黄泉路への案内人   作:楽一

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第二三話

第二三話

 

 

 六課に戻ると、シグナムやヴィータ、シャマル、アイン、リイン、フォワード陣達が集まって敬礼をした。それだけじゃなく他の局員もだ。

 

葵「・・・連絡が回ったのか?」

 

 ティアナが近づき、

 

ティア「え、えっと、そのすみませんでした!」

 

葵「は?」

 

ス「葵さんが副元帥っていう偉い人だと知らずにその、無礼をして!」

 

孤「別に葵は気にしないっていったんだけどね」

 

チ「私からもいったんだが・・・その聞かなくて」

 

葵「朱音達は?」

 

ウル「いったよ~! 葵がこういうの嫌いだってこと!」

 

朱「それも説得力はないでしょうね。孤狐やヴェルさんは将校だもの」

 

 こいつらはバカか。本当に。

 

葵「全員に連絡! 楽にして聞け。いいか私は最初になんと言った? フレンドリーな対応でいいといったはずだ。階級謎所詮飾り。どんなに偉くても所詮は人間だ。私は神でも悪魔でもなんでもない。ただの人間だ。君達と同じ。だから対応も今まで通りでいい。以上!」

 

 そう言うと、

 

ヴァ「だから言ったろ? 旦那はどんなに偉くなっても旦那だって」

 

葵「ヴァイス。旦那は止めろ」

 

ヴァ「えぇ!? フレンドリーで頼むといったはずじゃ!?」

 

葵「冗談だよ。それでいいんだ」

 

全員「分かりました。葵(さん)(君)!」

 

 その後自室に戻り子供たちを膝にのせながら話していると、

 

ジェ『やぁ葵!』

 

葵「お前か。ジェイル」

 

コ「お父さんこの人は?」

 

ジェ『やぁお嬢さん方。私はジェイル・スカリエッティ! 天s「幼女誘拐犯」だ! って違う!』

 

葵「冗談だ。こいつは私の友人だ」

 

リオ「おぉ! 始めまして神無月リオです!」

 

コ「神無月コロナです」

 

ヴィヴィオ「神無月ヴィヴィオだよ!」

 

ジェ『かわいらしい娘だね。うんうん。そうそう、君の娘達の後見人にチンクとセッテ、ウェンディとノーヴェが入ったらしいね』

 

葵「あぁいつの間にかな」

 

ジェ『あの後ドゥーエ、トーレ、クアットロ、セイン、オットー、ディエチ、ディードも加わったからな!』

 

 ・・・・・えぇ~。

 

葵「よかったなお前ら。さらにママが加わったぞ」

 

娘達「「「さらに増えた~♪」」」

 

ウ『嬉しそうですね』

 

葵「まぁ、家族が増えることはいいことだ。それからジェイル。ようやくこの時が来たな」

 

ジェ『あぁ! ようやくだ! ようやく堂々と陽の光を浴びれるのだ! 隊舎内部や君の世界だけでもいいがやはり実際に外の土の感触を確かめるのが一番だ!』

 

そう、あの後メールが全局員に向け発信された。メールの内容は

 

『神無月葵を本日付で階級を副元帥に戻す。部隊並びに権限は副元帥レベルに移行。これについてはミゼット・クローベル 本局統幕議長、ラルゴ・ギール武装隊名誉元帥、レオーネ・フィルネス法務顧問相談役、レジアス・ゲイツ中将が保証する』

 

 そして、もう一つは、

 

『ジェイル・スカリエッティの犯行は全て【不の者】並びに零始による娘を人質に取られ脅迫によるもので罪状としては一切ないモノである。よって彼者の罪を無いモノとする。

ミゼット・クローベル 本局統幕議長、ラルゴ・ギール武装隊名誉元帥、レオーネ・フィルネス法務顧問相談役、レジアス・ゲイツ中将、神無月葵副元帥の5名による合同命令である。

並びにジェイル・スカリエッティにおいては三提督並び副元帥直轄独立機動部隊ガーディアンに所属し階級を准将としガーディアン技術局局長に任ずる』

 

 そう。この一通のために我々は今まで頑張ってきたのである。

 

ウ『葵様には何と言ったらいいのやら。本当にありがとうございます』

 

葵「気にするな。あと六課に出向出来るか?」

 

ジェ『・・・あぁ、分かっている。あの二人にははやいうちに合っておかねばと思ったしな』

 

葵「そうか。だが今はこの余韻に浸っておくといい。私もこちらで君のこのことを肴に祝い酒を飲ませてもらうよ」

 

