黄泉路への案内人   作:楽一

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第四二話

 

第四二話

 

 

 あれから一週間がたった。

 

 この一週間の間に世界的に、そして個人的に変化が起こった。

 

 まず世界的な方から言うとデュノア社が正式にEUの統合防衛計画から離脱を表明した。これは世界的に衝撃を与えた。だがその理由を述べたルード殿の反応にさらに世界に衝撃を与えた。

 

記者『なぜ急に離脱を? 経営危機を脱する案があると?』

 

ルード『えぇ。今朝正式に我々デュノア社がケルベロスと契約を交えケルベロス専用機の製造権を得ました。これには秋山氏も賛同しました』

 

 

――ザワザワザワ!!

 

 

 テレビで映し出された記者団が騒ぎ出した。それはそうだろう。これでこのデュノア社が倒産することは無い。それ以上にこの世界最高の頭脳の片方をバックにつけたのだ。そしてその守護する蒼騎士も、ケルベロス自体をも。

 

 それが何を意味するか。それはイグニッション・プランの選定確定よりも大きい利益を得ることが出来るということだ。

 

 このニュースが報道された翌日の生地のトップはこれで持ちきりだった。

 

 で、個人的な変化はと言うと一夏とラウラがん仲直りをした。

 

ラ「最初はすまなかった。殴ろうとして」

 

一「ううん。あなたの気持ち分からなくはないから。でもだから今一生懸命頑張ってるの。それだけ理解してくれてればいい」

 

ラ「分かった。あと嫁はもらう」

 

一「それはできないな。それならぶたれた方がましだもん。と言うかあげないよ」

 

ラ「大丈夫だ妹よ。もうこれは確定事項だ」

 

一「そんな確定事項ぶっ壊すもん」

 

 固く握られた互いの手に青い筋が見えるんだが・・・・どんだけ力いれてるの。

 

 まぁ仲なおりできことはいいこと・・・何だよね?

 

 それからというとラウラも練習に加わり競い合うように互いを高めあっていた。

 

葵「ふむ。ひまだ」

 

シャル「なら葵も指導したらいいのに」

 

 といってISスーツで私の隣に立つシャル。彼――じゃなかった彼女はまだ決心がつかず女性ではなく男装のままでいる。何でもこのトーナメントが終わるまでには決めるということだ。

 

 まぁゆっくりと考えるといいだろう。

 

葵「だがシャル。私と彼女たちのISは基礎的が違う。どうやって何を教えろと?」

 

シャル「ん~。射撃の避け方とか、いろんなもの。大雑把にまとめると戦い方」

 

 まぁ色々あるだろうが、

 

葵「そういえばお前らタッグマッチ戦のパートナー決めは終わったのか?」

 

 こういうタッグマッチになるのはIS学園では初めてらしい。学年別トーナメントはほとんど、と言うか今まで一対一が基本だった。だが前のゴーレムと異端児事件によって複数戦闘になれさせることが今の急務だと感じた教師陣が二対二と言う複数戦闘戦を採用した。

 

セ「葵さん。わ、わたくしが組んで差し上げても・・・・」

 

鈴「なっ! あんた何抜け駆けしてんのよ! 葵! あたしとでしょ!」

 

箒「ここは専用機持ちじゃない私だろ!」

 

簪「別の・・・クラスの人間に譲るべき!」

 

ラ「葵は私の嫁だ! なら私と組むべきだろ!」

 

 その光景を見ていた私とシャルは

 

シャル「・・・・モテモテだね葵」

 

葵「そんなに私と組んで何のメリット―――あぁ優勝が近くなるのか」

 

シャル「優勝って・・・・あれ? でも優勝したらなんかあったような」

 

 すると、一夏がシャルを連れて、

 

一「えっとね、優勝するとお兄ちゃんと付き合えるだって」

 

シャル「え!? そ、それって葵は公認してるの?」

 

一「どうだろ。でも碑の無いところに煙は立たないって言うことだから多分」

 

シャル「そ、そうなんだ・・・(じゃ、じゃあ僕も頑張ってみようかな///)」

 

