ガールズ&パンツァー~RED FLAG~   作:弐式水戦

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第104話~最後の大暴れ!そして、運命のアナウンスです!~

 みほとまほによる一騎討ちが行われている、中央広場へ通じる唯一の入り口の前では、紅夜達レッド・フラッグと、黒森峰の戦車隊による激しい戦車戦が繰り広げられていた。

 奇襲とばかりに突っ込んできたレッド・フラッグは、黒森峰の戦車隊にの中に飛び込み、そのまま台風の如く暴れ回る。

 

 次々と黒森峰の戦車が撃破されていく中、要の乗るティーガーⅡが発砲した砲弾が、旋回中だった紅夜のISー2の砲塔側面に命中。

 それによって、上手く曲がりきれなくなったISー2は建物へと突っ込み、それによって落ちてきた煉瓦などで、紅夜が負傷する。

 だが、それによって闘志がさらに燃え上がった紅夜を乗せたISー2は、建物の壁を突き破って外に出ると、要のティーガーⅡに襲い掛かるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『撃てェッ!!』

 

 その掛け声と共に放たれた122㎜砲弾が、要のティーガーⅡの砲塔側面を掠り、車内が大きく揺れる。

 

「ぐうっ!?…何て威力だ………ッ!」

 

 大きな振動で頭をぶつけそうになりながらも、要は砲撃の指示を出す。

 爆音やマズルフラッシュと共に88㎜砲弾が放たれるものの、それはISー2が瞬時に避けた事によって当たらずに終わり、先程、雅が駆るパンターに踏み台にされ、そのままISー2によって撃破されたラングの案内輪に命中し、案内輪を粉々に吹き飛ばす。

 

 2輌の戦車による乱闘染みた戦闘が繰り広げられている中でも、パンターやイージーエイトも暴れ回っていた。

 スモーキーのイージーエイトがエリカのティーガーⅡに近寄り、大して意味は無いと分かっていながらも、砲塔側面に向かって76,2㎜砲弾を叩き込みつつ、主砲同軸の機銃を撃ち、副武装であるブローニング機関銃――M1919――の7,62㎜弾を当てていく。

 副操縦手の深雪も車体部分の、機銃を用いて応戦する。

 深雪が撃つ機銃弾は、ティーガーⅡの転輪に命中し、小さな傷を作っていく。

 

 だが、ティーガーⅡの装甲は非常に頑丈だ。少なくともイージーエイトの主砲など、あっさりと弾いてしまう。

 はっきり言ってしまえば、履帯やエンジングリルに当たりさえしなければ、怖くも何ともないのだ。

 だが、既に自分のチームの戦車を4輌も撃破したのに加え、反撃しようとすれば、普通ではあり得ない挙動で逃げ回ると言う光景を見せられたエリカは頭に血が昇っており、兎に角目障りな敵戦車を撃破しようと言う事しか頭に無かった。

 

「何時までも………………調子に乗るんじゃないわよ!!」

 

 その一言と共に放たれた88㎜砲弾は、イージーエイトの車体側面に命中する。

 元々至近距離だったのもあってか、イージーエイトは派手に吹き飛ばされ、既に撃破された1輌のパンターに激突して動きを止め、やがて、撃破を示す白旗が飛び出す。

 

《大洗女子学園所属、レッド・フラッグ。シャーマン・イージーエイト、行動不能!》

 

 そして、それを知らせるアナウンスが響き渡った。

 

『クソッ!スモーキーがやられた!』

 

 動き回るISー2のキューポラから上半身を乗り出し、横倒しになって黒煙を上げているイージーエイトを見ながら、紅夜は声を張り上げた。

 

『すまねぇな、祖父さん。やられちまった』

 

 耳につけられたヘッドフォンから、大河の申し訳なさそうな声が聞こえてくる。

 それを聞いた紅夜は、首を大きく横に振って言った。

 

『そんなの別に良い!怪我は!?』

『大丈夫だって、全員無事だ』

 

