Medal of Honor Silver Star   作:機甲の拳を突き上げる

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今回は戦闘後と言ううことで短めになってしまいました・・・すいません(;ω;)

最後にアンケートをとっているので、なるべく参加してくれるようお願いします。


8話 情勢

「おい!早く水を持ってこい!」

 

グローデンの森による補給基地奪取に補給路寸断は成功した。だが、帝国兵が倉庫や司令部に火を放ち、自分達の逃走時間を稼ぐ遅延戦術を取られ逃げられてしまった。

 

さらに、周りの森はガリアの自然遺産とされており、上からも成るべく森に被害が出ないように言われている。その森に火が付けば、この時代の消化方法では この森一帯はたちまち焼野原と化してしまう。

 

そうならない為には迅速に火を消す必要があり、そこを帝国に突かれ、まんまと相手に策に嵌ってしまった

 

「川からと井戸から水を汲んでくるんだ!一人ずつじゃなくバケツリレーで運ぶんだ!」

 

ウェルキンもバケツに水を汲みながら指示をだす。その列の中にはアメリカ兵の姿もあり、第7小隊全員と大半のアメリカ兵は消化に尽力を注いでいるが、残りのアメリカ兵は周囲の警戒に当たっていた。この状況で襲われる危険性があると判断したパンサーの指示だった

 

そのパンサーも今はバケツの水を火にかけて鎮火作業に勤しんでいる。

 

火の手が大きくなる前に消せたおかげか、30分程で鎮火はできた。司令部は丸焼けとなったが、倉庫の方は火の回りが遅かったのか、半分ぐらいの物資は無傷のまま手に入った。

 

しかし、パンサーとウェルキンの表情は曇ったままだった。パンサーは司令部を焼かれたことによる機密書類などの奪取に失敗し、相手の遅延戦術による鮮やかな撤退ができる敵将、これからの行動方法と作戦に思考を巡らしていた

 

ウェウキンも同じようなことを考え、森が焼かれそうになった自分の力不足に、相手の判断により一歩先を行かれた戦術に感服と同時に悔しさを感じていた。

 

しかし、2人は直ぐに思考を切り替え、今の問題の解決を急いだ。

 

「ダスティー、被害報告」

 

今回の戦闘による被害状況を確認する。

 

海兵隊(マリーン)にレンジャーは負傷者が多数出ているが、死亡者はいない弾薬の消費量も予想の範囲内だ。試作で開発した火薬とラグナリンで作った手榴弾も性能的にも扱い易さの面からみても良好だ」

 

その報告を聞いてパンサーは頷く、被害が出たものの死亡者は0、試作品の手榴弾の性能も安全性も問題なしと言う報告は嬉しい誤算であった。

 

今回の戦闘は小さくとも基地襲撃であったので死亡者は出るとパンサーは考えていた、それに死亡者が無しと言うのは戦力の低下はなく、逆に試作段階である手榴弾が良好なことで今後の戦力の増強へと繋がる。敵は逃がしてしまったが、任務自体は成功し敵の補給線を断つことはできた。これで上層部は納得してくれるであろうとパンサーは考えた。

 

「ウェルキン、そっちの状況はどうだ?」

 

自分の部隊の状況は把握し、ウェルキンの方を訪ねる

 

「こちらは戦車が被弾しましたが、戦闘には支障ありません。ケガ人はいましたが、死者は0、倉庫に会ったのは食糧とラグナイト燃料に弾薬が約2ヵ月分に銃は重機関銃合わせて40丁ほどです。流石に前線補給基地なだけあって物資が豊富ですね」

 

ウェルキンの報告にあった物資、これでも焼け残った倉庫から取り出しただけでこの量なら全部あればどれほどの量になっていたか……パンサーは改めて帝国とガリアの物量の差を身に知った。

 

物量では負けているが資源が豊富にあるのが唯一の救いであった。今もラグナイト鉱石を使った燃料を戦車やヘリに使えるよう調査してもらっている。部品は今使っているのより多少は劣るが、無いことはなく部品交換もできる。燃料と弾薬、この2つが揃えば航空支援が頼めるようになり、戦闘がかなり楽になる。

 

だが、問題があった。最大の障害となっているのがダモン将軍であった。最初の申し出を断ったのをまだ根にもっているのか、弾薬生産の邪魔をしてくる。

 

