最近エースコンバット買いました。
この勢いでストライクウィッチーズでも書こうかな………………
いや、書いては消してを繰り返してるハイスクも………………
紅夜「取り敢えずさっさと話を始めろよ………………」
大洗チームと黒森峰チームによる決勝戦の開始が近づき、両チームのメンバーが集められた。
《これより、県立大洗女子学園と、黒森峰女学園による決勝件を行う。両チームの隊長、副隊長は前へ!》
アナウンスが入り、大洗からはみほと桃が、黒森峰からはまほとエリカの2人ずつが出てくる。
「…………ルクレール以来ね、みほ」
「………………はい」
エリカの言葉に、みほは短く返事を返して一礼する。
それが試合前の緊張か、それとも黒森峰を去った事への負い目なのか、それは本人のみぞ知る。
「………………」
エリカは、そんなみほを暫く見つめ、やがて口を開いた。
「あの時、貴女に助けてもらった事については、本当に感謝してるわ」
「ッ!」
その言葉に、みほはハッとしたような表情を浮かべる。
まさか、エリカの口からこんな言葉が飛び出してくるとは思わなかったのだろう。
そんな表情を浮かべるみほを見て、エリカは微笑を浮かべた。
「不思議なものね……前までの私なら、こんな事は言わなかったのに………………これも」
そう言って、エリカはみほと桃の遥か後ろで、IS-2に凭れ掛かっている紅夜の方を見た。
「彼のお陰かしらね?」
そんな会話をしていると、其所へ亜美が近づいてきた。
「本日の審判を務める、蝶野亜美です。両チーム共、今日は頑張ってね」
そう言って、亜美が元々の場所へ戻ると、号令をかけた。
「一同、礼!」
『『『『『『『『『『『『『よろしくお願いします!!』』』』』』』』』』』』』』
そうして、エリカとまほはチームへと戻っていった。
それを見た桃が、みほに声を掛ける。
「西住、私達も戻ろう………………っと、どうやらお前に客が居るみたいだな」
「え?」
そう言われ、みほほ後ろを振り返る。其所には茶髪の少女が立っていた。
「では西住、用が済んだら戻ってこい。私は先に行かせてもらう」
そう言って桃は戻っていき、その場にはみほと黒森峰の少女が残された。
彼女の名は赤星 小梅(あかほし こうめ)。彼女はエリカと同様、昨年の全国大会でみほに助けられた、Ⅲ号戦車の乗員の1人である。
「「………………」」
みほ同様に彼女も引っ込み思案なのか、両者共に、中々話を切り出さない。
そんな静寂が続くかと思った時、小梅が口を開いた。
「あの時は………………本当にありがとう」
その言葉に、みほはまたもや目を見開いた。そして、乗員全員を助け出した時の彼女等の表情を思い出した。
そんなみほを前に、小梅は俯きながら言った。
「ずっと、お礼を言えないままだったのが、気掛かりだったの………………みほさんが黒森峰から転校しちゃって、もう会えないんじゃないかとすら思ってた………………でも!」
そう言って、小梅は俯かせていた顔を上げる。
両目に涙を浮かべていながら、表情は嬉しそうなものだった。
「みほさんが戦車道辞めてなくて、本当に良かった!」
そう言われたみほは、一瞬驚いたような表情を浮かべるものの、それは直ぐ、穏やかな笑みに変わった。
「私は、辞めないよ」
その優しげな一言で思いが爆発したのか、小梅はみほに抱きついて長い間の思いを吐露していく。
「………………」
「良かったですね、長門殿」
IS-2に凭れ掛かりながら様子を見ている紅夜に、優花里が話し掛けた。
「ああ………………結構前に、お前が言った通りになったな………………『西住さんが助けた乗員は、絶対感謝してる』ってのが」
そう話していると、IS-2から黒姫が現れた。
「ご主人様が助けた2人は、あんな事は言ってたの?他にも、あんな感じで泣きながら抱きついてくるとかは?」
その問いに、紅夜は首を横に振った。
「いや、ああまではならなかったよ。別に、俺等が戦車道の表舞台に出なくなったのと、あの事件は無関係だからな」
「でも、燃えてる戦車に飛び込んで助けたんでしょ?救急車呼ばれるぐらいにまでなったらしいじゃない」
「あれは事態が大袈裟になっただけだよ。つーか、連れていかれた病院で検査した結果、この髪の毛が半分ぐらい焦げた事以外での異常は、全く無かったんだしさ。肌も目も、健康そのものだったぜ。」
紅夜はそう言いながら、ポニーテール状の緑髪を手に持ってみせた。
当時は、火が燃え移った事で焦げて半分程失われた髪も、今では腰までの長さに戻っている。
其処へ吹いた一陣の風が、彼の髪を靡かせる。
靡き、翻る髪の隙間から日光が差し、その光景に、優花里と黒姫は心を奪われるような気分になる。
そうしている内に、小梅との話を終えたのであろうみほが戻ってきて、メンバー全員に召集をかけた。
「相手は恐らく、火力にものを言わせて一気に攻めてきます。ですので我々は、先ず有利な場所に移動する事を優先しましょう。其々のチームの出発地点は、相手チームとはかなり離れていますので、少なくとも、開始早々に出会すような事は無い筈です」
