黄泉路への案内人   作:楽一

34 / 264
第一話

 

第一話

 

葵「んっ・・・ん? こ、ここは?」

 

 起きれば見知らぬ天井。本当にあるんだ、こんなことって・・・。

 

 エクスとルミルも待機状態(イヤリング)になってる。孤狐は? そうだ孤狐は!?

 

孤「〈はろ~。起きた?〉」

 

葵「孤狐」

 

 みれば私のお腹の上で丸くなっている子狐が一匹。間違いなく孤狐だ。

 

葵「〈子狐になったんですか。で、ここは?〉」

 

孤「〈さぁ?〉」

 

???「おっ、起きたんやな」

 そういって入って来たのはなのはやフェイトぐらいの年齢の子だろうか? ショートヘアーの子がいた。

 

葵「あぁ、すまない助かった」

 こっちの言葉にも慣れたな。一人称も変えるか? オレとか・・・・。止めよう。私じゃない。

 

???「それよりもその狐、どこから入ったんや?」

 

葵「あぁ。その窓から入って来たようだ。安心してくれ、私が飼っている狐だ」

 

孤「〈飼ってる・・・奴れ「〈それ以上はやめろ。色々とまずい〉」は~い・・・〉」

 

???「いやぁ、でも驚いたで。目の前の人間が雲ひとつない快晴の日に雷当たるなんて。それに、目の前には真っ黒な家が」

 

葵「・・・・そうだな。私も一生に一度あるか無い経験をできて新鮮だったよ。ところで君は? 私は神無月葵。この狐は孤独な狐と書いて孤狐だ」

 

???「へぇ~。珍しいなぁ。かんなぢゅき・・・・」

 あ、噛んだ。

 

葵「葵でいい。言いにくいだろ」

 

は「そか? じゃあ葵君に孤狐ちゃんやな。私は八神はやてっていうんや。ひらがなではやて。おかしいやろ?」

 

 何を言っているんだこの子は?

 

葵「なにがおかしいんだ? 別にどう思うと勝手だが、私は少なからず立派な名だと思うぞ」

 

は「そ、そか?」

 

葵「あぁ。君に似会っていると思うぞ(ニコ)」

 

は「!?/// あ、ありがとな・・・(い、今の笑顔は反則や///)」

 

葵「ちなみに私は男だ」

 

は「・・・・・・・・」

 

葵「あぁ、孤狐耳をふさげ」

 

孤「〈OK〉」

 孤狐が耳をふさぐと、

 

は「えぇえええええええええええええええええええええ!!!!!」

 

 その後、「ほんまか! ホンマに男の子なんか!?」と、久々の経験をした。

 

 数分後、落ち着きを取り戻したはやてが、

 

は「なぁ、葵君。家どうするん? あんな状況だと・・・」

 

葵「貯金通帳はある。というか貴重品は大体あるが、まぁ住む場所だよな。うーん、よし」

 

は「・・・なんか当てがあるん?」

 

 どこか悲しそうな顔をするがなぜだ?

 

葵「テントを買って、そこでのじゅk「あかん!」する。て、せめて最後まで言わせてくれ」

 

は「あかんで! そんなん許されるわけないやろ!」

 

葵「でもどうするんだ?」

 

は「せや、家に泊まるといい!」

 

葵「親御さんに迷惑じゃないか?」

 

は「私、両親おらへんのや」

 

葵「・・・・(悪いことを聞いたな)そうか。ふむ。なら、お言葉に甘えよう。これから私と君は一つの家族だ」

は「え・・・・」

 

 いきなりで失礼だったか? すこしでも気持ちをまぎらわせれれば幸いだと思ったんだが。

 

は「いいの!?」

 

葵「あぁ無論だ」

 

は「やったぁあああ―――――!!!」

 

 はやてが万歳の格好で大喜びしていた。

 

とりあえず、自己紹介をはじめいろいろなことを放した。無論魔法や前世のことなどは内緒にしておいた。

 

 家族・・・ね、手にして何だが、私が手にとっていいものだろうか。

 

 そう考えていると、

 

孤「〈別に葵が手にしてはいけない物じゃないと思うよ? 葵、君が考えるほど君は悪ではない。悪というのはあの零始みたいなやつのことを言うんだよ〉」

 

葵「〈そうか。まぁ、それにこの顔を見ると今更無しって言うのはいけないな〉」

 

 一度自ら捨てた家族か。

 

