私立グリモワール魔法学園~Another story 作:風飛の丘
誤字、脱字等ありましたらご了承下さい。
メイン編で予告した通り何とか間に合いました!
今年もChristmasの時期がやって来ましたので番外編を投稿します。
1話限定恋愛物語
今年は彼女に頑張ってもらいました。
では、どうぞ~
「さて、どうしたものか……」
今週末に冬の大イベント、クリスマスが待っているのだった。しかし彼女が居ない自分は、学園で開催するクリスマスパーティに参加する。いつものコースになりかねない状態だった。
別にそれが嫌とかでも無く、皆で楽しく過ごせるので不満も無かったが…… 今年は、好きな人と一緒に過ごしたいと考えていたのだった。
そこで、以前から想いを寄せている彼女に声を掛けようと思い、いざ行動しようとしたが…… 声をかけるタイミングが見つからず現在、廊下の隅で悩んでいる状態だった。
「勇気を出して誘わないとな……」
どう切り出そうか? 悩んでいるとこちらに向かって廊下を走って来る女性がいた。
「せーんーぱーい!」
「こんな廊下の隅で何をしてるんすっか? 怪しいので声をかけにきたっすよ」
声をかけて来たのは、まさにデートに誘うとしていた小鳥遊 自由だった。
小鳥遊 自由
身長157㎝ 体重49㎏ B83 W56 H85 趣味:ゲーム
「な、何もしてないし、怪しくないぞ」
「そうですかぁ~? めっちゃ怪しかったもんで」
「そう言えば来栖先輩はクリスマスイブの日、何か用事あるんすっか?」
「あ! 来栖先輩はもう当然、予定入ってますよねぇ~ 先輩だから!」
「誰かとデートとか? それとも学園の手伝いとか? 気になるっすね」
「予定は入ってない……」
まさか目の前に居る、自由を誘うとしてた! とは言えなかった。
「マジっすか? 珍しいですね~ じゃぁ、暇なんですね!」
「なら自分とクリスマスイブの日、街に遊びに行きましょうよ? 自分も丁度、暇なんですよねぇ~」
願ったり叶ったりだが…… 自分から誘うと思っていたのに…… へたれな自分に嫌気が差した。
「分かった。一緒に出掛けよう」
「約束っすよ。当日、実は予定入りました!は無しっすからね。そんじゃ、楽しみにしてますんで!」
「俺は大丈夫だよ。自由は? 姫とかは良いのか?」
「お嬢は、本家に呼ばれてパーティですね。もちろん刀子先輩も一緒っす…… 自分は、お正月に帰るんで大丈夫ですかね?」
最後が疑問系だったのが気になるが…… 一緒に居られるなら無理してもらおう。
「来栖先輩、待合せ場所は後でメールするっす! そんじゃ、また!」
自由は来た時と同じく、元気良く走り去って行った。
□□□
クリスマスイブの日
12月にしては寒いと感じさせる日だったがその分、空は透き通った青空が広がっていた。
待ち合わせ場所は、いつものゲームセンター前だった。
「来栖先輩! お待たせしたっす」
突然、後ろから声をかけられ驚く。
「あはは、驚き過ぎですってば! 空見て、ボーッとしてるからっすよ」
「いきなり不意打ちか…… 仕方がない奴だな」
「うん? いつもと雰囲気が違う? その服、似合っているよ」
普段、制服姿に見慣れているのもせいもあるが、赤のコートから見える白のブラウスにベージュのミニスカートが似合っていた。
「え? ……先輩 ……いつもそうやって女の子を口説いているんすっか? でも、そう言って貰えるとやっぱ嬉しいっすね」
「そんじゃ、いつものコースですが、行くっすよ!」
「了解」
ゲームセンターから始まり、カラオケ、そして街をぶらぶらと見て回るのがいつもパータンだった。
□□□
ゲームセンター
「お! 先輩、あれ! 新型っすね。やって見ますか?」
新型の筐体を見てみるとガンアクションゲームで、魔物が次々と現れて襲いかかって来るのをハンドガンで撃ち倒す物だった。
「やって見るか!」
「負けた方が、お昼おごりっすよ~ 気合入れて行きましょう」
