カッコ好いかもしれない雁夜おじさん   作:駆け出し始め

26 / 34



 蛇足としか言えない続編を書くに当たり、感想で多くの方から言われていた点に対する補足を行います。



●1 雁夜が努力もしないで力を得ている点に関して

 此れに関して作者は特に何とも思っていません。
 初めから他者と隔絶した力を持っている玉藻やアルクェイド、龍を祖先に持つ故に圧倒的スペックとスキルを生まれながら持ち且つ神造兵器を与えられたアルトリア、修練の記憶を消失した上で人格が再構築され且つ死に触れて死を理解した遠野志貴、生来の高スペックに加えロアに転生された為稀代の魔術師の知識を手に入れたエレイシア、等等etcetc……他にも沢山似た者は居ますが、此のSSの雁夜は究極的には先の面面と差が在るとは思っていません。
 特に、魔力炉心のお蔭で莫大な魔力を生成して魔力放出をしまくり、貰い物の対城宝具と6次元迄干渉遮断し且つ不老不死化する宝具で固め、生来の直感で技巧無しのゴリ押しセイバーとの差を作者は本当に理解出来ません。

 要するに作者は力を得た背景なんて一切気にしていません(苦難に打ち克つのは尊いと思いますが)。
 神様転生で力を得たのが無責任な力だというなら、生まれながらに莫大な力を持つ者達も無責任な力を持つ者の筈ですから。
 他にも、修行せずに得た力は紛い物という意見に関しては、[修行すれば力を得られる存在が偶偶修行して力を得ただけの話]、としか思っていません(特に初めから神とか龍とか鬼の血を引いていて、力を得られる公算を持っていると把握していれば、修行ではなく制御練習としか思えません)。
 更に、急に力を得たからといって修行や制御をするべきだという意見に関しても、力はあくまで自分の一部であって、力の為に自分が存在しているわけでない以上、急に得た力を腐らせようと磨こうともそれは自身の自由と思っていますので、力に対する責任とかの考えもないです。
 寧ろ力よりも地位に対する責任を確りするべきだと作者は思っています(その上で力有る者には理性的な対応を望んでいますが)。

 以上の理由に因り、作者に力を得た背景に関して色色仰られた方達には申し訳ありませんが、御不快にしてしまったこと自体には謝罪致しますが、改善や修正する気は在りませんので、悪しからず御了承下さい。



●2 雁夜がSEKKYOUしている件に関して

 特に雁夜が庶民の考え方こそ至高としているのが不快と仰られる方が居ましたが、別に雁夜にそのようなつもりで発言させてはいません。
 雁夜には、〔セイバーが自分の都合で此方を巻き込むなら、俺も自分の考え方を全面に押し出してやれ〕、って感じで会話させていただけです。
 作者はセイバーにSEKKYOUする気は微塵も在りませんし、それを雁夜にさせる気も微塵も在りませんでしたが、御不快になられた方が多かったので、改めて謝罪致します。

 尚、これからもSEKKYOUにしか思えない展開になるかもしれませんが、基本的に作者は邪魔者に関しては。【鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス】、ですので(無論リアルでは自制しますが)、話の展開上殺害を中止する代わりにSEKKYOU臭くなるかもしれませんが、其処は御勘弁下さい。
 因みに作者的SEKKYOUは玉藻の神云云全般で、寧ろ雁夜には、〔人外が人の中で生きてんじぇねえよ〕、とSEKKYOUしたい程です。



●3 雁夜がKARIYA過ぎて鬱陶しい件に関して

 此れは作者が頻繁に比較対象として玉藻や此のSSのギルガメッシュを用いていた弊害です。
 つまり、基準が既にチートかチート寸前の強キャラだった為、自動的にKARIYAになってしまったわけです。
 要するに、作者が全面的に悪いということです。
 本当に申し訳御座いませんでした!

