第五六話
TV『それでは次のニュースです。昨日日本領の尖閣諸島に中国海軍がISを率い領海内を周回しました。そこで中国政府が独自に開発した第三世代型のISを含まれているとのことで日本政府は遺憾の意を表しています。では次のニュースです。先日―――』
一「朝から物騒だよね」
朝食時に流れるテレビから流れる出来事に耳を傾けながら学年主任のほうから今日の実習内容を頭に叩き込んでいく。
鈴「まぁしょせんあたしの甲龍のデータから持ちとったやつの運用試験と日本の出方の観察ってとこでしょ」
今現在の日本政府の対応は私が大日本国の対応と比べれば明らかに遅い。この場合対日本国はすぐに海軍に出動要請をだし領域侵犯で攻撃を開始する。それで出ていけばそれでいいがそれでもなお領域侵犯を行うようであれば開戦だ。まぁ今の状況でそれはできないがそれをのぞいても対応が遅すぎる。
千「そらお前ら。おしゃべりの時間ももう無くなるぞ。さっさと食い終えたやつから着替えて砂浜に集合だ」
その後、砂浜に集合するとそこには意外な人間がいた。
葵「道真?」
そこにいたのは紛れもなく道真だった。そしてその隣には千冬、束といったIS界においては重鎮たちがいた。
千「さて、実技に入る前にだが、ここにいる天災どもは知っているな?」
響きが違っていたようだが・・・・まぁ誤字ではないわな。
道「天才こと第二号! 秋山道真さね!!」
いかにもジャキーンという効果音が合いそうなポーズをとり、それに続くように、
束「同じく天才こと第三号! 篠ノ之束だよ!」
こちらも同じポーズをとる。あれ?
本「しつもーん。第一号はだれですかぁ~?」
と、皆の問いを代弁するのほほんさん。
道・束「「アインシュタイン」」
後ろではまるでアインシュタインも同じポーズをとる偶像が浮かび上がったような気がする。
スパパパパアパーーーーーン!
軽快かつ重い数発が彼女らの頭を攻撃する。
千「歴史上の偉人をお前らと一緒にするな。学力では同レベルかもしれんがマナーはアインシュタインのほうが上だ」
葵・一・箒(((確かに)))
声にこそ出なかったがここにきて三人の思いは一つになったと思った。
千「さて、お前らはさっさと準備に取り掛かれ。あと篠ノ之、お前はこっちだ。あと専用機持ちも」
それと同時に束が何かボタンを押した。
耳奥に響くような音と同時に目の前に何かが落下した。しかも激しい砂煙をあげて。
そして目の前に現れたのは、
葵「茄子?」
箒「・・・・・なぜに?」
束「いやぁ~ね? 人参ばっかりだと味気ないかなって」
数分前のJAXAでは、
職員1「しゅ、主任大変です!!?」
主任「どうした!」
職員1「きょ、巨大な茄子が我が国に接近しています!!」
主任「・・・・・・」
他の職員「・・・・・・・」
職員1「ほ、本当ですって!!?」
主任「お前疲れてるだって」
職員2「今日は早退していいから、な?」
職員3「ほかの仕事は俺らに任せろって。だからかえって休めよ」
職員1「ほんとだって!! お前可愛そうな目で見るなよ!!?」
話がずれたな。
葵「で、その中はいったい・・・あぁいい、大体予想はできた」
束「さすがあっくん! たぶん考えは当たっているよ!」
ぷしゅーという音共に茄子は四分割に分かれた。そこから現れたのは、
束「これが箒ちゃん専用IS『紅椿』だよ」
その名のふさわしい紅の色をしたIS。言いえて妙というかなんというか。武装は日本の刀のみ。完全な接近戦型か?
