第二一話
あれから月日が流れ―――ってこの流れ多いな。まぁ実際かなり流れた。どのぐらいかって? 中学校行って、ケルベロスの仕事して、中学校行って、ケルベロスの仕事しての無限ループ。
ちなみに中学の時私と弾、そして一夏は同じクラスだった。そして、4組のクラスには神城がいた。ちなみにわたし達は1組。そしてけっこう距離が開いているにもかかわらず毎回休み時間に合いに来る。そして何かにつけて鈴と一夏を口説き、私と弾を睨む。
いい加減慣れたが正直言ってうざい。自分の周りに蚊やハエが飛び回っていると考えてくれ。結構うざくないか? あれと同じだ。
まぁ、興味無かったので無視しておくことにした。ハエとか蚊はいるとウザいがその場に存在しなければ大した問題ではない。そういうことにしておいた。
あと大きい出来事があった。中二の時に鈴の両親が離婚。母方に親権が渡り、中国に帰国することになった。 実際今の社会から見れば女性の方が有利になるのもうなずけるが、法の場面では公平にさばけよとも感じた。
そして別れる際鈴の口から、
鈴「えっとね、葵」
葵「何だ?」
鈴「あたしがね、その、今よりもっと料理がうまくなったら、その・・・・す、酢豚を・・・た、食べてくれない?」
これを聞いた時まず感じたことをそのまま口にした。
葵「なぁ鈴、それは日本で言うお味噌汁を―――みたいなものか?」
鈴「え、えっと、その・・・」
葵「・・・えっとな、私もそのどうこたえれ「いま答えなくてもいいの! あたしたちがもう少し大きくなったときに聞かせて!」あ、あぁ分かった」
そう答えて、彼女は中国に戻っていった。
そして現在。
???「神無月教官? そろそろお時間ですよ?」
???「とっとと始めようぜ。そしてとっとと終わろうぜ~」
声がした方を振り向くとそこには鮮やかな金色の髪にISスーツを身にまとった女性と、今から始まることがいやといいたげな声をかけてきた。
葵「あぁ、ファイルスにコーリングか」
彼女の名前はナターシャ・ファイルス。アメリカのISテストパイロットである。そしてもう一人がアメリカ国家代表のイーリス・コーリングである。
ことは今から数ヶ月前になる。
―――ピーンポーン
その日はサラリーマンから学生まで楽しみに待っていた休みの日曜日。私は家でコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた。おいそこ、オヤジ臭いとはなんだ! 新聞は情報の宝の山なんだぞ。
一「ごめ~ん。お姉ちゃん出てくれない!」
千「分かった」
そういって千冬は玄関に向かう。一夏は二階で目下勉強中。今年は受験の年だ。ただ一夏は今IS学園を受けるかそれとも就職率、進学率ともにこの近辺では随一の藍越学園を受けるかで悩んでいる。まぁどちらにしろ学力は必要なため勉強はしているみたいだ。
お前はどうするかって? 決まってるだろケルベロスをしつつ【不の者】を探し倒す。それが私の仕事だ! のはずなんだがここ最近情報も何もない。そして仕事も無いから中学生活を送っている。
千「・・・・・・」
玄関から戻ってきた千冬は何やらえらくつかれていた。これはまさか・・・
葵「・・・・天災(ウサギ)か? それとも天災(バカ)か?」
千「・・・・後者だ」
・・・・マジか。この世にいる二種類の天災のうちの一つか。
道「やァやぁさね!」
そして元気、というか勢いよく入ってきた道実。
葵「休日返せ」
道「あって早々何言ってるさねか!?」
葵「お前がくるということは狂とこれから先の休日をつぶされるんだ」
道「・・・・さて、これからのことを話すさね」
露骨に話しそらしやがった?!
