第一七話
プレシアとフェイト、そしてアリシアを助ける策を見つけた数日後、町中でジュエルシードの発動が感じたので急いで駆け付けると、すでにフェイトとなのはが封印した後だった。
「で、なんで今なのはとフェイトは戦闘をしているんだ?」
上空を見ると、黄色い光と桃色の光がぶつかり合っている。
「いや~、それがさぁ」
「・・・ジェルシードを封印したら」
―回想
「リリカルマジカル」
「ジェルシードシリアルXⅨ!」
「「封印!!」」
なのはとフェイトは何とも珍しくジュエルシードを二人で封印したそうだ。
「お疲れさま、フェイトちゃん」
「ううん。なのはもありがとう」
すると、フェイトがきょろきょろとあたりを見渡したのでなのはが、
「どうしたの、フェイトちゃん?」
「え!? えっと、その、葵がいないなって」
「葵君ならもうすぐ来るんじゃないかな? でもどうして?」
「え!? あの、助けてくれたお礼が言いたいなって」
「助けてくれたって?」
するとアルフが、
「あの婆にいじめられたところに葵がさっそうと現れて助けてくれたんだよ」
「あ、アルフ!?」
「ぶ~!(いいな。ピンチなところに現れる王子様みたいなの)い、いいもん。わたしだって葵君にお姫様だっこされたことあるもん!」
「そ、そうなの!(わたしだってされたこと無いのに)」
「「う~~~」」
そういって互いににらみ合って、
「バルディッシュ!」
「レイジングハート!」
そういって互いのデバイスを再び構えた。
「あれ? なんか、地雷踏んだ?」
「うん。ばっちり・・・」(苦笑)
「葵君をかけて」
「勝負!」
―終了
「・・・・何をしているんだあの二人は」
私はあきれてものも言えない。ジュエルシードを封印してその後もこれだけ派手に暴れる体力。ある意味でうらやましいが、内容が私?
「私よりいい男はいると思うのだが」
「あんた、自分を過小評価しすぎだよ?」
「はぁ~、葵。君は自分を卑下しすぎだよ。君は十分男の僕から見ても魅力的だと思うけど?」
過去を知らないから言えるだけだ。過去を知れば彼女たちも遠ざかる。まぁ、彼女たち次第だけど。
上空ではいまだにまばゆいばかりの光がぶつかり合っている。
だが、それが時として剣舞ではないが、たがいに魔法で舞うように踊っているようで美しかった。
「それより、ジュエルシードはどこに?」
「え?」
「そう言えば・・・・あ、あそこに!」
「ウソ・・・・」
「なのは、フェイト! 今すぐ戦闘をやめろ!!」
「「え?」」
しかし、遅かった。再び互いのデバイスがぶつかり合った瞬間ジュエルシードからまばゆい光が空に向かって延びた。
「「え!?」」
「どうして!?」
「封印したはずなのに」
おそらく、なのはとフェイトがジュエルシードの近くで魔法バトルを繰り広げたからそれに反応したのか?
魔力波によってフェイトとなのはが飛ばされた。
「大丈夫かなのは?」
「うん、ありがとう葵君」
なのははたまたまこちらに飛ばされてきたので、こちらで押させた。
レイジングハートを見るとあちこちににひびが入っており、封印できる様子ではなかった。これを見るとバルディッシュもおそらくそうだろう。
「ユーノ! こういう時の対処法は!?」
「わ、分からない・・・・僕もこういう現象は初めてだ」
「くっ。どうすれ「なにやってんだい!フェイト!?」え・・・」
アルフの叫びが聞こえ、フェイトの方を見るとフェイトがジュエルシードを両手でつかんで封印しようとしていた。
「あのバカ!!!」
あのバカは何をしようとしているんだ!?