上流貴族であって、発言力も大きい。唯一の救いなのがダモンの無能であることであった。無能である故に、何がアメリカ軍にとって致命的になるかを理解できないおかげで今は弾薬生産の邪魔だけですんでいる。

 

最大の敵が帝国軍ではなく味方の筈であるガリアであるとは……戦争にならないとパンサーは考えていた。

 

「パンサー!」

 

考えを纏めていたパンサーにデュースが走って近づいてくる。その手には焼けた一枚の紙が握られていた。

 

「これを見てくれ、司令部の瓦礫に埋もれていた一枚だが……」

 

その紙を受け取り内容を見た。半分ほど焼かれていたが、その内容の中にはバリアス砂漠と言う単語があった。

 

「ウェルキン、バリアス砂漠とはどこにある?」

 

紙から顔を上げ、ウェルキンに尋ねると

 

「バリアス砂漠ですか、ここから南に行った所にあります」

 

突然聞かれたことに頭を傾げるが

 

「その砂漠には何があるんだ?」

 

そこにある物など1つしかないかの様に直ぐに思い浮かべ

 

「古い遺跡があるだけですが……いったいどうしたんですか?」

 

パンサーは手に持っていた紙をウェルキンに渡す、それを見るとウェルキンはパンサーと同じような疑問を感じた。

 

「本当にバリアス砂漠と言う所には遺跡しかないのか?」

 

顔を上げたウェルキンはパンサーの方を向くと

 

「そのはずです、少なくとも僕は遺跡以外に何かあると聞いたことがありません」

 

それにパンサーは少し考えた後

 

「これは大尉に報告する必要がありそうだな……」

 

ウェルキンは頷くと

 

「でも、どうしてバリアス砂漠なんかに……あそこはラグナイト鉱山も無いし戦略的価値はないはずなのに……」

 

そう呟きながらウェルキンが考え込むと

 

「それを上に聞く必要がありそうだな。よし!撤収するぞ!」

 

その言葉と共に基地へと撤収する。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

義勇軍の中にあるアメリカ軍が使用している格納庫の中にはクライス・リオンといった整備士にマザーやパンサーといった尉官達が集まっていた。

 

その中央には剥き出しになっているエンジンと青白く光る液体があった。

 

「ここにあるラグナリン燃料はラグナイト鉱石を液体化したのを蒸留の過程で得られる留分を集めたものです。提供していただいた燃料を分析してみた結果、ここにあるラグナリン燃料と性質が限りなく近いことが分かりました」

 

クライスが燃料の説明をすると、尉官達が黙って聞く

 

「ここにあるエンジンは現ガリア軍主力の戦車のラジエーターを改造してラグナリン燃料を使用する方式に変えました。リオン」

 

リオンの名前を呼ぶと、リオンは頷きラグナリン燃料をエンジンに入れ、離れた所にあった機材を動かし始める。マザー達もクライスと共にリオンの後ろに立つと、リオンはレバーを上げる。

 

すると、エンジンは青白く光らずに(・・・・)エンジンが動きだし鼓動を響かせる。

 

「このように、ラジエーターを光らせることなく動かすことができます!」

 

エンジンの鼓動に負けないようクライスは叫びながら言う

 

「それは俺達の戦車にもつかるのか!」

 

マザーが大声で聞くと

 

「はい!貸していただいたラジエーターにて始動してみた結果、無事に動きました!まだ走行試験をしてないので分かりませんが戦車に乗せても大丈夫です !」

 

そう叫ぶと、クライスはリオンの肩を叩きレバーを下げるようジェスチャーで指示をだす。それに頷きリオンはレバーを下げた。

 

「ですが、注意点もあります」

 

マザー達の方を向きながら言うと

 

「使っているのがラグナイト鉱石であるので爆発には弱く、対戦車槍一発でも直撃したら大爆発し戦車がバラバラになってしまいます。あと、試作品と言う ことでまだ十分なデータが取れていないので何が起こるか分かりません。あまり無茶な運転は禁物です」

 

それを聞くとマザー達が顔を見合わせる

 

「それで何処までが無茶な範囲なんだ?」

 

戦車兵であるマクレイン曹長が尋ねと

 

「ラジエーターを全開で長時間走行させると、どうなるかは僕達にも想像がつきません」

 

それを聞くとマクレイン曹長は苦笑いをする

 

「でも出力は従来のより遥かに上っス。よほどの戦況じゃない限り大丈夫だとおもっス!」

 

