黄泉路への案内人   作:楽一

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第一九話

 

第一九話

 

 

SIDEなのは

 

 

 それは幻想的でした。三日月を後ろにたつ一人の少女。神主さんが来ている服と淡い水色がかった白い髪に九本の尻尾。それがお月さまの光を浴びて本当にこの世のものとは思えませんでした。

 

な「どうしてこんなことをするの!?」

 

少女「君たちに話す必要性がありません」

 

フェ「なにをやっているのか分かっているんですか!? 明らかに公務執行妨害ですよ!?」

 

 すると彼女はクスクスとおかしそうに笑う。

 

少女「公務執行妨害ですか。ではあなた方は警察の方ですか? この日本国の組織の一員なんですか? それならあなた方はどう見ても労働基準法違反ですね」

 

な「うっ」

 

 葵君も言ってたな。管理局は日本の組織じゃない。だからその活動を妨害しても公務執行妨害にはならないって。

 

ユ「・・・・それ以前に、君みたいにあやしいものが何を言うか!?」

 

 ユーノ君がそう言い放つが。

 

少女「あやしい。それはどいう視点からですか? 私から見ればあなた方も十分怪しいと思いますよ? それに私たちは私たちの活動をしているまで。それを邪魔するのであればあなた方を殺します」

 

な「あの!」

 

少女「はい。なんでしょう」

 

な「ありがとうございます」

 

少女「・・・・は?」

 

 あの子が何言ってるの? みたいな顔をした。周りを見るとみんなもそうだ。

 

フェ「な、なのは!? あの一応敵なんだよ!?」

 

な「でも、キズ治してくれたんだよ!?」

 

少女「怪我をした女の子を放っておけるほど私も腐ってはいませんよ」 

 

すると、ユーノ君が一歩前に出て、

 

ユ「君たちの目的はなんだ! なぜ闇の書を完成させようとしている!!」

 

少女「・・・・大切な物をなくしたくないから。でしょうか」

 

な「え?」

 

少女「質問はそれだけですか? なら私も「待ってください」なにか?」

 

な「・・・・名前を」

 

少女「ん?」

 

な「名前を教えてください!?」

 

孤「孤狐。孤独な狐と書いて孤狐。ではまた会いましょう。小さな姫騎士達」

 

 そういって孤狐さんは消えた。

 

な「え、エイミィさん!? 彼女は!?」

 

エイ『だめ、完全にロスト・・・て、あれ? え? どうなってるの!?』

 

リ『どうしたのエイミィ!?』

 

エ『さっきの子供の反応が日本だけで北から南までで一四個の反応! しかも全部バラバラ!? 地球規模だけで五〇は超えます!! しかも同時展開!?』

 

 孤狐さん。いったい何者なんだろう。あれ? でもこんな感じの人どこかで知っているような・・・・

 

 

SIDEOut

 

 

―八神家 リビング

 

葵「さて、転移も終了。はやての魔力も感じますしどうやら間にあったかな?」

 

孤「ふわぁ~。ボクは眠いから先に寝るね」

 

葵「あぁ、今日もありがとう」

 

 そういって孤狐は寝室に向かった。

 

 あの後一応念には念であちこちに転移し、ついでに反応を同時に展開させたりと管理局の追跡を振り払った。気が付いたら深夜を回っていた。

 

葵「はやてには悪いことしたな。(でもここですずかにばれるといろいろまずいし)」

 

―ぱっ

 

葵「え?」

 

 いきなり電気がつきその場にいたのは、

 

葵「・・・シグナムにヴィータ? なぜまだ起きているんですか?」

 

シ・ヴィ「「・・・・・・・」」

 

 なぜ沈黙? すると、急に宙に浮く感じがするとシグナムが胸ぐらをつかんでいた。

 

シ「貴様! どれだけ私たちが心配したと思っているんだ!?」

 

ヴィ「お前の帰りが遅いから心配だったんだぞ!」

 

 ・・・・悪いことしたな。

 

葵「すまん」

 

シ「・・・誠意がこもっていないな」

 

ヴィ「おい、シグナム? 何しようとしてんだ?」

 

葵「ではどうすればいいんだ?」

 

 ヴィータが一瞬何かに気付きシグナムに問うと、シグナムが、

 

シ「簡単だ。こうすればいい」

 

 すると、シグナムの唇と私の唇が・・・て、えぇえええええ!? というか・・・

 

シ「んっ・・・んくっ」

 

葵「んんっ・・・!?」

 

 舌まで入れてきましたよ!? 大人のキスというやつ!? そして、

 

―シュゥウウン

 

シ「痛っ・・・これは?」

 

ヴィ「・・・・りぃ」

 

シ「どうしたヴィータ?」

 

ヴィ「シグナムだけずりぃ! あたしもする!」

 

 止めてくれ、色々と私が危な「んっ!」・・・・

 

ヴィ「んっ・・んんっ・・・」

 

葵「んくっ・・・・ん」

 

―シュゥウウン

 

ヴィ「痛ぇ! な、なんだこれ!?」

 

 二人とも左手に私と同じ模様が浮かび上がったらしい。

 

葵「はははっ。二人を、汚してしまった・・・あぁ、人としてどうなんだ、あぁ、私は取り返しのつかないことを・・・・」

 

シ「か、神無月?」

 

 すると、今まで部屋の隅っこで膝を抱えていたのに、行き成りバッと顔をあげて、

 

葵「シグナム、切腹の介錯を頼む」

 

シ「なぜ!?」

 

葵「二人を汚したのだ。その報いは受ける」

 

ヴィ「いやいやいや。あたしらが自分からすすでやったんだ! 葵はその、悪くねぇから死ななくていいんだよ!」

 

 そうなのか。でもどう責任を取れば・・・というか二人ともどこであんなキスの仕方を覚えたんだ?

