ねこだまし!   作:絡操武者

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今までで一番長かった。悩んだ結果こうなった。
投稿しても悩んでます。



26 ネコは動物病院には運ばれない

◆ ◆ ◆

 

 ―――今回の大規模侵攻というネイバーの侵攻は事前に迅悠一からある程度の情報が出ていた。街が破壊され、市民が死に、ボーダー隊員も攫われる可能性が高く、玉狛支部である迅の後輩の三雲修が死ぬ運命が視え隠れしていたのだ。

 だが、未来は確定ではない。最善へ向かうために話し合いは続き、隊員には通達をし、大まかな行動指標も出しておく。それだけの事で未来視によるところの被害率は大幅に激減した。

 そして、ボーダー所有となった黒トリガー『風刃』を誰に所持させるのか。これも一つの問題となっていた。迅に戻しておくべきかという仮定も含めて、何名かの候補者が絞られ、最終段階でA級の三輪隊を率いる三輪秀次に持たせようとボーダー本部司令の城戸正宗は考えていた。

 しかし、迅が三輪に会いに行った事によって、もう一つの未来が迅の視る世界に映し出されていた。三雲修が死なない未来で確定ではあるのだが……。

 

「―――城戸さん、ネコ君が捕獲される未来が秀次越しに視えた」

「……続けろ」

 

「もしそっちの未来の場合は、風刃は秀次よりも適任な人がいるんだけど、本部的にはどうかなー。前話し合った未来よりも良くはなるんだけど、どうかなー」

「言ってみろ」

 

 時間が経つにつれ、未来はその方向に傾いていく。そちらの方が民間人への被害も隊員の攫われる未来も減少傾向に視えたため、迅としてもそっちに傾くように行動したわけではあるが、この迅と城戸の密会は『誰が風刃を所持するのか』という話し合いであり、誰が所持するかも決定もした。そして、この作戦を知るものは迅とボーダー上層部のみだった。

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 ―――大規模侵攻終焉間近。

 

 ボーダーA級ランク1位太刀川隊のシューター出水公平はベイルアウト直前に本部基地の屋上からハイレインまでの射線を通すためにメテオラで付近の建物を爆破で吹き飛ばした。

 

 射線が開けた事により屋上に待機していたボーダー屈指のスナイパー陣の狙撃が始まる。その場に居て見えない存在も一人いた。ボーダーの本部長、忍田真史だ。彼は自分のトリガーのカメレオンを起動していた。

 

 ミラと呼ばれる女のネイバーが空間を繋ぎ他の地域で交戦中だったラービット1体を屋上に送り込むが、スナイパー陣は短い距離で転移をして交戦を回避する。スナイパーの戦いは距離を潰されては致命的だ。ならば転移して距離を取って火力を集中した方がいい。

 

 だが、スナイパー達がラービットへ攻撃することは無かった。ミラという女性が空間の中に消え、スナイパーが短距離転移(ショートジャンプ)した瞬間にラービットは弧月の刃に斬り裂かれた。

 

「―――旋空弧月」

 

 弧月を起動させた事によりカメレオンは効果を切らし、忍田真史は姿を現した。本来であれば今作戦の全般的な指揮を執る役割のはずなのだが、途中で最高司令官の城戸正宗にバトンタッチして戦場に現れた。

 

 忍田が基地屋上から遠くの地面を見下ろせば射線の通った視界が広がっており、『ハイレイン』と『ミラ』と呼ばれる敵の位置も見て取れていた。

 

「トリガーオフ」

 

 トリオン体を解除し、ネクタイをビシッと締めたボーダーの制服になった忍田はもう一つのトリガーを握り締め状況を見守りつつ、トリガーを起動した。

 