 そこ。なにをひそひそ話しているんだ。それにシャル。お前最近私の話題になると顔が赤いな。そのせいで編やうわさがたってるんだぞ。「BLキター!」とか「デュノア×神無月」とか「その逆!」とか「おかずが増えた!」とかなんかどれも危ない線ばっかりの思想を持つ者なんだが。

 

シャル「そ、そういえば葵こそ誰かこの人って言う人いたの?」

 

葵「ん~。特にないな。下手をすれば・・・・」

 

 

―――神無月葵。貴君には一人で出場してもらう。

 

 

葵「なんていう命令書が出そうだな」

 

ラ「・・・あり得そうだな。実際嫁は素手でISを倒せるからな」

 

セ「・・・ラウラさん? それはさすがに・・・・」

 

 と、セシリアが若干苦笑いで言っていた。後ろにいた鈴、箒、簪、シャルもうんうんとうなずいていた。

 

一「お兄ちゃんなら・・・・・うん。出来そうな気がする・・・」

 

ラ「ふむ。妹もそう思うか? 実際目の前でそれをやられた瞬間は驚いたぞ」

 

葵「ラウラ。そこまでだ。変に余計なことは言わないでくれ(ひそひそ)」

 

 ラウラの耳元で小さくそうつぶやく。ラウラはなぜ? と不思議そうな顔をしていた。

 

葵「いやなラウラ。ここでIS以上の力を持つ男って知られたらそれこそ第三次世界大戦モノだぞ。私VS世界という構造で。私はごめんだ」

 

ラ「なるほど。だがその件はもう無理そうだぞ嫁よ」

 

葵「何故―――って!」

 

 そういってラウラの視線の先の方を見てみると千冬とファイルスがその件について語っていた。

 

 それに先ほどまで否定をしていた彼女たちは口をあんぐりと開けていた。

 

葵「・・・お前ら」

 

ナ「あら失礼。ちょうど会議が終わったもんだから」

 

千「で、今日は葵は何もしないのか?」

 

 しないというかできないといった方が正しい。

 

葵「後一カ月だしちょうどいいか。そろそろパートナを決める「なら神無月君! 私と組もうよ!」はい?」

 

 その掛け声と同時に押し寄せる津波のごとく周りにいた生徒たちがこっちを取り囲んだ。うん。信玄の明言はこうだったんだろうか。いま私を取り囲むのはまさに人の石垣だ。そして同様な状態に陥っているシャル。

 

葵「(ここで変に誰かと組まれてばれるよりかは言いか)すまんな。私はシャルと組むことにしていてな」

 

 それを聞いて

 

女子「ま、まぁそういうことなら」

 

一「うん。それならいいかな(他の人と組まれるよりかは良いのかな)」

 

箒「男同士なら間違いは起こらないか」

 

 箒さん? 間違いって何!?

 

女子2「それはそれで・・・・ありね」

 

女子3「もしもし! 先輩。急いで次回号を!」

 

 そこはそこで変な路線に持っていこうとしないで!!

 

ラ「葵。いいのか?(ひそひそ)」

 

 そういうとラウラが私の耳元で話しかけてきた。おそらく彼女が女性だということを知ってのことだろう。

 

葵「別にいいだろう。悪いわけではないし、それに彼女自身の決心がついていない。そんな中別の者と組まれて女性とばれて厄介にするわけにもいかんだろ」

 

 実際彼女自身が悩んでいるのはわかる。だがもう問題となるものはない。あとは時間と決断のみだろう。

 

一「まぁシャル君なら大丈夫かな。じゃあ私たちはどうしよっか?」

 

リン「う~ん、単純に決めるのは面白みがないから・・・・そうだ。あみだくじできめるなんてどうよ?」

 

セ「あみだくじ?」

 

簪「・・・そっちにはないの?」

 

ラ「あまり聞かないな。どういうのなんだ?」

 

箒「こういうのだ」

 

 箒はISのブレードで縦線を地面に三本書き説明をする。そのことに納得した二人はこの提案をのみ人数分の線を描き終えると。

 

ラ「ではここは嫁に線を書き加えて行ってもらおう」

 

 ということで適当に何本か線を書き加えていった。結果。

 

簪「・・・・妹チーム?」

 

箒「確かにそうなるな」

 

 

 簪と箒の妹チーム。

 

 

鈴「なんであんたとなのよ!?」

 

セ「こっちが聞きたいですわ!?」

 

 

 犬猿の仲チームこと鈴とセシリア。

 

 

一「ラウラちゃんか。よろしくね」

 

ラ「妹か。うむ。頼む」

 

 

 仲直りをはした・・・・チーム名がぱっと出てこないがあえてつけるな未来の姉妹チーム?