ジェ『あぁ、私もゼストと飲むとしよう』

 

 

 

 

翌日

 

 昨日の正式な辞令に伴いジェイルは六課へきていた。

 

は「・・・なぁ、葵君。あれほんまなんか?」

 

葵「あぁ。だがあいつはバカだがいいやつだぞ。それは私が保証しよう」

 

 すると玄関の自動ドアが開き、

 

ジェ「・・・・」

 

葵「・・・・」

 

 無言でにらみ合ったと思った、拳と拳を軽くぶつけ、

 

ジェ「久しぶりだな友よ!」

 

葵「あぁ。無罪おめでとう」

 

 その後軽い抱擁と、周りから、

 

全員「友!?」

 

葵「あと、これは祝いの品だ!!!」

 

―ガゴンッ

 

ジェ「グベラッ!?」

 

な「え!?」

 

ティア「ふ、フライパン!?」

 

チ「あぁ、昨日のあれか・・・」

 

 チンク、セッテ、ノーヴェ、ウェンディ達は納得し。

 

朱「いまだに健在なのね。あれ」

 

ウル「すごいよね~。どこから手に入れてるんだろあの非常識フライパン」

 

 懐かしいなとつぶやく人間もいれば、

 

竜「俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くな・・・・・」

 

 経験者はかなり震えていた。

 

ジェ「待て! 待ってくれあれにはわけが!」

 

葵「そうか。理由があるのか。ならあの世で閻魔とゆっくり時間をかけて語り合ってくれ!!」

 

ジェ「ぎゃぁあああああ!!」

 

 その光景を見て、スバルが、

 

ス「ノーヴェ達ってジェイルさんの娘だったんだよね」

 

 昨日のメールでこのことも知らされているため全員がこのことを理解している。

 

ノーヴェ「あぁ。昨日何をしたかってことか?」

 

ス「うん」

 

ウェ「ドクターが・・・夜這いしに行けって言ったからしたっす」

 

全員「・・・・はぁああああああ!?」

 

チ「ウェンディ!?」

 

ノーヴェ「このバカが///!?」

 

は「ほぉ・・・・いい度胸しとるな・・・」

 

フェ「・・・O☆HA☆NA☆SIしようか・・・」

 

な「そうだね・・・・ちょうど訓練場もあいてるし・・・」

 

アリ「・・・・協力するよ・・・わたしも久々に使いたいし・・・」

 

チ「ちょ、ちょっと待て! 話を聞け!!」

 

ノーヴェ「確かに行った。行ったけど葵の娘がいる中でそんなことしないって!! ただ一緒に寝ただけだ!!」

 

セ「それに言わせてもらいますが、あなた達だけずるいではありませんか。葵さんと一緒に寝て。あまつさえキスまでしたんでしょ?」

 

シ「それは一緒に暮らすモノの特権だ!」

 

 そこからは女どうしのいい争いだな。

 

葵「・・・・私はどんどん人の道を外しているような気がするよ・・・」

 

ジェ「まぁ良いじゃないか! ところで何か話があるのではないのか?」

 

 ジェイルは早くも復活していたが、頭からだらだらと血を流している。

 

葵「そうだな。まぁブリーフィングルームに行くか。と、その前に客人がもう直来るはずだ」

 

 すると、外に数台の黒塗りの高級車が止まった。そこから出てきた人間に全員が驚いた。

 

は「れ、レジアス・ゲイツ中将!?」

 

な「ミゼット・クローベル 本局統幕議長!?」

 

フェ「・・・ラルゴ・ギール武装隊名誉元帥も・・・」

 

アリ「レオーネ・フィルネス法務顧問相談役・・・・」

 

シ「リンディ統括官に」

 

ヴィ「騎士カリム・・・・」

 

シャ「クロノ君まで・・・」

 

アイン「なんというか・・・」

 

ティア「局の上層部が足並みそろえるなんて・・・・」

 

ス「す、すごすぎる・・・」

 

葵「お忙しい中ご足労もしわけない」

 

レジ「いや、お前立っての願いだ。聞かない方が失礼だ」

 

葵「一応紹介しておく」

 

 そういって私は三人を呼ぶ。

 

葵「私の世界の騎士達だ。正式な配属は今日の午後。それまで騎士団の制服を着てもらっている」

 

 昨日は急遽白の制服を着ているがまだ正式な事例が出ていないため今は白ではなく青の服、蒼穹の騎士団制服を着てもらっている

 

竜「師走竜也だ」

 

ウル「皐月ウルナで~す!」

 

朱「卯月朱音」

 