「力を貸ります最上さん―――『風刃』起動」

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 ハイレインがこちらに魚や鳥の弾丸を飛ばしてきた。

 だが、それはもう見たし対処法も見た。

 俺は二宮さんから見て盗んだ角錐アステロイドを弾速を遅めにして作り出し、三輪先輩がたった今繰り出した分割シールドを作り出す。

 ……うん。やはり問題がない。サイドエフェクトはちゃんと機能してるようで、俺のほぼ理想通りの機能をしていた。だが、あの魚群をすり抜けてハイレインへダイレクトアタックが出来ない。エネドラの時もサイドエフェクトは上手く機能しなかった。最初は相手を怖がってるからだと思っていたけど、思い返せば『風刃』を試した時も気持ち悪い感じだったし、俺はきっと黒トリガーとの相性が悪いのだ。

 まだ仮定の話ではあるが、サイドエフェクトが騙す能力である事から、命を懸けて創り出す黒トリガーは、言うなれば死者の意思の塊だ。それを騙す事は出来ないのかもしれない。死人を騙す事は出来ないってわけだ。それでも何とかエネドラを倒せたり、目の前のハイレインと戦っていて生き残れているのは、黒トリガーを騙しているのではなく、俺自身の攻撃方法と、トリオン体のハイレインを騙しているからだろう。

 まぁそれが全てとも言えないし、仮定の話だから違うかもしれないが、黒トリガーと俺との相性に関してだけ言えば悪い事に間違いない気はする。

 

「―――対応が早いな」

 

 俺が出したアステロイドと分割シールドを見てそうハイレインは呟く。余裕がある様だが、弾数で言えば互角レベルだ。二宮さんのアステロイド見てなかったら無理だっただろうし、三輪先輩のシールド使用方法応用編を見てなかったら防ぐ事も出来なかっただろう。

 相打ちになったシールドとアステロイドは全てトリオンキューブ化する。これが相手を回復させてしまうのだが、俺との弾数で互角と言うなら、人員の数的有利で勝ち目はこちらにある。

 しかし、そうならないように弾数調整するのが小窓の空間を作り出すミラだ。その小窓の攻撃は既にログとして伝わっているので、容易くもらう隊員はいないが、死角から現れる攻撃は厄介な事に変わりはない。

 

 ―――ほんの少しの隙を見つけた様にとりまるがハイレインの後方に飛び出し、よねやん先輩は瓦礫を槍で打ち飛ばしていく。なるほど、トリオン体にしか反応しない弾だからそういう戦い方も出来るのか。原始的に見えるけど効果的である。

 とりまるは弧月を振り、ハイレインを斬ったかに見えたがマントだけしか切れておらず、マントの下にも蜂型の弾丸が待機されていた。

 しかし、それでも防げないのが三輪先輩の鉛弾(レッドバレット)だ。俺は一旦距離を取って密集した集団戦になってきた事に動きを改める。確かにシューターとしてアタッカーと連携して攻撃すれば火力を集中させやすいが、フレンドリーファイアも可能性として挙がって来る。ここはライトニングだろうか? いや、狙撃班は上でやってるし、スコーピオンでアタッカーに? それも違うか、よねやん先輩にとりまるもいるし、三輪先輩だってオールラウンダーで弧月使いだ。これ以上アタッカーはいらないだろう。

 えーと、援護できて邪魔にならないポジションは~……。

 

「……あれ? 俺いらなくね?」

『いや、そこにいろ音無、敵の狙いはお前だ』

 

 姿の見えなかった忍田さんからの通信だ。目と鼻の先にいるって聞いてたのにいないからおかしいとは思ってたんだけど、近くにいるらしい。ただ、場所を伝えて視線で敵に伝わると困るので場所は教えてくれない。

 

「(あー……じゃあ、俺がベイルアウトして本部に逃げ込めばいいんじゃないですかね?)」

 

 千佳ちゃんのことも諦めたのだから、逃げ込めば終わりなのではないだろうか? しかし、それを否定するのが事前に未来を視ていたエリートだった。

 

『迅の予知だと、狙いが無くなった場合は、多くの隊員が消える。つまり、キューブ化され、攫われる隊員が多くなる未来が濃厚になるらしい』

 

