ナザリックへと消えた英雄のお話   作:柴田豊丸

37 / 60
:殆ど時を同じくして

「もう無理です」

「無理か」

「無理ですよ」

 

 腹立たしいと言わんばかりの声に口調だった。

 

「全く持って腹立たしい」

 

 言った。

 

 書類と本棚に囲まれた大公の執務室、其処にいるのは勿論大公その人と、その娘たるリリーであった。支配者としての権威と風格を保つべく常に人目を意識した立ち振る舞いを実践する二人だが、余人の眼が無いためか幾分その姿には疲労が滲んでいる。

 

 大公は書類を脇にどけ、両肘を執務机に乗っけて体重を預けている。対面する公女は豪奢な椅子に背中を預け切って、殆ど天井を見るほどずり落ちた体勢だ。

 

「そもそも。言っても意味が無いと承知で口に出しますが、普通あんなの湧きますか? 実は公都は神か悪魔に呪われているのでは? 殿下、身に覚えがおありでしょう。さっさと謝ってください」

「謝って不幸が起こらぬなら幾千幾万とて頭を下げるがな。無駄な事をしている余裕は無い。時間も体力もな」

 

 今現在二人がこの場でこうして愚痴を垂れていられるのは奇跡であった。二人の国は滅びかけたのだ。たまたま運が良かったから滅びなかったのである。

 

「事後処理はもう大丈夫ですよね。必要な命令は下しましたし、人員も適切に配置。これ以上混乱が表沙汰になって長期化すると、折角奇跡的に軽傷で済んだ事態が燃え広がりますよ」

「注意深く見守り、問題の兆候が出れば対処する。何をやるにしても変わらぬ」

 

 為政者にとって今回の事態、終わってからが第二の本番であった。直接デスナイトに殺された者はいなかったにしろ、避難活動や戦後の総浚いの際に三桁近い死人が出ている。

 百人近い人死にが出た。避難の際の混乱で押し合いへし合いが起こった圧死があり、民衆に不安が広まって一部で乱闘騒ぎも起こった。

 他にも一時的に無人化した民家で火事場泥棒を働いていた者、捜索過程で非合法組織の拠点、秘密結社の潜伏地を発見した等で戦闘も発生し、其処でも人が死んだ。

 

 その他諸々での死亡者が百人に迫る数。幾千幾万がぶつかり合う戦場でなら兎も角、民草の住まう大都市で起こった人死にとしては多大な数だ。

 

 だが大公や公女、エルアゼレット・イーベンシュタウらの様な一定以上の視点を持った者、デスナイトの脅威を理解している者からすれば奇跡的なまでに少ない犠牲だ。この百倍千倍の人間が死に、公都が陥落していても不思議では無かったのだから。

 

 犠牲者は丁重に弔った。任務の中で亡くなった騎士や警備兵、混乱の中で命を落とした一般人の遺族には大公の名のもとに出来得る限りの事をする。幸いにして──言ってはなんだが──そちらはそれで収まる。

 

 むしろ今回の件は外に広まるうちに、公国という国の、そして公国で活動する冒険者の武威を高める効果すら生むかもしれない。ここ二十年官民ともに強者が出なかった公国では、これ程の脅威を自力で、しかも突発的事態にも関わらず殆ど犠牲を出さずに退けたという武功は大きい。

 

 事実城下の民草の中では早くも此度の一件が英雄譚として語られつつある。三十万の民の中で死んだ者は百人、湧いたのは一国に匹敵する怪物。怪物の手に掛かった者はおらず、崩落した場所は打ち捨てられつつあったスラム。

 身近な者が死ななかった、直接被害を受けなかった殆どの人間にとっては『そういう話』なのだ。突然取る物も取らず家から逃げろと追い立てられた者たちとて既に何事も無く元居た場所に戻っている。

 

「奇跡ですね」

「奇跡だな」

 

 幸いという他無い。しかし二人の顔は晴れない。何故なら冒頭の『もう無理です』が掛かる一件は別なのだ。

 

 その一件──その人物は此度の一件の中心にいて、最も大きな役割を果たした。

 

「現状の路線では、イヨ・シノンはもう我々の物にはなりません」

 

 上に立つ者として断言する。今後五十年百年のスケールで見た場合、百人や千人の只人よりもイヨ・シノンの一人の方がずっとずっと重要だ、と。

 

 

 

 

 イヨ・シノンがリウル・ブラムに求婚してから三日。多くの目撃者がいたその出来事を、勿論この二人も掴んでいた。

 そしてリリーは言う。幾らリウル・ブラムが恋愛沙汰に不慣れだと言っても流石に逃げきれなくなっているだろう、今頃は既に答えは出ていると。──これからも末永くよろしくお願いしますの方向で。

 

 そして、それを裏付ける報告がつい先ほど上がってきた。二人は結婚するそうだ。

 

