃねーですか。少し見直しました」

 

「たまたま、知っていただけだよ」

事前に調べてあったとは言えなかった……

 

■財運招福・延命長寿の神■

招徳人望の神、福禄寿

幸福・福徳・財宝・人徳・長寿

 

「まさに、あんたさんにピッタリな神様じゃねーですか」

「あんたさんは、みんなから信頼されているよーですからね。特に女子と毎週のよーに、街に繰り出しているよーで。嫌味じゃねーですよ?」

 

「クエストの後に打ち上げに行くのが、決まりだと聞いているからだ!」

確かに事実なので反論も出来なかった。取り敢えず話題を変えないと…… 軽いヤツだと思われたく無かった。

 

「そろそろ、お昼にでもしようか? 食べたい物とかある?」

 

「せっかくです。屋台で食べて行きましょーよ。屋台巡り、ハシゴします」

 

「まぁ、各神社ごとに屋台が色々あるからいいけど、そんなに食べれるのか?」

 

「その為のあんたさんじゃねーですか? うちの体に、そんなに入らねーですから、半分個しながら食べましょーよ。さっきはたこ焼き。次は、焼きそばです」

 

嬉しい限りの申し出だった。好きな人と同じ物を半分個して食べるなんて…… 憧れだった。

 

□□□

■武道成就・除悪厄除の神■

十種の福を得るとされる毘沙門天

武神と呼ばれる毘沙門天で打倒魔物を誓いながら

次なる寿老人様へお参りの為、移動する。

 

■幸福長寿・家庭円満の神■

健康・幸福・福徳・長寿の寿老人

 

二人で今年1年の健康祈願をする。

 

「日々、長生き出来る様に準備は怠らねーようにしないと。いつ死んでもおかしくねー 世界に、我々はいる事を忘れずにしないといけねーです」

 

今年も学園生徒が誰一人、欠ける事なく来年を迎えたいと心から願った。

 

■恋愛成就・学徳成就の神■

千恵財宝の神、弁天様

 

「弁天様。ここで最後だ」

 

「早いもんですね。うちは、色々と見れて楽しかったです」

 

「喜んでもらえて良かったよ」

「ここで、最後だから本堂の方でお参りしよう」

時間が経つに連れて、参拝客も多くなり混雑して来ていた。

 

「あ、あんたさん。ちょっと助けてくれねーですか?」

風子の方を見ると、人に押され苦しそうにしていた。

 

「人混みにいると苦しーんですよ。ギューギューされちゃって。うち背が低いもんですから……」

少し考えた末、彼女の手を取りなるべく自分の方に引き寄せる。

 

「不純異性交遊! なんて言わねーです。助かりました」

 

一瞬ビックリしたが、不可効力だと思う。確かに少し、やましい気持ちはあったが……

 

本堂でお賽銭を入れ願い事をする。弁天様が置いてある神社だから恋愛成が就出来たらいいなと思う。

隣にいる風子が彼女になりますようと…… 横目で風子を見ると目が合ってしまった。

 

そんな彼女はお賽銭箱との高さに落差があり、お賽銭を山なりに放り投げて入れる。

「お賽銭を入れるのにもひと苦労でーす」

 

参拝も終えたので、彼女の負担にならないように人の少ない方へ移動する。

 

「あんたさんは、真剣に何をおねーげーしたんですか?」

 

このチャンスしか無いな……勇気を出して……

 

「風子の事が好きで、彼女にしたいとお願いした!」

「俺、風子が好きだ。彼女になって欲しい」

思い切って告白する。

 

「おやおや、まさかあんたさんから、そんな事を言われるとは予想外でした」

「いいですよ。あんたさんが、不純異性交遊をしないよーに彼女になってあげます」

 

「え? いいのか? そんな理由で?」

 

「不純異性交遊の話は冗談です。が、うちも嫌いな人と初詣に来たり、手を繋いだりしねーですよ。うちも色々とクエストしたり、ゲームしたりしている内にあんたさんを好きになってたよーです」