 あーじゃあ駄目だ。逃げられないわ。注目の的として動き回っていることしか出来ないか。

 

「―――っ! ミラ、艇だ」

「了解しました」

 

 フネ? 何に気付いたか知らないが、ミラが空間に消えて行く。その瞬間、状況が一気に動いた。三輪先輩の鉛弾(レッドバレット)とよねやん先輩の瓦礫攻撃で相手のトリオン体にしか反応しない弾丸を抑え、とりまるがおかしな姿になりつつ孤月でハイレインに突っ込む。

 

「お? 京介ずりーやつ使い始めたじゃん」

 

 よねやん先輩はとりまるのアレを知ってるようだ。とりまるの孤月を持つ腕と両足が黒くなり、まるで一部分がトリオン兵になったかのような一体感を感じさせる姿である。見たまんまと言うか、孤月を振るスピードや脚力が大幅に強化されているようだ。

 

『よくやった』

 

 まだ相手を倒せていないのだが、忍田さんからそんな通信が飛んできた。それとほぼ同時に、ハイレインを包囲するように斬撃が包み込んだ。自分でも使った事があるからよく分かる。これは風刃の斬撃だ。なるほど、三輪先輩ではなく忍田さんが風刃を持っていたのか。

 

 ハイレインはトリオンの噴出するボロボロの身体で何とか身体を起こすが、既に戦える力は無いように見えた。

 

 ―――そう、俺はまた慢心した。

 

 視界がグニャりと歪んだ。片足の感覚が異常な事に気が付いた時には手遅れだった。

 

「やっば! 緊急脱しゅ(ベイルアウ)……!!」

 

 ほっとした瞬間に足下に現れた這い回る蜥蜴型の弾丸に、俺はベイルアウトも間に合わずキューブ化された。俺の意識があったのはそこまでだ。

 

 

 

 

 

 気が付くと俺は開発室の天井を見上げるようにベッドで寝かされていた。

 

「……っは!! ぁぁぁぁ良かったぁぁぁ~~~捕まってないぃぃぃ」

「あ、起きたな。室長に連絡して」

「了解です。室長~ネコ君起きましたー」

『……ザザッ……無事か音無ぃ!!』

 

 寝起きに鬼怒田さんの通信が襲って来る。トリオン体にも関わらず、頭に響く感じが頭痛を思い出させた。

 

「頭痛いんですから大きい声出さないで下さいよぉ~」

『む、すまん。……ん? 今、何と言った?』

 

「え、頭が痛いって……あ、それよりネイバーはどう―――?」

『迅を呼べ!! すぐにだ!! 音無! そのまま寝ていろ!』

 

 いや、だから頭痛いんだから大きな声を……ん? そう言えば頭が痛い気がする(・・・・)気分的な感覚が、完全に頭痛いってモノに変わってるな。とりあえず戦闘行動が気になっている俺は近くにあった端末を勝手に拝借し状況を確認する。

 

 数十分前に戦闘行動は全て終了し、ネイバーは消え、被害状況の確認や、隊員の点呼を取っているらしい。現状として、数名のC級隊員との連絡が途絶えているらしく、キューブ化されて攫われた可能性が高いと見ているようだ。

 

 戦闘が終わったならこのネコ耳フードともおさらばである。俺はそう思い、トリオン体を解除した。

 ―――瞬間激痛が走る。

 

「ッ!? ガッ、ァァァアアァァァァァッ」

「ネコ!?」

「大丈夫!?」

 

 生身になった瞬間に頭に激痛が走った。頭が割れるという言葉がある。それを正に体現しているかのようでありつつ、頭が有るのか無いのか分からないほどに混乱する様な激痛が俺を襲っていた。頭を抱える様にベッドで横向きに蹲るが、頭に触れているはずなのに、そこには何もないかのような感覚すら出てくる。周りの人が俺の肩に手を置き揺すって安否を確認しているのがまるで遠くの出来事の様に感じられた。