「そもそもあの子は人の上に立つ器じゃないんですよ」

「そうか」

 

 子供の頃から優秀な娘だった、と大公は我が子を前に思う。

 他の子も悪くは無かったが、自身の才覚を最も色濃く受け継いだのがリリーであった。

 

「世の人間を支配する側とされる側に分けるなら、あの子は完全にされる側。何をどう頑張ってもあらゆる面で支配者に向いてない。人の上になど立てはしない。あれを王にしたら三日で国が滅びますよ」

「そうだな」

「力の限り全力で駆けた結果、人々の先頭に立つ事はあるでしょう。しかしあの子に大集団を導く能力は無いし、小集団を纏める力も無い。当人が言う様に、あの子にあるのは殴り合いの技能と──善良なる小市民の心だけです」

 

 リリーがイヨ・シノンをあの子と称する様になったのは、実際に会って言葉を交わして以来の事だ。

 外見年齢は兎も角、実年齢ではリリーの方が幼いのだが。

 

 リリーは優秀だ。若い時の大公に似ている。自信家で、自信に見合った実力を持つ。タレント込みとは言えバハルス帝国皇帝ジルクニフに見初められるほど。

 その能力と研鑽、持って生まれた才覚が彼女に失敗を経験させなかった──訳ではなく、海千山千の貴族界で幾度も政治的外交的な勝敗を経て磨かれて来た。大公とてなまじ優秀に生まれ付いた娘を半端者にしない為に、壁を与え試練を与え、それを乗り越えさせてきたのだが。

 

 そうした実体験に裏打ちされた実力だからこそ、及ばずにいる事が耐え難いという面もあろう。

 何のかんの言ってもまだ十五だ。普通とは程遠い親子関係。一般的な親子の触れ合いなど大公もリリーも必要としなかったし、意味も感じなかった。

 

 それでも愚痴や負け惜しみを聞く位の事はしても良いだろう、と大公は思う。

 

 少女は天井を見上げたままでぶつぶつと言う。

 

「あの子に向いているのは酒場の給仕とか隠居老人の身の回りの世話とか子守りとか……」

 

 言っていて何かが胸の内で再燃してきたのか、苛立った動きで椅子に座り直し、自身の膝を手で叩いて、

 

「──貴人の従者とか! 人に使われる仕事、人の為に尽くす役目が向いている。自主自立より誰かに従い誰かに尽くす、たった一人の為に一身を捧げる、そうした適性の方が余程大きい!」

 

 怜悧な美貌は珍しく歪む。彼女の心に残った一抹の自尊心が仕事を放棄すれば、彼女は頬を膨らませ目に涙を溜めて悔しがっただろう。惜しがっただろう。

 

 ──あれは私が欲しかったのに、と。

 

「最初に出会ったのが私でさえあれば……たったそれだけで何の問題も無く、あの子は私のものだったのに!」

 

 ふーふー、と荒い息を吐きながら歯を食いしばる姿は乙女と言うより、夢破れた若武者に近かった。

 つくづく私の娘だ、とその姿を見て、大公は内心で天を仰ぐ。若かりし頃の自分が魔鏡に映し出されているかの様だ。

 

 大公家の血筋──もっと言うと初代大公の血。それも飛び切り濃い。欲しいモノが欲しくて欲しくて溜まらず、やりたい事成し遂げたい事が出来るとそれだけに専心してしまう。

 

 公国の為に、そして何より皇帝陛下の為に神域の才覚の持ち主を取り込む──紛れもなくそういう話だった筈で、『イヨ・シノンは我々の物にはなりません』から始まったのにも関わらず、今娘の口から出たのは『私のものにしたかった』という願望だけだ。

 

「ラナーにだってクライムがいるのに。私だって私だけの従者が欲しかった」

 

 野望を抱いてしまったのだろうな、と。大公は半笑いの感すらあった。

 

 まあそう云う教育はしてきたのだ。なにせ自分自身鮮血帝の臣下に鞍替えするまで周辺に覇を唱えんとしていたのだから。

 そんな自分を間近で見て育った娘がこんな気性になってしまうのも仕方が無いというもの。

 

 大公はむしろ同情的ですらあった。自分は半生野望を抱き、その為にのみ生きた。もはや過去のものだが、胸の内に絶対の志を抱いていた年月は楽しかったものだ。挑んで負けて、今がある。精一杯を尽くして至らなかったから、生きる為に他の方向を向けた。

 

 対してリリーはイヨ・シノンに関して、何か行動を起こしたわけではない。自分でやった事と言えば姿を見て才能を目視し、自分で話しかけて実地調査を行っただけだ。

 

 ──しかも余裕綽々だと宣っていたからな。

 

 実際に会って確かめてきたリリーは、大公にこう報告していた。

 

