IS インフィニット・ストラトス ~天翔ける蒼い炎~   作:若谷鶏之助

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更新が遅れてしまい申し訳ありません。


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 目覚めたとき、俺は学園の医務室にいた。体を起こすと、散々俺を悩ませていたあの頭痛は、どこかに消えていた。

 時刻は十一時を過ぎ、外はすっかり明るくなっていた。ちょうど十二時間ほどだろうか、気を失って眠っていたのは。

 

「あら、天羽くん目が覚めたの!?」

 

 俺が目覚めたこと知った医務室の先生がやってきて、ベットの近くにまで来る。先生と距離が縮まると、ぶるりと体に震えが走った。

 ま、待ってくれ。先生忘れていないか、俺が女性に触れられないのを!

 俺が全力で両手を突き出し静止のポーズを取ると、先生はああ、と納得して近寄る足を止めて苦笑いする。

 ……まあ、不本意なことにIS学園に来てから何度も気を失ってお世話になっているからな。俺が女性を苦手にしていることもご存知である。今回は理由が理由なだけに、先生も心配してくれていたのかもしれない。

 先生は楽にしててね、と一言言い残して、ベットのカーテンを閉めた。

 

「はあ……」

 

 ため息がこぼれる。再びベットに横になってみたものの、これだけ眠ってしまうと眠気はまったくなく、目を閉じても意識が途切れることはなかった。

 蒼炎はリングとチェーンの待機形態で俺の首元にあった。損傷状態を確認したところ、一部ダメージを受けているものの、深刻と言うほどではなかった。

 不思議だ。昨日あれだけのことがあったというのに、あの頭を揺さぶるような激しい頭痛も、暴れ回る鼓動も、すっかりなりを潜めていた。昨日のことが嘘であったかのように、平然としている。

 そういえば、今日は月曜日だった。生徒の声が聞こえないので、他の生徒たちは何をしているのだろうと気になった。先生に聞いてみると、先生曰く、昨日の一件で一時休校となり、全員学園内にて待機が命じられたとのことだ。そして専用機持ちは、現在別室にて情報の整理を行っているらしい。

 

「そうですか。ありがとうございます」

「例には及ばないわ、仕事ですからね。……織斑くんも、みんなも心配してたわよ」

「…………」

 

 ……そうか、皆が。

 

「会議が終われば顔を出すと言っていたから、ここで待っててね」

「はい」

 

 それから先生に、俺が気を失ってからの詳しい経緯について訪ねたところ、気を失った俺を一夏が受け止めて医務室まで運んでくれたらしい。意識こそなかったものの、命に別状はないということで、俺は医務室のベッドで寝かされていたということだった。なお、一夏以外の専用機持ちは、俺の戦闘が始まって程なく警告音が鳴ったため、一夏以外の専用機持ちがスクランブル出撃したものの、彼らが到着する頃には戦闘は終わっていたという。

 無理もない。俺は早々に無力化されてしまっていたし、一夏の戦闘は白式の性質上短期決戦になりがちだ。戦闘時間は五分となかっただろう。

 状況の整理が終わってしまい、特にするべきこともなかった俺は、ベッドに横になったまま思考を巡らせた。

 

「あれは……」

 

 手の額に当てて、昨日の記憶を手繰った。

 俺と瓜二つの容姿を持つ女。強奪されたイギリス製第三世代機。

 

 ――嗚呼、もう一度、呼んでもらえるなんて……! もう一度逢えただけでも、十分だったというのに!