 そして数秒後、俺は再び意識を手放した。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

<トリオン能力に作用するサイドエフェクトの効果は非常に期待できるが、本人への負担がかなり大きく、トリオン体の状態ではその性質上その負担を感じ難い模様>

<A級のエンブレムを用意はしてあるが、当初の予定通り、A級へのランク戦への参戦はB級ランク戦を経てから参加可能とし、防衛任務も本人の意思を尊重すると共に、防衛任務の負担を軽減するべく、シフトの組直しを検討するべきと判断>

【音無ネコに関する報告書より一部抜粋】

 

 

 

「どうだ迅?」

「久しぶりに視えましたよ。意識失ってた所為かハッキリと視えた。ネコ君は大丈夫だ。さっき忍田さんに会って間接的にも視たけど数日すれば元通りになってるかな……ただ、今回はサイドエフェクトを行使し過ぎたみたいだ」

 

「そうか。……迅、お前が組め。特例で本部と支部の垣根を取り払おう」

「あー、確かにその未来は少しだけ視えてますがねー」

 

 少し考える素振りを見せて迅は城戸に条件を出した。それは、ネコ隊に常時所属するのではなく、必要な時にレンタルとして迅がネコ隊に入ると言うモノだった。

 

「―――玉狛に入れなくても彼は大丈夫なんだな?」

「視る限りでは間違いなく。まぁ今玉狛に来ても戸惑うだけかもしれませんからね。まぁ本部に居ても玉狛に居てもやる事は変わりませんが……」

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

 目が覚めた。そこは見た事のない場所で薬品の匂いがした。視界に入る様に吊り下がっている透明な液体が入ったパック。そこから伸びる管は俺の腕へと繋がっていた。

 

「……点滴……?」

「起きた? 分かる? ストレス性のモノだって言われたけど大丈夫?」

 

 視線を横に向けると母さんが居た。

 

 あれから3日経っているらしい。意識を失うまで痛がっていた頭痛は消え失せており、寝すぎていた身体のダル重さだけが残っていた。

 ストレスねー……なんだろ? 知らず知らずの内に溜め込んでたのだろうか? 思い当たるものがないのだが。木虎とは最近会ってないし、三輪先輩に蹴飛ばされたことか?

 

 今日の検査次第では明日には退院してもいいらしく、検査に付き添ってもらい、病室に戻って母さんと色々と話しをした。

 母さんが来たのは昨日の事で、その時には既に病室には花束や『スーパーうちゅうねこ』のぬいぐるみや果物の詰め合わせといった所謂見舞いの品々があったらしい。

 三門市は街への被害はあるものの、人的被害は軽傷者に留まるもので、防衛としてはよく機能したらしい。問題は隊員の失踪だ。まぁ十中八九ネイバーに拉致されているだろう。

 

「それから、女の子が何人かお見舞いに来たわよ? あんたもやるわねー」

「あー、誰だろう。後で確認してお返し考えないとー」

 

「どこかの病室の子かしらね? 少し儚げな可愛らしい子と」

 

 あ、那須先輩だわ。病人かのように見受けられる人がお見舞いに来るもんじゃないね。

 

「一緒に来たのが活発そうな子と、髪をこんな風に分けた子に、長い黒髪で大人しそうな子」

 

 那須隊で来たんだね。お、コレか。メッセージカード付きの果物とぬいぐるみあざーっす。何でネコにアンテナ付いててキュウリ食べてるか知らんけど愛嬌のある感じのぬいぐるみだ。

 俺はスマホにメモでお返しする人名簿を記録していく。

 

「後はテレビで視た事ある子、綾辻さん。可愛いわねー。オペレーターの代表としてきたって言ってたわ」

「お花はオペレーターさんたちねー……顔見知り全員かな? 失礼だけど綾辻さんに聞くか」

 

