黄泉路への案内人   作:楽一

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第三十話

第三十話

 

 

真「というわけで一年一組のクラス代表は織斑一夏さんに決定です。あ! 一つながりでいい感じですね~」

 

 黒板には『おめでとう織斑さん』と大きな文字で書かれていた。

 

一「・・・・・へ?」

 

 一夏は今の状況を完全に把握できていない感じだ。そして数秒後完全に飲み込み、

 

一「先生! 私全敗ですよ? なのになんで代表なんですか!? 普通はここはお兄ちゃんじゃないんですか!?」

 

 

――スガァアアアアン

 

 

一「・・・・・な、なぜに・・・・」

 

 うん。今のは理不尽じゃないか千冬よ・・・・。

 

千「構わん葵。それから織斑、兄ではなく神無月と呼べ」

 

一「横暴だ! 私は意地でもお兄ちゃんのことはお兄ちゃんと呼ぶ!」

 

箒「そ、そうだ! もし一夏がダメなら私もダメになる!」

 

 ・・・・オイお前ら。その辺でやめてくれ。周りから生温かい目線と、うらやましそうな目線と、ちょっとヤバそうな目線がある。

 

葵「ちふ・・・じゃなかった。織斑教諭、仕事の方はよろしいのですか?」

 

千「そうだった」

 

 ・・・・・おい。

 

千「さて織斑、葵はこの総当たり戦を何と呼んだ?」

 

一「えっと・・・代表者決定者――――まさか」

 

千「そうだ。代表者を決定する戦いではなく代表者を決める権利を有する人間を決める戦いだったんだよ」

 

一「・・・・お兄ちゃん!?」

 

 まぁ私の独断に近いがな、一応もう一人とも話したんだぞ?

 

セ「織斑さん。そう怒らないでください」

 

一「・・・・え? オルコットさんだよね?」

 

セ「はい」

 

一「・・・・・・エェエエエエええええええええええ!!!?」

 

セ「その反応は傷つきますよ・・・・」

 

一「で、でも・・・だって!?」

 

セ「はい。その、先日は申し訳ありませんでした」

 

 まぁ一夏とオルコットは互いに互いの非を認め謝り名前で呼ぶようになった。そしてその直後、

 

セ「神無月さんも申し訳ありませんでしたわ。非を指摘していただいたにもかかわらずあのような無礼をしてしまって」

 

葵「気にするな―――と言いたいところだが今後は気をつけるようにだな。こういってプレッシャーを与えるつもりはないが君が背負っている者は英国その者だ」

 

セ「はい。そ、それでですね、よろしければわたくしも名前で///」

 

葵「ん? 良いのか?」

 

セ「はい! ぜひ!」

 

 何故かかなりサムズアップしてきた。と言うか君と私の席はかなり距離があいていなかったか? それを一瞬で詰め寄るとは侮りがたし・・・。

 

葵「わ、分かったセシリア」

 

セ「はい///」

 

一・千・箒「「「むぅ~~~~」」」

 

 ・・・・オイなんでそうにらむ? 後千冬、仮面が取れかかってるぞ?

 

一「でもなんでお兄ちゃんじゃないの?」

 

 ふくれっ面から一転。いきなり普通な質問をしてきた。

 

葵「セシリア、私、一夏の三人で一番稼働時間が少なく経験も浅い。となれば手っ取り早く突貫工事並みに速く、尚且つ多くを学べるクラス代表になれば負けても勝っても学ぶものは大きいと考えたからだ」

 

セ「昨日そう聞かされたのでそれに賛同したまでですわ」

 

一「・・・はぁ・・・・はぁ!?」

 

葵「当分は私が一夏に指導をする。織斑教諭と山田教諭も時間を見つめて指導をしてやってください」

 

一「・・・・・(よし!)」

 

 多くを学べることがそんなにうれしいのか一夏は小さくガッツポーズをとった。(相変わらず鈍感だね~by作者)

 

箒「な、なんだと!?」

 

千「・・・・それに私も混ざろうか」

 

 箒は勢いよく机をたたきたちあがり千冬は黒板に向かって小さく何かをつぶやいていた。

 

葵「まぁこういう異論者も出てくるので希望者は受け入れる。ただあくまでも生徒が生徒に教えるので教師、この場合で言うのであれば織斑教諭か山田教諭、ファイルス教諭立会いのもと行う」

 

千「! そ、そうか(一夏に独占させるわけにはいかん。それにオルコットもあの代表戦以来兄さんを見る目が変わった。はぁ、相変わらず撃墜数はぴか一だな兄さん)」

 

真「? あの質問・・・って教師が生徒に質問と言うのもおかしいですが」

 

