ヒッキーがもしも神座シリーズを知ったら、というIF。
ヒッキーの渇望は屑兄さんでしょうが、共感できるとするなら練炭だと
曙之光の14日むぅびぃを見つつ思いましたので執筆。
A.大切な人の穢れを全て引き受ける者になりたい
―――時よとまれ おまえは美しい、か。
読んでいたコピー紙から、視線を上げてこめかみを揉み解す。
奉仕部での部室のひと時。
昨日のこと。
材木座がまた持ち込んできたパロネタばかりの駄文に目を通し、
たまたま頭から離れなかった一文が気になり、ネットの検索エンジンで探してみた。
元ネタのファウストよりも、大百科でこの一文を言っていたキャラクターが魅力的だった。
彼の個性が、言葉の一つ一つに共感できて惹かれた。
よく知りたいと思ったからこそ、プリンターにまでパソコンを繋いでまでしてそのキャラクターの名言をまとめて印刷してきた。
キャラについての知識なら、スマホからネットを開きさえすればWikiでも大百科でも、いくらでも見ることはできる。が、彼の言葉はこうして紙で読んでみていたい。
―――時間がとまればいいと思っていた。
―――今が永遠に続けばいいと思っていた。
俺も、比企谷八幡もまたそうだと思う。
一度壊れかけて、失くしてしまう寸前までいってしまい、それでもなんとか接ぎ直すことができた関係。
俺が本音を曝け出して、行動までしなければどうにでもなることはできず、
あのままでは最悪、自分という異物が弾き出されて自然消滅するだけでなく、
雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣との二人の関係性にまで、悪影響を及ぼしたのだと今でも思う。
だからこそ、失ってしまおうとする結果を迎えずに済んでよかった。
―――この日常が終わって欲しくない。
この瞬間を引き延ばしたい。
雪ノ下と由比ヶ浜は、平塚先生に呼び出されていて今はいない。
二人がいないからこそ、誰を考慮するでもなく素直に心情を曝け出すこともできる。
気を遣う面もある。
二人が異性だからってのも、小町に躾けられた女性の扱い方のせいで気が抜けないこともある。
だが、小町と妹だからといえど素直になることは難しい。
本音を晒すにはトラウマは多すぎるし、他人を信じることも俺にはできやしない。
―――いつか終わると分かっていても、
じゃあ終わってしまえばいいなんて、思うわけがないだろう。
俺もその言葉には同意する。
失ってしまったものに、それでも取り戻せてしまうものになんて価値はない。
壊しかけても自分から行動したからこそ直せて、
なのに誰かに、誰かがどうにかしてくれるだろうなんて、期待して待ってるだけでは何も変わるはずもなかった。
だからこそ、今がいつか終わるときが来るのはわかってる。
卒業。
運動部系ではないからこそ、夏で退部ってのはない。
しかし、受験を控えている。
俺はこのままでは理数系がだめで私立文系。
雪ノ下は国立のどこかだ。
由比ヶ浜は、言動はアレで成績も不安だからこそ何も聞いていない。
受験を度外視したとしても、
卒業を理由にしなくても、この関係が終わるかもしれないということはわかってる。
二人から向けられてる、感情は理解してる。
小町から向けられる家族愛でも、生徒会長になるよう仕向けた唯一の後輩から向けられてる親愛でもなく、
俺が矛先にされることのなかった縁のない気持ちが、向けられてるのはわかってる。
だからこそ、雪ノ下には失望され、由比ヶ浜には涙で叱られた。
―――この刹那に、愛を
愛なんてものは理解できない。せいぜいが文章を読んで感情移入して、例題を知るだけだ。
文系が得意だからこそ、文章や偶像から読み取れるものを感じ取るのには敏感だ。
しかし、人それぞれでパターンもスタイルもばらばらな感情を理解するのは、俺には難しい。
「真実はたった一つ。失くしてはならない
ここに生き恥、晒してんだよ。もう誰もいなくなってしまったこの世界で」
彼が言った台詞を、俺が言葉にするなら。
それこそが。
「俺の女に捧ぐ愛だ。
他は何も見えない。聞こえない。ただ忘れないだけだ。
俺は彼女を愛している」
言葉にしてみても、俺にははやすぎる。よくわからない。
それでも。
そうだとしても、今も続けていきたい
「だから、―――時よとまれ 君は誰よりも美しいから」
―――たとえこの先、何があっても、どんな悲劇が待っていようと、忘れない。忘れない。
―――何も見えず聞こえなくっても、それだけは忘れない。
「君を誰よりも愛している」
どんな選択をして、結末を迎えたとしても、そうだと言いきれるようにしたい。
おまけ
実はドアの隙間からこっそり見てたヒロインたち。
「……比企谷君///」<他人の足を引っ張りたい
「ヒッキー///」<情熱を絶やすことなく燃やし続けていたい
「せんぱいっv」<愛する男の糧になりたい
「お兄ちゃん///」<愛する男の子宮になりたい
「……これって練炭、だよね?」<常に最高の自分で在りたい
「陽乃、それはメタだ」<真面目に生きていない者を認めない