黄泉路への案内人   作:楽一

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第三八話

 

第三八話

 

 

 ちなみに、山田教諭と入れ違いに鈴が入ってきた。何でも両親について話があったみたいだ。

 

鈴「えっとね、実は―――」

 

 何でも話を聞くと鈴の両親はあの後離婚。今の御時勢のせいか親権は母方に行きそのせいで中国へ帰国。父は今どこで何をしているかも不明。安請け合いをしたくはなかったが、

 

葵「良ければ今お前の父親が何をしているか調べてみようか?」

 

鈴「え?」

 

葵「聞こえなかったのk「じゃ、じゃなくて! そんなことできるの!?」私はケルベロスの人間だ。多少の職権乱用にはなるが大丈夫だろう」

 

鈴「ほ、ホント?」

 

葵「あぁ。別に構わない。告白された女の子にはな」

 

鈴「ふぇ///!?」

 

 あれ? あれってまさか告白じゃなかったのか?

 

葵「あ、あの酢豚の件って違ったか?」

 

鈴「お、覚えていたの!?」

 

葵「そりゃまぁ」

 

鈴「えっと、その返事聞かせてくれるの?」

 

葵「・・・・私には16人の妻と10人の子供と11人の愛人がいるんだが」

 

鈴「・・・・・笑えないジョーク?」

 

 そうだよね。こんなの聞かされたらね。普通は信じないよね。現実離れたウソぐらいかな。

 

鈴「あたしのこと嫌い?」

 

葵「嫌いではない。だが、その自分でもまだ決めかねてるというか、なんというか」

 

 ここでうんと頷けば殺される。逆にNOと答えればそれで傷つけてしまいそうで・・・あぁ偽善だな。

 

鈴「それってあたしのことが嫌いなわけじゃないのよね!?」

 

葵「無論。嫌いなわけはない。だが、それがLikeかLoveなのかと聞かれるとわからないといってるだけだ」

 

 すると彼女は最後に笑顔を見せて、

 

鈴「そっか、ならチャンスはまだあるってことね」

 

 そういって鈴は退室した。何と言うか申し訳ない気持ちでいっぱいだった。法律上は問題ない。だが、道徳的にはどうなのと聞かれると・・・はぁ。

 

葵「優柔不断もここに極めりだな」

 

 すると、ノックをするような音が、

 

箒「今大丈夫か兄さん?」

 

葵「あぁ。大丈夫だがどうした?」

 

箒「えっと、兄さんにその、お願いがあって・・・・」

 

 ? なんだ?

 

箒「ら、来月にあるが、学年別個別トーナメントで優勝したら、その・・・ご、御褒美とか・・・」

 

葵「褒美? がんばったそのか?」

 

箒「そ、そうだ!」

 

葵「別に構わないが? それだけか?」

 

箒「ほ、ほんとか! や、約束したからな!」

 

葵「あぁ。大丈夫だ」

 

 すると、箒も何やら笑顔で部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 あ! 不可能じゃない範囲でって言うの忘れてた!!?

 

 

 

 

 あのゴーレム事件という昨日起こった事件が起こってから翌日。といってもその日一日身体検査などを行い別段学業に戻ってもいいと許可が下りた。

 

葵「はぁ。心配性だなお前ら」

 

 部屋を出るとそこに待ちかまえていたのは一夏を始め箒、セシリア、鈴、簪の四名だ。ちなみに楯無は学年が違うというより虚に連れて行かれたと簪が言っていた。

 

鈴「そういえばうわさに聞いたんだけど今日一組に転校生がくるみたいよ」

 

箒「またか!?」

 

一「多いね~」

 

セ「しかもリンさんがいらしてからそんなに月日は経ってませんわよ」

 

簪「・・・・さらに・・・噂。一人は・・・なんでも男」

 

葵「まぁ噂は噂。本当かどうかは己が目で確かめろ―――だな」

 

箒「百聞は一見にしかず」

 

鈴「それよりも聞いた? もう一つの方の噂(ひそひそ)」

 

一「うん聞いた(ひそひそ)」

 

セ「えぇ。聞きましたわ」

 

簪「・・・何でも個別・・・・トーナメントで優勝したら(ひそひそ)」

 

鈴・一・セ・簪「「「「葵(お兄ちゃん、葵さん)に何でもお願いしてもいいという御褒美がかかっているということ!(ひそひそ)」」」」

 