 

シ・ヴィ「「孤狐から」」

 

 心読まれた。というかあいつが!?

 

葵「はぁ、まぁ今さらどうこう言うつもりもない。あと、その左手の模様ついてはシグナム知っているな?」

 

シ「・・・つまりこれで///」

 

ヴィ「な、なんだよ、これがなんになるんだ?」

 

 ヴィータに簡単にパス契約のことを説明した。

 

ヴィ「つまり今までお前の姿やしっぽが出たり耳が変化したのは孤狐とパス契約を結んで執行したからか」

 

葵「そういうことだ。後、孤狐と同じことがお前たちにもできるようになった」

 

ヴィ「そ、そうか・・・///」

 

 なんか二人とも顔が赤くなり自分の世界に飛び立ってしまった。あれ? なぜに?

 

 とりあえず彼女たちにどんな能力が加わったの確認するために白書を出すと、

 

葵「・・・・!?」

 

 私はあるところで目を疑った。

 

葵「ヴィータ、明日暇か?」

 

ヴィ「ん? あぁ、暇だけど」

 

葵「明日パス執行の実験を行う」 

 

 そう言うと、シグナムが、

 

シ「私はしなくていいのか?」

 

葵「いや。そのうち行うが、それよりヴィータのところが・・・これはみてもらった方がいいな」

 

 そういって白書の説明をしたあと、白書をシグナムとヴィータに渡すと、

 

シ「ほぉ、神無月。お前は孤狐と私たち以外にキスをしたのか?」

 

―ジャキン

 

ヴィ「てめぇ、いい度胸だな?」

 

―ガコン ガシュゥウウウ

 

 ・・・・何気に命の危機だ!

 

葵「・・・・落ちつけ。シグナムよ、レヴァンティンを構えるな。ヴィータ、何気にカードリッジをロードするな。よく白書を見ろ。特にヴィータ。お前のところを見ろ」

 

ヴィ「ん?」

 

シ「そう言えばヴィータ。お前のページがないな」

 

ヴィ「いわれて・・・・ちょっと待てシグナム! これ・・・・」

 

シ「どうし・・・・はぁ!?」

 

葵「それの確認を踏まえて明日実験を行うんだ」

 

 そういって時計を見ると結構時間がたったようだ。

 

葵「とりあえず今日はもう遅い。はやてを起こすわけにもいかないだろ。寝るとしよう」

 

シ「あぁ。そうだな」

 

ヴィ「おやすみ、葵」

 

葵「あぁ、お休み。良い夢を(ニコ)」

 

 そういって笑いかけて自分の寝室に向かい寝た。

 

 

SIDEシグナム

 

 

シ「ふぅ。これが、神無月とのつながり///」

 

 自分の寝室に戻り、左手の甲にできた翼の模様を見る。

 

 これが、あいつとのつながり。そして一つになれる資格///

 

シ「な、何を考えているんだ!」

 

 顔が赤いのがわかる。なにせ、火でもつけたのかというぐらい熱いのだ。

 

シ「そうだ、こういうときは寝る! そうだ寝るに限る!」

 

 そういってベッドに入り眠りにつこうとした。だが、頭にはあいつの顔が浮かんでくる。なぜこうも悩まなければならないんだ。

 

シ「そう言えば、以前。主はやてが神無月が好きだといってたな」

 

―ズキンッ

 

 すると、急に胸が締め付けられるように痛む。なぜだ? なぜ痛むのだ。主の幸せを祝うのが騎士ではないのか。

 

―ズキンッ

 

 だが、さらに痛む。それと同時に胸がもやもやする。なんなんだこの感情は・・・

 

シ「好き・・・か」

 

―ドキンッ

 

シ「///!?」

 

 好き。そう言った瞬間、胸が急に暖かくなった。なんか、むずがゆくだが嫌ではない。

 

―好き

 

シ「そうか、私は、神無月が、好きなのか」

 

 そう思うとさっきまでの痛みは消え、もやもやしていたものもどこへ行ったのか。

 

シ「主はやてに悪いな。明日にでも伝えるか」

 

 そう言って眠りについた。

 

 

SIDE Out

 

SIDEヴィータ

 

 

ヴィ「あいつとキスしちまったんだよな」

 

 そういってあたしは自分の唇を抑える。

 

ヴィ「・・・嫌じゃない。むしろ嬉しかった///。あいつと一つになれた感じがした///」

 

 そう。あいつとキスした瞬間胸が熱くなった。それとうれしかった。

 

 以前からそうだった。あたしらが突然現れたときは敵だと思った。でもあいつが料理を作ったり、デザートを作ってくれたりした。それにいくらはやてのためとはいえ、こんなことに足を自ら突っ込んだ。それにあいつはあたしたちを守るって言ってくれた。

 

 実際あたしは助けられた。心配もしてくれた。それだけじゃない。毎回自分は最後まで戦い、そして帰ってくる。でも、あんなのもう見たくない。あたしだってあいつを支えたい! 過去云々じゃない。

 

 でも、なんでこんな感情になるんだ?

 

 以前にはやてがあいつのこと好きって言ってた。

 

 あたしもあいつの好きなのか? ううん。そうじゃない。あたしもはやてと一緒だ。

 

 あたしもあいつが好きなんだ!

 

ヴィ「でも、はやてに悪いな・・・」

 

 そう。はやてもあいつが好きなんだ。

 

ヴィ「はやてに謝ろ。でもそれでもあいつが好きなんだ!」

 

 

SIDE Out

 

 


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