一「どうしたのお兄ちゃん? あ。道実さん」
道「やぁ一夏ちゃん! だんだんお姉さんに似て別嬪さんになってきたさね!」
一「道実さん! コーヒーと紅茶どっちがいいですか!?」
道「紅茶で」
コイツ一夏を攻略してた。一夏を攻略されれば長話はおろか大半のことは許容される。
千「で、お前は何しに来たんだ」
ちなみに千冬は道実=束という公式を立てもはや諦めている。
道「うむ。まぁケルベロス関連のはなしさね」
その言葉を聞いて【不の者】について考え、
葵「〈【不の者】関連か?〉」
道「〈こっちでも調べてるさねがそれが不思議なことにおらんさね〉」
いない? でも確かジェイルの調べでは、
道「〈おそらく【今】はいないということじゃないさねか?〉」
なるほど。それなら道実を先に送った理由も理解できる。いない間に武器などを開発し、ISを解析し対【不の者】に改良できればこちらに有利に持って運べる。それに今米露仏三国に統楽様、蓮鏡様、貞永様が就任している。となればその三国はこちらに味方してくれる。その準備期間とすれば、後々に【不の者】が現れても慌てず対応できる。
葵「〈なるほど。そういうことなら〉で、どういう内容だ?」
そう。ここが問題だ。内容によっては拒否をするかもしれない。
道「えっとさね。ジョンソン・G・ハドソンは知ってるさねか?」
千「現アメリカ大統領だろ? 何故その名前が出てくる?」
道「いやぁ~葵がドイツのIS部隊黒ウサギ隊を訓練していると知られて、ならウチもと頼まれたさね」
一「な!? まさか受けたんですか!?」
道「あははっはは! 頼まれた以上は受けないとさね!」
一「断ってくださいよ!?」
まぁ多分だが、
葵「〈統楽様自らか?〉」
道「〈察しが良くて助かるさね。ただそれだけじゃないさね。いざとなったらこちらの既存部隊で対応できるためらしいさね。すでにフランス、ロシアではマドカと咲夜を送って訓練がすでに終盤に差し掛かってるさね〉」
統楽様はおそらく私に頼んだのは、
道「〈そうそう。統楽からの伝言さね。お前の教える教導力見させてもらうだそうさね〉」
やっぱり。
で、その後断れきれずそれを受諾したってわけ。でも最後まで一夏と千冬が抵抗し続けた。でもなんか道実が千冬と一夏を連れリビングから出ていき数分後にはなぜか二人が黙って了承してくれた。何をしたのかすっごく気になったが、これは私にとってパンドラの箱ではないかとも考えた。
ナ「教官? どうかしましたか?」
葵「ん、いやなに、少し前のことを思い出してな」
イ「それよりさっさと装備しろよ兄貴! 今日こそ倒してやるぜ!」
まぁさすがは国家代表、ラウラと同等ぐらいの強さはある。
葵「訓練に耐えたらな。さっさと準備しろよ」
そういって訓練を開始する。ちなみに訓練内容はドイツと一緒ぐらいだ。
そういえば最近一夏たちと連絡してないな。元気にやってるかな。
ナ「あら? 教官、ちょっとよろしいでしょうか」
葵「何だ?」
ちなみにこいつら、と言うかアメリカ側はそう差別と言うべきなのだろうかそういうのが少ない。理由を聞いたら、
ナ「ドイツのIS部隊と訓練したことがあるんですが桁違いで。その内容を聞いたら」
イ「お前の名が出てきたんだよ。ブリュンヒルデは納得できるがそこのクロイツ中佐いわく『もう一人の教官、神無月がいなければここまで強くはならないだろうな』と言われたからな。あたしも強くなりたいんだ!」
とのこと。なに? そんなに有名なの? と当初は思ったほどだ。
ナ「千冬からお電話ですよ」
ちなみにこいつと千冬は知り合いらしい。第一回、第二回とモンド・グロッソで共に戦った仲らしい。で、私のことを千冬が自慢げに話したことによって興味を持って呼んだのも理由の一つだそうだ。
葵「・・・・千冬姉さんから? 何だ?」
そういって携帯を受け取ると、
葵「もしもし、変わりm『兄さんか!? 今すぐ日本に戻ってくれ! 頼む! そっちの大統領には話をつけた!! もう戻っていいらしい! 迎えにも行く! 伝えたからな!! (プツ、ツー、ツー、ツー)』・・・え? どういうこと?」
言いたいことだけ言って切りやがった。何が言いたい? 戻れ? 日本に? 何故に? あとここにほかの人がいるのに堂々とこいつ私のことを兄さんと呼んだが大丈夫なのか? そっちの周りの人間も不思議がるのが目に見えるが・・・・あぁ千冬だから後のことはO☆HA☆NA☆SI方式で沈黙か? それとも無言の圧力?
多分数日前に束か道実、はたまた両方が何かを考えて私がIS、秋山式を動かせるとバラした。それによって世界では三人目(・・・)の男性IS操縦者として認定された。だが、正確には二人目であると二人が修正させた。ちなみに三人とは私と、蒼騎士、そして神城だ。はぁ、面倒なことになることは間違いなさそうだな。というか、良く大統領が許可したな?
イ「ん? どうしたよ兄貴?」
葵「いやな。さっき―――」
そういって先程の電話のことを二人に言うと、
ナ「あぁ多分それIS学園のことですね」
IS学園? あぁあれか。操縦者の育成と管理を目的とした教育機関。で、確か日本に資金面は全部押し付けて、情報は共有しようというかなり不平等なあれね。えぐいね、統楽様。
葵「で、なんでそれが関係あるんだ?」
ナ「彼女、千冬はそこの教育者ですよ」
・・・・そうだったのか。そういえばそれらしい情報を得てたな。
ナ「で、どういう情報だったんですか?」
葵「戻って来いって。何でも米国大統領とも話をつけてOKもらったみたいだぞ? と言うことは帰国した方がい「なら、私も行こうかしら」はい?」
なんか今ファイルスから不吉な一言が放たれた気がするんだが?