 そう。午前中からこの三人を含め他の女子生徒たちもどこか浮き足立っている。ちなみに学年を超えてもいるのだから大変だ。一部では教師陣も参加できるよう変更しようという動きもあるそうだ。

 

 

―――そのころ職員室では

 

 

真「さて、準備は整いましたし、後は来月に備えて微調節するぐらいですかね?」

 

千「なぁ山田君」

 

真「はい?」

 

千「教師陣も参加していいようにしないか?」

 

ナ「あらそれは良いわね。賛成よ」

 

真「なに言ってるんですか!?」

 

千「優勝せねば。なにがなんでも」

 

ナ「ふっふふ。教官に何聞いてもらおうかしら」

 

真「ちょ!? 誰か止めて―――ってそこ! なにルールを勝手に変えようとしてるんですか!? そこもデータをいじらない! そこは政府に頼んでISを増やさない! って何やってるんですか!!?」

 

 

 と、山田先生が必死に教師たち(飢えた獣たち)を止めていたのでした。By作者

 

 

 

 

 まぁその後は昨日は大丈夫だったかといまだに心配を引きずる質問ばっかだった。

 

 教室につくと、大体の人は一夏たちと同じ現象を起こしていた。

 

本「あ! あっちゃん! 大丈夫だった!?」

 

 とてとてという音が似合いそうな音を立てながらのほほんさんが近寄ってくる。

 

葵「ん? あぁ無事だ。それよりそっちも大丈夫だったか?」

 

 そういうとのほほんさんはVサインを出しながら。

 

本「もちのろん! あっちゃんが護ってくれたおかげだよ!」

 

 ? 私が護った?

 

本「あっちゃんが体を張って守ってくれたのは一組だったんだよ~!」

 

 そうだったのか。で、それを皮切りにクラスから感謝の言葉を言われた。

 

女子1「そ、その! あ、ありがとう///」

 

女子2「か、体・・・だ、大丈夫だった///?」

 

葵「あぁ問題はないさ。いかせん身体は頑丈でね」

 

 話していると、そこに、

 

真「は~い。皆さん静かにしてください」

 

 山田教諭とともに千冬も入ってきた。それを見て女子たちは一気に自分の席に戻り着席する。軍隊も真っ青な無駄のない行動だった。

 

 で、千冬からは連絡事項としてSHRで今日から本格的なISの実践訓練に入るらしい。まぁその時に言った言葉はあまりにも衝撃的だったがな。

 

千「今日から本格的なISの実戦訓練に入る。訓練ではあるがISを使う授業だ。気を引き締めてかかれ。あとそれぞれのISスーツが届くまで学校指定の者を使ってもらう。忘れるな。忘れた場合は学校指定の水着を使ってもらう。それも忘れた者は下着で―――いや、やめだ。体操服で行え」

 

 と、途中で過激なことを言ったが訂正した。やはり教師だからか?

 

(実際は・・・・)

 

千(兄さんに別の女性の下着姿など見せれるか。見せるなら私の――――)

 

(といった感じです。相変わらず葵ラブの千冬さんでした)

 

千「それともう一つ。山田先生」

 

真「はい」

 

 そういって山田教諭にバトンを渡す。

 

真「今日は転校生を紹介します。それも二名! ではどうぞ」

 

 山田教諭が入室を促すと、教室の扉が開く。すると、

 

葵「・・・ほぉ」

 

クラス『エェエエエエええ!!!?』

 

 大半の女子生徒は驚愕と歓声。その理由は・・・・

 

???「・・・失礼します」

 

???「! (ピシッ)」

 

 私の驚嘆は二つの意味があった。一人はなんとラウラだった。ドイツ時代の生徒の入学はちょっとした驚きだった。そしてもう一人はなんと男性だった。噂は本当だったようだな。

 

シャル「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことが多いと思いますが、よろしくお願いします」

 

 フランス、ということは蓮鏡様が大統領をやっている場所か。教導は確か咲夜だったか。

 

 するとシャルルと視線が合い、

 

シャル「こちらには僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国から転入を―――」

 

クラス『きゃ・・・・』

 

 あ。これはまずいな。経験上に多様なことが何回かあったしな。とりあえず一夏の耳だけでもふさいどくか。

 

葵「〈エクス、ルミル、リイン、アギト。耳をふさいでおけ〉」

 

エ・ル・リ・ア『了解』

 

一「ふぇ///!?」

 

 耳をふさいだ直後に、

 

クラス『キャァアアアアアああああ!!!』

 

 その光景に千冬はいらいらしていた。何でも、

 