 ……自重する気は無かったのですが、自覚していればもう少し他者との比較を抑えてKARIYAと思われる要素を減らせていたと思い、反省しています。
 重ねて謝罪させて頂きます。



 以上が多くの方から御寄せ頂いた御不満に対する作者なりの回答です。
 そして異世界クロス編に突入すると先の回答が因り顕著になりますので、読まれる際には御注意下さい。本当に御注意下さい。寧ろ注意が必要と思われる方は読まれないことを非常に強く推奨致します。

 尚、批判は受け付けておりますが、誹謗中傷は勘弁して下さい。
 特に感想でなくて評価の一言で告げてくる辺りが腹立たし過ぎます。
 全て読まれた上でならまだ構いませんが(止めてほしいですが)、最初の数行見ての誹謗中傷とか本当に勘弁して下さい。本当に折れそうです。色色と。

 それでは上記を読まれた上でそれでも宜しい方は又暫く駄文に御付き合い下さい。

 それではどうぞ。





魔法少女リリカルなのは編
シリアスは、歩いてこない、だから歩いてゆくんだね


 

 

 

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!!!!!!!

 恥ああああずうううううかあああああしぃぃぃぃぃいいいいいいっっっ!!!!!!!!!!

 

 何? 何なの!? 何なんだよっ!? 俺の理性はあいつ相手だと報告無しで急にストライキでも起こしたりでもするのかよっ!?!?!?

 真面目な告白でも恥ずかしいけど、理性のフィルター通って出てるからまだマシだが、ぽろっと漏れる本音は理性のフィルターなんて通ってないだけに、あいつどころか俺も纏めてクリティカルだぞ!?会心の一撃というより痛恨の一撃だぞ!?

 好きな奴を題材にしたポエムを呼んで、しかもそれを好きな奴に聞かれるとか、もうマジで首吊りたくなる程の羞恥プレイだぞ!?

 しかも更に誘爆する様に愛の囁きとしか思えん台詞を洩らすとか、水中で重石を括り付けて首吊りたい程の羞恥プレイだぞ!?

 

 ああ、神様仏様お天道様! これからは健やかに暮らし、そして健やかに愛し合いますから、どうか俺に更なる力というか脚力を今だけ与えて下さい!

 

「みっこーーーーーーーーーーーーーんっ!!!???

 ご主人様ご主人様! 健やかな愛し合いってデートとかも含まれますよね!?ですよね!?ですよね!?そうですよね!?」

「うがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?!?

 サラッと俺の心を読んでんじゃねえよっっっ!!!???」

「そんな無粋な真似なんて断じてしません!

 今のはご主人様が私に祈りを捧げてくれたんで聞こえただけです!

 忘れてるかもしれませんけど、お天道様とは即ち私のことでーすよー!」

「しぃぃまっったっっあああああああああああああああああああ!!!」

 

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! そうだったああああああああああああああああ!!!

 俺の中じゃ、【九尾=玉藻・神=玉藻・仏=玉藻・太陽=玉藻】、って方程式だったああああああああああ!!!

 しかもアルクェイドに俺位の存在の奴が本気で祈りを捧げたら神に対して100%通じるから、借りを作らないように気を付けろって言われてたじゃないかっっっ!!!

 

「ご主人様ーっ! ちょうど世間はクリスマスシーズン(カップルでのデート推進期間)ですから、私達も此れに便乗にしてデートしましょう!!!」

「黙れ罰当たり狐!!! エホバ神へ頭下げに行ってこい!!!」

「あんな信者以外は人も神も仏も精霊も森羅万象纏めて滅尽滅相な奴に下げる頭なんて在りはしません!

 私が頭を下げるのはご主人様だけです! そしてその後に撫でてもらうというご褒美を貰うんです!! そしてその儘特に意味も無くベタベタイチャイチャ甘い一時を過ごすんです!!!」

「ダメだこいつ!? 本気で早く何とかしないと!!!」

 

 と言うか、過程はさて置き、一瞬でも今直ぐ意味も無く抱き合ってゴロゴロしたいとか考えた俺の脳味噌も負けない程に腐ってるな、おい!?