葵「はいなんでしょう?」

 

真「何でわたし達がいるんでしょう?」

 

葵「間違っていることを教えてはまずいでしょう。おそらく私やセシリアが教えることは経験からくるものでしょう。マニュアル、つまり教科書通りと言うわけにはいきません」

 

 するとファイルスが、

 

ナ「あぁ~。なるほど。慣れても無いのにいきなり経験や勘から変な癖がついたらまずいからそれを防ぐための教師ってわけね」

 

葵「はい。ひまなときで構わないので。大勢を扱う場合は時間を合わせますので」

 

 それをSHRの終わりの合図となった。

 

 

SIDE神城

 

 

 一年一組の代表は原作通り一夏になった。だが、代表決定線は明らかに違った。何が違ったかって? 一つは原作の参観で出てくる福音の操縦者ナターシャ・ファイルスがここにいること。まぁそこは神様が俺への謝罪の気持ちだろう。そして俺のラバーズを増やすことをその意味として善意でやってくれたんだろ。もう一つが・・・・あいつがいたんだよ。あいつが!!

 

 世界で三番目のIS操縦者。あいつのISは明らかに転生者使用だ。何故か判るかって? 決まってる。白騎士はMH2Gのウカム装備に似ていた。だがセシリアと戦った時のはなんだ? まるで魔法みたいだった。あいつはバカかと本気で思った。この世界に魔法? はっ、明らかに場違いだっつーの。

 

 まぁあんなことすりゃ浮くだろう。で、最終的に省かれる。まぁどうでもいいが邪魔者はさっさと御退場していただくに限る。

 

 で、今日はどうやら一夏、箒、セシリアが早速第2アリーナを使って一夏のIS特訓を行うらしい。俺が教えて俺の好感度をあげておくか。まっ、もとからおバーブーストするほどの好感度はあるが念には念だ。そうと決まれば善は急げだ。

 

帝「よぉ! 一夏、箒! そして英国代表候補生であるオルコット!」

 

 

SIDEout

 

 

 第2アリーナで早速一夏強化作戦を行うことになった。今日は一夏、箒、セシリア、そして教諭はファイルスとなった。他の生徒たちはおそらく様子見だろう。しかし観客席には一組以外の生徒、さらには上級生までもちらほら見えた。

 

葵「じゃあ早速だが一夏白式を呼んでみろ」

 

一「うん」

 

 私の言葉にうなずくと一夏がISを展開した。ざっと1秒を切る世界だが、

 

葵「一夏もう少し早く展開しろ」

 

一「え!? で、でもどうやって!?」

 

葵「イメージだな。お前は多分白式を通常、つまり授業の時と同じように展開したんじゃないのか?」

 

一「うん。え? でもそれって普通じゃないの?」

 

セ「そうですわね。わたくしから見ても一夏さんの展開速度は中の下、専用機をもらったばかりの人として見れば早い方ですわ」

 

一「ちょっと今の言葉ぐさっときたよセシリアちゃん」

 

セ「いえいえ。厳しめに言うように葵さんに言われましたから。ですが後半は本当ですわよ」

 

 するとファイルスが、セシリアの言葉を肯定し、私が言いたいことを言った。

ナ「えぇ。それは私も思ったわ。でもね葵が言いたいのは常に頭の中でemergency、つまり緊急時とアラートを鳴らすの。そうすれば0.3秒、遅くでも0.5秒で展開できるわ」

 

箒「なるほど。常に緊急時と頭の中でいい聞かせることによってそれが普通のとなり、本当の緊急時でも冷静に対応できる。さらに言えば通常字でも速度展開が早ければ次のステップへ進めるためのタイムロスを防げる」

 

葵「箒の言った通りだ。タイムロスが大きければ大きいほど次のステップ、すなわち武装展開、上昇、下降そういったステップに入りずらくなる。つまり後手後手に回り相手を有利に運ばせてしまう。まぁ代表戦は展開してから戦いが始まるがこれが緊急時の戦闘となれば話は別になる」

 

一「・・・・」

 

 一夏は黙ってその言葉を聞いていた。おそらくあの時のことを思い出しているんだろう。

 

葵「さて、次の行程へ「よぉ! 一夏、箒! そして英国代表候補生であるオルコット!」・・・はぁ」

 

 何でだろう。いま私のやる気が減るに減りまくった。どのぐらいかとイとやる気まぁ一夏のためと言うことで軽めの30%とぐらいだったモノがマイナスに走っていった。ちなみに100%出すと統楽様とやり合うぐらいになるのであしからず。

 

葵「なぁ皆。私帰っていい?」

 