紅『お初にお目にかかります父上』
葵「〈紅椿か〉」
紅『はい。ISの中では末妹になるますが、何卒よろしくお願いいたします』
古風で礼儀正しい。それが紅椿の第一印象だ。
束「じゃあさっそくフィッティング始めようか」
空中ディスプレイを何枚も出し、そして瞬時にデータを分析し打ち込んでいく。
束「ふふ~ん♪ 箒ちゃん。また剣道の腕上がったね。しかもこの成長率はほかにもなるみたいだねぇ~。たぶんあっくんのおかげかな」
その言葉に先程まで文句を言っていた生徒も一気に黙った。おそらく特訓を行ったことが功を奏したと感じたのだろう。ほとんどの者が最初のほうで脱落したのに対し専用機がないもので残ったのは箒、本音、谷本、夜竹の四名だけだった。
葵「まぁ頑張った箒の成果でもある」
事実続けるか否かを決めるのは本人だ。私ではない。
束「さて、その間にいっちゃんもちょっと点検ね!」
一「え? あ、はい」
同時並行処理はさすがというかなんというか。その間にちょっと物騒な話があったが無視しよう。
束「さて、終わったみたいだね。じゃあ箒ちゃん実際使ってみよう♪」
箒「行くぞ、紅椿」
箒がそう一言いうと、数秒ではるか先まで飛んでいった。
ラ「は、速い・・・・・」
葵「ただ速いだけじゃない。初速を瞬発的に早くし、さらにその速度を維持、上昇させていったか」
束「さすがあっくん! それじゃあ次の自信作も見てね♪」
そういうと、彼女の隣には十六連装ミサイルポットが出現し容赦なく箒に向かって飛んでいった。
束「武器はね、左手に持っているのが対集団戦用空裂、右手が単一使用雨月。今データ送ったから見てみてね」
その特性を理解した箒は放たれたミサイルを次々と落としていった。
一通り終えると無事にこちらに戻ってきた箒は感想を述べるとこちらをじっと見ていた。
葵「努力の賜物とだけ言っておこう」
箒「あ/// はい!」
葵「だが、力を持つ以上「おごれるな、おぼれるな、うぬぼれるな」そうだ。それを理解しているなら何も言うまい」
道「さて、続いてはこっちを行うさねよ。お願いするさね」
道真はインカムでどこかにお願いすると、これまた何やら降ってきた。ただ何が違うかというと真っ赤に燃えながらというのが加わる。
葵「おい、どこから落とした。あの速度間違いなく最低でも成層圏からだぞ?」
道「米軍に頼んでSR-71改に積載して、最高高度から爆撃同様に落下させたさね」
・・・・・は?
葵「まて、SR-71はかなり前に退役した偵察機だろ? さらにそこから落下って高度24000メートルから落としたというのか!!?」
SR-71。かつて米軍が保有していた超音速・高高度戦略偵察機である。愛称がブラックバードといえば知ってる者もいるはずだ。
道「あれを一機もらって改造したさね。結構いいようになったさねよ。で、あれから落としてもらったのさこれさね」
そして海から現れたのはライフル銃が軽く十は入りそう小型輸送機。立方体の大きさでライトとカメラ以外は武装すらもない。
道「これはキューブ。戦場小型輸送機。銃、衣料品、食料などありとあらゆるものをありとあらゆる環境で兵士に配送するために開発したさね」
その言葉に生徒たちはポカーンとすると同時に軍に属していたラウラが、
ラ「あの質問なのですがよろしいでしょうか?」
道「どうぞ。質問大いに結構!」
ラ「戦争といいますが、絶対に起こらないとは言いません。ですが、ISがある以上必要なのでしょうか?」
道「ISには勝てるのはISのみ。ならたとえばの話をしよう。ドイツがIS保有国の侵略を受けたとしよう。もし相手がドイツが保有しているISと同数もしくはそれ以上の数を回してきたときドイツはどうする?」
ラ「迎撃をするためにある数をすべて出します」
道「それと離れた場所に、真逆の場所に戦車や歩兵などが来たら?」
ラ「あ・・・・」
道「そういうことさね。つまりすべてのISを出してしまえば、残った場所に侵略された場合は残りの戦力でどうにかするしかないというわけさね」
結果はISに頼り切った場合いざとなったときの手段がなくなる。現在ISに力を入れる国は世界中にある。一方既存兵器の開発に力を入れる国は米露仏の三ヵ国ぐらいだろ。実際に、
シャル「あれ? このロゴってうちの?」
道「イエスさね。技術開発は米露仏の三か国共同開発。実際従来の兵士は無論ISの兵器運用にも使える一石二鳥さね」
説明終えると、道真はキューブのふたを開ける。そこにあったのは、
道「今回葵に使ってもらうのは対装甲散弾砲と長高インパルス長射程ライフル。あとこれは連結することによって高エネルギー収束火線ライフルにもなるさねよ」
重厚な二つの銃。ビーム砲と散弾砲。明らかに威力は桁外れだろう。さらにこの連結というのはおそらく、
道「そう。連結砲はフリーダムから参考にさせてもらったさね。聞いての通りこれは白騎士用。次に黒騎士用さねが、主に中距離武器として月鎖刀(げっさとう)を用意したさね」
月鎖刀。大きさは鈴の専用機甲龍の青竜刀以上はあった。特徴的だったのは鎖につながれており、その先には腕輪がはめられていた。おそらく投擲武器としても使えるのだろうが、
葵「(鎖の反動も考えて使わないと自分自身が持っていかれるな)ちょっとしたじゃじゃ馬だな」
それを聞こえたのが、
道「じゃあ試験運用を行うさね。目標はガジェット三十!」
すると、沖のほうにガジェットが道真が言った通りの数・・・・・おい。
葵「三十って三十機のことか?」
道「んなあほな。それぞれ三十! つまり合計九十さね! さらに倒されたら倍! と、増加させていくさねよ」
まぁいっか。とりあえず最初に。
葵「白騎士展開。高エネルギー砲展開」
まずは連結した場合の威力を確かめさせていただこうか。
葵(まず集中している右翼をたたく。チャージスピードは?)