『楽勝ですな。赤子の手を捻る様なものです。騙されやすいという次元ですらない、騙すまでも無く手に入りますよ。私が今後もマリーとして接触を続け、折を見て本来の私と引き合わせれば良いでしょう。彼にとって友達の友達は友達でしょうし、誰とくっつけるも自由自在ですよ』

 

 余程自信があったのだろう。近年稀に見る良い笑顔だった。『イヨ・シノンなど所詮はイヨにゃん……否、性質的にはイヨわん?』等と動物扱いするレベルで容易い相手だと確信していた。

 

「くそがぁ!」

 

 今は眼前でこの様だが。流石に外でこの様な発言をしたら立場も忘れて引っ叩く処だが、この部屋の中なら見逃してやろうと大公は思った。彼にだって慈悲の心はあるのだ。

 

 正攻法で仲を深め、正攻法で取り入る。それが可能だという見積もり自体は大公から見ても確かなものだったと言える。だから最終的には合意した。

 リウル・ブラムへの恋心すら、それがあの少年の胸に秘めた想いである内は如何にかなると想定していたのだ。

 

 僅かな時間──数か月ほど──で何の瑕疵も無くイヨ・シノンを手中に出来たのなら、それは最上の結果と言えただろう。新メンバーが加入し、なお欠員補充の見通しが立たない【スパエラ】の活動はしばらく大人しいものになるだろうという予測もあり、それは十分に間に合う期間の筈だった。

 

 アダマンタイト級にまでなってしまうと手が出しづらい。国家は巨人であり政治は怪物で、一人や数人ではその力に抗し得る訳も無い。それが常識だが、アダマンタイト級は常識を超えた存在だ。

 

 彼ら彼女らは冒険者である。殆どの場合公権力とは縁遠いモンスター専門の傭兵で、有り体に言えば力自慢の類だ。だが、力自慢も幾十万の頂点に立つほど極まれば余人とは違った重みを帯びる様になる。

 

 アダマンタイト級冒険者を軽んじる事の出来る人間は、地上に存在しないに等しい。王であろうと皇帝であろうと、大魔法使いであろうと──あの者たちを『一冒険者』として扱う事など出来はしないのだ。

 

 その圧倒的武力。替えの効かない存在であり、掛け値無しの英雄であるが故に。

 人類の切り札とされるその戦力は並大抵では無い。人類最強の代名詞、それがアダマンタイト級だ。国を滅ぼす怪物にすら対抗可能な存在達。

 

 無論、実際にアダマンタイト級冒険者と王が相対すれば、頭を下げるのは冒険者の方であろう。身分の差、礼儀、世の理と言う奴だ。しかしだからといって、王が彼らを顎で使って軽んじるなど絶対に出来ない。

 

 一部の極まった冒険者はその存在価値故に、身分に囚われない。大国の支配者ですら敬意を持ち、尊重し、時として顔色を窺わざるを得ない。凡百の貴族とアダマンタイト級冒険者を秤に掛ければ、殆どの為政者は後者を尊重するだろう。

 

 実力と云うただ一点でもってその高みに上り詰めた者たち。王国の【青の薔薇】や【朱の雫】、帝国の【銀糸鳥】に【漣八連】、竜王国の【クリスタル・ティア】──彼ら彼女らは例外なく、人間の極限に最も近い強者だ。

 

 ましてや【スパエラ】は今回の一件における救世主たちの代表として活躍し、二十年ぶりに誕生した公国のアダマンタイト。民衆が彼らに向ける熱量、喝采や期待は公国の支配者であろうと軽視出来ぬ。出来ぬのだ。

 

 なのでそうなる前に、まだミスリル級で収まっている内に事を済ませたかったのだが──

 

「降って湧いた様に伝説級の化け物が出て! 狙ったかの様に居合わせて討伐し! アダマンタイトへの昇格はほぼ確実! 挙句の果てにリウル・ブラムと結婚! ええいくそ、こんな奇跡まで計算できるか!」

 

 

 

 

「まあ待て。落ち着いてもう少し考えてみろ。まだ手は残っていないか、本当にもう無理か。二人で考えてみようではないか。諦めるには惜しい存在だ」

 

 大公はあやす様に言った。正直大公も無理だとは思っているが、ずっとこのままでいられても鬱陶しいので正気に戻す為に頭を使わせようという魂胆であった。

 

「惜しい。惜しいですよ。最悪薬でも盛って種だけでも──阿呆か私は。正攻法が良いと判断したのは私自身であろうが。関係性の悪化、低い成功率、現実的で無い。あの子ほど肉体能力を高めていては生半可な薬では効かないし、そもそもあの子は毒使い。自らも用いるのに他人がそれを用いる可能性を考えない訳が無い。あー馬鹿馬鹿」

 

 ──頭自体は良いのに、頭脳ではなく心でモノを考えたがる奴だからな。

 