 

「むむむっ!? ご主人様ー! 今、それもいいかな~、とか考えちゃったりしましたね!?」

「おいこら!? 今度は祈りなんて捧げて無いぞ!?」

「甘いです! 蜂蜜よりも甘いです!! だけどご主人様との一時に比べたら全然甘くありません!!!」

「強調したいのか否定したいのかはっきりしろよ!?」

「雨にも負けず風にも負けず、幾度も寸止めお預けなメにも負けず、お早うからお休み迄ご主人様ウォッチャーを続けた私にとって、あれ程分かり易いご主人様の変化から内心を推測するなんてちょちょいのちょいです!」

「俺の彼女がストーカー過ぎて俺のプライバシーがヤバい!?」

「あ、そこは俺の女とか俺の妻とか言って下さーい♥」

「要求が一段階上がってる!?」

 

 いや、流石に恋人(って言うか恋神?)なのは微塵も否定する気は無いけど、未だ結婚するには早いと言うか理解度が足りないと言うか何と言うか……。

 それに結婚したら信仰補正とか何とか、可也洒落にならない規模の危険が湧きそうな気がする。

 後、やっぱり結婚するからには改めて俺からプロポーズして……って、いかんいかん! 今迂闊な事を考えれば又ぽろっと考えを洩らしてしまう!

 短時間で3度も同じ失敗をする程俺も馬鹿じゃない……っってゅええええええええええ!?!?!?

 

 

 

 

 

 

Side In:????

 

 

 

 気が付けば何時の間にか空は不気味なな紫色が渦巻いていた。

 しかも深夜とは程遠い街中に、しかもイヴの日に誰も居ないなんて不自然極まりない。

 おまけに空には露出趣味があるのか、ミニスカートというかボディコンみたいなのを着込んだ女の人が浮いている。 ……遠過ぎて見えないけど、近くで見れば絶対下着が見えるわよね。アレ。

 

 て、……なんか波動砲発射シークエンスみたいにナニカが女の人に集まっていってるって、……やばいやばいやばい!!!

 加速度的に嫌な予感が膨れ上がっていくわ!

 

「っっぅ! すずか! 取り合えず逃げるわよ!」

「えっ?えっ!? に、逃げるって何処に逃げるの、アリサちゃん!?」

「取り合えず物陰に行くわよ! 早くっ!!」

 

 あたしなんかよりずっと運動が得意なすずかを私引っ張って走ることになるなんて、普通なら優越感に浸れるけれど今はとてもそんな余裕なんて無い!

 今は先ず一刻も早く間違い無く死んじゃう攻撃の射線から隠れなきゃ!

 

 引っ張る為に握ったすずかの手の感触と温もりをを心の支えにして一所懸命走ってたけど、あたし達が一先ず近くのビルに飛び込むよりも先に破滅の光が現れた。

 そしてそれが解き放たれると思った時、地面じゃなく世界が揺れた様な気がした。

 あたしだけじゃなくすずかと破滅の光を撃とうとしていた奴も感じたみたいだった。

 だけど、あたし達が足を止めたからといって空の奴が撃つのを躊躇したりしなかったから、当然あたし達はビルに隠れることも出来ずに破滅の光を浴びなきゃいけなかった。

 

 ……訳も分からず変な所に迷い込んだと思ったら、訳も分からず空の奴から訳の分からない攻撃を食らって死ぬのかと思うと、余りの理不尽さに悔しくて泣きたくなった。

 だけど泣く暇も無い程の速さで死ぬのかと思うと、余計に悔しくて悲しかった。

 せめて状況も分かっていないすずかだけでも助けたくて突き飛ばそうとしたけど、――――――

 

「あ、危なかったぁ~。

 後少しでハンバーグを食えなくなるところだった」

 

――――――気が付けば何時の間にか…………………………あたし達は空に浮いていた。

 

 …………はい?

 えっと…………なんなの、此の状況?

 何で気が付けばあたしとすずかはイブの夜中に空を浮いてるの?

 しかも漠然と浮いてるんじゃなくて、走っている人に抱きかかえられている様な感じがするし、今更だけど凄い速さで移動してる。っていうか速過ぎ! どう見たってマッハ超えてるわよ!?

 

 夢かと思って急いで隣のすずかに顔を向けたけど、すずかもテンパった感じで目を白黒させてた。

 

「あー~……っとと、先ずは姿が見えないと話し難いかな?