千「あぁ~、もう騒ぐな鬱陶しい・・・」

 

 ぼそっとつぶやくがその一言は現状の歓声にかき消された。ある意味良かったかもな。

 

真「み、皆さん! もう一人転校生入るので事項紹介の方を・・・・静かにしてあげてください・・・」

 

 その山田教諭の一言に生徒たちは黙りラウラの方を向く。

 

女子「そっか。もう一人いたんだった」

 

女子2「綺麗な銀髪・・・・」

 

女子3「ちっちゃ~い。お人形さんみたい」

 

 たが、ラウラが漂わせる空気でそれも何か冷え込んでいった。

 

葵「・・・・ラウラ。自己紹介をしたらどうだ?」

 

ラ「は、はい! わかりました神無月教官!」

 

葵「・・・・もう私は教官ではないんだが。あとお前と私は同じ立場だ。生徒という」

 

千「それよりもさっさと終わらせろ。時間がない」

 

 そういう千冬に対しても教官をつけ千冬も同じ反応を示した。

 

 その対応にクラス中が何か騒ぎだした。まぁラウラはというと綺麗な回れ右をして、

 

ラ「ラウラ・ボーディヴィッヒだ」

 

 ・・・・・・・え? 以上!?

 

真「え、えっと・・・ボーディヴィッヒさん。他には?」

 

ラ「無い」

 

 すると、ラウラが一夏の方を睨み近づいて行った。あ、これはまさか・・・・

 

ラ「おい。貴様」

 

一「え?」

 

――ビュッ 

 

 ラウラが振り抜いた手はそのまま行けば一夏のほほに当たっていただろう。だが、

 

一「え?」

 

ラ「なっ!?」

 

――パシッ

 

葵「あまりにも冗談が過ぎるぞ。ラウラ」

 

ラ「教官!」

 

 え? なにをしたかって? 右手でラウラの手を抑え、左手で一夏を寄せ付け回避。とこんな感じ? 一夏は私の胸に収まってますよ。嫌だと思うが我慢してもらわないと。

 

葵「だからここでは教官ではないと。こいつは私の妹だ。あまり手出しはしないでくれないか?」

 

ラ「ですが!?」

 

葵「後敬語も不要だ。ドイツを去る時に言ったと思うんだが。同じ立場であるなら神無月でも葵でも良い。好きに呼ぶといい」

 

 すると、ラウラは一瞬悩み。

 

ラ「では嫁と」

 

葵「・・・・は!?」

 

――ヒュッ! ・・・・ガツンッ!

 

 そのラウラの発言に一瞬頭が真っ白になったがラウラの頭を狙った白い円柱の物を非常識フライパン(ゴル○13の腕を持っても貫通しないフライパン)で防いだ。というかチョークがそのまま立ってるんだが!? 千冬の腕前恐るべし。

 

葵「織斑教諭・・・・生徒を殺すつもりですか?」

 

ラ「お、織斑教官!?」

 

千「安心しろ。良くて頭蓋骨粉砕だ」

 

葵「それ、イコール死だよな!?」

 

千「後ラウラ。私はそいつを誰にもやるつもりはない。葵は私のものだ!」

 

 その発言に、

 

一「違うよお姉ちゃん! お兄ちゃんは私のだよ!」

 

 ・・・・つられるなよ。その後箒、セシリア、鈴も加わりもはや自己紹介、というか先ほどのラウラのしでかしたことなぞ記憶のどこへやらといった状態だ。

 

葵「ラウラ」

 

ラ「はいなんでしょうか?」

 

葵「敬語をやめろ」

 

ラ「・・・分かった。嫁よ」

 

葵「・・・もういい」

 

 この敬称についてはニックネームみたいな者として自己完結しておこう。

 

 その後デュノアの面倒? というか学校における生活が慣れるまでは私がみることになった。

 

 ちなみに、

 

シュ《お久しぶりです父よ》

 

葵「〈あぁ久しぶりだなシュヴァルツェア。あの後変わりはないか?〉」

 

シュ《はい! おかげで無病息災です。あと我が主が御迷惑を》

 

葵「〈あぁ~気にしてないから大丈夫だ〉」

 

ラファ《え、えっと・・・はじめましてパパ》

 

葵「〈お前はデュノアのISか?〉」

 

ラファ《はい。ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡと言います。よろしくお願いします》

 

葵「〈あぁ。よろしく〉」

 

 と、二人のISから自己紹介をされた。

 

 


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