「銃を使うゲームなら負けないぞ! でもこれ、二人同時プレイだから最後まで生き残った方が勝ちでいいな?」
「先輩、ヤル気、満々っすね。分かりました」
ゲームが開始され、序盤は魔物の数が少なく二人で難なく撃退して行く。しかし中盤にもなって来ると魔物の数がどんどん増え押し寄せて来た。
「あ! 先輩、そっちよろしく。この辺は自分が捌くっす」
「く!、弾が、リソース回復に時間かかるな」
「不味い! あ、殺られてしまった……」
押し寄せる魔物に弾の数が足りなくなり、そのまま押し切られてしまった。
「ここまでかぁ~」
「先輩、銃貸して!」
自由は俺から渡された銃を左手に持ち、魔物を次々に撃ち倒して行く。もちろん右手にも銃を持って、二挺拳銃スタイルで押し寄せる魔物を次々と撃ち倒して行った。
「おいおい、マジか…… 上手すぎるぞ」
精鋭部隊のエレンにも引けをとらない程の銃撃戦を繰り広げ、音ゲーで踊るように二挺の拳銃をさばいていた。
ゲームに関しては、普段より凄いポテンシャルを発揮する自由だった。
「もう少しだ、頑張れ!」
そんな様子を後ろの方で応援しながら見ていたが、自由は本気でスッテプを踏みながら派手に動いているので、時折スカートがめくり上がり、白と緑の縞パンが見え隠れするのに一瞬ドキッとする。
「これで、ラストっす!」
タイコンデロガ級のボスを倒して、ゲームをクリアした自由が喜びの余り抱きついて来た。
「やったー、クリアっすよ! 先輩の奢りですからね」
自分より背の低い自由が腕の中で見上げて来る…… そんな仕草に、再びドキッとさせられてしまう。
「ふぅー、流石に疲れたっすね。休憩がてら、お昼にしましょうよ」
ゲームセンターを後に、近くのファミレスで簡単に食事をする事にしたがその時、1つ驚いた事があった。
「先輩? どうしたんっすか? そんなにじっとこっちを見て…… まさか、自分に惚れちゃいました?」
それはもちろん惚れてはいるが……
「やっぱり、自由もお嬢様なんだと思ったんだ。そのナイフとフォークの使い方、飲み物を飲んでいる姿を見て上品だなと。流石は野薔薇の分家だけの事はあるな」
「そっすか? 自分、あんまり自覚は無かったんですがね。そんな風に見えるんすっか~」
「普段からそうだとは言わないけど、ふとした仕草に現れてるんだと思う」
「なるほど~ 先輩、自分の事を良くみてるすっね!」
「そんな事は無いかな?」
普段から良く自由を目で追っているので、いつもと違う所には敏感に反応してしまう自分がいた。
その後、食事を早々と済ませカラオケBOXに移動して、二人で歌いまくったのだった。
□□□
繁華街
「いやー、歌たっすね。ストレス発散にもなりましたよ」
二人で5時間も歌い上げ続ければ…… 流石に疲れたが、自由はそんな欠片も感じさせなかった。
「その辺の店に入って見るか?」
「ういっす」
クリスマスで店内は混雑していたが、実は予約していた物がありそれを取りに来たのだった。
自由には、内緒で頼んでいた商品をこっそり購入する。
後は、ばれない様に色々とアクセアリーを見て回るが自由はあまり興味は示さなかった。
「やっぱ、こう言う店は自分には似合わないっすね」
「そんな事は無いと思うが…… 次に行こうか」
辺りは暗くなってきて、様々なイルミネーションが街を彩り、クリスマスが本格的になって来た。
今年は市内中心部に大きなクリスマスツリーが飾られていて、目玉になっていると雑誌で見たので自由と一緒に見られたらいいなと思って連れてきたのだった。
「先輩~ 凄いすっね。迫力があって綺麗っすよ」
「あぁ、雑誌で見るのとは違うな。凄いとしか、言い様がないな~。一緒に見れて嬉しいよ」
このチャンスしか無いな……
「自由、今日は誘ってくれてありがとう」
「実は俺もお前を誘うつもりだったんだ。クリスマスイブを一緒に過ごしたくて……」
「そ、そうなんすっか。自分に興味があるって事ですか? まさか…… 好きとか!ですか? へぇー、驚きっす……」