「他にもボーダーの鬼怒田さんって方と、忍田さんって方も来たわ」

「えー、偉い人には何をお返しすればいいのー?」

 

「何かの菓子折りでいいんじゃない? あ、華美すぎないことね」

「カビ? カビ生えてるもの渡すの? すげーな大人」

 

「バカな子ねー。華美って言うのはこう書いて―――」

「ふんふん」

 

 他にも簡単な新しい料理レシピ等の話しをして、時間は過ぎていった。

 そして、母さんは少し真面目な空気を醸し出して言った。

 

「―――ボーダー、続けるの?」

「……うん。続けたい」

 

 他にやりたい事も思いつかないが、ボーダーだと割と評価されていると思う。大規模侵攻という事件があったのだから親としては心配なのかもしれないけど、個人的には続けるべきことだと考えている。……ん? あ、日浦ちゃんは大丈夫だろうか? 最悪のタイミングの大規模侵攻だったからなー……引っ越しちゃうだろうか?

 

「そっか……あまり応援できないんだけど、いつでも帰って来ていいからね? じゃあ私は三雲さんに挨拶してから帰るけど、今日はネコの家で泊まって行くから。鍵はコレでいいのね?」

「そうだけど、何で鍵持ってるの?」

 

「ボーダーの人が持って来てくれたのよ」

「ってそれより、三雲さんって?」

 

「修君って言う子のお母さんよ。聞いた限りだと修君がネイバーを追い返したんですって、命に別状はないけどまだ寝てるらしいのよ。初めて会ったんだけど意気投合してね」

「……三雲君が?」

 

 どうやったか知らんけど、伊達にメガネかけてないわけだし頭がいいんだろう。明日退院できたらお見舞いに来よう。あの時、ハイレインからミラを引き離したのは三雲君という事だろうか? いずれにしてもネイバーを追い返したほどの作戦を考えたのだから凄いものだ。

 

 

 

 翌日、検査に異常もなく俺は退院した。母さんもそれを見届けると帰っていった。

 さて、いつもの様にデパート巡りをしてお返しの品を買い揃えて本部に来たぞ。忍田さんと鬼怒田さんへ和菓子詰め合わせを贈り、嵐山隊を始めいくつかの隊を回って歩く。そんな中、東さんと出くわした。

 

「ネコじゃないか。いつ退院したんだ?」

「東さんこんにちはー。今日の午前中に退院してきました」

「あ、ネコ君いたいた」

 

 東さんとの会話が始まると、忍田さんのところにいた沢村さんがやって来た。なに? 和菓子の詰め合わせあげましたよね? あれだけじゃ足りないの? クッキーも欲しいの? これは二宮さんのところに持って行くんだよ?

 

「これ、明日にはメールも送る予定らしいんだけど、事前に渡しておくね」

「なんですかこれ?」

 

 渡された封筒を俺は開けてみるとそこには『音無音鼓 右の者を本部兼玉狛支部所属とする』とあった。

 

「……わけが分かりません」

「本部と玉狛支部を兼任する? これおかしくないか?」

「私に言われても困るよー。でも、今回の件でこれが決まったらしいんだけど、確かに聞いたことないね」

 

 東さんと沢村さんが俺の手元の紙を見てそう言うが、前代未聞の人事異動が俺に起こっていた。マジかー……。今回の大規模侵攻で俺は何かやらかしてしまい本部で全部は面倒見切れないから玉狛と一緒にネコの起こした問題事厄介事を折半するぜってことなのだろうか?