 

 

一「お兄ちゃん。それは絶対になさないから!」

 

ラ「そんなことはない。私と嫁は相思相愛だからな。何なら今から妹になるか?」

 

 あっちはあっちでギャーギャーとああでもないこうでもないといっている。

 

葵「・・・・不安だらけなコンビだな」

 

シャル「その辺僕たちは大丈夫だね」

 

葵「ある意味一番の爆弾を抱えているがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁそんなことから数週間後。時間がたつのは早い。

 

葵「あっという間だったがまぁそれぞれ準備はしてきたし大丈夫だろ」

 

 予想では各自組み合わせが良ければ一回戦突破は確実だろう。二回戦となるとなかなかわからないが。

 

シャル「そうだね。それにしてもすごい観客数だね」

 

 モニターから観客席の様子が一望できる。

 

黛「そりゃそうだよ。なんたって企業にうとって一大イベントだからね」

 

葵「・・・・黛先輩? ここは確か男子更衣室のはずでは・」

 

黛「まぁまぁお堅いことは言わない。で、今回はどの騎士? 白? 黒? ま、まさか「赤はないから安心してくださ」そ、そう」

 

シャル「赤?」

 

葵「気にしなくていい」

 

 あの後一夏たちはそれぞれが組んだタッグメンバーとともに作戦を組むことになった。まぁそのため彼女たちと対戦があたってもこちらはどのような手で彼女たちが来るかわからない状況だ。

 

シャル「楽しそうだね葵」

 

葵「? そうか?」

 

シャル「うん。顔に出てたよ」

 

 するとモニターを見ていた黛先輩がぽつりとある言葉を落とした。

 

黛「それよりもえらく豪華だね。今回の来賓さんたちは」

 

シャル「そうなんですか?」

 

黛「うん。えっとね、今までは企業のお偉いさんはよく来るんだよね。ほら、有能なものがいればスカウトしたり、援助している生徒がどれだけ成長しているかとかいろいろあるんだよね 」

 

 ほぉ。それはまた。つまりここはある意味三年生は今までの集大成を発表する結果発表会みたいなものか。

 

黛「でもね今回は参加国も国のトップが見に来ているの。それもかなりの大国の人が」

 

 そういってモニターのある部分を指すとそこには、

 

葵「(あぁ。なるほど。統楽様に貞永様、蓮鏡様か)米露仏三か国のトップが来るとはね」

 

 黛先輩から見ればかなり異例のことらしい。ましてやあのアメリカ大統領が来るなんてふつうありえないことだ。

 

葵「新庄君にか?」

 

黛「たぶん違うと思うよ。あと新庄じゃなくて神城ね」

 

 ? どっちでもいいよ。

 

黛「あ。組み合わせ出たみたいだね」

 

 そういって一回戦の相手を見ると。

 

葵「・・・・げっ」

 

シャル「うわっ、葵本当に嫌そうな顔しているね」

 

 そりゃそうだ。噂をすれば影が差すというが事実そうなると本当に嫌なものだ。

 

 なぜこうまで嫌気がさすかというと、

 

 

 

第一回戦神無月葵・シャルル・デュノアVS神城帝・枢廼坂(くるるのさか)光江(みつえ)

 

 

 

シャル「・・・・どう作戦立てる?」

 

葵「・・・・線って必勝で帝(・)からつぶす」

 

 その言葉を意外と思ったのかシャルが聞き「彼から?」と返してきた。

 

シャル「ふつう枢廼坂さんからじゃないの?」

 

葵「ご意見はごもっとも。だがこれがある意味では効果的だな」

 

シャル「どうして?」

 