 で、……えぇっとぉ…………俺は徒の通りすがりの一般人だから気にしないでくれ」

「「…………」」

 

 急に現れた(寧ろ見える様になったや認識出来る様になったってのが正しいのかしら?)奴が、世の中の平均とか普通とか一般に全面戦争を吹っ掛ける言葉をサラッと吐いた。

 

 ……超音速空中走行とか出来るのが一般人なら、オリンピックのタイムは何なのかと一度問い詰めたい。

 というか、風が全然無いのや自衛隊とかに捕捉されていなさそうなこととか、ツッコミたいというか謎な事が幾つも在ってどれからツッコんでいいのか迷って困る。

 

「ご主人様ー! 浮気を飛び越えて光源氏計画とか、絶っっっっっっ対に認めませんからねー!!!」

「とんでもなく人聞きの悪いことを言うんじゃない!」

「ご主人様がロリやペドっていうんなら頑張ってご期待に沿いますから、一先ずその子達を放り捨てて下さーい!」

「いや、もう本当に黙ってくんない、お前!?」

 

 ……一難去って又一難ね。

 しかも今度は貞操と命のダブル危機とか、日本の空気に当てられて神聖なクリスマスで浮かれていた罰が当たったのかしら……。

 

「私の第七感(フォックスセンス)がビンビン反応しています!

 今此処でその二人を仕留めなければ、絶対に将来面倒なことになると告げています!

 ですからちょっと私にパスして下さい!

 大丈夫です! 別に殺したりはしませんから!

 徒、ちょっと頭の中を念入りに漂白して赤ん坊から遣り直してもらうだけですから!」

「無防備にマシンガンの如く核ミサイルを食らい続けても平気なお前が手を焼く存在になる筈ないだろが!?」

「勘なので詳しく説明出来ませんが、一万年先の太陽を時間転移させるよりも面倒な事態になると確信出来るんです!」

「だからって轢き殺しそうになった奴を、[はいそうですか]、って渡すくらいなら初めから素直に轢き殺してるに決まってるだろが!」

 

 ……後ろから声は聞こえるけどさっぱり姿が見えないわね。

 というか、雷が迸ってるのしか見えないんだけど? っていうか、若しかして雷じゃなくてプラズマ!?

 まさか大気摩擦……じゃなくて断熱圧縮で大気がプラズマ化する程の速度で走ってんの!? って改めて前見たら遮光シールドみたいなのが広がってる!?

 

「じゃあ私達に関する記憶を一切合財全部纏めて消し去った上でさっきの時間に転移させます!

 コレなら文句は在りませんよね!?」

「在るに決まってるだろ馬鹿垂れが!?

 あのタイミングに転移させたら此の子等両方消し飛ぶだろうが!?」

「別にそれはご主人様の責任じゃありませんから気にしなくてOKです!

 悪いのは誰が何と言おうと消し飛ばす奴なんですから!」

「っっぅ!?」

 

 こら!?そこで押し黙るな!?

 あたしとすずかの命運はロリペド疑惑のあんたの双肩に掛かっているのよ!?

 男ならか弱くて可憐な美少女二人を守り通しなさいよ!!!

 

 ……って、何よすずか?その、[え?か弱い?アリサちゃんが?]、見たいな顔は?

 後、何であたしの心が読めるのよ?

 

「ご主人様はコレを機に、一度自分が周囲に与える影響を本気で考えるべきです!

 彼処の空間を覗き見していた奴等に私達は捕捉されていませんが、その二人はばっちり捕捉されています!

 此処で解放しても最悪頭の中を弄くられて廃人になるかもしれませんし、口を割らせる体の良い口実として拷問されるとかもありえます! そうでなくても都合の良い協力者に仕立て上げられるのはほぼ鉄板です!

 そして当然ご主人様はそれを撥ね退けるだけの力が在りますが、流されて力を振るい続ければ絶対碌な目に成りません!