一「だ、ダメだよ! もしお兄ちゃんが帰ったら誰が私に教えてくれるの!?」

 

箒「そうだ! もしあれと一緒にされたら誰がどう守ってくれるんだ!!?」

 

 なんかひどい言われようだな。

 

ナ「ねぇオルコットさん。何ででしょう私彼とは初対面のはずなのに寒気が走るわ。そして虫唾も」

 

セ「奇遇ですわね。わたくしも先ほどから悪寒が走りますわ。そう」

 

ナ・セ「「関わるなと」」

 

 なにやら米英の方々も何やら彼に対する扱いが決定したらしい。

 

葵「〈リイン、アギト。聞こえるか?〉」

 

リイン「〈ハイです〉」

 

アギト「〈聞こえるぜ〉」

 

葵「〈それは結構。二人ともどんなことがあってもなにがあってもこいつの前では姿を出すな〉」

 

リイン「〈了解です〉」

 

アギト「〈で?〉」

 

 ん? 『で?』とはなんだ?

 

リイン「〈例外はあるですよね?〉」

 

葵「〈あぁ。なるほど。と言うかよくわかったな?〉」

 

アギト「〈当たり前だ。兄貴のことは分かってるぜ!〉」

 

葵「〈それは光栄だ。例外はわたしの許可があるときだけだ。良いな?〉」

 

 二人はそれを了承した。さて残すは。

 

帝「っち、なんでお前がいるんだ!?」

 

 ほらとばっちりが来た。

 

葵「なに一夏の特訓だ。主に補佐だがな。メインは彼女たち二人だ」

 

 そういってファイルスとセシリアを指す。

 

ナ「・・・・あれ? 私たちの方が補佐じゃなかったけ?」

 

セ「・・・・責任転嫁!?」

 

箒「兄さんらしいと言えば兄さんらしいな」

 

 セシリアとファイルスに面倒なことがあればいい逃れるため他人を差し出すか逃げるかどちらかを選ぶと教えていた。

 

帝「なぁ一夏? そんなやつよりも俺が教えてやるよ。俺も専用機持ってるしコイツよりもうまく扱える」

 

 ? 専用機? こいつが? あぁ転生特典か何かか。後で出雲の方に書類出して教えてもらうか。どんな神がこいつを転生させたかは知らんがもう少し選別は厳しくやれよ。

 

一「だから? だから何?」

 

 

 

一「私はお兄ちゃんに教えてもらう」

 

 

 

 

一「それ以外の人は私が認めた人以外教えてもらうことも無いし必要もない。特にあなたには教えてほしくない!」

 

 珍しく顔を真っ赤にして一夏が声を荒げて言うものの彼の前向きな(?)思考回路によってその必死な訴えも砕ける。

 

帝「恥ずかしいのかい? なら二人っきりの時に教えてあげるよ。それとお前!」

 

 行き成りこちらに指を指してきて彼は、

 

帝「そこにいる彼女たちにもうこれ以上近づくんじゃねぇ!」

 

葵「何でだ? 彼女は私の妹だ。そしてそこにいる者たちは私の友人だ」

 

帝「はぁ!? なに言ってやがる! 迷惑してるだろ!? 良いな警告はしたからな!!?」

 

 そういうと彼は何がしたかったのかそのままアリーナを出ていく。

 

葵「・・・・・何だったんだ?」

 

 意味がわからずただ首を傾げるしかなかった。おそらくマンガやアニメのような表現方法があるなら間違いなく頭の上に?が浮かんでいるだろう。

 

 まぁ彼も去ったから訓練を再開しようとしたのだが、

 

一「あいつうざい、あいつうざい、アイツウザイアイツウザイアイツウザイアイツ・・・・」

 

 恐っ!!? 一夏さんの前髪がなにやら目を隠し、さらにさっき隙間から見えたが一夏さんの瞳からハイライトが・・・・・あぁこれは一言で言うならヤバイだな。うん。戦場との方がましだ。どれぐらいかと言うと恐怖度を最大が一夏の現在の状況&妻・愛人・娘のO☆HA☆NA☆SI>>>>統楽様達の訓練(超えられない壁)>>>>>family内の模擬戦>シグナム達の模擬戦>>>戦場ぐらい。――――あれ? いま私って戦場が一番まともな逃げ場になって無い? いや、そんなことは無い。うん。そう思いたい。

 

葵「お前らも・・・・うん。話すのやめよ」

 

 そして残りの三人。箒も若干一夏と同じようになりファイルス、セシリアア互いに黒い笑みを浮かべていた。

カオスだ、混沌だという言葉があるがいまほどそれがしっくりくる言葉は無いな。

 


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