 

 俺はあのとき、あの女を『翼』と呼んだ。

 

 ――そう、私の名は(つばさ)。開発ナンバー〇二八三、天羽(あもう)(つばさ)ですよ、兄さん――。

 

 開発コード〇二八三……『翼』。語呂合わせのように見えるが、果たして何の意味を持つのか……それはわからない。

 大体、わからないことだらけなんだ。俺を兄と呼んだあの女が誰なのかも、俺との関係も……そもそも俺は自分の出自すらまるで知らないのだ。

 何か知っているに違いないはずの束は音信不通、俺から距離を置いてどこかへ去ってしまう始末で、俺は途方に暮れるばかりだ。

 手がかりも頼れるヒントもない。仮にあったとしても、今の俺には検討もつかない。

 

「――なあ、俺は……」

 

 束はすべてを知っていた。知識も、ISのことも……わからないことは何だって束が知っていて。俺が聞かなくても、束はいつも自分の行動や何かを通じて俺に伝えてくれていて、俺にわからないことはひとつもなかった――いや、わからなくても良かったのかもしれない。束がいれば、俺のわからないことなんて些細なことなのだから。

 束との断絶で、思った以上に精神的に堪えているらしい。いかに束の存在に依存していたことに気づかされる。そもそもIS学園(ここ)に来たのだって束の意思によるものだ、俺が自ら決めたことではない。

 

「俺は、どうすればいい……束」

 

 小さく呟いたとき、だだだだだと激しい足音が廊下から聞こえてきた。

 

「……ぉおにいいさまああ~~……!」

 

 段々と声が大きくなってくる。

 こ、これは……まさか……。

 十中八九あいつであろうが、逃げ場もないこの状態ではどうしようもない。案の定、病室のドアがすさまじい勢いで開いて、銀髪の少女が飛んでくる。

 

「お兄様ー!」

「ぐほっ!?」

 

 長い助走が可能にした力強い跳躍。ラウラはその勢いのまま、俺の胸に頭突きをかました。その一撃は腹筋に力を入れた程度の防御は容易く貫通し、鳩尾にクリーンヒットした。

 

「ぐお、ラ、ラウラ……!」

「目が覚めたのだな! 意識を失ったと聞いたが、大丈夫なのか!? 怪我は!?」

 

 頭をぐりぐりと擦りつけながら質問攻めにしてくるラウラ。

 

「一遍に聞いてくるんじゃない……」

 

 とりあえず体を起こそうとラウラを引き剥がしにかかるが、この細身のどこからそんな力が湧いてくるのか、ラウラを退かすことはできなかった。

 どうしたものかと思っていたら、黒いスーツの袖がにゅっとラウラの背後から伸び、漆黒の出席簿がラウラの頭に振り落とされた。スパン、と子気味のいい音が鳴る。

 

「あうっ!?」

「廊下を走るな、そして病室では静かにしろ馬鹿者」

 

 織斑先生は、頭を押さえるラウラの肩をがしりと掴んで持ち上げ、俺のベッドから引き下ろした。

 

「以後同じ真似をしたら入室禁止にするぞ、いいな?」

「は、はい、わかりましたきょうか――織斑先生」

 

 教官、と言いかけてすぐさま言い直すラウラ。織斑先生にだけは逆らわない点は入学当初から一貫している。

 ラウラの突撃(ブリッツ)騒ぎが収まると、開け放たれた医務室のドアから専用機持ちが入室してきた。

 

「あらあら、愚かしいですわねラウラさん。このパターンは何度も経験済みなのではなくって?」

 

 優雅にふわりと金色の巻き髪を揺らして入ってきたのはセシリアだ。

 

「同じミスを繰り返すのはお馬鹿さんのすることでしてよ」

 

 いつものように煽るセシリアに、ラウラは「ふんっ」と鼻を鳴らした。

 

「作戦室で翔さん翔さんとお兄様のことばかりで教官に二度も喝を入れられた貴様に言えたことか?」

「なんですって?」

 

 売り言葉に買い言葉。いつもの調子で二人がぎゃーぎゃーいがみ合い、お約束のように織斑先生に仲裁もとい制裁されているのを横目に、簪がするすると横から俺のベッドまでやってきて、「翔、おはよう」と控えめに話しかけてきた。

 近いが、セーフティラインではある。それなりに付き合いがある簪だからか、俺とのベストの距離感を心得てくれているようで安心だ。嬉々として領域侵犯をするどこかのイタズラ生徒会長とは大違いである。

 