リオンがサムズアップしながら答えると、マクレイン曹長はあきらめたかのように溜息を吐いた

 

だが、それは戦車のみではなくヘリにも使えるということで、燃料の心配は解消されたのは大きいポイントであった

 

「しかし、ラグナリン燃料は抽出方法も難しく量も少ないです。それに、ラジエーターの改造にも時間が掛り、ノウハウも分かっていません。従来のラグナイトを使ったラジエーターが安価で量産性も高いので恐らく正規軍はこれに見向きをしないはずです」

 

なぜそんなことを言うかというと、マザー達が自分達の秘密をバラし彼等をこちら側に引き込んだのだ。最初は驚いた表情をしていたが、最後に脅しを入れて言うと2人は冷や汗を流しながら苦笑いをしていた。

 

「そうか、手間を取らせたな」

 

そう礼を言うと

 

「いえ!この技術が画期的な方法です!従来ではラグナイトを液体化しただけのを使用していましたが、これを蒸留したのを使うことによって、さらに純度の高いラグナリンを……」

 

と一人で興奮し喋っている姿に苦笑いしながらも、ここまで尽力を尽くしてくれたことに感謝した

 

「で、砲弾や銃弾の方はどうだ?」

 

パンサーが尋ねると一人で興奮をしていたクライスがクネクネ動かしていた体をピタッと止まった。何故か背中が猫背となり

 

「銃弾の方は上層部も皆さんの活躍に応えて生産してくれるようですが、砲弾の方はかなり渋っています」

 

それを聞くと「やっぱりか……」と皆が思った。上層部はアメリカ軍が離反若しくは寝返るを恐れているのだ。

 

ガリアだけでは歯がたたなかった帝国軍に突如として現れた正体不明な傭兵団、その実力は帝国が誇る戦車を一蹴りに倒してしまう程の規格外な戦車を保有

し、その団員達は恐ろしいほど錬度が高い。恐らくガリアでどの部隊が一番強いかと言われると間違いなく例の傭兵団であると答える。

 

現に上層部はメディアを使って市民に傭兵団の活躍を大々的に報道しこちらに引き込もうとしている。だが、マザー達はそんな誘いに乗るはずもなく全て断

っている。このままでは傭兵団が帝国側に付いてしまうと恐れた上層部が規格の違う銃弾を生産し始めた。

 

しかし、力を持ちすぎることを良しとしないこともあり、主力と言える戦車の砲弾やロケット弾の生産を渋っているだ。ある程度は提供して此方側に誘い込む算段であろうと考えていた

 

「まったく、上はどこも同じか……」

 

そうパンサーが溜息を洩らしながら言うと、マザー達も溜息を洩らした。

 

「恐らくダモンの奴が邪魔しているんだろうな」

 

マザーがそう呟くと

 

「あいつ、また勧誘しに来ていたぜ。そんな暇あるんだったら戦略学の勉強でもしろってんだ、自分の部隊を壊滅的にしといておきながら……」

 

怒りを露わにしながら言うのはラミレス中尉だった。フォース・リーコンと言う厳しいと言う言葉すら生温い地獄を仲間と共に突破した彼は仲間意識が高く、自分の部隊を壊滅しときながらヘラヘラ笑っているダモンが許せずにいた。

 

「と、とにかく、いつ生産許可がおりてもいいように設計図と分量は把握しているので直ぐにでも作り始める準備はできています」

 

励ますかのようにクライスが言うが、生産許可が下りない限りその考えは絵に描いた餅であった。

 

「バーロット大尉も上に進言すると言ってくれている。弾薬も節約しているおかげで、まだ余裕がある。それが無くなるまでに何とかするしかないだろ」

 

マザーがそう言い、今後の目的を確認した。

 




前回の内容で戦闘中にポテンシャルを入れましたが、これはゲーム内では発動をするで小説の方でも取り込んでみました。もし、読みにくく邪魔だったり、リアルの軍隊がそんな変なのを入れるのを許さないと言う人が少なからずいるかもしれないのでアンケートをとります

A.ポテンシャルはあってもいい

B.ポテンシャルは邪魔である

A.Bどちらかを入力してください。その時に一言感想くれると嬉しいです

*もし作者がいらないなorいるなと思ったら入れるかもしれませんが、なるべくアンケートの内容に従って書くようにします。

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