 特に追い詰められた時ほどその傾向が顕著になる。土壇場で直感に従う、これもまた大公家の血筋であった。当時の大公が皇帝ジルクニフを前にして戦わず跪いた様に。

 大公はもう人生半分生きて落ち着いてきたのだが、若い娘にはまだ難しかろう。

 

「無理ですよ。イヨ・シノンだけならどうとでも料理出来るし、本人さえ丸め込んでしまえば個人の事に赤の他人が口出しするな、本人の心は決まっているぞという理屈も使えましたが、リウル・ブラムは無理です」

 

 リウル・ブラムは有名人だ。国内に三つしかないオリハルコン級チームの一員であり、音に聞こえた天才児である。本人が生い立ちを隠さないだけあって知ろうとすれば幾らでも知る事が可能である。

 そしてチームの一員としての彼女は兎も角、私人としての彼女は大の貴族嫌いだ。父親の放蕩振りと貴族趣味に端を発したその気性は、実際に尊敬に値しない幾人もの貴族と関わるに連れて非常に強いものとなっている。

 

 勿論リウル・ブラムは大人である。そして仕事人だ。貴族を目にするのも嫌だとか、貴族階級に属する連中は例外なく悪人だ等と云う思想を持っている訳ではない。内心好かないと思っている者からの依頼でも、一度受けると決めたなら黙々と仕事をこなすだろう。

 高位冒険者としてそうした割り切りは出来る人物だ。そして、尊敬に値すると認めた相手なら貴族だろうと商人だろうとその対応は分け隔てない。

 

 事実、【スパエラ】に指名の依頼を出す貴族、冒険者としての【スパエラ】を信用している貴族は多い。大公とて公都に住まう彼らに何度か依頼を出しているし、そう長い時間では無いが直接言葉を交わした事もある。

 

「彼女が夫が貴族になる事を許容しますか? 自分が貴族となる事を許容しますか? ただ純粋に冒険者として活動するだけなら爵位など無用の長物、無用なら必要ない。イヨ・シノンにとってそうした彼女の言葉は絶対でしょう。実際彼らの活動スタイルならクソの役にも立ちませんしね」

 

 高位の盗賊にして斥候たる彼女の力量は鍵開けや罠解除のみに留まらず、所謂裏の事情裏の思惑、政治的策術の類にも嗅覚が働く。オリハルコン級──否、二十年ぶりに誕生したアダマンタイト級冒険者のそれは間違っても侮って良いものではない。

 

 イヨ・シノンという破格の人材を欲しがる者がいるなど、それこそ赤子でも分かる事。隙の塊の如き少年をカバーする為に、彼女は接近する全ての相手に対して警戒を怠らないだろう。

 冒険者として仲間であるのみならず私人として伴侶となっては尚更である。魔法詠唱者ベリガミニや戦士ガルデンバルドとて高位冒険者に相応しい知見の持ち主であり、侮れない。

 

 それ故に前回リリーはマリーに変装し、リウル・ブラムを躱してイヨ・シノンと交流を持ったのだ。オリハルコン級冒険者の警戒網を掻い潜り、イヨ・シノンの友人と言うポジション──後の戦略における橋頭保を築くために。

 

 今となっては半ば無駄だが。

 

「そしてイヨ・シノンを女で調略するのももう無理。なにせ結婚しちゃったんだから。あのお子様が愛故にくっついちゃったんだから。他の女とか絶対無理。下手に迫ろうものなら変態としてぶっ叩かれるんじゃないですか?」

「そこまで潔癖か?」

「あのお子様にとって結婚は神聖な契約ですよ。両親の仲が良かったと言っていましたし、その姿が恋愛観結婚観の根本にあるのでしょうね。妻は生涯通して操を、愛を、敬意を捧げる相手。浮気? 無理無理。お子様であるが故に無理。あの子がリウル・ブラムに抱く愛は幼児が父母に向けるものと同等かそれ以上の混じりけの無い愛──いや、根っこの所では憧憬に近いやもしれない」

 

 どんな美女や美少女を差し向けても友人以上に仲を深めようとした途端、『この人は既婚の男に色目を使う様な人なんだ……』という失望と嫌悪を抱き、二重三重に嫌われて距離を置かれるだろうと少女は述べる。リウルに対する自分の想いが軽んじられた様な、汚された様な気さえするだろうと。

 

 子供は単純で純粋で、故に潔癖である。特に恋愛方面に関するイヨ・シノンはそうだ。確固たる相手が出来た以上その他の異性同性はリウル・ブラムとの関係が解消される事態でも起きない限り──解消されてさえ数年は引きずりそうだが──永遠に恋愛対象としての土俵に上がれもしないだろう。

 

 そうした性質があると思っていたからこそ、片思いの内に横からかっさらおうという計画だった。

 

「厄介な事に、あの子は何故か色恋沙汰に関しては鈍くも疎くもないのですよねぇ。何の経験も無さそうですし、事実無いでしょうに。動物的感覚で動いているとでも言えばいいのか…」

 