「身体、大丈夫?」

「ああ、今のところは問題ない」

「そう、良かった」

 

 ほっとした様子の簪。あまり顔に出さないやつだが、それがすぐわかるくらいには俺のことを心配してくれていたらしい。

 それから、と簪は後ろ手に隠していた紙袋を俺に手渡した。何かと思っていると、簪はほんのり顔を赤らめて、「抹茶のカップケーキなの」と呟いた。

 

「甘さは控えめ、翔向けに」

「ほう、いいな」

「うん。自信作だから、食べて」

「あとでいただこう。ありがとう、簪」

 

 礼を言うと簪は赤くなって俯いた。ううん、と首は振るが目は合わせない。

 

「簪ちゃんお手製の差し入れなんだから、ちゃんと食べないとぶっ飛ばすからね」

 

 簪の後ろにひょっこり現れたのは会長だ。トレードマークの扇子がばっと開き『感謝感激』の文字が。ありがたく思え、ということか。

 

「言われなくてもありがたくいただきますよ」

「そう? 私がお菓子とか作ってきても絶対遠慮しときますとか言うでしょ翔くん」

「会長が作ってきたものを警戒しないわけがないでしょう」

 

 むぅー、と頬を膨らませる会長。子供か!

 

「相変わらず不愛想でお姉さん困っちゃうわ。ねえ、簪ちゃん」

「……私が翔でも警戒する。お姉ちゃん、すぐイタズラするし」

「簪ちゃんまで!?」

 

 うえーん、と白々しくウソ泣きする会長。最近怪我も癒えて、いつも通りのテンションで絡んでくるため面倒くさいことこの上ない。

 

「ああっ、簪さんったら! ズルいですわ!」

「貴様……知らない間に神経が図太くなったな」

「漁夫の利は立派な作戦勝ち」

 

 織斑先生から解放されたセシリアとラウラが簪に食ってかかるが、簪は飄々としていた。簪も変わったな。最初はセシリアやラウラと見合っているだけでガチガチに緊張していたというのに。

 少し遅れて、他の専用機持ちたちも全員が集まってきた。鈴とシャルロット、箒と……そして複雑そうな表情を浮かべる一夏がいた。

 

「――よし、全員揃ったな」

 

 織斑先生の一声で、騒いでいた専用機持ちの面々がぴたっと整列した。俺もベッドから立ち上がって、専用機持ちに倣った。そのままでいいぞと織斑先生が言うが、俺の体調はまったく問題ない状態だった。

 

「特に問題ないようだな。なら、この場で報告することがあるだろう、話せ」

「はい」

 

 頷いた俺は、昨日の出来事の経緯を話しはじめた。

 まず、門限間近の学園内にてイギリス第三世代機『サイレント・ゼフィルス』を駆る侵入者を発見・交戦したこと。侵入経路は不明。人気の少ない学園の領空での戦闘。

 交戦状態にはなったものの、俺は突如襲う原因不明の体調不良により早期に前線を離脱、間一髪合流した織斑一夏が交戦、ゼフィルスを撃退するに至った。

 

「織斑からの報告とも一致するな。何か得た情報はあるか?」

「……ヤツは、俺を『兄さん』と呼びました」

 

 織斑先生と、専用機持ちが驚いた表情を見せた、特にラウラは、眉をしかめて俺を見つめていた。

 

「俺には肉親がいません。兄と慕ってくれるラウラはいますが、血の繋がりのある人物は、誰も――」

 

 しばし、室内に沈黙が訪れる。ラウラがお兄様、と小さく口にした声が、やけに大きく聞こえる。

 

「だからこそ、遭遇した瞬間に、直感的に判断しました。逃がしてはならないと」

 

 冷静な判断を仰ぐなら、他の専用機持ちとコンタクトを取って体勢を整えるべきだった。だが、考えるより先に身体が動いていた。一夏が来てくれなければどうなっていたかわからない、俺らしくない判断だった。

 

「しかし結果はこの様です。独断専行の処罰は、何なりと」

 