 その言葉に、紅夜は安堵の溜め息をついた。

 あれだけ派手に吹き飛ばされたとなれば、怪我人が出てもおかしくはない。だが、今回はそれが出なかったと言うのは、幸運とも言えよう。

 

『見ての通り、イージーエイトはやられちまった、もう戦えねぇ………………つー訳で、仇討ち頼むぜ?』

 

 何時か、戦車道を復活させたばかりの大洗チームと試合をした時にも聞いた言葉に、紅夜は吹き出しそうになるのを何とか堪えつつ頷く。

 

『ああ、勿論だ………………任せろ』

 

 そう言って通信を切り、紅夜はエリカのティーガーⅡを睨んだ。

 

『ルクレールでの奴……確か謙譲とか言ったかな……彼奴のもそうだが、副隊長さんのティーガーⅡも、派手に吹っ飛ばしてやらなきゃな………………達哉!』

「Yes,sir!!」

 

 紅夜が言おうとしている事を察した達哉は、アクセルを踏み込んでISー2を加速させ、操縦捍を操作してUターンさせると、2輌のティーガーⅡへ向かって突っ込んでいく。

 

「副隊長!レッド・フラッグ隊長車が向かってくるぞ!!」

 

 それに気づいた要が叫ぶと、イージーエイトに次ぐ獲物としてレイガンのパンターを狙おうとしていたエリカは、正面から突っ込んでくるISー2へと向き直る。

 

「あの戦車だけは本当に厄介だわ………………片付けるわよ、要!」

「ああ!」

 

 そうして、2輌のティーガーⅡも動き出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃の中央広場では、みほ達あんこうチームのⅣ号と、まほのティーガーⅠによるタンクチェイスが繰り広げられていた。

 逃げ回るⅣ号をティーガーが追い、比較的ティーガーよりも勝っている機動力を活かして差を引き離し、上手くティーガーと擦れ違う形に持ち込んでは発砲するものの、やはり避けられる。

 そうしている間にも、ティーガーの攻撃によって車体右と砲塔右のシュルツェンが破壊される。

 

「こうしている間にも、レッド・フラッグの皆が危ない………」

 

 後ろから追ってくるティーガーを睨みながら、みほはそう呟いた。

 彼女等は先程のアナウンスで、スモーキーのイージーエイトが撃破されたと言う事を知らされた。

 スモーキーが撃破される前に4輌撃破したのは良いが、それでも戦力は未だ、相手の方が優勢と言うのは事実。

 そんな中で戦車1輌を失うのは、相当な痛手となるだろう。

 

「このまま戦っても、何の進展も見られない……なら、此方から動くしかない!」

 

 みほは何かを決心すると、彼女の乗員に指示を出し、最後の勝負に出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 中央広場への入り口の前では、紅夜のISー2が、エリカと要のティーガーⅡを相手に暴れ回っていた。

 達哉の常識離れした操縦捍捌きによって、ドイツ重戦車の中では最強と呼ばれたティーガーⅡを、2輌同時に相手取っている。

 携行弾数が少ないISー2は、厚さ10㎜の装甲スカートに守られているシャーシ部分をティーガーⅡのシャーシ部分にぶつけ、そのまま火花を散らしたまま通り過ぎていく。

 それを何度も繰り返す内に、彼女等の愛車は足回りに異常を来す。

 何度もぶつけられる内に、履帯や転輪が傷ついたのだ。それに黒森峰の重戦車軍団は、圧倒的な攻撃力と防護力を持つ代わりに、『足回りが壊れやすい』と言う欠点を抱えていたのだ。

 大洗チームが川を渡る前、それを追おうとしていたエリカのティーガーⅡの足回りが1度壊れたように、元々プラウダ高校への対策としていた重戦車運用が、此処でも裏目に出ていた。

 おまけに、《ふらふら作戦》によって逃げ回るⅣ号やポルシェティーガー、八九式を追い回したり、現在も、自分達を翻弄するISー2を追うために無茶な旋回や、急停車・急発進を繰り返しているのだ、足回りへの負担はかなりのものと言えるだろう。

 

「何度もぶつけられては、流石に履帯が持たなくなる………早めに奴を撃破しなければ………ッ!」

 