葵「彼女、枢廼坂さんは彼がいわば安定剤になっている。だが彼からつぶされたらどうなる?」

 

シャル「そうか。精神的な安定剤が切れ混乱し自滅する可能性が出てくる」

 

葵「そういうことだ。それに一形と戦うとなるとあまり初戦から手を披露するわけにもいかんだろうしな」

 

シャル「確かに。それより葵。今回はどっちで行くの?」

 

葵「今回は背中を任せれる奴と組むことになっている。だから黒騎士で突っ込まさせて位だたくことにした。頼むぞ相棒」

 

シャル「///!! う、うん! 任せといて///!」

 

 相棒という言葉にシャルは反応したのか顔が真っ赤になっていた。そんなにうれしかったのか?

 

 まぁ今は前のことに集中しよう。

 

 アリーナに向かうと既にそこにはラファールとフリーダムを装備した枢廼坂と新庄がいた。

 

帝「よく逃げずに来たな」

 

 その言葉フラグだと思うのは私だけか? 負ける側の。

 

葵「逃げようにも逃げれる状況だと思うか? それに勝つ自信はあるのでな」

 

帝「けっ、気に食わねぇ。やっぱりお前は殺す。待ってろシャル。今そいつから助けてやるから」

 

 おうおう、そんなかわいい殺気で誰がひるむと思うんだ? あとこいつシャルのことも知ってるか、やはり転生者の確率は大だな。

 

シャル「ひっ・・・・」

 

 それからシャル。お前これから先頭なのに私の後ろに隠れるな。あと外套をつまむな。

 

シャル「か、彼の視線・・・・気持ち悪い・・・」

 

 あぁ~、一夏たちも言ってたな。

 

 ある程度シャルが回復したのち

 

 

ビ―――――

 

 

 試合開始の合図が鳴る。

 

葵「行くぞシャル!」

 

シャル「うん!」

 

帝「やっぱり俺か」

 

光「帝君!」

 

帝「大丈夫だ。俺なら一人でこいつを!」

 

 彼がビットをだしこちらに向けて発射するが、

 

シャル「・・・・これならまだセシリアのほうが脅威だね」

 

葵「彼と比べてやるな。セシリアがかわいそうだ」

 

 彼は動くことなくそこから二丁のビームライフルでこちらを狙って放つが、

 

帝「くそっ! ちょこまかと!!」

 

 いや、撃っても当たることはないだろ。何せ照準がどこを狙っているかが予測、というか視認できる時点でアウトだ。

 

シャル「ねぇ彼ってかなり弱い?」

 

葵「一夏よりもな」

 

シャル「・・・ダメじゃん」

 

葵「予定変更だ。シャル。彼女の相手をしてやってくれ。こっちは一人でも十分だと判断した」

 

 彼女にオープンチャンネルで作戦の変更を告げると、

 

シャル『大丈夫なの? 見ただけであと腰部のレール砲、腹部のビーム砲、あと接近戦用武器があると思うけど?』

 

 彼女らしいな。分析した結果を即時伝えてくれる。武器の数、部類も教えてくれるとはな。

 

葵「大丈夫だ。今のやつには使いこなせないだろうな。接近戦でも優位に立てる。それにな」

 

――バシュンッ

 

帝「はぁっ!?」

 

光「え?」

 

シャル「うそっ!?」

 

 そこにいたものも何が起こったかはわからないだろう。何が起きたか? 明らかに銃撃戦の間合いから一瞬にして接近戦の間合いに詰め寄っただけだ。

 

帝「こ、この化け物が!」

 

葵「化け物で大いに結構。だが!」

 

 両翼刀を構え、

 

葵「守りたいものだけは絶対に護る! 己が体が朽ち果てようともな!」

 

 そして刀を振るう。技名をあえて挙げるなら、

 

葵「瞬間連撃!」

 

 刀を振るうと同時に両腕に激痛が走る。瞬間連撃。その名の通り目に見えぬ速さで刀を連続でふるうことだ。簡単に見えるがそうでもない。体の耐久力を上回った瞬間腕が引きちぎれる。だが、その代わりといってはなんだが破壊力はとんでもない。瞬間で切るためか切られた相手は切られたことすら気づかない。それもそのはずだ。相手がもし人間ならきれいに細胞を切るため脳が切られたと判断できないのだ。そのため痛みもない。そして細胞もきれいに切られきられたと気づかないため再生もしない。結果たとえ即死でなかっても出血多量で死ぬ。