 やけくその態度で手をひらひらと振る動作をしながらリリーは言う。そんな彼女に大公は思わず素の態度で、

 

「お前はイヨ・シノンの専門家か何かか?」

 

 何のかんの言っても一回会って言葉を交わした、直接の接触はそれだけだろうに、と。

 

「言い得て妙ですね。確かに、私こそが公都で五人目のイヨ・シノンの専門家と言えるでしょう」

 

 嫌味も通じなかった。

 

「くそ、リウル・ブラムめ。あの様なら関係性の発展までに年単位の時間が掛かると思ったのに……容易く押し切られたな。これだから冒険しかしてこなかった女は。まともに異性と付き合った事も無いのか」

「お前が言えた事か?」

 

 公国において至上の権力者の娘として生まれ落ちたリリーも、世間一般で言う『まともな異性との付き合い』などしたことが無いだが。

 黄金のラナーの対として白銀と称えられる生来の美貌をリリーは自身の武器として自覚し、それを最も有効に用いてきたが、それは実際には手を触れさせる事もない見せ札として使い方であった。

 

 あーあとひと際大きく嘆声を上げた美貌の少女はまるで男の軍人の如き動作で身を叩くと、誠にお淑やかかつ少女らしい動作で椅子に座り直した。

 背筋を自然に伸ばし、手を重ねて腿の上に置く。浮かべる微笑みはそのまま絵画にしても良い位の魅力溢れるもの。

 

 少女と女が同居した魅力を放ちながらリリーは歌う様な口調で、

 

「まあ良しとしましょう。リウル・ブラムの才能は他国のアダマンタイト級と比べても遜色ない。そこらの凡才女とくっつかれて神の才覚を薄められるよりずっとマシだと思えば、事態は最悪と言う程でも無いですし」

 

 破局してくれれば傷心のあの子を落とすチャンスでもあります、と少女は続ける。

 

「出来る事なら積極的に破局させたいくらいですが、正直それも難しいでしょう。あの子のリウル・ブラムに対する信頼は全面的かつ圧倒的ですし、リウル・ブラムもイヨ・シノンという人間を良く理解している」

 

 仲違い『させる』事は難しい。無理くり誤解を生じさせた所で話し合いを行われれば其処まで。二人とも思い込みの激しいタイプではないし、確認を取らず相手を疑ってしまう程せっかちでもない。素の相性も花丸レベルだ。

 むしろ仕掛けを見破られる恐れもある。その場合、イヨ・シノンなど癇癪を起して鉄砲玉となって突っ込んできても不思議ではない。城壁を殴って破壊できるお子様など怒らせたくない、それは誰だってそうだろう。

 

「仕切り直しましょうか。流石に何時までも過去ばかり見てはいられません」

「──賛成だ」

「まず前提として、イヨ・シノンの身柄を抑え、こちらで選んだ女と掛け合わせて血統ごと確保する事は現時点では無理。かといって諦めるには勿体ない。──私は次代を見据えたいですが」

「彼の子か」

「勿論あの子自身も公国から出さない。既に里心付いているでしょうし、このままこの地を第二の故郷としてもらいましょうか」

 

 【スパエラ】は一度は王国に拠点を移した前科があるが、その際に活動地としてのリ・エスティーゼ王国には失望している。もう一度好き好んでそちらに行こうとは思わないだろう。

 そして帝国に行かれるならそれはそれで良い。問題は無い。それより遠方は──今後大きな動きが無ければ可能性としては除外で良いだろう。

 

「それに、考えようによっては数が増えるので良いかもしれません……あの二人なら子供二、三人は堅いでしょう。出来れば全員我々が頂く」

 

 リリーは王者の笑みで──公女だけれども──にっこりと笑った。

 

「まずは計画を前倒しして、真っ向からあの子とお友達になりましょうか。ええそう、家族ぐるみの付き合いをするくらいの、身分も立場も超えたお友達に。これには殿下のお力もお借りしたい。私と殿下ならば殿下の方が有利ですからね」

 

 報告で見聞きしただけの者と実際に接触した者の差故、この案件に関しては大公よりリリーの方が的確な案を出す。その案を補正して実行の形に移すのが大公の役回りであった。

 

「【スパエラ】の功は大きい。他の功労者共々直接招いて褒美を与えるのは容易い、というかむしろ当たり前だ。そこで時間を作るのも──しかし、私の方が有利か? 女であり年が近いお前の方が彼も接しやすいのでは?」

「殿下の方が圧倒的有利です。何故ならば、殿下の方が年上であり偉いからです」

「──うん?」

 

 ピンと来ないといった風情の父親を前に、リリーは肩をすくめると首を横に振った。その整った顔貌はちょっとした優越感で綻んでいる。何事であれ、尊敬する父の上を行く、父の分からない事が自分には分かるというのが、彼女にとっては心地よくくすぐったいのであった。

 

