黄泉路への案内人   作:楽一

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第三九話

 

第三九話

 

 

統「さて、まず我ら三人が何故四聖神と呼ばれているのにもかかわらず三人(・・)しかいないか疑問に思ったことはないか?」

 

アリ「確かに」

 

は「もう一人の神様が見当たらんな?」

 

 はやてとアリシアがそう言うと皆が確かに見たいな顔をした。

 

ティア「そもそも。なぜあなた方がいるのに神の中の王、神王がいるんですか?」

 

 ティアナの言葉に全員がさらに謎めいた顔をした。

 

蓮「じゃあまずそこから話しましょうか。神社会というのは簡単に言うと一企業に例えるとわかりやすいかしら」

 

 蓮鏡の説明では神社会というのはそれこそ惑星ごとにそれぞれの神がいる。それを束ねる王というのが神王。世間一般で呼ばれる神というのは企業で言う支社長クラスというわけだ。

 

ス「じゃあ四聖神というのはなんなんですか?」

 

蓮「簡単言うと神の中の神。全ての神族、魔族、精霊族といわれる存在たちの頂点に君臨する四人のことよ」

 

エリ「な、え!? でもどうしてそう呼ばれるようになったんですか?」

 

貞「お前さんらはビックバン。というのはわかるか?」

 

ギ「確か宇宙の始まりでしたっけ?」

 

統「そう。それを起こしたのが我ら四聖神だ。四精神には全てにおける大切な空間、時間、生命、創造の四つが絶対必要でそれを作り、それを必要とするために起こしたのがビックバンだ」

 

 四聖神自身がビックバンを起こし宇宙を作った。そう。何も無かったこの世に宇宙が成立した。

 

 

 

 

【空間】の誕生

 

 

 

 

 

そして、創造神が惑星を作る。

 

 

 

 

 

【創造】の誕生

 

 

 

 

 

そして時が流れるにつれ惑星は形を整える。

 

 

 

 

 

【時間】の誕生

 

 

 

 

 

そして、ミクロでも命を、生命を惑星に与える。

 

 

 

 

 

【生命】の誕生

 

 

 

 

 

つまり四精神がいなければ自分達はおろか、ミッドチルダという世界、そして宇宙という途方もなく果てしない広大な物も誕生しなかったというのだ。

 

統「簡単に言うと神、悪魔、精霊、人そう言った種族関係なしに全ての始まりを作った始祖、始祖神みたいなものだな」

 

ス「でも、それと葵さんは関係ないですよね」

 

エリ「話を聞く限り全くといっていいほど」

 

統「それが関係ないとは言えんのだ」

 

キャ「どうしてですか?」

 

貞「もう何万、何億という途方もない過去に創造神が消滅した」

 

全員「は!?」

 

統「原因はいまだに不明。当然消えたのだ。こちらもわからん」

 

蓮「でも創造神が消えたがゆえに種の増加、並びに宇宙の拡大は止まったまま。創造神がいなければ生命の形となる器がないから命を入れてもむだ。宇宙は拡大できないから現在宇宙も止まったままなの。でも葵というイレギュラーは生まれた」

 

 ただ、いまだにその場にいた全員が状況は飲み込めなかった。創造神が消えたというだけでも衝撃は大きい。だが、それによって葵がなぜイレギュラーと呼ばれるのか。

 

統「分からんか? あいつがどういう存在か」

 

竜「?! ・・・う、ウソだろ・・・だが、それだと納得できる。だがあの力はじゃあ・・・」

 

朱「何かわかったの!?」

 

竜「・・・あくまでも推測だ。俺たちの世界では他種族同士との結婚は認めている」

 

な「どういうこと?」

 

ウル「簡単に言うと人族と精霊族との結婚が認められているということ」

 

ノーヴェ「すごいな・・・」

 

竜「だが、産まれてくるのは人間か精霊だ。ハーフと言えど、どちらかの血が強く受け継がれる。見た目も人間か精霊だ。だが、葵は違う。精霊の血を移植されたとはいえ見た目は人間だが、魔力や魔法の形状は精霊だ。つまり・・・あいつは人間でもなければ精霊でもない。中途半端な存在だが、こうも言える。新しい種族と・・・」

 

ジェ「・・・・そうか・・創造神がいないのになぜ新しい種族が生まれるんだということか?!」

 

 その言葉に全員がはっとする。創造神がいなければ新しい種族は生まれない。では葵はなぜ精霊でも人間でもない新しい形をとれているのか、またなぜ命を継続できているのか。そう。だから神族も魔族も精霊族も彼をイレギュラーとしかいえないのだ。

 

クァ「では、あれは新しい種族の力?」

 

統「それが分かれば苦労しないんだがな。いまだに赤騎士においては【不明】。謎の力といったところだ」

 

蓮「とりあえず出来ることをするだけ。解決方法は今全力で探しているのだけど・・・」

 

貞「いまだに・・・じゃな。だが一つだけわかっとることがある」

 

セッテ「それは?」

 

蓮「葵が虚無を使うこと」

 

フェ「虚無?」

 

蓮「その名の通りよ。虚無、つまり全てを無にするほどの魔力を有するの。そしてそれを発揮するのが赤騎士。故に絶望の騎士と呼ばれるの。無というのは自然界においては存在しない、人が独自に作り出した魔法」

 

統「ゆえに我等はそれを警戒した。しかしこれにおいてもさっぱり今だに解明されていない。さて、そろそろ参るか。葵のところへ」

 

 そういって葵が治療を受けている場所に向かう。

 

 葵は現在集中治療室で寝たきりの状態だ。その部屋から聞こえるのは葵がまだ生きているといっている機械音のみ。

 

は「ちなみに起こし方ってどうするんですか?」

 

統「決まっておろう。こうするのだ。フンッ!!」

 

 統楽が取った行動。それは葵の腹に向かって気がこもったパンチをお見舞いする。

 

―ゴスッ

 

葵「ブヘラッ!?」

 

全員「えぇえええええええええ!?」

 

 その衝撃的な起こし方(という名の暴力)で葵は無事目覚めた。

 

葵「ごほっ、ごほっ、な、何するんですか!?」

 

統「お前が早く起きないのが悪いんだろう」

 

葵「え・・・・統楽様・・・・!?」

 

統「あぁ、いい、お前は今病人なんだ。で、蓮鏡今こいつはどうなんだ?」

 

蓮「まぁ、無事と言えば無事ね。ただし葵。もう一回赤騎士をつけばどうなるかは・・・・分かるわね」

 

葵「・・・はい。ですが使うときには使います」

 

貞「・・・はぁ、そういう頑固なところまで統楽に似なくていいんじゃがな。まぁ、言っても無駄じゃろ。さて、わしらは失礼するぞ」

 

葵「は、はぁ・・・・」

 

 そういって御三家は消えた。いやいや、唐突すぎるよあの三人!?

 

 


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