 そう呟く要を乗せたティーガーⅡは、傷ついた足回りに鞭打って向きを変え、さらに砲塔を旋回させてISー2を執拗に狙い、発砲する。

 

「また撃ってきやがったが………………そう簡単に当たるかってんだ!!」

 

 砲撃音に気づいた達哉はそう言うと、アクセルペダルから足を離し、ブレーキペダルを一気に踏み込む。

 ISー2は、車体前部を沈み込ませて速度を落とし、砲弾を避ける。

 その後も、彼等の行動を先読みした砲撃が次々と仕掛けられ、その砲弾は建物へと命中し、建物の壁を粉微塵に吹き飛ばし、それによる瓦礫の雨を降らせる。

 

『達哉ァ!あんな瓦礫に構う事ァねぇ!構わず突っ切ってやれ!!』

「Yes,sir!!」

 

 紅夜に言われた達哉は、指示通りにギアを入れてアクセルを踏み込み、瓦礫の雨目掛けて突っ込んでいく。

 砲塔や車体、砲身に瓦礫が当たる音を鳴らしながら、ISー2は瓦礫の雨を突っ切った。

 それにより、瓦礫の雨は紅夜に次々と当たる。

 

『イテテテテ………………やっぱあの中突っ切ったらクソ痛ェわなァ………………』

 

 紅夜はそう言って、瓦礫が当たった部分を擦った。

 頭や頬、手の甲からは血を流し、パンツァージャケットの袖を捲ると、腕は痣だらけになっていたが、彼は気にも留めない。

 再び達哉に指示を出し、要のティーガーⅡに襲い掛かる。

 要は、砲手に狙い撃つように指示を出すものの、指示を出す以前に、ISー2は装甲スカートをティーガーⅡの左シャーシ部分へと激しく接触させ、火花を撒き散らしながら突っ切っていった。

 その際に要は、紅夜がかなりの怪我を負っている事に気づいた。

 

「な、何て奴だ………あれだけの怪我を負いながら、未だやると言うのか………!?」

 

 突っ切った先で反転し、再び此方へと向かってくるISー2を見ながら、要はそう呟く。

 突っ込んでくるISー2の後ろでは、パンターが他の3輌の戦車を相手取っていた。

 傷だらけの紅夜とは対照的に、静馬は殆んど傷ついていなかった。

 

「和美!左に居るラングを吹っ飛ばしなさい!」

 

 静馬がそう指示を出すと、雅はパンターをラングの背後に回り込ませる。

 そして、和美が瞬時に照準を合わせ、間を入れずに引き金を引く。

 放たれた75㎜砲弾は、ラングのエンジングリルに直撃し、ラングは黒煙を上げて動きを止め、そのまま撃破を示す白旗が飛び出す。

 さらに、向かってきたパンターG型と正面からぶつかり合う。

 型は違えども、同じ車種である戦車同士の戦いは熾烈を極めていた。

 その際中で、G型の援護に来たヤークトパンターを撃破し、その後、向かい合った2輌のパンターは、互いの獲物目掛けて突進し、激突して後ろへと跳ね返った瞬間に、最後の1発を撃つ。

 爆発音と共に黒煙が噴き上がり、その後、白旗を上げている2輌のパンターが姿を現した。

 結果は相討ちだったのだ。

 

《大洗女子学園、レッド・フラッグ。パンターA型、行動不能!》

 

 その直後に、パンターの行動不能を知らせるアナウンスが響き渡る。

 とうとう、残されたレッド・フラッグの戦車は、紅夜達ライトニングのISー2、ただ1輌となった。

 

『遂に、残ったのは俺等ライトニングだけか………………』

 

 黒煙を上げるパンターのキューポラから上半身を乗り出し、此方へ向かってすまなさそうな表情を向ける静馬を、微笑み掛ける事で労った紅夜は、自分達に残された2つの獲物を睨みながら呟いた。

 

 2輌のティーガーⅡは、相変わらず此方へ主砲を向けている。

 

『こっから先は、コイツの出番はねぇな………』

 