「仕方ありませんねぇ。イヨ・シノンマスターである私が殿下に教えて差し上げましょう」

 

 アホみたいな肩書だなと心底思う。というかたった一回会っただけでマスターされてしまったイヨ・シノンとはどれだけ単純な人間なのかと。大公は大人なので口には出さなかったが。

 

 そんな父の心を娘は知らず、リリーは椅子を引きずって執務机に近づくと、書類の山の中から白紙の紙と筆を取った。

 慣れた手つきで白紙に描くのは、

 

「犬……?」

「あの子の事は犬だと思っておけば良いのです」

「……」

 

 私の教育が悪かったのだろうか、教師として付けた者の中に妙な性癖を持った者が紛れ込んでいたのだろうかと悩んだ大公だったが、その視線を受けたリリーは言い訳をする様に、

 

「なんですかその眼はっ。少し変な言い方にはなりましたが、要するに私はあの子の人間性の根本がよく躾けられた犬の様だと言いたいだけです」

「──」

 

 『こいつを皇帝陛下の下へ嫁にやって良いのだろうか』とさえ考え込んだ大公の硬直をどう解釈したのか、リリーは犬の絵を筆先で突きながら言葉を紡ぐ。

 

「世間一般においてはむしろ猫的な気性であるとの見方も多いようですが、私の見解は違いますね」

「すまん、何処の世間一般の話だ? まさかとは思うが私の国の事ではあるまいな……?」

 

 リリーは黙殺した。

 

 リリーは自らが描いた犬の絵に、首輪と紐を書き足す。そして隣にその紐を引いた人間を追加する。飼い主と思しきその人物は何処となくリウル・ブラムに似ていた。

 

「犬は集団で生活する生き物でしょう。それに上下の関係が決まっている。誰かに従っている方が精神的に安定する。あの子にも同じことが言えます」

 

 犬と飼い主の周りに老若男女を書き足し、ついでにその隣には如何にも悪人といった人相の悪い人物に噛み付く犬を足す。悪党が嫌いだというイヨ・シノンの姿だろう。

 

「あの子は人が好きなのです。基本的に他人に対して好意的ですが、優れた長所を持つ人間には特に好意的です。努力家である、真面目である、心優しい、勤勉、親切、強い──そうした長所ですね」

 

 更に書き加えられたのは巨大な甲冑姿と杖を持った魔法詠唱者。ガルデンバルドとベリガミニ。両者の傍らにはそれぞれ『屈強、巨大、剛力、優しい、妻子を養う父親』『博識、頑健、魔法詠唱者、お年寄り、優しい』と注釈が付けてある。

 

「年長者、先達、目上の者に対してもとても従順です。よく躾けられた犬の如し、実に扱いやすく好ましい。年少者、子供に対しては面倒見がいいですし庇護欲が強い。母性──失礼、父性から来るものもあるでしょうが、幼い弟妹を故郷に残している反動も多々あるでしょう」

 

 此処からが重要ですが、と他の絵より気合の入った筆致で描かれるのは──着飾り、今までの登場人物たちの上に位置する者たち──貴族の絵。

 

「あの子は公権力にも従順です。自分で言うのもなんですが、我々は偉いでしょう? れっきとした地位と権力、それに責任と義務がある。人より重い責務と責任を背負って生まれ育ち、それを果たす──そうした姿はあの子にとって殊更に立派で凄いと、そう映る訳です」

 

 イヨ・シノンの生まれ育った国は民主主義を掲げていて、表向き国民は平等であり貴族や王族等の生まれながらの特権階級は存在しない扱いだったそうだ。

 しかし現実には巨大複合企業なる幾つかの大商会が国を支配しているに等しい影響力を保持しており、国家政府は傀儡で、その者たちは正に特権階級。大多数の庶民とは殆ど物理的に隔絶した場所で優雅な生活を送っていて、そうでない者たちはイヨ・シノンが『正常に呼吸をするにも費用と道具が必要』と比喩する様な生活を送っているらしい。

 

 アーコロジーなる建造物内に住まう特権階級者は、その外に住まう人々の事を気に掛けない。

 

 イヨ・シノンの国が如何なる歴史の末にそうした姿を取るに至ったかはリリーには分らぬが、正直その有様を聞いた時酷く歪だと思ったのを覚えている。君臨もするし統治もするが、自分たちだけの住居に引きこもってその責任は取らず、ただ搾取している、と。

 

 世に言う『悪い貴族の過酷な統治』とは一枚違った気持ちの悪さ、質の悪さとでも言えばいいのか。

 

 そうした国で育ったイヨ・シノンからすれば姿をさらして人々の上に立ち、実際に国を統治する貴族や王族の在り方は、妙な言い方になるが正々堂々としたものに感じられるのだそうだ。

 実際に舵を切り、責務を背負う。イヨ・シノンの言葉を借りれば『同じ場所に住んで、本当に導いてくれる』という姿が。

 