ナ「あら、いいじゃない。私も久しぶりに千冬に会いたいし。(彼女が彼にどういう感情を持ってるかも知りたいし。でも予想はついてるのよね。これはからかいがいようがありそうだわ)」
ファイルスはなにやら危険臭漂う笑い声を出して、日本のある方角を見ていた。
葵「・・・・コーリング。あれどうにかならないか?」
イ「あ~、あたしにもあれは無理だわ。右斜め45度から勢いよく頭部を殴ればどうにかなるんじゃないのか?」
そうか、テレビと一緒・・・ん?! 待て!?
葵「殴る!? 叩くとかじゃなくて!?」
イ「おう! 準備はいつでもいいぜ!?」
おいおいおい!? ISの部分展開いつ終わらせた!? そして右腕をふりあげるな! ファイルスが死ぬぞ!?
アギト「〈なんかここはドイツと違った賑やかさだよな〉」
リイン「〈はいですぅ! でもこれはこれで楽しいですよ〉」
ル《楽しいというか、騒がしいというか》
エ《でもアギトとリインが言うことに間違いはないですね》
そういうものか? それよりも荷支度するか。
数分後、荷支度を終え基地の滑走路に来た。
イ「でもよ兄貴。どんなに急いでも日本まで数時間はかかるぜ?」
葵「そうだな。どうするか」
ん~。何かいい方法はあるか。
葵「ファイルスの【銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)】におぶっていってもらおうか」
と、冗談で言ったら、
ナ「あらいい案ね」
葵「・・・・え?」
イ「さすが兄貴だ! なら護衛にあたしもついて行くぜ!」
すると、アメリカのIS操縦者たちが私も私もと挙手をし始めた。(ちなみにアメリカのIS操縦者の場合恋心と言うより兄を慕う気持ちに近い。イーリスやナターシャも同様)
葵「・・・・マジで?」
アメリカIS操縦者『マジで!』
その後統楽様、このアメリカ大統領の許可も貰いナターシャに背負われる形で日本の米軍横須賀基地に下りた。一応千冬に横須賀基地にいると伝えておいた。
SIDE千冬
正直言おう。予想外だった。IS学園にあいつ(神城)が来るなんて思ってもみなかった。なんとかクラス編成の際に3組に無理やり入れ込んでやった。私が担当する一組には決して入れたくなかったためだ。
千「と言うわけだ。束頼めるか?」
束『ん~。良いけどあっくんは了承したの?』
千「・・・まだだ」
束『え?! それってもしかして束さんに全責任来ない!?』
千「とうとい犠牲は仕方のないことだ」
束『そんな気持ちもなにもこもって無い棒読み状態で言われてもまったく感動も何もないよ!?』
千「安心しろ。秋山には許可はもらっている。後はお前が実行するだけだ」
束『・・・まぁあっちにも責任が行くならしょうがないかな』
千「すま『ただし! ある物と交換だよ!?』・・・内容にもよる」
やはりただというわけにはいかないか。
束『ふっふっふっ。ちーちゃん。枕の下にあるあっくんの写真二枚で手を打つよ』
なっ!? あれとだと!? しかも一枚のみならずに枚だと!?
千「あれは貴重なんだぞ!?」
そこから始まった交渉(と言う名の葵の写真譲渡の件)はもつれにもつれ、結果枕の下のは一枚と、後タンス、机の中から一枚ずつとなった。
それから数日がたち私は兄さんと約束した米軍横須賀基地にいた。しかし久しぶりだな。兄さんに会うのは一年ぶりか。そろそろアオイニウムが切れてきたところだし、補充したいと思っていたし。
兵士「そこの車とまれ」
かなり流暢な日本語を話す検問の兵士に止められると、
兵士「どこの誰だ? ここに何の用だ?」
そして私は隣の席においていた学園での身分証を見せ、
千「今日ここに神無月葵と言う者がくる。そいつの迎えだ」
すると兵士は私の身分証を見て驚いていた。
兵士「あのブリュンヒルデ!?」
その呼び名はあまり好きじゃないんだが。まぁ今はいい。それよりも、
千「で、どうなんだ?」
声で元に帰って来た彼はすぐにコンピューターを打ち、
兵士「お! 確かにbrotherは今日ここにくるみたいだな。で、brotherに何か用ですか?」
Brother?