 

帝「(ま、ちょっ!? これ、早すぎだろ!? ソードが抜けれね)チート野郎が!」

 

葵「あぁ自覚しているさ! だが位置から積み上げてきた力はチートではない。努力の結晶だ!!」

 

 この力は神の力ではない。統楽様、蓮鏡様、貞永様が一から私を鍛えてくれた賜物。それを神の力で底上げされた程度の知れる力と一緒にしてもらわないでいただこうか!

 

葵「これで終わりだ!」

 

 いったん距離を取り、両翼刀を揃えると黒と白の日本の刀は金色の一本の刀となりまばゆいばかりの光を放った。

 

帝(なんなんだよあれ!? 魔法だろ明らかに!?)

 

葵「鳳凰一閃!!」

 

 再び距離を詰める。だが、周りから見ればただ通り過ぎただけに見えたかもしれないが、実際はその間に数十という連撃を放たせてもらった。

 

 結果はエネルギーゲージがゼロになった新庄たちのペアの負けである。

 

 試合終了後

 

葵「お疲れ様だシャル。さすがというかなんというか」

 

 私が彼一人と対戦している間に彼女もまた枢廼坂さんを倒したみたいだ。

 

帝「くそっ!」

 

 彼は悔しがっているのか地面にこぶしを何度もぶつけていた。これでいいのだ。これで成長すれb「こうなったのも俺の力についてこないこいつが悪いんだ!」は!?

 

 彼は何を思ったのか、いやもはや気が狂ったとしか言いようがないな。自分自身のISを地面にたたきつけその場を去って行った。

 

葵「・・・・・」

 

 私はそれをただ無言で拾い上げた。

 

葵「〈フリーダム。聞こえるか〉」

 

フ《はい、父上》

 

葵「〈しばらくは私のそばにいるといい。彼がまたお前を必要になったときはその時返す。これでいいか?〉」

 

フ《はい。ですがその可能性は少ないと思いますよ?》

 

葵「〈なぜだ?〉」

 

 すると、彼女は苦笑いをしながら、

 

フ《もうすでに神にお願いという名の脅迫をしていました》

 

葵「〈その体に見合わない力か。愚かが〉」

 

フ《あとその神様から伝達です。そっちに回しますか?》

 

葵「〈頼む〉」

 

神「〈初めまして月之宮様〉」

 

葵「〈初めてだな。で要件は〉」

 

神「〈はい。あのものを転生させたことのわびと報告を〉」

 

葵「〈頼む〉」

 

神「〈はい。あいつに新たにISを与えました〉」

 

葵「〈・・・・・〉」

 

神「〈こればっかりは私が弱いばかりとしか。言い訳にすぎませんね。申し訳ありません〉」

 

葵「〈構わん。続きは〉」

 

神「〈はい。そのISには少し細工をしました〉」

 

葵「〈細工?〉」

 

神「〈はい。人格を入れていないただの機械です〉」

 

葵「〈つまりISというよりはGIに近いものか?〉」

 

神「〈はい。あと世代も逆行させました。たぶん第二世代にも劣るかと〉」

 

葵「〈なぜそのようなことを?〉」

 

神「〈簡単です。いうことを聞かないものが悪いんです。またあの者があなた様に危害を加えるようならどうぞお好きなだけ叩き潰してください〉」

 

葵「〈わかった。あと彼女は私がもらうぞ〉」

 

神「〈はい。わかりました〉」

 

 はぁ。何とも面倒な。あ~道真にでも頼んで各国に圧力かけてもらうか。

 

葵「はぁ・・・」

 

シャル「大丈夫葵?」

 

葵「あぁ。面倒事が増えていくばかりだなと思ってな」

 

シャル「それって僕も入ってる?」

 

葵「入ってるといえば入ってはいるが別に気にしてない」

 

シャル「さらっとひどいこと言ったよね?」

 