「エクス。白騎士展開!」
《イエスマスター》
すかさずエクスを起動して、フェイトの近くに来てみると、フェイトの両手の手袋は破れていてそこから血がにじみ出ていた。
「ッ!? このバカ野郎が!!」
「え!?」
急いで、フェイトからジュエルシードを手放させ、ジュエルシードに向け、私はディゴソードシールドを展開。無に帰する刃(ルーンヴォルヴァ)をジュエルシールドに向かって発射したが、
――カーーン
「は!?」
「ふぇ!?」
「え・・・」
三者三様の驚きだった。なにせ魔力を無効化する刃をはじき返したのだ。驚くなという方が無理だ。
そしてその刃はユーノの近くに、
―ザグッ
「ひぃいいいいいい!?」
あ、ちなみにユーノには刺さりませんでしたよ。近くの地面に刺さりました。ただ、ユーノとの距離4センチ。数字的にも不吉でした。
「ユーノ、すまん。それより! え、エクス!? どうなってんだ!?」
《え、えっとですね、周りの魔力波があまりにも強すぎて、出力を最小でも122%で放出しないとまずいです!》
「・・・・クソっ。エクス、シンクロパ―ジ。ルミル、シンクロイン!」
《申し訳ありませんマスター》
「お前のせいじゃない。ジュエルシードのせいだ」
《マスター、まさかとは思うが、あれを使うつもりか?》
さすがルミル。あまり使いたくない手段だが、あれは無に帰する刃(ルーンヴォルヴァ)よりも無効化力が強く条件下も一切無視したものを使うしかないか。
ルミルをシンクロさせ、私は弓矢をセットした。共に黒塗りの。
「フン!」
迷わず私は矢を自分の太ももに刺し、血を吸わせる。
「あ、葵君!?」
「葵、何やってるの!?」
「黙って見てろ!」
そういって矢を引き抜き、照準をジュエルシードに合わせる。
「我が血は精霊の血。いかなる邪も退ける聖なる血。その血を吸った矢は聖なる矢。セイントアロー!」
すると、矢はまばゆい光を放ちながらジュエルシードに向かい、ジュエルシードと激突。その光に飲み込まれたジュエルシードはまるでなすすべもないように光りを失った。
「きょ、強制封印、というか、強制無効化成功・・・」
「あ、葵、大丈夫?」
顔を真っ青にしながらフェイトが訪ねてくる。が、その前に、
「フェイト」
「・・・・なに?」
そのままフェイトの頭にチョップ。
「このおバカ娘が!」
「ひぅ!?」
「お前は私が以前に怪我をするなと注意しただろうが! その約束をもう忘れたのか!?」
「ご、ごめん・・・」
「はぁ、良いから手を出せ」
「うん」
「癒しの風よ。汝の力を持ってこの者の怪我を癒したまえ。ヒーリーングフール」
あの時と同じ魔法をかけ、フェイトの怪我を直し終えると、
「もう、心配をかけさせないでくれ。大切なものを失うのはもうごめんなんだ」
「うん。ありがとう。心配してくれて」
恥ずかしそうにしながらもお礼を言うフェイト。
「なのは、ごめんね。決着をつけられなくて」
「ううん。気にしないで。それより葵君、足大丈夫?」
「もう大丈夫だ」
そういって無事なのを確認させるために怪我の部分を指す。
「本当だ。傷跡もないの!」
「すごい」
そういって二人とも矢を突き刺した場所の足を触りまわる。
(足細いの。それに色肌もきれい・・・なんか)
(色白。肌もすべすべ・・・なんか)
((女として負けてはいけない部分が負けた))
触るのを終了すると、二人ともorzと落ち込んでいた。
数分後、復活するとフェイトとアルフは私となのはに今回のことを感謝して飛び去っていった。
「ねぇ、葵君」
帰り道、なのはが話しかけてきた。
「わたしがもし興味フェイトちゃんと同じことをしたらどうする?」
「出来ればしてほしくないんだが、まぁやったら怒るだろうな」
「今日みたいに?」
「当たり前だろう。フェイトも、なのはもわたしにとっては大切な人間なんだ。傷つくのを見るのはごめんだ」
「うん・・・/// ありがとうなの」