 それを回避する為にも心を鬼にしてこの二人を放り出すべきです! 私の嫌な予感を晴らす為にも!」

「その一言で全部が台無しだ!!!???」

「私はご主人様には決して嘘を吐いたりはしないんです!」

「良い事言ってるけど、世の中には知らない方が幸せなことって結構在るからな!?」

 

 全く同感ね。

 最後の一言がなかったら此の人を想って憎まれ役を買って出てる人に思えなくも無かったのに、一気にグダグダに成ったわね。

 

「私はご主人様に隠し事もしたりしないんです!」

「いや、乙女の秘密とかほざいて結構秘密にしてる事が在るんだけど!?」

「秘密であって隠し事ではないからセーフです!

 第一、秘密は女を美しくする為の大事な要素なんです! 化粧の様なモノなんです!」

「化粧する必要も無い奴が何言ってんだ!?」

「むむむっ!? それはそんな必要が――――――」

「ちょっと待った玉藻!」

「――――――無い……って、どうしましたご主人様?」

 

 急に止まる何てどうしたのかしら?

 後、此の儘物騒な雰囲気が流れてくれれば万万歳って思ってたけど、物騒というか嫌な予感が跳ね上がった気がするわね。

 

「上のアレ。何か地球に対して洒落にならんことしようとしてる気がするんだが、抑止力からの要請か自前の勘かはっきりしないんだが、詳細分かるか?」

「はいはーい。

 ご主人様に頼られたとあらば直ぐに真面目にお答えします。

 

 ……え~と実測とクラッキング結果と推測が混じりますが、

 

●登録艦名 :Administrative bureau L-class inspection ship Arthra.

      和訳で、時空管理局巡航L級8番艦アースラ

●時空管理局:地球外惑星で発祥した惑星間の秩序維持組織。

      司法権だけでなく事実上立法権と行政権も兼ね備えた、警察と軍の混合組織。

      活動内容は物理科学文明の排斥と魔導科学文明の強制、並びに再現不能技術の徹底独占。

      活動範囲は魔道科学文明域限定だが、犯罪者並びに前項目が関わる場合その限りでない。

      極めて高い独立性を有した組織の為、主権侵害という概念が存在しない。

      最高意思決定機関の者の寿命や現在地や活動内容等に疑問点多し。

      組織の規模は巨大だが自浄作用が働かぬ為、50年以内に自壊すると予測される。

●目標位置 :対地同期軌道高度の約35816km。

●目標速度 :秒速約870nm。

●移動方向 :自転方向の真逆方向、及び地表へ対しての仰角約1度。

●主兵装  :全て魔道科学を用いているが地球の兵器に比べて総じて実用に難在りと推測。

●特殊兵装 :名称Arc-en-ciel(アルカンシェル)

      着弾点から半径約百数十kmを空間歪曲と反応消滅を撒き散らすとされている。

      尤も、誇張表現されていると判断され、搭載されている物も該当するかは不明。

●捕捉   :次元の海を渡り且つ管理すると自称しているが、次元突破には至っていない模様。

      同次元及び同位相内の他天体へと転移する技術を誤解しているだけと判断される。

      転移方法は異なる位相空間を介して行われる。

      魔導科学と呼称されるが、最終的には動力源が魔力かそれ以外かという大同小異。

●行動目的 :再現不可能品、通称ロストロギアの徴発、若しくは破壊。

      尚、破壊する場合は地上へ向けてアルカンシェルを発射予定。

      アルカンシェル着弾点は先程の結界内に収束すると予測される。

●現在動向 :再現不能品である呼称・闇の書の徴発乃至破壊。

      更に先程結界を崩壊寸前に追い遣り且つ現地民二名が消失した原因究明中。

      尚、現在に至る迄私達の周囲を徹底的に対地同期軌道(衛星軌道)から解析を試みられています。

      尤も、断熱圧縮による高電離気体化等の二次的なものしか観測されていません。

      又、私達が此の空域に留まっている事を示唆する情報を彼等は一切得られていません。

 

以上です。

 尚、抑止力がご主人様を危険地域に向かわせるとは考えられませんので、ご主人様が感じられたのは総合感覚と言われる第六感ではないかと思われます」

 

 …………マジ?