「やっぱダメっすね…… 茶化してすみません。本当は自分……」
自由曰く、本家に行きたくないのもあるが、それよりもクリスマスイブは俺と一緒に過ごしたくて、本家の予定を断って誘ってくれたらしい。
ただ、自由も恥ずかしくて素直に言えなかった様だった。
そこまで言わせてしまったのは、自分の不甲斐なさだと思い知らされてしまった。
もう気持ちをはっきりと伝えないと……
「自由、お前の事が好きだ。俺の彼女になって欲しい」
自分の気持ちを素直に伝える。
「先輩は人気者で、色んな人と仲がいいじゃないすっか…… だから自分もその中の1人なのかな~と思っていましたよ」
「お前じゃ無いと駄目なんだ。一緒に居て楽しくて、何でも本音で話し合えるんだ」
「自分も先輩の事が好きで、色々と遊びに誘ったり悪戯したりしていました…… 自分を彼女にして下さい」
いつもと違う丁寧な話し方で冗談では無いことが伝わって来た。
「そう言ってくれて嬉しいよ。これからは彼女としてよろしくだな」
「はい!」
照れた顔をしながらハッキリと返事をしてくれた。
「今日の記念にこれを。merry Christmas」
綺麗にラッピングされた小さなBOXを渡す。
「え、自分にっすか? 開けてもいいですか?」
「気に入ってくれたらいいな」
自由はラッピングを剥がし、箱の中から黒のチョーカーを取り出す。
「先輩…… これ! 限定品すっよ。確か100個限定でしったけ? マジっすか! 欲しかったんですよ」
自由にプレゼントとしたのはデザインは普通のチョーカーだが、アクセントのシルバー部分が汐浜ファンタジーランド公認キャラクター、ハートちゃんがデザインされた物だった。勿論、汐浜ファンタジーランドの公認も受けている品物だった。
「先輩、嬉しいっすよ。いゃ~自分じゃ、似合わないと思ってましたし、予約殺到してたんで諦めたんですよ」
「似合わない事は無いと思うぞ。着けて見せてくれ」
自由は言われた通り、チョーカーを身に着ける。黒が基調のチョーカーなので、ネックレス様に派手な品物でも無いので似合っていると思った。
「良く似合ってるよ」
「好きな人に言ってもらえると嬉しいっすね」
「ブレゼント、大切にするっす! 何か? お返しをしないといけないですねぇ~」
別に気にしなくてもいいと伝える。
「記念になる物はと…… 何か? 二人で選びに行ってもいいんですが…… これにします」
突然、自由は俺の背中に腕を回して抱きしめて来る。そして、そのまま背伸びして突然キスをして来た。
寒い中、自由の暖かい唇の感触が余計に甘く感じられる。
「何も持って無いんで、こんな物しかないすっけど……」
顔を赤らめた自由が顔を隠すように、俺の胸の中に顔を埋める。
「凄く嬉しい。最高プレゼントだよ」
グリモアに来て、1番嬉しい日になった瞬間だった。
「あ! お嬢からメールっす」
デバイスが急に鳴ったと思ったら自由は抱き締めていた腕をほどき、デバイスのメールを確認する。
「……焦りましたよ。何処かで見ているのかと思うタイミングでしたから…… 部屋でゲームなんかして居ないで、クリスマスを楽しむ様にと書いてあるっす」
「先輩、今日のこの事はお嬢には内緒にお願いしますよ。タイミング見て自分から言うっすから」
「そうだな、暫くは皆には内緒にしておくか」
「ういっす。それで行きましょう」
「でも、今日は…… 特別です……」
自由が、二度目のキスをして来た。
今度はさっきより長いキスで、お互いに幸せを感じていた。
心の底から、可愛いと思える彼女だった。
自由の手を取り、二人でクリスマスの夜空とイルミネーションを思う存分、楽しんで行った。
END
いつもお読みいただきありがとうございますm(__)m
昨年と同じ日に投稿出来ました。
年末でドタバタと忙しくなって来たので、次の作品まで間があるかも知れませんが、お正月編も間に合うなら投稿しますのでよろしくお願いします。
では皆様、良いChristmasを!