 尊敬を目に宿してそう語る少年の姿は正に幼子といった風で、少しばかり綺麗な解釈をし過ぎている様にも見えた。

 そして同時に思ったものだ、『これを利用しない手は無い』と。

 

「殿下は公国で最も強大な権力と、最も重い責任を負うお方。年齢もイヨ・シノンから見れば父親くらい。殿下は殿下であるだけで、既にあの子から相当な畏敬の念を抱かれております」

 

 その畏敬の根っこは『きっと立派な人に違いない』という思い込み、『良い人であってほしい』という期待であり、実際の姿を見ないまま、市井の人々の暮らしを見て、その中に入り混じって居住するうちに出来上がった偶像ですらある。

 

 大公は悪政を敷いている訳ではないし、民を富ませているという点に関しては良き支配者であるが、決して聖人君子ではない。子供の想像に添える程綺麗なだけの男では無いのだ。

 汚い事も後ろ暗い事も、必要とあらば行ってきた。

 

 だがわざわざそんな所を見せる必要はない。

 

「あの子の働きを大いに褒め、労い、優しくしてやってください。さすればあの子の尊崇は確かなものとなりましょう。多分あの子の方は言われずとも畏まりますから、殿下は威厳を保ちつつ親しげなくらいがいいでしょう」

「ふむ。お前はどうするのだ?」

「私はあの子より年少ですから、公女として気丈に振舞いつつも年相応の弱さを垣間見せる風でいこうかと」

 

 人間的な弱さをチラ見せしつつ責任感故、民草にとって理想の公女たらんと頑張る──そういうのがイヨ・シノンにはドンピシャなのである。頑張るとか一生懸命とか、そういうのが好きな奴なのだ。頑張っている人を見ると応援せずにはいられないのだ。良い鴨である。

 

 イヨ・シノンの眼力では貴族社会で鍛えられた腹芸を見抜く事など不可能。他の【スパエラ】の面々でさえ、悪事は兎も角腹芸となると怪しい。彼ら彼女らがアダマンタイト級の冒険者であるように、大公と公女は政治という世界におけるアダマンタイト級なのだ──明確な格上としてバハルス帝国皇帝ジルクニフが存在する事を考えるに、オリハルコン級と下方修正した方が良いやもしれないが。

 

 二人はその後も様々な大小の事柄を話し合うと、

 

「当座の所はこんなものか」

 

 大公のその言葉を最後に、話題が変わる。リリーの落書き帳と化していた書類を脇にのけ、紙束の山から一枚また一枚と書類を抜き出し、順に処理していく。

報告書の内容を頭に入れ、時には差し戻して書き直しを求める。部下の前でするのとは異なる素早さと正確さだけを意識した手つきでハンコもしくはサインを行う。

 

 大公が手でそうする間も、政務の一部を請け負うリリーとの会話は続く。

 

「そろそろ法国にも情報が届いた頃でしょうか? あの国は吸血鬼の存在を知っていたとものと推測しますが、あえて野放しにしているのでしょうか。我々は其処まで疎まれている?」

「それは無いな。連中は私を蛇蝎の如く嫌っているが、殺すとしても私一人の筈だ」

 

 必要とあらば法国は無辜の民草であろうと殺す。そうするだけの意味があるなら千人でも万人でも。大公はそう理解しているが、同時に意味も無く人間を殺す様な事はしないとも思っている。

 大公が邪魔ならば大公だけを排除する事が法国には可能である。可能であるのに吸血鬼などを用いて街中で暴れさせる意味が無い。今の時期に公国が揺らぐ事を彼らは望まない筈。

 

 大公は神を信じていない為心からの共感は出来ないが、人類の守り手たらんとするかの国の信念は確かなものだ。長きに渡る歴史の中で磨かれた人類生存への想い。

 他国が見えていない、気付いていない分まで脅威を排除し、人類全体を守っている。その活動は公国の情報収集能力をもってしても全体図を窺う事は出来ない。

 

 大公的には『ありがとう』という感じである。法国が裏でやってくれているだろう分まで自国のみで対処するには予算も人材も足りない為、非常に助かっている。その感謝の念を献金で表してもいい位だ。働き相応に払うと此方の懐がアレなのであくまで『感謝の念』程度だが。

 

「単純に、対処し切れていないのだろう。想像するに、一度は相見えたが取り逃がしたといった所か……。彼らとて人だ。我々より遥かに優越していようとも限界はある。お前は少々法国を過大に、同時に過小に評価しているな。彼らは神でも無ければ悪魔でもないぞ」

 

 法国の国力、抱える戦力はその他の人間国家を薙ぎ払えるほどだと推測できるが、それを人間に向けて悦に浸るほど愚劣でも暇でも無い。その殆どの力は正しく人類の生存の為に振るわれている。ただ、幾ら強大でも広大な人間の領土と多くの人命全てをカバーする事は不可能。故に彼らは守れる最大数を守る為に少数の犠牲を切り捨てる。