 

「俺、何かしちゃいました?」

「ネコ君が? んー……論功行賞で特級にするか一級にするかの議論はあったけど、あ! こ、これ内緒ね。発表があるまで言っちゃ駄目だからね?」

 

「論功行賞ってなんですか? 特級? 一級? 戦犯とかですかね?」

「あー違う違う。戦功だよ。多分だけどネコ君は特級戦功もらえると思うよ」

「記録によると新型(ラービット)撃破数は太刀川に次いでの個人で5体。人型の黒トリガー使い、それも本部襲撃者を撃破してるからな。まず間違いないだろう」

 

 戦功きたー!! ボーナスでしょ!? 給料とは別に貰えるボーナス。10万ぐらい貰えるのだろうか? いや、期待しちゃいけないか。攫われてるC級隊員もいるんだし控えめだろう。そうだなー……5万とかでもいいや。

「ちょうどいいか。退院祝いと戦功取得を祝して焼肉行くかネコ? 奢るぞ」

「いいんですか!?」

「あ、いいなー」

 

 沢村さんよだれよだれ。

 どうやら東さんは今度よねやん先輩、いずみん先輩、緑川の3バカを連れて焼肉に行く事になってるらしい。俺は「よろしくお願いします」と伝えて連絡先を交換してその場を後にした。

 やっきにく! ボーッナス! やっきにく! ボーッナス!

 喜びに浸りながら俺は残りのお返しの品を配るべく本部内を歩き回るのだった。

 

 

 




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◆風刃の所持者
忍田さんにしたのはエネドラ戦の活躍がなかったから。ノーマルトリガー最強が黒トリガー使ったら敵無しじゃね? そんな事はない。だって相性があるのだから。今回も確実性を高めるために米屋・三輪・烏丸・ネコ・スナイパーの連携を重視し、完全に斬撃が入るタイミングで風刃を使いました。(……あれ? 誰でも良かったんじゃね?)し、忍田さんかっこいいー!!(ほとんど勢いです)

◇分割シールドを覚えたネコ。でも黒トリガーは……
基本的にはノーマルトリガー系統ならば難しい構造でもちゃんと集中すれば真似できるネコですが、黒トリガーを真似する事は難しいです。死んだものを騙す行為に近いためですね。黒トリガーを真似しようとしてるから失敗するんですねー。如何に柔軟に対応していけるかがネコ成長のカギです。

◆艇の危機を知ったハイレイン。
コレは全く書いてない裏情報で次回以降で書ければと思いますが、原作では千佳ちゃんを守るための行動でしたが、千佳ちゃんが助かっているにも拘らず三雲君がレプリカ先生と共に動き出し遠征艇狙いになってます。
これはC級隊員の多くが連絡通路に入れたことで三雲君に余裕が出来、彼なりに出来る事をやろうと考えた結果、レプリカ先生と相談して遠征艇狙いになりました。完全に単独行動ですね。

◇ネコキューブ
騙まし討ちとかも違和感で気付くネコですが、油断や慢心があればサイドエフェクトは上手く機能せず、足元のトカゲにも気付きません。まぁ大規模侵攻スタート時から全力でサイドエフェクトの乱用をしてきたので、疲れが溜まり頭痛へとつながりました。サイドエフェクト(能力)サイドエフェクト(副作用)です。

◆ネコ隊に入るの?
実力派エリートがネコ隊に!? そんなバハマ。
ネコが意識失ってるおかげで久しぶりに視えたネコの未来。安心してください。ネコは無事ですよ。
ネコ隊としてランク戦に参入する時は迅さんがいるかもしれない未来。

◇『スーパーうちゅうねこ』のぬいぐるみ
原作では三雲君の病室には『リリエンタール』のぬいぐるみが……ぐぬぬ、ならばこっちは『スーパーうちゅうねこ』だ! という無駄な張り合い。裏設定として志岐小夜子が密林から買ってあったものを持ってきてくれました。志岐小夜子は『スーパーうちゅうねこ』のぬいぐるみを保管用・展示用・布教用で3点持っていた模様。

◆焼肉奢ってくれる東さん好きー。
マジかよ大学院生。流石は元A級率いてただけはあるぜ。ネコは直接師事してもらってないけど、武富桜子の音声データでかなり勉強している模様。解説分かりやすいし勉強になるし焼肉奢ってくれるし好きー。という完全に頭弱い子設定で近付いてますね。

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