黄泉路への案内人   作:楽一

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今日はここまで


第五話

第五話

 

 

 だいぶ学校にもなじみ始めた葵。今日も何事もなく過ごした。帰ったら情報収集を行っているがやはりイレギュラーの手掛かりは士朗の一件以来何もつかめずに終わっていた。

 

 そんなある日の晩の夜。

 

「〈誰か、僕の声を、聞いて。力を貸して! 魔法の力を!〉」

 

「・・・わけがわからん」

 

 翌日

 

 学校での授業もそつなくこなし放課後。・・・え? その間の話? そんなもの物割愛。小学生の授業風景見て何が楽しいのやら。

 

「そう言えば、葵君学校に慣れた?」

 

「あぁ。問題もいたって楽だしな」

 

「うぅ~~~~なんであんたはいっつもわたしを上回る成績を叩きだすのよ!」

 

「簡単だ。問題を解き終わった後に問題の間違いを先生方に問いただしているからだ」

 

「え?」

 

「それで、葵君って何点取ってるの?」

 

「大体百点越え」

 

「無理じゃない!!」

 

 そう言っているうちにある公園の雑木林の前にたどり着いた。

 

「ここから行くと塾への近道なのよね」

 

「そ、そうなんだ」

 

「あ、葵君。て、つないでいいかな?」

 

「ん? 構わんが」

 

 そういって葵はすずかの手を握る。

 

「あー! すずかちゃんだけずるい! なのはもするの!」

 

「すずか、あんたはー!!」

 

 すると、また今朝と同じ声で助けを求めるSOSが聞こえた。

 

「(またか。一体何なんだ?)ん? なのは、どうかしたか?」

 

「え? ううん、な、なでもないよ」

 

 しばらく歩いていると、なのはが立ち止りあたりを見渡すと、

 

「あれ?」

 

「どうしたのよ、何か見たの?」

 

「う、ううん、なんでもないよ?」

 

「そう? ならいいのだけど」

 

「〈たすけて!〉」

 

(なるほど。なのはが挙動不振だったのはこれが原因か)

 

「ねぇ、何か聞こえなかった?」

 

「なにかって?」

 

「声みたいな。たすけてって」

 

「声なら聞こえたな」

 

「「「えっ!?」」」

 

「こっちだな」

 

 おおよその見当をつけ、葵は道を奥に進みだすと、そこに一匹のフェレット(?)を発見した。

 

「葵君、すずかちゃん、アリサちゃん。この近くに動物病院はあったけ!?」

 

「ちょっと待って、この近くだと」

 

「家に連絡してみる!」

 

(このかすかな魔力。リニスと同じか?)

 

 その後近くの動物病院にて治療などをしてもらった。

 

 翌日休み時間。

 

「あの子どうしようか?」

 

「わたしのいえには猫がいるし・・・」

 

「わたしの家も犬が。あんたは?」

 

「悪い。私の家にも猫(リニス)が一匹いてな」

 

「猫飼ってるの! 葵君!」

 

 すると、急に食いついてきたすずか。

 

「あ、あぁ。叔父の猫だがな。とりあえず理由はすずかと同じで無理だな。」

 

「そっか。とりあえず家に帰ったらみんなに相談してみるね」

 

 その後授業も終わり自宅に帰ると、このことをリニスに伝えることにした。

 

 食後の紅茶の時間にエクスとルミルも人型に戻りリニスを交えこのことを報告した。

 

「そうですか。魔力があるフェレット」

 

「あぁ」

 

「ところでフェレットって何ですか?」

 

――ズゴォォォー

 

「あら?」

 

「ふぇ、フェレットというのはイタチ科の動物だ。まぁ、だが私が知識と知っているフェレットとは違ったな」

 

「もしかしたら私と同じ使い魔かもしれませんね」

 

「とりあえず害はなさそうだな」

 

――ピキーン

 

「これは、魔力反応」

 

「ですがここに魔法文化はありませんでしたよね?」

 

「エクス反応地は?」

 

「はい。出ました! あのフェレットがいた病院の近くです」

 

「まずいな。エクス、ルミル。行くぞ」

 

「はーい!」

 

「了解だ」

 

 そういってエクスとルミルを人型からイヤリングに戻しすぐに場所まで飛翔(片方は白、片方の翼)で空に飛び立った。

 

「いたな」

 

「あれはなのはさんですね?」

 

 次の瞬間ピンク色の光にあたりは包まれそこから出てきたのは学校の制服をモチーフにしたなのはがいた。

 

「エェ―――! なにこれ!?」

 

「知らんのかい!?」

 

 知らずに突っ込みを入れていた葵。

 

「っとその前に、なのは! 前!?」

 