千「あぁ。上からの命令でな」
すると、兵士も「あぁ、あのニュースね」と納得したようだ。
ちなみにニュースとは私が束に頼んで兄さんの情報、といっても秋山式のISを動かせることを世界にばらしたのだ。
結果世界はパニック状態。だが、アメリカ、ドイツはわかるがなぜかロシア、フランスは焦ることなく冷静に対応していた。そして日本政府は兄さんをIS学園に入れるよう学園側に御願と言う名の指示をしてきたのだ。で、私が出向いてきたというのだ。大義名分があるのだ。兄さんには嫌な仕事を文句ひとつせず行った妹のお願いを一つぐらい聞いてもらってもいいぐらいだ。(引き金を引いたのはあなたですよ千冬さん? By作者)
ん? 今何か変な電波を・・・まぁいい。それよりも!
千「なぁ、今お前葵をbrotherと呼んだな? 何故だ?」
すると、兵士はコンピュータを打ちながらさらに詳しい情報調べながら、
兵士「あぁ、brotherって言うのは米軍IS部隊のメンバーがつけたみたいですよ。何でも面倒見がよくちょっとしたことでも相談に乗ってくれて的確なアドバイスくれるみたいですよ。しかも男女問わずに。そんなもんだから俺たちは頼りになる存在、年下なのに年上みたい、落ち着きがある、兄貴みたいな感じ。だからウチ(米軍)ではbrotherって呼んでるわけ」
なるほどな。そんな話を聞いていると、なにやら調べ終えたのかこちらに向いて、
兵士「brotherは0930に到着する予定だそうだ」
今の時刻は9時35分。うむ少し遅かっ「あ。護衛にファイルスとコーリングが護衛についてくるみたいですよ」
・・・・なに?
千「いまファイルスと言ったか? ファイルスとはナターシャ・ファイルスのことか?」
兵士「え? ?! え、えぇ・・・おっしゃる通りです・・・・」
兵士は顔を青くしながらそう答える。
千「そうか。さっさと案内してもらえるか?」
兵士「さ、サーイエッサー!」
まぁ数分もしない距離だったが。
そして目の前には兄さんと、ナターシャ、そして・・・・・誰だ?
ナ「あらお久しぶりね千冬」
千「・・・・あぁ久しぶりだな。ちなみに葵を何をしたんだ?」
そう。兄さんはさっきから顔を真っ赤にしながら部屋の隅で体育座りで何かをつぶやいていた。これは写真を撮っておかねば。かなりレアだ。
携帯でさりげなく写真を撮り終えると、
???「あんたがブリュンヒルデか?」
千「あぁ。そうだがその呼び名は好かんので止めてくれ」
イ「あいよ。あたしの名前はイーリス・コーリング。アメリカ国家代表で兄貴にいろいろと教えてもらった生徒の一人だ」
あぁ、なるほど。アメリカの教導時代の性とか。
ナ「ところで千冬。教官をどうするの?」
千「あぁIS学園に入れる。その後は学園生活を送ってもらう(私もいるから一緒に生活できるしな。久しぶりに同じ屋根の下だ///)」
イ「待て待て。IS学園にはあの二人目もいるんだろ? それに兄貴はもうあそこで学ぶものなんてないだろ。基礎はおろか応用も完璧すぎるんだぜ?」
すると、ナターシャは意味深げな表情で、
ナ「(へぇ~。千冬も恋する乙女なのね。しかも恋の相手が彼だなんて。面白くなりそうだわ)あら、イーリ。教官は正確には二人目よ。二人目が彼が三人目」
イ「え? そうなのか?」
ナ「教官が三人目ならあの強さの説明にはならない。あまりにも時間が無さ過ぎる。でも二人目なら時間は大量にあり、あそこまでの実力がつくのも納得だわ」
さすがと言うべきか。彼女の推察力には毎回舌を巻くな。
ナ「じゃあ私も一緒に行くわね」
は?
千「何だと?」
ナ「私も大統領の許可をもらってIS学園の教官にしてもらったわけ」
・・・何だと!? だ、だが「ちなみに学園長の轡木学園長からの許可も貰ってるわよ」・・・終わった。色々と終わった。
・・・・このストレスはやはりあの成分が切れたせいか。なら、
葵「!?・・・・・おい千冬」
千「何だ?」
葵「これはどういうことだ?」
千「抱きついているだけだ」
私は兄さんの腰あたりに手をまわして密着するようにして兄さんに抱きついた。それを見ていた米軍兵士たちからは黄色い歓声が上がったが無視だ。ちなみにナターシャは黒い何かを発していた。
ん? まて。あいつは確か兄さんのことを兄としか見ていないんじゃなかったのか?
その後、兄さんから離れり私と兄さん、そしてナターシャは私の車でIS学園に向かった。ちなみにコーリング達はアメリカに戻ることになった。
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