第二二話
横須賀からすぐにIS学園に向かって先ずきたのは、
葵「お久しぶりですね。轡木殿」
目の前にいる老人は頭にある毛は全て真っ白で顔にあるしわも年相応の数だけある。そしてその柔和な雰囲気は誰からも浸し見やすそうな感じだ。
そう。彼こそこのIS学園の学園長、轡木十蔵(くつわぎじゅうぞう)である。
そして隣にいるいたずら好きそうな水色の髪、赤い瞳、女性らしい体つき、そして何より特徴なのがこの年ごろには珍しく手に扇子を持っている女性。
楯「はじめまして。私は更識楯無。この学園で生徒会長を務めているわ」
そういって扇子を広げると『歓迎』と書かれていた。
葵「はじめまして。神無月葵です」
楯「神無月・・・どこかで」
葵「いえ、誰かと勘違いしているのでしょう。ところで学園長」
すると、轡木殿は笑顔で、
轡「葵君。わしのことは十蔵でいいよ」
葵「では十蔵殿。私はこの学園で何をするんですか?」
轡「そうじゃな。一応試験は受けたのかね?」
葵「いえいえ。千冬・・・ここでは織斑先生と言うべきでしょうか?」
すると千冬が、
千「今は公私で言う私だ。気にするな」
葵「と言うことなので。千冬から緊急呼び出しでアメリカからこちらに。なので試験なんて受けてませんよ」
すると、少し十蔵殿が考えると。
轡「よろしい。では今から筆記、実技を受けるといいでしょう」
葵「今かですか?」
轡「えぇ。山田君」
すると彼は受話器を取りどこかに電話をかけた。おそらく内線で山田と言う人に連絡を取ったのだろう。
轡「えぇ、そうです。そうそう。はいお願いしますね」
何が起こったんだ?
その後千冬に案内され一つの教室に案内された。そして目の前の教壇には、
真「え、えっと、今回の試験監督をさせていただきます、や、山田真耶です!」
葵「ご丁寧にどうも。神無月葵です」
真「はい。で、では!」
何で緊張しているんだ? 普通は逆だろ?
葵「あ、あの山田教諭、少し落ちつかれてはいかかでしょう」
真「そ、そうですね! すーはーすーはー」
深呼吸を2、3回したのち、落ちついて試験の説明を行った。まぁ、通常の国数英にISの基礎学、が休憩を含め30分ずつ。今回は何でも時間が無いため簡単な者を配ったらしい。そして全強化終了後20分の休憩をとったのち実技に移るらしい。
真「では始めて下さい」
その合図にシャーペンをとり問題を解いて行く、。
SIDE十蔵
さて、彼の実力は大まかには把握している。おそらくこの中でISに関しては一番、いや世界でISに関して彼は三番目に理解しているだろう。一番目はまぎれもなくISを開発した篠ノ之氏と秋山氏。そして三人目が彼だ。
楯「・・・・・」
学園最強の生徒会長の座についている更識楯無は黙って試験を黙々とこなしているパソコンの画面に映る彼を見ている。
実はあの教室には黙ってまえもって監視カメラをしかけておいたのです。
千「・・・・・(ずずっ)」
彼の姉である織斑先生はコーヒーを飲んでいる。よほど彼のことを信頼しているのか、はたまた彼を信じているのか。
ナ「・・・・・」
アメリカからわざわざついてきたファイルスさんも楯無しさんと同様か。そう思っていると、
ナ「轡木学園長。よろしいでしょうか」
轡「はい。なんでしょうか?」
ナ「彼が今解いている問題、入試問題ではありませんね」
楯「?! そんなバカな!? あれはまぎれもなく・・・」
そういってパソコンの画面を拡大する。題名こそ『入学試験』と明記されているが、内容はこの学園の今年の三年生の学力テストだ。
楯「それを黙ってといているなんて・・・・彼は一体」
それを見ていたファイルスさんは、織斑先生の方を見て、
ナ「ねぇ千冬。彼はこのことを本当に知らなかったのよね?」
千「あぁ、知らない。私もここに来るまで試験が行われるなんて全く知らんかったのだ。どう伝えるんだ?」
ナ「そうね。それにしては落ちついていない? 急にテストを行ったこと、その内容がこの学園の最高学年のために用意されたモノだと知ってもあなたはのんきにコーヒーを飲んでいる」
すると、織斑先生はカップをテーブルにおき、
千「私が彼における信用度と信頼度は最上位だ。あいつがこの程度で堕ちるわけ無い(この程度で落ちる兄さんではない。きっと学園に名を刻むほどの人格者だ。それにこの程度は受かってもらわないと困る)」
時間は経過し無事に終了。答え合わせの結果は・・・・
真「えっと、神無月葵君の成績ですがオール満点。文句なしの成績でした」
楯「山田先生。その答案用紙と問題用紙を見せてもらえませんか?」
真「え? あ、はい。どうぞ」
それを受け取りみている更識さんと、横からのぞき見るファイルさん。答案用紙の方はまぎれもなく丸しかない。だが、彼女たちはさらに驚くことになったのは問題用紙だ。
ナ「なっ?!」
その問題用紙には事細かく書く問における間違いなどが事細かく記されていた。
楯「彼は本当に何者なのよ!?」
轡「ならそれを知るため仲彼と戦ってみてはいかがですか?」
楯「え?」
轡「君が彼と戦うといい。実戦でな」
目を丸くして驚いていた彼女だが、すぐに口の端がつり上がり、
楯「感謝します。彼の実力も知るちゃんですから受け取っておきますね♪」
そういって扇子を広げると『嬉々』と書かれていた。
彼女は準備があるといって部屋を退室した。
轡「良かったのですか二人とも?」
彼女たちに不安が無いとは分かっていた。でもやはり気になるのだろうか画面を操作し、試験会場の方へ変えていた。
轡「気になるんですか?」
千「あぁ」
ナ「そうですね」
彼女たちは食い入るように画面を見つめる。織斑先生もファイルスさんも先ほどまでの筆記の時と比べればその関心度はあまりにも違いすぎた。
真「なぜそこまで食い入るんですか?」
山田先生が疑問に思うのも仕方ない。それに応えたのは織斑先生だった。
千「山田先生。彼の実力ははっきり言って私より上だ。上の人間の実戦をみたいというのはおかしいか?」
真「いえおかしくh・・・・え?! お、織斑先生より上!?」
ナ「そうね。確か米独と彼の訓練を行ったおかげでIS操縦者の質はグンッのびたわね」
真「エェ!?」
驚いている山田君は可愛いね。何とも保護欲をそそられる。
千「私は今まで彼のいる頂にたどり着いたことは無い。辿りついたと思うと彼はもう先に進んでいる。追いついたと思えば彼は先にいる。だがその分己に力が付いていると実感する」
ナ「そうね。彼の教える訓練は地味だけど必要なことばかり。それに彼の指導力はうまいは」
そういいながらも彼女たちは画面から目を外さない。そして試験会場に葵君とさらしク君が来た。
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