エ「〈ほぼ完了。これジャベリンより早いです!!〉」
確かに。ジャベリンならあと四秒はかかった。だが、この短時間でこのチャージなら。
葵「ファイア!」
見えないようにコントロールしているが砲口の先には大中小という順番で魔方陣が展開されその中心に沿って緑の砲撃が放たれる。
雷に打たれたような音と共に沖のほうにいくつもの爆発が起こる。
道「約40撃破」
40か、威力はまぁまぁだな。あとはこっちに接近する前に打ちまくる!
散弾で敬遠しつつ、ライフルで丁寧に落としていく。
道「次行ってみるさねよ」
そういって新たに出てきたのは人型兵器。無人機ISというよりかは人型ガジェット。
道「改良して自立できるようにしたさね」
変なもの開発するな!!?
月鎖刀は想像してたより重いが、一撃で致命傷になりうるものだ。さららに、
―――ザッ
一歩引いたが人型に対して遠心力を利用して横向きに投げ、さらによけた場所に縦向きに、さらに鎖を使って方向性を変えていく。バリエーション豊かな武器だ。
SIDE千冬
道「想定通りさね」
兄さんの武の現状を見て驚かいのはただ一人道真のみだった。ほかの者たちは口を開けて呆けるようにその光景を見ている者、きらきらとあこがれのアイドルを見るかのように観戦するもの、そして、目標を見据えどうやってその頂に上るか考えて視線を送るもの。
楯「やっぱりすごい」
ナ「バリエーション豊かというより状況に合わせるのがうまいというのかしら」
遠距離、近距離それをうまく切り替える。
千「それも新たに手に入れた武器のみという縛りの中でだ」
道「そろそろ変えるさねよ」
道真がコンソールをたたきながらそういうと、
一「あ、あれって両翼刀」
その後既存の武器、新規武器を入れ替えバリエーションのさらなる増加と完成度を確かめていった。少なからず数百あったガジェット群はたった一人によって壊滅されたのだ。
葵『実験終了だ。どうだ道真?』
道「完璧さね。さすがというべきかと当然というか」
その光景を指して驚いてない道真。さもこの光景は最初から決まっていたというような顔だった。
真「織斑先生! 大変です! あ、あと、その神無月君もいいですか!」
その言葉を聞いた私と兄さんは山田先生のもとへ行った。
真「大変です、先程日本国政府から連絡がありまして尖閣諸島周辺に展開していた中国海軍のISが制御不能になり領海侵犯を起こしました」
千「!? それで、政府はなんと」
真「進路上はこちらにまっすぐ向かってきています。情報開示はできないと中国側は申していますが、どうしましょう。これでは対処不可能ですよ!?」
どうするか、だが、ここで一回の教師である私が行っても、
葵「そこで私か?」
千「そうか。なるほど」
真「誠に申し訳ないんですが何か手はありますか?」
葵「脅しをかける。これが一番かな。ちょっと待ってろ」
その後、兄さんがどこかに連絡をし、数分もたたないうちに、山田君のピッチがなり始めた。
真「山田です。え? あ、はい、嘘!? わ、わかりました!」
千「なんだったんだ?」
真「中国側が情報開示に応じました。か、神無月君何をしました?」
葵「なに、ちょっと超大国に中国にO☆NE☆GA☆Iをしてもらったまでです。あとこちらからもちょっとした援軍を出すようにしましたんで」
彼の言う援軍? だが、ケルベロスはそれほど大規模組織ではなかったはずだが?
道「あ~お~い! 咲夜とマドカがあと122秒でくるっていってるさねよ!」
ほう。女性か。これはきっちりと兄さんとO☆HA☆NA☆SIをしないとな。
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