 

「地表へ向けて特殊兵装を発射された場合どうなると思う?」

「仮にカタログスペック通りの破壊を齎すならば、表層地層どころか地殻プレートに数十kmのクレーターを作りますから、ユーラシアとフィリピン海と北米と太平洋の4つのプレートの均衡が一気に崩れますから、そのプレート上は未曾有の大地震が発生するでしょうね。

 しかも運悪く岩石圏を越えてクレーターを穿たれた場合、地球開闢に迫る勢いの噴火が起こり、北半球の殆どが噴煙に覆われて氷河期に突入する可能性もあります。

 更に自然風・気流・地磁気・地熱・潮流等が大幅に減衰すると予測され、少なくとも北半球は現在の生命体が生存するには非常に厳しい環境になると思われます。

 恐らく1世紀で地球の総人口が85%は減少するでしょう。理性が低ければ南半球の地を巡って世界大戦が引き起こされて0.1%も残らないでしょうね」

「……まあ、そうなるよな」

「因みにその引き金を引こうとしている奴等にその自覚は皆無っぽいです。

 後、その点をツッコんだらそれでも守れる奴が多いから問題無いっていう正論と思ってる寝言が返ってくると思いますけど」

 

 ……いや、確かに寝言かもしれないけど、それって言う奴は本気でそう思ってそうで怖いんだけど?

 少なくても本当にそんな兵器をコッソリ善意で地球に使おうとか思ってるなら、絶対に話が通じないとしか思えないんだけど?

 

「……ところで徴発とかしようとしている大義名分って分かるか?」

「〔全てのロストロギアは時空管理局が平和利用する為の物であり、その所有権は全て時空管理局に帰属する〕、という感じですかね。オブラートで包み隠せば」

「……余り聞きたくないが、包み隠さず言えば如何なるんだ?」

「〔俺の物は俺の物。お前の物も俺の物。 お前の罪はお前の罪。俺の罪もお前の罪。 世界の平和は俺のお蔭。だからお前は俺に従え〕、って感じですかね」

「「「………………」」」

 

 何処かの剛田武も吃驚の理論ね。

 というか、本気で思ってるんだとしたら絶対に関わりたくないわね。

 多分朝鮮半島辺りに強大な軍事力を持たせた感じっぽい組織かしら?

 

「全力で関わり合いになりたくない組織だな。

 ……と言うか、俺達って見つかったら面倒なことにならないか?」

「ほぼ確実に相当面倒な事態になりますね。

 生身で向こうがどれだけ技術と時間を費やしても再現不可能な事が出来ますから、神か化物にしか見えないでしょうね」

「主にお前がだけどな。

 俺には日本を蒸発させるような火力とか無理だしな」

 

 何それ? すっごい怖いんだけど?

 

「むっ? 私が本気を出せば月を叩き落されても押し切られる迄に蒸発させられますからね?」

「いや、神と真祖が化物なのはよく解ってるから、今更張り合うなよ」

「いえ、いくら親友と雖も、ご主人様に私より高く評価されるのは我慢出来ませんから。

 後、、私達からすればご主人様の技能の方がぶっ飛んでますから。

 時間旅行?死者蘇生?世界跳躍?天体消滅?何それ美味しいの? が、ご主人様の技能ですから」

「今一実感湧かないけどな。

 第一、自衛能力と直結してないから俺的にはどうかと思うけどな」

「そんな卑屈にならなくても、ご主人様は月を両断するくらい出来るんですから、誇られてもいいと思いますよ?」

「それだと結局月を支えきれずに死ぬし、そうでなくてもスペックで負けてるから瞬殺だけどな。

 実際さっきだって本気出せばコンマ01秒も掛からず追いつけただろ?」

「あああ!? ご主人様がネガティブに!?」

 

 ……100m位を1/100秒未満で追いつけるって事は10km/s以上速度を上げられるってこと?