 申し訳ありませんでした、と俺は織斑先生に低頭する。やったことの責任は追及されなければならない、筋は通す。

 

「了解した。……では、天羽、織斑の両名の処分は、追って連絡する。現段階で確認できている情報はこれですべてだろう、また進展があり次第、共有する。では、解散!」

 

 織斑先生の号令で散開となった。各々やるべきことがあるらしく、ラウラとシャルロットは二人で寮の部屋に戻り、鈴音は適当に俺と雑談したあとアリーナに向かうと言い残して離室、更識姉妹は二人で確認したいことがあるから、と先ほどまで会議を行っていた作戦室に戻った。

 だが、残った者もいた。織斑先生が医務室から出るなり、わっと俺のところに駆け寄ってきたのはセシリアだ。

 

「翔さん、お身体は大丈夫ですの?」

 

 少し余裕のない表情を浮かべるセシリア。俺はばつが悪くなって、少し目をそらした。

 

「すまない、心配をかけたな」

「もう、翔さんったらいつもそうですわ。人に相談もせず勝手に動いて!」

 

 強奪されたサイレント・ゼフィルスがイギリス製の機体であることに加え、文化祭の一件でセシリアには個人的な因縁がある。その借りを返したい気持ちは山々だろうから、今回の一件で一番複雑な思いをしたのは、もしかしたらセシリアかもしれない。

 セシリアの小言に三度すまないと返しながら、俺は近くにいた箒が俺に話しかけた。

 

「翔、ひとつ聞きたいことがあるのだが」

「何だ?」

「一夏のプレゼントを買いに、私と出かけたときのことを覚えているか?」

「……ああ、覚えている。俺もそのときのことを聞こうと思っていた」

 

 ちょうど箒と二人で買い物をしているタイミングだったか、急に立ち眩みのような現象が起きて、体調に異変が起きたのは。

 待ってくださいな、とセシリアが口を挟む。

 

「そんなことがありましたの?」

「ああ、そうだ。急に翔が頭を押さえてしゃがみこんだときがあってな、今日の報告と似た状況だったと感じた」

「そんなことが……。何か思い当たる節はありませんの?」

 

 セシリアが尋ねたが、俺は「ない」と即答した。箒もそうか、と考え込んで押し黙った。

 その瞬間が何があったのかまでは思い出せない。ごく普通の生活の中で突発的に、かつ短時間だったため、箒との細かい会話の中身やそのときの俺が何を考えていたのかは朧げだった。

 

「……わからないんだ、何も」

「翔さん……」

 

 投げやりのような俺の一言に、セシリアが心配そうに眉を落とした。いつも柔らかな微笑みを浮かべている彼女に、こんな顔をさせてしまっていることが情けない。

 

「セシリア、箒」

 

 椅子に腰かけていた一夏が立ち上がって、俺以外の二人を呼んだ。

 

「悪いんだけどさ、ちょっと翔と二人で話たいんだ」

 

 一夏が提案した。俺も一夏と話たいことがあると伝えると、セシリアと箒は顔を見合わせた。一夏が人払いをすることは珍しい。それを知っている二人だからか、特に反論はせず頷いた。

 

「わかった、一旦席を外そう」

「翔さん、また後ほど連絡いたしますわ」

 

 行きましょう、とセシリアは箒と一緒に部屋を出て行った。

 ――これで、部屋には俺と一夏だけになった。

 

「一夏」

「ん?」

「そういえば、礼を言い損ねていたな。ありがとう」

 

 一夏はいいって、と手をぷらぷらと遊ばせた。

 

「夏の堕ちた福音(ゴスペル・ダウン)のときのお返しだ」

 

 一夏がにっと笑った。そうだな、と俺も小さく笑った。

 少しずつ夕日が傾くIS学園の医務室。一二月になればもっと日も短くなるだろう。

 

「目、黒いままだな」

「…………」

 

 俺が気を失う寸前、一瞬目が真っ赤に染まったのだと、一夏は言う。充血ではなく、瞳の色が赤くなったようだ、まるでラウラのように。だが俺が目覚めて会ってみると、普通に黒い目だから、見間違いかもしれないと思ったようだ。