 

 本音で言えば大嫌いであろう大公が治める公国でも、彼らは感情を交えず守り通しているのだ。多分クズだのゴミだの罵倒を吐きながらだろうが。

 

「遠からず、法国の活動は秘密裏に行われるだろう」

 

 大公は法国に感謝している。今日の人間の命があるのは、多くが彼らのお陰だ。今も現在進行形で守られている。まるで無力で無知な子供を大人が守る様に。

 

 ──何時までもただ守られていると思うなよ。

 

 大公は反骨の人である。自分の能力に自信を持っている。昔とは少々変わったが、根っこの所は変わらない。

 

 自分の国すら自分の力では守れない────本来国防の任を負う訳もない他国の人間に守られている──そんな事実は一国の支配者にすれば屈辱である。自分の事すら自分で出来ない子供だと言われているに等しい。

 

 いずれ追い付いてやる、と大公は内心の深く深い所で思う。その時には公国は無いだろう。自分どころか娘すらこの世に無い後世に違いない。

 

 だが追い付く。何時までもおんぶにだっこでいられるものか。娘であるリリーを通じて後代のバハルス帝国皇帝に流れる大公家の血が絶対にそれを成す。

 

 遥か先を行く、一国で人類を守り続ける大いなる強国に追い付く。追い付き、対等の目線で対等の立場に立ってやる。もう守られる事のない強さを手に入れる。彼方が此方に頼るくらい、むしろ守ってやるほどの強さを。

 

 大公は若き日に夢見た。自身が統治する大帝国を。

 大公は現在の一瞬に夢見る。人間が支配する大陸を。

 

 ──道中は困難なほど良い、敵は強大なほど良い。達成が至難であればこそ、それは叶えるに値する大望となる。男に生まれた以上、大きな夢を見なくてどうする。

 

 法国に追い付き、並び立ち、追い越す。法国の願いは人類存続。大公の夢想はこの瞬間、その一歩先──人類の覇権を見ていた。

 

 勿論大公は異種族の強大さ、現実というものを理解している。法国ですら大陸中央の六大国はおろか評議国にすら、真正面から喧嘩を売ろうなどとは露とも思っていない筈である。

 仮に実現可能だとしても何百年後か何千年後かという話であろう。

 

「だが、それだけの大望なら──この身の今生は礎で構わない」

「急にどうされました、殿下?」

「いや、少し悪巧みをな」

「好きですねえ、悪巧み」

 

 私も好きですが、と裏表のない笑みでリリーは笑った。

 その礎のそのまた一つとして、イヨ・シノンが内包する神の才覚が欲しい。フールーダ・パラダインをも遥かに超える人類の限界を超えた才能の血統。

 

 あれは絶対に公国の、帝国の、そして人類の役に立つ。

 

「もう少し予算の無駄を無くせませんかね。今回の一件もありましたし、公都は勿論公国全体の防衛をもう少し如何にか……今回のような極大級の脅威を想定して……法国におんぶにだっこも癪に障りますし、直ぐには無理でも自力で如何にかしたいものです」

「大いに賛成だが、その為にはまず目の前の案件を処理せねばな」

 

 日々の仕事も疎かには出来ない。どんな大望も地道で小さな一歩なくしては成らないのだ。対等の力が無くては対等に言葉を交わす事は出来ない。公国と帝国は、ジルクニフという絶対の権力を頂点に進んでいく。

 

「帝国魔法省にご協力いただいて、武具の魔化を前倒して進められませんかね。皇室空・地護兵団の纏う鎧は素晴らしいものでした」

「あの武具は同じ重さの黄金を超える価値があると言う。昨今の我々の懐事情は近年稀に見る暖かさだが、必要な金銭と、更には金さえ出せば幾らでも手に入れられる類ものでない点を考えると直ぐには無理だな」

 

 これは二人だけではなく、他の部下とも話し合うべき議題であった。

 お前がその眼で有望な者を拾ってきてくれれば楽なのだが、と大公は意識して軽口を叩いてみた。娘は何処か作った様な声で笑った。

 

「エルアゼレット殿から瓦礫の下で魔法儀式の痕跡を発見との報告──発生した負のエネルギーの受け皿の役割を担うモノで、一部に人間の血液が使用されている、と。随分と筆致が乱れていますね」

「興奮と過労が見て取れるようだ。いい加減睡眠を取らないと倒れると何度も言ったのだかな……」

 

 途中入室してきた官僚と秘書も交え、職務は夜が更けるまで続いた。

 




私は先日田んぼに続く農道を歩いていた所、後ろから熊に追い越しされました。あまり熊の生態には詳しく無いのですが、随分小さかったので子熊だったのかもしれません。あんなに近くで見たのは初めてでした。
勿論逃げましたよ、ええ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。