 そう呟くと、紅夜はヘッドフォンとタコホーンを外す。

 

「俺等の、最後の大暴れだな………隊長」

『ああ……』

 

 そう声を掛けてくる勘助に、紅夜は頷いた。

 いつになく勢いを失い、先程まで溢れ出ていた蒼いオーラが消え、元の緑髪と赤い瞳に戻った紅夜に、檄を飛ばしてくる者が居た。

 

「そんなシケたツラ提げてんじゃねぇよ紅夜!さっきまでの勢いは何処行きやがった!?そんなシリアスなツラ、テメェには似合わねぇだろうが!現役の頃みてぇに、思いっきり無茶な命令かましやがれ!どんなに滅茶苦茶な運転だって成し遂げてやるぜ!!今の俺等には敵無しだァ!」

 

 ISー2操縦手の達哉だった。

 

 相変わらず乱暴な運転を続け、エリカ達からの砲撃を避けながら怒鳴ると、そのまま紅夜の方を振り返り、不敵な笑みを浮かべながら、親指を立ててみせる。

 

「達哉の言う通りだぜ、隊長」

 

 今度は翔が話に入ってくる。

 

「砲弾だって、散々ケチりまくったから半分近く残ってんだ、撃てるだけ撃ちまくってやるよ」

「それもそうだが、俺が装填しねぇと撃てねえってのを忘れんなよ?翔」

 

 スコープを覗きながら力強い声で言う翔に、勘助が言う。

 そんな光景に微笑み、紅夜は一旦車内に身を引っ込めると、置かれていたリュックサックからレッド・フラッグの帽子を取り出すと、深く被り、前を向いた。

 

「………………ISー2操縦手、辻堂達哉」

「おう!」

 

 紅夜の呼び掛けに、達哉は操縦捍を操作しながら答える。

 

「砲手、風宮翔」

「あいよ、隊長」

 

 引き金に指をかけたままにしながらも、スコープから顔を離した翔が振り向いて答える。

 

「装填手、藤原勘助」

「おう」

 

 そして、何時でも装填出来るようにと、弾薬庫から122㎜砲弾を取り出して構えていた勘助も答えた。

 

 長年共に戦ってきた親友達の顔を順に見終え、紅夜は最後に、ある人物の名を呼んだ。

 

「黒姫」

『うん!』

 

 明るい返事と共に、黒姫が紅夜の目の前に、実体化して現れた。

 勘助や翔が見えなくならないよう、宙に浮いた状態で………………   

 

「大洗女子学園所属戦車道特別チーム《RED FLAG》隊長兼、レッド1《Lightning》車長として命じる……敵戦車を殲滅しろ………………これが、この試合での最後の命令だ!」

 

 その言葉に、他の4人は互いに顔を見合わせる。

 そして頷き合うと、一斉に言った。

 

「「「「Yes,sir!!!」」」」

 

 その言葉に満足げに頷くと、紅夜は血が治まりつつある両方の頬を打ち、気合いを入れ直す。

 

「っしやぁ………………『行くぜェェェェェェエエエエエエエッ!!!!』」

 

 紅夜がそんな雄叫びを上げ、再び蒼いオーラを纏ったのと同時に、達哉はISー2を反転させて2輌のティーガーⅡへと向かわせる。

 

「先ず1発目ェ………………喰らいな!」

 

 翔はそう言って、瞬時に照準をエリカのティーガーⅡに合わせて引き金を引く。

 放たれた122㎜砲弾は、ティーガーⅡの砲口へと真っ直ぐ飛んでいき、あろう事か、そのまま砲口へと突っ込んだのだ!