 

 翌日。場所は変わりデパート。

 

 まぁ、服などが全部焼失・・・でいいのか? したわけで新しい服を適当に買った。

 

 その時、バカジジィ(神のこと)が渡した黒光りするカードで支払いをすましたが、これには店員が驚いていた。あの後身分証明などを行い本物とわかると店員全員で頭を下げられた。

 

は「葵君って何者なん・・・・」

葵「さぁ?」

 

は「自分のことやで!?」

 

葵「まぁ、気にするな」

 

は「気になるわ!!」

 

 そして今は近くの公園で休憩中。

 

 

SIDEはやて

 

 

葵「これでいいか?」

 

は「うん。ありがとな」

 

 葵君は二つの缶、ココアの方を私に、ブラックコーヒーを葵君が。って、けっこう大人やな葵君。あんな苦いもん私は飲めへんで。

 

は「なぁ、葵君」

 

 私は、葵君に聞いた。ほんとは聞きたくなかったんやけどヤッパどうしても聞いときたかった。

 

葵「ん? なんだ」

 

は「葵君はなんで私の足のこと聞かんの?」

 

 そう。足のこと。生まれつき、なんやけど普通の人とは違う。原因不明の病。石田先生、あ、私の主治医な。石田先生も全力で治すっていっとるけど治るかどうかはいまだに分からへん。

葵「足? あぁ、車いすのことか。別に足が悪いから車いすに乗っている。それだけだろ?」

 

 予想していたのとは違う。でも、なんやろ? この変な気持。

 

は「でも! 怪我って言っても骨折しとるわけやない」

 

葵「下半身不随の人間なんて探せばいくらでもいる」

 

は「学校行って無いし」

 

葵「足が悪いなら仕方がない。義務教育といってもあくまでも義務だ」

 

は「・・・・・」

 

葵「言いたいことはそれだけか?」

 

 まるで何を聞いているんだ? という顔をしてこちらを見る葵君。私はそのあっさり切り返してくる葵君にびっくりや。普通は不憫に思ったり、頑張ろうなみたいな情けをかけたりする人が多い。

 

は「な、なんでそんなこといえるん?」

 

葵「君はどう見てほしいんだ? そこら辺を歩いている、いわゆる一般人として見ほしいのか? それとも【八神 はやて】という一人個人として見ほしいのか?」

 

は「え? どういう意味や?」

 

葵「簡単にいえば君を普通として見てほしいのか、それとも個性を見てほしいのかということだ」

 

 普通か個性。そりゃ、もちろん葵君には私をと私としてしっかり見てほしい。だって、一目ぼれした相手やしな///!!!

 

は「そりゃ、できれば個性を見てほしい///」

 

葵「なら、君は君でいればいいだろう。べつに足がなんだ、学校がに行っていないがなんだ。それは関係ないだろう。君が普通として見てほしいならそれなりに言ったかもしれない。でも君は君個人を見てほしいといった。なら、私は何も言うまい」

 

 そっか、私の個性は私だけのもの。なら、別に他の人たちと比べる必要もない。新しい考え方やな葵君のは。

 

は「そっか。ありがとな」

 

葵「それにな。はやて。君は生きとし生けるものだ」

 

はやて「どういうこと?」

 

葵「君は生きている。命があるんだ。生きているならば君には幸せになる権利も未来を見る権利もあるんだ。そんなに卑屈になるな。いずれ君にも幸せがくる」

 

 そうなんかな。でもな葵君。一つだけ言えることがあるで。私はもう幸せや。葵君という存在がそばにいるだけで。

 

葵「さて、日も落ちてきたし帰るとしよう」

 

は「は~い」

 

 葵君は優しいな。優しいだけやない。強い。強い言っても力じゃない、心がや。こんな人は初めてやな~。よし決めた! ぜったい葵君を私のモノにする!!!

 

 

SIDE Out

 

 

ブルッ

 

エ《どうしましたマスター?》

 

葵「〈エクスか。いや、今変な悪寒が走ってな・・・・〉」

 

ル《風邪かもしれないな。マスター今日は早く寝た方がいいぞ》

 

葵「〈あぁ、ありがとなルミル。そうする〉」

 

 何だろう。風邪とは違う。寝ても治らないよう気がする。それに一瞬だが、白い魔王と、金色の死神二人とタヌキが争う姿が脳裏によぎったような・・・・。うん、気のせいだ。そう気のせい。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。