黄泉路への案内人   作:楽一

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第二三話

 

第二三話

 

 

葵「おや。相手はあなたですか? 更識楯無さん」

 

楯「えぇ。別にフルネームで呼ばなくていいわよ? 更識さんでも楯無しさんでも。何ならニックネームでもつけてみる?」

 

 彼女はいたずらな小悪魔みたいに微笑む。彼女が装備しているISは他のISと比べアーマー部分が少ない。しかしそれを補うように液体状の何かが形成されている。ただの水ではない。これだけは断言できる。

 

楯「さて、いつまでも君もその格好と言うわけにはいかないでしょ。IS装着したら?」

 

葵「ではお言葉に甘えて《行くぞエクス、リイン。ルミル、データ収集を頼む。アギトの補佐もな》」

 

エ《了解!》

 

リイン「〈はいです!〉」

 

ル《了解した。始めるゾアギト》

 

アギト「〈合点!〉」

 

 

SIDE楯無

 

 

 彼が耳につけてある白色のイヤリングに少しふれて、

 

葵「光の道を指し示す者、白騎士」

 

 すると、彼の周りに風が起こりそこから現れたのは、

 

楯「甲冑型・・・・秋山式!?」

 

 ISには二種類ある。篠ノ之式と言われる未来的な装甲を持つIS、そして甲冑、鎧と言うような中世などの格好をモチーフにした秋山式である。そして彼が今装備しているのは秋山式だ。

楯(じゃあ彼はあの秋山博士に認められたってこと!? これは油断できないわね。それに、武装の点でも油断できないし)

 

 今彼が展開している武装は砲と盾、この二種類のみ。他のところを確認したけど件も、槍も無い。つまり近接戦闘装備が無いのだ。

 

楯(このまままっすぐ突っ込んでもいいけど踏み込みが甘かったら砲でドカン、逆に強すぎたらもし彼が接近装備を持っていたらこちらにおけるダメージは大きい)

 

 でもここで私はあることに気付いた。

 

楯(あれ? 何でわたしは私の方から突っ込むことになってるの? 実力なら私の方が上か同等。なのになんで私から攻撃することになってるの? このわたしが焦ってる・・・・そんなバカなね)

 

 でも現実はそうだった。私の方が焦ってた。彼から出るオーラは明らかに常人と違う。戦場における玄人。勝てるはずがないと脳が警鐘を鳴らしていた。

 

楯(でも私は更識家の当主。なら!)

 

 私は突っ込むふりをして水で分身を作り探りを入れる策に出た。これで彼が何か行動を起こすはず。

 

葵「・・・・」

 

 彼は無言で砲の照準を分身に当てるが、影は少し下に下がった。そしてそのタイムラグによって砲の間合いを突破。次にはいるは接近戦。

 

葵「シッ!」

 

 すると彼の盾から水色の刃が出て分身を両断する。これから見てわかったのは盾は防御も接近戦装備も兼ねているということ。なら危険な間合いは大体分かった。

 

葵「ならこちらも」

 

 すると彼は大きめの白い拳銃を取り出した。しかしそれをまるで弾幕を張るように放つ。

みると一つはビーム弾、一つは実弾のようだ。

 

楯(何をしているの?)

 

 ビーム弾は青色の球体を作りその中に実弾が吸い込まれていくように入っていった。だが、それ以上のことは何も起こらなかった。

 

楯「(何をするつもり? でも意味がないわね。あれだと実弾はビーム内で破壊されるわ)面白い武器を持っているのね」

 

 私は彼に聞いた。面白い。まるで実力が上の人間に立ち向かっている感じだ。

 

葵「そちらこそ。まさか水で分身を作り、私の接近戦武器がどこにあるか探りを入れるなんて」

 

楯「!?」

 

 彼は知っていた!? 私の策を!?

 

楯「・・・・なら次はどう来ると?」

 

 内心焦っていた。策が読まれた。次のもまさか読まれているんじゃないかと。

 

葵「そうですね。あなたのその水はただの水じゃない。多分水を自在に操ることが出来るんじゃないんですか。先ほどの分身然り、そして

 

 

 

 

 

 

 

―――湿度をあげることも可能なんでは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

楯「・・・・」

 

 読まれている。湿度をあげればこの次に何が起こるなんて予想できる。でもここで変えるわけにはいかない!

 

楯「なら御所望通りにしてあげるわ!」

 

 そして湿度をしだいに上げていく。そして、水の中に入っているなのマシンを熱に転換させ、

 

 

――ドカァアアアン!!!

 

 

 爆発させる。この爆発ではいくら秋山式のISと言えどエネルギー残量は0になるだろう。つまりこの試験は私の勝ちだ。

 

 そう思っていた。粉塵の中からあの光が見えるまでは。

 

 彼の周りには青色の球体が集まっておりそれがバリアーの役割を果たしていた。

 

楯「なっ!? 何で!?」

 

葵「簡単だろ。ビームで私のいる空間の水蒸気をなくした。そして多少微弱な電磁波を飛ばしているんだ。水の中にあるナノマシンなど故障するに決まっている」

 

 あの数秒でここまでわかってる!? 

 

 すると、彼は微笑みながら、

 

葵「さて、更識殿。今から見せる弾幕をどう処理する?」

 

楯「弾幕? 「ズガァン!」ウソ!?」

 

 彼から放たれた弾幕は青い球体から出された。その弾数は百は超えていた。これってまさか?!

 

葵「ご明察の通りです。あらかじめビーム内に弾を込め崩壊しないように保護していたのですよ。そして時が来たら一斉射撃。いかがかな?」

 

 こんなの避けれるわけがない! そう思いシールドを張りガードする。だがこの判断が失敗だった。

 

楯「・・・・ふぅ。なんとか耐えきっ「光りの道は何を示す」え?」

 

 声がした方を見ると、彼が最初に持っていた砲に白い光が収束していた。まさか・・・収束砲!?

 

エ《人の歩むべき正しき道を》

 

葵「されどその道に外れるものも在り」

 

エ《神はそれを見て嘆いた》

 

葵「神はその者に罰を下す」

 

エ《人はそれ恐れ慄(おのの)いた》

 

葵「ギュリーノス・ブレイカー!」

 

楯「なっ!?」

 

 一筋の光が放たれた。

 

 ギリギリでかわしたがその攻撃の威力はふざけていた。

 

楯「!? 冗談でしょこれ!?」

 

 残量はかなり余裕があったはず。にも関わらず回避し攻撃はかすったぐらいなのに半分も持って行かれた!? 何この攻撃!?

 

葵「戦闘中によそ見とはいい度胸だな?」

 

楯「しまっ!?」

 

 しかし彼の刃は容赦なく振り下ろされ試験は終了となった。

 

 

――勝者神無月葵

 

 

SIDEout

 

 


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