大洗チームのメンバーが、其々の小編成チーム毎に並んでいる前で、みほが作戦を伝える。
昨年度までは黒森峰に居た彼女の言葉には、どれも説得力があり、メンバーも真面目な面持ちで話を聞いている。
尤も、それはプラウダ戦の時でも言えた事であり、慢心が無ければ、その時の戦況も実際のよりかは良くなる筈だったのだが、それをこの場で言うのは野暮と言うものであろう。
「では各チーム、戦車に乗り込んでくださ………「あ、ちょっと待って西住ちゃん」…………?」
『『『『『『『『『『?』』』』』』』』』』
戦車に乗り込むように指示を出そうとしたみほに、杏が待ったをかけた。
みほも他のメンバーも、突然の待ったに首を傾げる。
すると杏は、何故か紅夜の方を向いて近寄ってきた。
「………………?どったの角谷さん?」
首を傾げながら訊ねる紅夜に、杏は言った。
「紅夜君のチームはさ、今日もやるの?」
「………『やる』って………何を?」
「ホラ、アレだよ。試合前に円陣組んでやってたヤツ」
「試合前に、円陣?………………ああ、『戦前の誓い』だな?勿論やるよ。試合前は必ずやるって、チームで決めてるからな………………でも、なんで?」
そう訊ねると、杏は気恥ずかしそうにしながら言った。
「あー、いや、その………………私等も、それに交ぜてほしくてさ」
その言葉に、レッド・フラッグのメンバー全員が意外そうに目を見開いた。
「ホラ、私等って、プラウダの時にちょっと………………ね?」
「………ああ」
杏が言葉を濁しながら言い、紅夜は気まずそうに目線を明後日の方向に向けて頬を掻く。
「だからさ、その………………まぁ、紅夜君が改造した戦車持ってきた時に和解した訳だけど、その時より、もっとチームの一体感を強めたいんだ………………内容は、ちゃんと知ってるからさ」
「成る程、そう言う事か………………お前等、どうする?」
紅夜はそう言って、レッド・フラッグのメンバーの方に向き直った。
「俺は構わねえぜ?たった14人だけでやるってのも、正直アレだったしな」
「私も良いわよ?」
達哉と静馬が答え、他のメンバーも頷く。
「良し、それじゃあやりますか!よっしゃお前等!円陣を組め!」
『『『『『『『Yes,sir!』』』』』』』
紅夜がそう言うと、レッド・フラッグのメンバーが一斉に走り出して円陣を組んで、目を閉じて下を向く。
大洗のメンバーも走り出し、彼等の周りで肩を組んでいき、上から見れば二重丸を描くようにして円陣を組み、彼等を真似て目を閉じ、下を向く。
紅夜は目を開けて周囲を見回し、戦前の誓いを行える状態である事を確認すると、静馬の肩に乗せられている手に力を入れ、そして直ぐに緩めて合図する。
そうして、静馬が戦前の誓いの最初の句を言い始めた。
「………………父なる神よ、栄光の日に感謝します。陸を駆けるなら神の加護を、飛ぶ時は天使の加護をお願いします………………これまでの勝利が、全て神の計画であったものであると、自信はありますが………………力をお貸しください、勝利の神よ。そして、我等の視野と視力よ………………」
そう言うと、静馬は紅夜の肩に乗せられている手に力を入れる。その力は、紅夜のように緩められず、ずっと入れられたままだった。
紅夜は、それに違和感を覚え、薄目を開けて静馬を見る。その表情が緊張していると知ると、安心させようとしたのか、少しだけ力を入れた。
静馬は目を開け、紅夜の方へと視線を移す。そして互いに見つめ合って微笑むと、静馬の表情は、先程のよりかは緊張が解れたようになっていた。
「我等のスピードとパワーをこの試合の勝利のために、イエスの名において祈ると共に、全力を出す事を此処に誓います。Amen」
『『『『『『『『『『『『『Amen』』』』』』』』』』』』
静馬の一言に全員が答え、紅夜も声を上げた。
「Nothing's difficult(困難は無い)!」
『『『『『『『『『『『『『Everything's a challenge(全てが挑戦)!』』』』』』』』』』』』』
「Through adversity(困難を乗り越え)………………」
『『『『『『『『『『『『『To the stars(空へ飛びたて)!』』』』』』』』』』』』』
「From the last tank,to the last bullet,to the last minute,to the last one,we fight(最後の1輌、最後の1弾、最後の瞬間、最後の1人になるまで、我々は戦う)!」
『『『『『『『『『『『『『We fight!』』』』』』』』』』』』』
「We fight!!」
『『『『『『『『『『『『『We fight!!』』』』』』』』』』』』』
「We fight!!!」
『『『『『『『『『『『『『We fight!!!』』』』』』』』』』』』』
そうして指揮が最高潮にまで高まった大洗チームは、其々のチームの戦車に乗り込むのであった。