 その三人を見て彼らは驚いている。

 

ラ「歴戦の英雄・・・かなりの上におるモノだな」

 

ミ「こんなに若いのに・・・どの世界も一緒なのかしら・・・」

 

 その後ブリーフィングルームの席に管理局側と騎士団(私もこちら側)に対面式で座った。

 

葵「さて、何から話したものか」

 

レジ「・・・彼ら三人の魔力ランクはどれほどだ?」

 

竜「SSだが」

 

ウル「ボクはX+」

 

朱「私もウルナと一緒よ」

 

全員「X?」

 

 そう言えばこっちでは最高がSSSだったか。

 

葵「XというのはSSSより上。XからXXXまである。それより上がerror」

 

は「error? XXXよりも上ってことか?」

 

竜「神に近き者。とも言われている。通称特殊Gランク。そして唯一そのGランクを手にしているのが葵だ。ちなみに俺は戦闘向けではないため指揮官適正並びに事務系としてのランクだな」

 

ウル「Xって言うのはSSSの5倍、XXがSSSの10倍、XXXがSSSの15倍に匹敵するかな」

 

朱「で特殊Gランクはこちらでも匹敵する力の対比が不明っていう意味。まぁ、私たちfamilyは最低でもS+は保有しているわね。ただし非戦闘員も含めるけど」

 

は「最低でS+って・・・・」

 

葵「望んでなったわけじゃない。私も実験されるまではB+だったんだぞ。特殊能力も何も無い。ただ水系統の魔法が得意。それだけのどこにでもいる少年だったんだ」

 

竜「葵だけじゃない。family全員がそうだ。俺たちの世界だと普通に、どこにでもいる人間だった。だが、あの研究以来俺たちには日常が無くなった。常に差別、常に妬まれ、常に何かと戦っていた。安息など無かった」

 

ウーノ「それは話してもかまわないのですか?」

 

葵「別に構わん。私はすでに割り切っている。残りの三人はどうかは知らんがな」

 

竜「こいつみたいにきっぱり。とまでは言わないが起こってしまったことに関してはもう取り返せないんだ。割り切ってるよ」

 

 他の二人も同意という感じでうなずいている。

 

葵「さて、本題に入ろうか。今日なぜ君たちを呼んだのかを」

 

 ここからは真剣な話だというと、全員の眼が変わった。

 

葵「まず一つ。私の元いた世界から軍をこちらにおかせてほしい」

 

ラ「なっ!?」

 

葵「条件は期限付きだ。こちらで反乱をおこすつもりはない。ただ、零始を殺すことができれば軍は元の世界に還す。それまでの期間だ」

 

レオ「そこにいる三人はその先遣隊ということか」

 

葵「そうなる。これだけは言っておく。この世界はもう戦争へ突っ走っているということを忘れるな」

 

フェ「戦争って・・・そんな?!」

 

な「でも、まだそんな大規模争乱にはなっていないんだよ!?」

 

葵「なってからでは遅い。カリムの予言でもあったように狂王。これがどうしてもあいつだと思う。事実【不の者】がいる。深読みならそれでいいんだ。外れていれば余計にな。だが、これが現実になれば管理局だけで対応出来る代物ではないと私は考える」

 

 事実【不の者】一体に対し白、陸の各部隊でも三人、海なら一個小隊導入になる。どう考えても不利だ。

 

ク「君達の世界の被害はどれほどだったんだ。その大戦時では?」

 

葵「世界人口の六分の一を失った」

レジ「六分の一!? 人口はどれほどいたんだ!?」

竜「およそ70億だ。つまり約11億以上は死んだ計算になる」

 

 その言葉を聞いてみな唖然とした。もしここで【不の者】との全面戦争を展開すれば最低でもそれぐらいの被害を覚悟しておかねばらならないということだ。

 

リン「・・・神無月副元帥」

 

葵「葵で結構ですよ」

 

リン「そう? なら葵君。私たち管理局員でできることはないの?」

 

 アルと言えばある。

 

葵「・・・【不の者】戦のみ全局員に殺傷設定を認可する。これだけでかなり違います」

 

全員「!?」

 

竜「待て葵、なら何か? こいつらは今まで殺す覚悟なしであいつらと戦っていたことか!?」

 

ウル「ばっかだ~」

 

エリ「そ、そんなこと言わなくても!」

 

朱「少年。いっておくけど相手は人間じゃないの。下手をすれば殺され、喰われる。殺さないと殺される。それが戦争なの。【不の者】は私たちを人として見てない。ただの餌なの。比喩でも何でもない」