 天羽翼と名乗ったあの女は、俺と目が合ったとき、その目を真紅に変えていたのを蒼炎のハイパーセンサーは捉えていた。

 

「ひとつ、聞きたいことがあるんだ」

「何だ?」

「『翼』って、何のことだ。あいつの名前か? 翔とそっくりだったのには、何か理由はあるのか?」

 

 一夏が俺に問うた。俺とヤツの会話が何か一夏には聞こえていなかったということは、ヤツはプライベートチャネルで俺に話しかけていたということか。

 

「――わからない」

 

 一夏の問いに俺はそう答えた。あのとき、俺が何故あのような言葉が、名前が出てきたのか、自分自身分かっていない。その問いの答えは、俺自身が一番求めている。

 だが、半分は嘘だった。確かにヤツは名乗った――『翼』、天羽翼と。そんな名前の女を俺は知らない。

 一夏はそっか、と答えて何も言わなかった。深くは詮索してこない、興味がなくなったわけではないのだろうが、これ以上俺を問い詰めても何も起こらないであろうことは、何となく感じているらしい。

 

「なあ、翔」

「何だ」

「あんま、抱え込むなよ?」

 

 一夏が微笑んだ。

 

「心配なんだ。翔はいつも一人で抱え込んで、何とかしようとするから」

「…………」

「俺だけじゃない、セシリアも、ラウラもそうだ。鈴やシャルも、みんな翔の力になりたいって思ってるんだ」

 

 俺の力になりたいと思ってくれる者たちがいる、それはありがたいことなのだろう。

 だが、仮に。もし仮に、ヤツが、天羽翼がIS学園を狙った目的が、俺の存在だと言うのなら……俺はもしかしたら、この学園を去る方が良いのかもしれない――と、そんなことを考えてしまっていたから、俺は何も言えなかったのである。

 

 

 

 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

 

 

 

 事件からときは経ち、一二月。最後の期末試験に向けて勉強をする傍ら、冬休みの活動についての皮算用に忙しいIS学園の生徒たち。

 IS学園の生徒の出身国は様々だ、ニューイヤー休暇くらいゆっくりさせたいという意図からか、普通の高校よりも冬休みが長く、大体一二月の半ばから年明けから二週間ほどの約一か月間、休暇となる。

 専用機持ちは特にこの時期忙しいらしく、それぞれが機体のチューンナップやデータのフィードバックにとてんやわんやであった。が、それも国家代表候補生が国のISを駆るからであるからして、そういう報告義務などは特にない俺には時間があった。

 それは、いつも通りに食堂で昼飯を食べていたときに起こった。

 

「翔っ!」

 

 お気に入りの冬版日替わり定食を食べていたところに、シャルロットが血相を変えてやってきた。

 

「シャルロットか、どうした?」

「通達、聞いた!?」

「通達? 何のことだ?」

 

 まったく話の流れが見えてこない俺に、シャルロットはこれ、と手に持ったプリントを勢いよくテーブルに置いて見せた。

 その中には、衝撃的な内容が書かれていた。

 

「国際IS委員会からの通達……『男性IS操縦者、天羽翔・織斑一夏両名を欧州留学に招待。期間は冬期休暇期間中』――何だと……!?」

 

 シャルロットは「ねえ、どうしよう」と困惑していた。

 

「そんなもの、俺が聞きたいに決まっているだろう」

 

 俺の返答に、シャルロットは「だ、だよね」と苦笑した。

 

 

 

 

 かくして、新たな仲間との出会いに恵まれ、それぞれが絆を深めた秋は去り、衝撃に満ちた激動の冬が訪れる――。

 そして俺は、向き合うこととなる。己の出自と、空白の記憶に。

 




これにて第16章は終了となります。長く時間がかかってしまいましたことをここにお詫び申し上げます。
第17章は七月になってからの開始を予定しております。ご期待くださいませ。

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