 命中した砲口から砲身の半分近くまでが裂け、エリカのティーガーⅡは、砲撃不可能になる。

 

 それによって、エリカのティーガーⅡの車内が軽いパニック状態に陥っている隙に、ISー2はエリカのティーガーⅡの直ぐ横を突っ切っていき、再び反転してティーガーⅡの背後を取ると、再び発砲して122㎜砲弾をエンジングリルに叩き込む。

 爆発音と共に黒煙を噴き上げ、エリカのティーガーⅡから撃破を示す白旗が飛び出した。

 

『残り1輌!何としてもぶっ潰すぞテメェ等!!』

「「「Yes,sir!!」」」

 

 そんなやり取りを交わし、ISー2は要のティーガーⅡのシャーシ部分に装甲スカートをぶつけ、また激しく火花を散らしながら通り過ぎ、距離を取る。

 その直後、何度もぶつけていたためにダメージが蓄積していたのであろう、ISー2の右の装甲スカートが壊れ、車体から綺麗に外れた。

 地面に叩きつけられた後に倒れ、ガシャン!と大きな音が響く。

 それも意に介さず、ISー2は反転してティーガーⅡへと襲い掛かる。

 

 それまでの砲撃戦で破壊された建物の残骸を蹴飛ばし、615馬力のエンジンの咆哮を響かせ、車体後部の両サイドにあるマフラーから勢い良く炎を噴き上げながら向かっていくISー2は、先ず、ティーガーⅡと正面衝突する。

 その拍子にフェンダーが壊れ、左の装甲スカートも壊れて外れる。

 その後、直ぐに後退して若干の距離を取り、1発。

 砲弾は主砲同軸の機銃に命中し、破壊する。

 

 そしてティーガーⅡの横を突っ切って距離を取る。

 その行動を見た要は、紅夜達がやろうとしている事を悟った。

 

「副隊長のを撃破した時のようにやるつもりか………………だが、そう簡単にやられるとは思うなよ、レッド・フラッグ!」

 

 要はそう言うと、操縦手には、前進して距離を取り、砲手には、砲塔を旋回させるように指示を出す。

 その指示は直ぐに実行され、ティーガーⅡはマフラーから白煙を噴き上げながら動き出す。そして蛇行し、狙いを定められないようにする。

 それで時間を稼いでいる内に、砲手が主砲を後ろへと向け終える。

 

「ありがとう。もう此処で良い、停めてくれ」

 

 要がそう言うと、操縦手はティーガーⅡを停車させる。

 

「さて、後は君に任せたよ」

「はい!」

 

 要が言うと、操縦手の少女から返事が返される。

 後ろを向いた砲塔のキューポラから上半身を乗り出し、要は此方のエンジングリルを狙った状態で停まっているISー2へ向かって叫んだ。

 

「さぁ来い、レッド・フラッグ!最後の勝負だァ!!」

 

 その声と共に、紅夜のISー2が走り出す。

 そして、ある程度近づいてきた時………………

『「撃てェ!!!」』

 

 2人の車長が、同時に砲撃命令を出す。

 そして、同時に放談が放たれ、ISー2から放たれた122㎜砲弾は、ティーガーⅡのエンジングリルへ、ティーガーⅡから放たれた88㎜砲弾は、ISー2の砲塔リングへと叩き込まれる。

 互いに至近距離で発砲したからか、砲弾は両者共に命中する。

 その衝撃で、要のティーガーは車体後部が軽く浮き上がり、エンジングリルから黒煙を噴き上げ、遂に行動不能を示す白旗が飛び出す。

 紅夜のISー2は、砲弾が叩き込まれた砲塔リングから黒煙を噴き上げ、行動不能を示す白旗が飛び出した状態で車体前部が軽く浮き上がると、コントロールを失って建物へと突っ込む。

 衝突の音が大きく響き、突っ込んだ部分がガラガラと音を立てながら崩れ、砂埃が巻き上がる。

 

《黒森峰女学園、ティーガーⅡ。大洗女子学園、レッド・フラッグ。ISー2、行動不能!》

 

 そんなアナウンスが響いた直後、今度は中央広場から爆発音が響き渡る。

 余程凄まじい爆発だったのか、未だにレオポンが放置されている中央広場への入り口から、爆発によるものなのであろう黒煙が噴き出ていた。

 

 

 

 

 そして、運命のアナウンスが、その場に居る者全員の耳へと入ってくるのだ………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《黒森峰女学園フラッグ車、行動不能。よって………………大洗女子学園の勝利!》 


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