 

 まぁ、実際戦場でもあたりを気にせず食ってた【不の者】もいたからな。

 

葵「もしこの事件を管理局が辞退するというのであれば私は管理局を辞任し自分勝手だが、AKUの全軍を率いてでも零始との雌雄を着ける」

 

 これは本気だ。局が協力する気がなければこちらはこちらで行動させてもらう。

 

レジ「・・・・良いだろ。地上の方は協力する。今までどおりな」

 

ミ「レジー坊!?」

 

ラ「本気か!?」

 

レジ「市民の命にかかわることだ。それに遅かれ早かれ戦わなくてはいけない連中だ。なら協力者は多い方がいい。それに我々局員は【不の者】においては素人同然。一方の騎士団は【不の者】についてはプロだ。それに以前聞いた話だと騎士達は一対一で【不の者】と戦い勝つそうだな」

 

竜「当たり前だ。じゃないと戦争なんて起こさん。それに騎士団も背水の陣だったしな」

 

 まぁ、実際話し合いで折り合いがつく相手でもなかったし。

 

葵「決断が速くて助かる。ではジェイル。例の物を地上に配置頼む」

 

ジェ「待ってました!!」

 

 ジェイルが片手をあげると、そこには三つのガジェットⅠ~Ⅲ型があった。

 

ジェ「これは対ガジェット戦用ガジェット。質量兵器に対する物理障壁を始め陸戦魔導師専用の移動用Ⅱ型など、今までのガジェットとは一新したものだ。当然攻撃性も勝る」

 

 今までのガジェットは青い色がメインカラーリングだったが今は白とガーディアンのマークが描かれている。

 

ジェ「実際ガジェットはすでにガーディアンに実戦配備されている」

 

 まぁ、おかげでかなり有利に戦えている。特にⅡ型の配備はありがたい。

 

葵「まぁ、いざとなったら月面艦隊でも呼ぶか・・・」

 

な「月面艦隊?」 

 

竜「騎士団保有の月面基地に配備されている艦隊です。総隻数現在は建造中などを除き、500以上。アルカンシェルでしたっけ? あれも無効化できますから対応はなんとか出来るな」

 

ク「な、なんだって!?」

 

葵「現在の月面艦隊総監は?」

 

竜「龍牙だ。あいつの指示は何気に的確だからな」

 

葵「・・・・出世したもんだな。あいつが月面艦隊の総監とはな。指示はうまく回っているのか?」

 

竜「あいつの勘は獣並みだぞ。外れる方がおかしい」

 

 確かに。

 

 その後地上でのガジェット配備などを検討すること、海に対するけん制をどうするかなどを話し合い、終わると・・・

 

リン「そう言えば葵君。フェイトさんとアリシアさんとの結婚はいつ?」

 

葵「ぶふぅーーー!」

 

ラ「うぉい!?」

 

 私の目の前にいたキール元帥に茶がかかったが、それよりも!?

 

フェ「り、リンディ統括官!?」

 

フェ「えぇええええええええ///!?」

 

アリ「葵のお嫁さんか~///」

 

葵「り、リンディさん!? 何を?!」

 

 リンディさんは地球で起きた【不の者】事件の後フェイトの後見人なっている。(←今さら感メッチャあるけどね)

 

リン「あら、私も後見人といはいえ早く孫の姿が見たいわ。プレシアもそう言ってたし」

 

葵「・・・・私より彼女たちに見合う男性はいるでしょうに」

 

竜「お前まだそんなこと言ってるのか」

 

ウル「葵モテるからね~」

 

朱「戦時中にもかかわらずラブレターもらってたしね」

 

 あれラブレターだったんだ・・・って、え!? マジ!?

 

竜「あの後大変だったのは未婚女性が増えたことだな。葵がまだ生きてるなんて言って結婚しない女性増えたし」

 

ウル「おかげで法案整備で一夫多妻が普通になったしね~」

 

朱「まぁ、私たちにはもう関係ないけど」

 

 ・・・・マジか!? マジなのか!? 

 

葵「あっちに帰りたくなくなった・・・・」

 

な「リンディさん・・・実は・・・」

 

 そういってっリンディさんを部屋の隅に手招きして何やら話すと。

 

リン「あらあら。葵君も隅に置けないわね♪」

 

 何を話した!? すっごい気になるんですけど!?

 

 その後は緊急将校会議にて半ば私からの脅しでガジェットの採用、【不の者】に対する殺傷設定が認められた。だが、これはあくまでも対【不の者】のみでそれ以外で利用することは固く禁じられた。

 


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