Medal of Honor Silver Star   作:機甲の拳を突き上げる

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エピローグ

祖国に戻れたパンサー達は直ぐに軍の参謀本部に呼ばれた。謎の力場が突然と消え、そこにいたのはパンサー達のみであり、3ヵ月間行方不明となっていた彼らが現れ軍内部は大混乱したのだ

 

パンサーやマザー達といった国家指揮最高部直轄が理由を聞かれた。そこでアフガンからガリアであった事実を述べた。最初は馬鹿にしているのかと怒られ、正常でないと判断されたが、戦車のラジエーターやガリアから持ってきたラグナイト手榴弾や医療用ラグナエイドの実践をおこない、更に写真などを見せた

 

写真や実物の証拠に上層部も驚き、整備士の証言でエイプラムスやブラッドレー、アパッチに謎の液体燃料が使われ、ラジエーターにも未知の技術があると報告された。

 

すると上層部はアフガンからガリアへ飛ばされた状況を詳しく報告するよう言ってきた。謎の燃料とはエネルギー不足の解決に繋がり、手榴弾や医療にも使えるとことから何とかガリアがある世界への接点を捜し、再び繋がろうと考えていたのだ

 

しかし、彼らはその状況など知るよしもなかった。積乱雲や嵐に巻き込まれ、気絶している間に飛ばされたのだから説明のしようがなかった。それでも証言の元、なんとかしようと上層部が行動に出るが、これは別の話である

 

アメリカに戻ってきた彼等は数日の休暇の後に戦死者がでた部隊は家族に報告と勇敢であったことを伝えた。彼等は異世界の地で祖国に戻るため死力を尽くし、友を助け、数多くの人達を救った功績によりMedal of Honor(名誉勲章)Silver Star(銀星章)が授与された

 

だが、マザーやパンサー達の姿は既にアメリカになかった

 

某国のカフェでラビットとプリーチャーがチャイを飲みながら誰かを待っていた。すると1人の男が彼等の前を通り過ぎる

 

「あれが目標だ、いくぞ」

 

プリーチャーがカップを置き、椅子から立ち上がると、ラビットも頷き立ち上がる

 

彼等の戦いは終わらない、この世界に戦場がある限り彼等はそこに立ち続ける

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

首都ランドグリーズから離れた郊外。そこには多くの銃火器や弾薬が積まれていた

 

「これで全部か……」

 

基地から持ち出したアメリカ製の銃火器を積み上げたのを見てデュースが呟く。恐らく……いや、二度と目にすることはできないであろうと

 

「準備はできたか?」

 

セルベリアがデュースの方に歩いてくる。その手にはクライス特性のラグナイト爆弾を持っておいた

 

「あぁ……」

 

静かに頷くデュース。自分の祖国の品の見納めである

 

「さぁ、さっさとやってしまおう」

 

セルベリアからラグナイト爆弾を受け取り、最後のC4の傍に置く。これで誘爆し、跡形もなく吹き飛ぶ計算だった。設置し終わるとデュースとセルベリアは傍に置いてあったトラック乗り込む

 

「あら?終わりましたの?」

 

助手席に座っていたイーディが尋ねる。このトラックも物資運搬用のアメリカ製トラックであるが、この世界で生きていく為には足が必要であり、有効活用することにしていた

 

「あぁ、準備を終わらせてきた」

 

先にセルベリアが入り、運転席にデュースが座った

 

「ちょっとセルベリアさん!場所を交代してくださいまし!貴女、行もデュースさんの隣でしたでしょ!」

 

デュースの隣に座るセルベリアに指差して言うが

 

「ジャンケンで負けたのはお前だ。諦めろ」

 

どこか勝ち誇ったように言うセルベリア。そこから口喧嘩に発展していき、デュースは苦笑いをする

 

この世界にデュースは残った。敗北寸前のガリアを救った傭兵部隊であることから、コーデリア姫直々に表彰を受け、勲章を賜り、ガリアの永住権と軍での大尉相当の立場を与えられた

 

軍部は反対しようにも、ダモンやボルグ亡き今、貴族と繋がりのある上層部の発言は著しく低下し、軍人畑の実力主義の上層部はデュースの力を高く評価しており、コーデリア姫の考えに賛同であった

 

第7小隊と独立遊撃隊(アメリカ軍)は国の救った英雄であると報道しそうになったが、コーデリア姫がそれを止めた。これは別れる前に交わしたパンサーとの約束であり、パンサーの思い出と姿を胸に秘め約束を守った

 

更にコーデリア姫は、自分がヴァルキュリア人でなく、ダルクス人であることとランドグリーズ家の歴史の真実を国民に公表し謝罪した。国民には大きな衝撃を与えるが、多くの人達から支持され大公に即位した。

 

「ほら、さっさと行くぞ」

 

デュースがエンジンを掛け、道を進んでいく。ここまでマスコミに追われ、軍上層部の人達か多くの勧誘を受け、ぐったりする思いをしていた。しかし、誘いを断り有事の際には軍人として戦うことを約束し自由に生きることにした。ある程度離れると、デュースがトラックから降り、銃火器の方を向く

 

「……」

 

無言のまま見詰めた後、ポケットからスイッチを取り出し……押した。爆発音と共に火柱と爆炎が見え、銃声が空に響いていた。それにデュースは敬礼し、トラックに乗った

 

「よかったのか?あれほどの武器弾薬を、あれらには相当の価値があるのだぞ?」

 

セルベリアはデュースが爆破した武器弾薬のことを聞く。数世代先の技術の塊なのだから言いたいことデュースも分かっていた

 

「あぁ、あの技術力は今の時代には高すぎる。それに……必要なものは残しているさ」

 

そうトラックの荷台の方に視線を向ける。荷台にはデュースの愛銃であるHK416やその弾薬。M203の弾やカールグスタフなどの少ない銃火器が食料とイーディのお土産と共に乗ってあった。このトラックのエンジンもクライスとリオン特性のラグナイトを燃料にできるエンジンを積んでおり、その燃費性も従来に比べかなりよくなってるとのことだった

 

「さて、道案内は任せるぞ」

 

イーディとの約束で実家に向かうことになっていた

 

「えぇ、母と父に挨拶しないといけませんからね!」

 

そうセルベリアの方を高笑いするポーズをしながら言うと、セルベリアはムッとなり、また言い合いになる。喧嘩するほど仲がいいと言うと思いながらデュースはトラックを走らせた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                            Fin

 


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