 さっきの速度が5km/sぐらいと思うから、その3倍で動けるって……赤くなれば性格的にもぴったりね。

 

 後、落ち込んでるみたいだけど、一般人はミサイルを速力だけで振り切れそうな速度で動けないから、落ち込む理由なんか無いから。

 ……いや、彼氏の自分が彼女よりも弱いから落ち込んでるのかしら?

 

「別にネガティブになってるわけじゃない。 単に当然のことだもんな。

 俺の頭がパソコン並ならお前の頭はスパコン超えてるし、俺の移動速度と範囲がスペースシャトル並に動けるとしたらお前は宇宙航行を前提にした大和だし、俺の攻撃が気功ホーならお前の攻撃は超GENKIDAMAだし」

 

 いや、ほんとに何それ?

 少なくても向こうのあいつはどっかの魔人とかと宇宙の平和の為に戦っててほしいんだけど?

 

「って、いかんいかん! 今は鬱に陥ってる場合じゃない!

 取り合えず此の星でゆったりマッタリのんびりノビノビ穏やか気儘に過ごす為にも、闇の書とか言う古痛臭い名前のロストロギアだかをどうにかしないとっ」

「あ、ご主人様が利益の為……と言うか、ご主人様が不利益を被らない為に行動するなら異論は全くありません。

 寧ろ私がご主人様の御手を煩わせない様に代わりたい程です」

「…………仮に代わったとしたら如何解決するつもりなんだ?」

「手間を省く為にもあの結界内を熱滅却処理したいんですが、流石に鏖でオーバーキルだとご主人様も嫌ですよね?」

「全身全霊に財産や未来や尊厳とかを賭けろなんて頭おかしいこと言うつもりは無いけど、少し手間が掛かるだけでどうにかなるなら、とばっちり殺人は止めてくれ」

「ですよねー。

 解りました。ご主人様がそう仰るんで、謎の爆発で動機による絞込みを撹乱させるのは止めにしますね。

 なら……主ごと封印か滅却ですかね?

 私的には面倒の少なさと慈悲も兼ねることから滅却を押しますけど」

「まあ……封印されても彼処の奴等に回収されて調べ尽くされるだけだろうしな。

 それに封印から解放されても不名誉なレッテルを張られた上で使い潰されるだけだろうしな」

「ですね。

 将来器量良しに成りそうですから、金持ちや高官の好事家辺りに心身使い潰されそうなのは同じ女として情けを掛けてあげたいですからね」

 

 気分が悪くなる話だけど、封印して胸糞の悪い未来に放り捨てるか、それとも此処でサクッと殺すという慈悲を与えるのか、…………恵まれた所で生きている私に出せる……いや、出していい答えじゃないわね。

 

「ところでご主人様? さっきから気になっていたんですけど、どうして其処の二名はご主人様や私を認識しているんですか?」

「あぁ、今俺を包んでいる不思議物質の特性を弄くって見えるようにしているだけだ。

 序に慣性や圧力や衝撃や遮光や断熱とかも大丈夫な様にしてる……と言うか、こっちの特性が元からので、認識関係は後付けなんだけどな」

「…………あの~ご主人様? 不思議物質で触れた際の対策は為されてますか?」

「は?」

 

 …………何でかしら? 既に分水嶺を越えている様な質問がされてる気がして仕方ないんだけど?

 

「ですから、不思議物質に触れたらそれだけで変質というか汚染というか昇華するじゃないですか?

 その辺の対処は如何されているんですか?」

「……いや、不思議物質は俺を基点に縦横半径2mと5mの楕円球状に展開してるから、触れられる心配がないから対策とってないぞ?」

「いえ…………ご主人様自身が不思議物質なんですけど?」

「………………」

 

 ………………今、あたしだけじゃなくてすずかもこう思っている筈。【ナニカが終わった】、って。

 

「い、いや、普段から俺が着てる服とか、他にも俺が吐いた息とか、何より桜ちゃんに触れても特に何てことなかったぞ?」

「そりゃ普段はご主人様を構成している不思議物質は安定状態ですからそう簡単に接触している物質に影響を及ぼさないでしょうし、影響が小さいなら世界が修正したりしますから目に見える影響は無いと思いますよ?