葵「お前の面倒事は言い換えればわがままだ。だがなんというかお前らのわがままは受け入れるべきわがまま、行ってらもらえるほうが嬉しい頼み後と思ってればいい」

 

シャル「なんでそういってくれるの?」

 

葵「大切なものだからだ」

 

 そういって次の試合に備えることにした。

 

 

SIDEシャル

 

 

葵「大切なものだからだ」

 

 今日はなんか僕にとってうれしいことばかりだ。何せ彼から僕にとってうれしい言葉を二回も聞かせてくれたからだ。

 

シャル(相棒で、大切なものか・・・それって僕が彼にとってかけがえのないヒットてこと///!?)

 

葵「どうしたシャル?」

 

シャル「ふぇ!? え、えええっと、なん、何でもないよ!?」

 

葵「そうか? ん。お前顔が赤いが大丈夫か?」

 

シャル「ふぇ? ふぇぇえ!!?」

 

 すると、彼は自分のオデコを僕のオデコに引っ付けてきた。

 

葵「うむ。熱はないな。さっきの戦いの余韻が残っているのか?」

 

シャル「った、たたたぶん、そうじゃないかな?」

 

 ぜっっっったい違うよ!! 君がそうしたからだよ!

 

シャル「あ、一夏たちも勝ち進んだみたいだよ」

 

 彼の後ろにあったモニターを確認すると一回戦はどうやら全員が勝ち残ったみたいだ。

 

葵「さて、次はだれが生き残るかな?」

 

シャル「どういう意味?」

 

 彼の言っていることがよくわからずトーナメント表を見ると、

 

シャル「鈴とセシリアのペアと箒と簪のペア。実力で言うなら前者かな」

 

葵「確かに。でも友好度というべきか? 友情やそういった信頼度というものがあるなら後者だな」

 

 そういって彼は楽しそうな笑みを浮かべた。

 

シャル「楽しそうだね」

 

葵「楽しいというかどうかはわからんがこの戦いでセシリアと鈴は欠点がどれだけ補えているかをチェックできる。一方の箒と簪はどれだけ成長できているかだな」

 

シャル「もしできていなかったら?」

 

葵「特訓だな」

 

シャル「うわっご愁傷様だ」

 

 彼の特訓はいわば基礎体力の向上と体の動き方の向上だ。回避、攻撃、防御全てに。

 

葵「何を言っている。むろんお前も含まれているぞ」

 

シャル「えぇ!? で、でもどうやって見ているの!?」

 

葵「忘れたか? 私には優秀な補佐官がいるんだぞ?」

 

 補佐官? でも彼の周りには・・・・はっ! まさか!

 

 僕は急いで隣を見ると、

 

リイン・アギト・エ「「「ニヘヘヘ」」」

 

 笑いながらVサインを送ってくる三人。つまり彼女たちが情報源だ。

 

葵「シャルは射撃戦にはたけているが接近戦はあまり不慣れのようだ。せめ盾殺し(シールド・ピアース)以外も習得しないとな」

 

シャル「・・・・・はう」

 

 あ! で、でもそれだけ葵と一緒にいられるってことだよね!?

 

葵「さて、二回戦に向けて作戦を立てるか」

 

シャル「うん! あと、その、フリーダムだっけ。その子どうするの?」

 

葵「むろん私が預かる」

 

 え?! そ、そんなことってできるの!?

 

葵「ケルベロス規約、もし所有者がISを放棄した場合ケルベロスがそれを保持・使用する権限・権利を有する。もしこれに異論を唱える国は今後ISの製造、所持、保有、使用することを禁ずる。つまりIS規約はケルベロス規約に基づいているわけだから国際的に認められている」

 

 つまりこの場でケルベロスの構成員は葵だから葵が保持しても各国は何も言えないわけか。

 

葵「まぁおいおい決めるのはこの子だがな」

 

シャル「それにしてもひどい。自分の実力をこの子の姓にするなんて」

 

葵「そうだな。・・・・・この子も生きているというのに」

 

 そういって彼女はその子を優しくなでた。まるでいとおしい自分の子供をめでるように。その光景が葵にぴったりというかなぜかしっくりきた。

 

 

SIDEOut

 

 


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