 

普段は見せない様な、彼女の顔を見る事が出来た…… 風子は顔を真っ赤にさせながらOKをしてくれた。その顔が凄く可愛いらしかった。

 

「改めて、彼氏としてよろしく」

 

「こちらこそ、よろしくおねげーします」

 

新年からおめでたい事があり、神様にお願いして良かったと。これ以上の幸せはなかった。

 

「さて、そろそろ帰りましょー」

そう言い歩き出すと、急に彼女はその場にしゃがみ込む。

 

「どうした、大丈夫か?」

 

「これ、駄目なよーです」

風子は下駄を手に持ち、こちらに見せる。よく見ると鼻緒が切れてしまった様だった。

 

「どうしたら良いもんでしょーね」

 

「近くの救護所に行けば、何とかなるかも知れないからそこまで俺がおぶって行くよ」

 

「ありがとーごぜーます。流石、彼氏さんじゃねーですか。カッコイイです」

予想外の事を言われ照れてしまった。

顔には出てないだろうな…… 誤魔化す様に、素早く風子を背中に背負い、救護所に向かって歩き出す。

 

「重くねーですか?」

 

「そ、そんな事ないよ」

風紀委員長としてのイメージか強く、もっと身長かありそれに見合った重さがあるのかと思っていたが…… 彼女は想像以上に小さくそして軽かった。

 

「しかし、こういう機会ねーと難しーですかね?」

耳元に小さな声が聞こえる。

 

「うん?」

後ろに背負った風子の方を振り向くと…… 突然、頬にキスされた。

 

「ふ、風子……」

あまりの出来事に驚き、言葉か続かなかった。

 

「こんな感じですかねー。うちタッパねーですから……」

「あんたさんにキスしよーと思ったら今がチャンスと思いました」

 

不意討ちのキスで、まったく反応出来なかったけど好きな子からされるキスは嬉しかった。

 

その後、下駄は救護所で応急処置してもらう事が出来て助かった。

 

「イレギュラーに見舞われてしまいましたが、さて学園にもどりましょー」

 

帰りのバス停まであと少し、この歩道橋を渡れば楽しい時間も終わってしまう…… 学園に戻れば、風子は風紀委員長として行動しなければ行けない。

 

付き合っていても、やはり清く正しくが必要だろうか…… それでも良いと、前から覚悟はしていた。

 

そんな事を考えていたせいか? 足がいつのまにか、止まっていた。

先に階段を上っていた彼女が振り返る。

 

「あんたさん、どうしたんですか?」

 

「な、何でもない……」

「……」

「そ、その帰る前に…… キスしていいか?」

自分の想いを伝える。

 

「彼女ですから、いーですよ」

顔を赤くしながら彼女は、自分の想いに答えてくれる。

 

階段差があり、ちょうど目の前に風子の顔があった。

そのまま彼女の腰に手を回し、小さな体を抱きしめて唇にキスをする。

 

「…………」

どれぐらい、そうしていたか? 分からないが、どちらともなく唇を離す。

 

「うちは、嬉しいーです。鋭気を養った気がします。これなら正月明けも頑張れそうでーす」

 

「俺もだ。新年から良いこと尽くめだよ」

 

「それは、めでーて事です。それと節度さえ、わきまえてもらえれば、うちは誰かさんの様に厳しく不純異性交遊!なんて言うつもりはねーですよ」

 

バスが到着するまで、手をつなぎながら体を寄せ合い、幸せな新年を迎える事が出来た。

               END

 




いつもお読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m
投稿ペースは速く無いですが、本年も頑張って行きたいと思います。

口調に特徴ある子は難しいです(T_T) それでも、なんとか投稿する迄に至りましたので、変!だと思ってもスルーして下さい(笑)
それでは、皆様も良いお年を。

次はお正月中にもう1作品書けたらいいな……と思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。