 でもですね、バリバリ力を揮って活性状態の時にご主人様に触れれば、大抵は修正するよりも受け入れた方が楽でしょうから、流石に影響は出ると思いますよ?」

「い、いや、その状態でぶん殴ったギルガメッシュや、その後で抱えた桜ちゃんとかに目立った変化は無かったぞ?」

「そりゃ無い筈ですよ。

 直接的な傷害なら兎も角、接触変質という三次効果なら自前の神秘で普通に弾けるでしょうし、桜ちゃんに至っては過去に取り込んでるんですから触れた程度で変化が目に見えて表れるわけ無いじゃないですか?」

「…………………………どぅふ」

 

 …………はい、あたしとすずかのナニカが終わったわね。

 

「はあぁっ…………前前から時時言ってましたけど、ご主人様はもう少し自分が常識外の存在だって自覚した方が良いですよ?

 ご主人様風に言えば、ご主人様と人間の差は火の鳥と蟻くらい離れてますから、ご主人様が普通に居るだけでも周囲に与える影響は甚大なんです。って……火の鳥に喩えるって、凄く的を射ていると思いませんか?」

「……別に俺の生き血を飲んでも不老不死に成ったりしないと思うぞ?」

「いえ、人間を不老不死にするっていうスケールの小さい話ではなく、世界を……いや、まあ、いいです。

 それより、状況が動き出しましたから、何をするか早く決めちゃいましょう」

「とと、そうだな。

 だけどその前に代わりに頼む」

 

 その言葉と共に呆気無く放り投げられるあたし達。……ってぇっ!? 

 

「ちょぉっっっ!!!???」「っっっ!?!?!?」

 

 落ちる落ちる落ちる落ちる落ちるっっっ!!!

 渡すにしてもせめて一声掛けてから手渡しなさいよっっっ!!!

 

「いやん♪」

「な”ぁっっっ!?!?!?!?!?!?」「え”え”っっっ!?!?!?!?!?!?」

 

 わざとらしい悲鳴を上げて躱すなっっっ!!!!!!

 

「又来世~★」

 

 一点の曇りも無い太陽を髣髴させる表情を浮かべた女に見送られながら、あたしとすずかは夜の地へと落下していった。

 

 

 

 見えなくなる寸前、驚いた顔でこっちに駆け付けようとする男の人を澄み切った笑顔で止めているのを見た時、何時の間にかあたし達は恐ろしい世界へと迷い込んでいたのだと遅蒔きながらに実感した。

 

 

 

Side Out:????改め Alisa(アリサ)

 

 

 







 悪乗りしてリリカル世界編突入です。
 但し作者の気分次第で次話で終わるかもしれませんし、逆に地球に数の子達が溢れて管理局と全面戦争になるという喜劇の様な長編になるかもしれません。
 つまり予定は未定です。
 下手すれば別の短編を作成する時に整合性を保つ為に(←鼻で笑えるレベルしかありませんが)抹消される可能性すらある作品ですが、宜しければ暇潰し程度にでも読んで下されば幸いです。

 尚、先に断言しておきますが、バーニング化するかしないかは兎も角、〔アリサさんはSSSオーバーのレアスキル持ち魔導師なんだぜ? ヒャッハー!〕、にはしません。
 寧ろ、[アリサちゃんはSSSオーバーの魔導師なんだから管理局に入らなきゃダメなのっ(キリッ)]、とか言われて友情が剥げ落ちていく可能性ならあります。長編なら。
 因みに自分は、なのはアンチでもアンチなのはでもなく、なのはよりも他のキャラが好きなだけです。
 具体的にはアリサやすずかやリインフォースとかとらは3のフィリスとか。だけどロリじゃありません。Ⅱは御勘弁願いたいですし、4期のViviオは個人的に4番の人に並ぶ程NGキャラになっています(此の3名が好きな人、すみません)。それにロリやペドとは、幼稚園のプールの光景を赤外線カメラで撮影している奴を指すと思います。

 それと、投稿速度は以前に比べて格段に低下しますので御了承下さい。
 ……冷静に振り返れば、どうやってあの速度を維持出来ていたのか今更ながらに謎です。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告