「え? ッ!?」

 

 すると、そこには魔物がなのはに体当たりをしようとしてたところだった。

 

《protection》

 

 あの杖から女性の機械音声が聞こえるとなのはの周り障壁がはられ難を逃れていた。

 

「仕方ない。ルミル。シンクロイン」

 

《今回はルミルちゃんなのか~》

 

《了解だマスター》

 

「漆黒の闇夜への誘(いざな)う者、黒騎士!」《シンクロイン!》

 

 すると、葵の髪は白銀になり上下全て黒で統一されところどころ白い刺繍が入っている装備に切り替わった。

 

「風を纏いて宙を舞え! 鶴翼の舞!」

 

 白と黒の翼の形をした剣は風を纏い葵はそのまま魔物足元を狙ってその風を放った。

 

 すると、風は竜巻状に変化し魔物を宙に上げたそのすきに葵はなのをとフェレットを抱きかかえ人が少ない場所へ避難した。

 

「あ、葵君!? あれ? でも髪の色が!?」

 

「そうだ、お前も知っている神無月葵だ。あまりしゃべるな。舌をかむぞ!」

 

 ある程度人目の少ない場所に行きつき、葵はフェレットの方を見る。

 

「あなたはあれが何かを存知でいるようだが?」

 

「はい。あれは忌まわしい力によって生み出された思念体。あれを封じるにはその杖で封印して元の姿に戻さなければならないんです!」

 

「なるほどな。ならなのは。そのフェレットから封印の仕方を教えてもらってくれ。こっちはお客様を出迎えねばらないようなのでな」

 

 すると、その場には先ほどいた魔物がもう目の前にまで来ていた。

 

 葵は再び両翼刀を構えるが、すぐに上に放り投げる。

 

「その翼に終わりはない」《終わりがないことが悲しく》

 

 すると、葵の手には再び両翼刀が現れていた。

 

「永遠に紡がれ、終えることを知らない」《永遠に負の連鎖がつながる》

 

 さらに上に投げ、さらに手に両翼が、

 

「神は憐れんだ」《そしてその翼に使命を与える》

 

 そして六枚の翼は魔物の周りを舞うようにあたりを囲んだ。

 

「咎人を裁く役目を」《裁きの時は来た》

 

 その詩が謳い終わることには白黒合わせて6本の翼が舞を舞っていた。

 

「翼による(ウィング・オブ)」

 

 すると、剣の羽の部分が一枚ずつ離れ白き羽と黒き羽が咎人めがけ一気に向かった。

 

――ザシュ ザシュシュ

 

 肉に刺さる音が聞こえる。魔物の姿は白黒の羽に刺されて見るも無残な形になっていた。

 

「裁き(ジャッジメント)!」

 

 そう葵が叫ぶと羽根がいきになり爆発する。

 

「ん~。手ごたえなし。本当に倒したのか?」

 

 すると、魔物がそこにはいたが、明らかにさっきの一撃が効いたのか弱っているのが目に見えた。

 

「相手はだいぶ弱っているようだな。これは好機。なのは!」

 

「うん! リリカル、マジカル・・封印すべきは忌まわしき器!ジュエルシード封印!」

 

《sealing mode set up》

 

 レイジング―ハートの先端部分が変わり、桜色の光のリボンを出し魔物を捕える。

 

《スタンバイ レディ》

 

「ジュエルシード、シリアル21封印!!」

 

《sealing》

 

 さらに追い打ちをかけるようにレイジングハートからもリボンが出て魔物を貫いて行き、まばゆい光が出る。

 

「ま、まぶし」

 

 光が収まるとそこにはひし形をし【XXⅠ】と書かれた宝石が出てきた。

 

「これがジュエルシードです。レイジングハートで触れてみてください」

 

 フェレットの言うとおりになのははレイジングハーとの先端の赤い部分で触れると吸い込まれるように宝石は消えた。

 

それを合図になのはの服装も私服に変わった。

 

「お、おわったの?」

 

「はい。あなた方の・・・きょうりょく・・・」

 

 そういってフェレットは倒れた。

 

「あ、あれ!? 大丈夫なの!?」

 

 すると、葵がすぐにより、

 

「息はある。気絶しただけだ。それより」

 

 周りからはサイレンの鳴る音が聞こえた。

 

「ここから逃げよう。何を聞かれるかわかったもんじゃない」

 

「う、うん」

 

「というわけで」

 

 葵はなのはを抱きかかえ(いわゆるお姫様だっこ)をして飛翔をする。

 

「へ、ふえぇええ!」

 

「安全な場所までだ。少し我慢してくれ」

 

「う、うん・・・///」

 

 


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