私はただのマサラ人です!   作:若葉ノ茶

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第十八話~クチバシティにてやるべきこと~

 

 

 

 

 

「ナゾノクサを育成します」

『ガゥゥ』

『ピチュゥ』

『ナゾォ?』

 

 

 

 

クチバシティに着いてヒビキ達と別れたヒナは、町はずれにある森の中でボールからポケモンを出して言う。決勝戦で戦った試合を通してバトルの指示の仕方がちゃんとなっていなかった事やバトルスタイルが攻撃特化になっていたこと――――つまり、色々と改善点があることが分かったからだ。

変化球を加えた戦い方をしていたあの決勝戦を見て、もっとバトルの仕方を変えてみたいとヒナは思ったのだった。

 

 

そして、ナゾノクサを育成していきたいと言う気持ちもあった。いつまでもリザードンとピチューだけに頼ってはいられない。

 

 

 

「ナゾノクサ、これからバトルになるけど大丈夫?」

『ナゾ…ナッゾォ!』

 

 

ナゾノクサはやる気十分といった感じで笑っていた。その声にヒナは元気よく頷く。リザードンとピチューはそんな元気いっぱいなナゾノクサに微笑んでいた。

 

 

「というわけで、リザードンとピチューにお願いしてもいいかな?」

『グォォ?』

『ピィッチュゥ?』

『ナッゾ!』

 

 

「ナゾノクサとバトルしてほしいんだけど―――」

『グォォオ…』

『ピチュゥ!?』

「あ、もしかして嫌?」

『グォォウ』

『ピチュ』

 

『ナゾォ?』

 

 

リザードンとピチューが嫌そうな顔でナゾノクサを見た。おそらくはたまごから生まれたばかりのポケモンだからバトルをしたくはないのだろう。

そういえば、リザードンは前も炎を出すのが嫌そうだったし…よし止めよう。レベル差がありすぎるのも困りものってことで。それに嫌々やっても何も得することはない。リザードンとピチューのバトルによってナゾノクサが成長するならいいかもしれないが、やりたくないことをしても意味はないし、時間の無駄だ。

 

 

 

(まあ、あんなことあったらやりたくないのはわかるけどね…)

 

 

 

リザードンとピチューはナゾノクサが成長するならそれは良いと思っているけれど、自分の技で攻撃して重症になってほしくないのだろう。以前操られた時にヒナに向かって攻撃してしまったことがまだトラウマになっているリザードンやピチューのことを思えば、先程のお願いはしない方が良いかもしれない。

 

――――でも、私たちはもう大丈夫だから、ゆっくりと傷を治していこう。トラウマのせいで仲間とのバトルを嫌がっていては、前に進めないのだから。

でも無理やりではなく、いつかナゾノクサとでもバトルの練習ができるようになるまで、ゆっくりと待っていこうとヒナは決めた。

 

 

 

 

「やるべきことは…ポケモンバトルかな…」

『ナゾナゾ?』

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「よし!野生のポケモン10連勝!」

『ナッゾォ!』

 

『グォォオ…』

『ピチュゥ!!』

 

 

野性のポケモンが私に向かって近づいてきたところをナゾノクサが攻撃していく方法を行った。

ナゾノクサが飛び出してきた野生のポケモンに噛みついたり頭上から地面に沈めたりをしていくうちにレベルが上がっているのだろう――――最初は何度か攻撃しなければいけなかったが、そのうち一撃で倒せるようになってきた。

しかも吸血もどきのすいとるによって体力も回復するため、ナゾノクサは元気いっぱいだ。そして周りの状況も酷い。もはや惨状と言ってもいいかもしれない。

ナゾノクサが攻撃するごとに地面が沈没する。ナゾノクサが走り出すと、地面が割れる。そして激突したポケモンは気絶し、木々は折れていく。

ちょっとした自然破壊みたいになってきたせいで、野生のポケモンたちがナゾノクサを恐れて逃げていく状況にリザードンは引き攣った笑みを浮かべていた。ピチューは笑って凄い凄いと言ったりしているようだったけれど。

 

 

 

「よし、よく頑張ったねナゾノクサ!」

『ナッゾ!』

 

 

 

周りの惨状を見て、喜んでいるナゾノクサに向かって私はにっこりと笑って言う。

 

 

 

「じゃあ逃げるか!」

『ナゾ?』

『グォォ…』

『ピチュゥ…』

 

 

 

この状況を誰かに見られたらジュンサーさんに通報され、すぐに説教されるだろう。というか間違いなくされる。ポケモントレーナーがバトルに熱中しすぎたせいで周りの建物や自然が破壊された場合、そのトレーナーの注意不足としていろいろと大変なことになるのは分かっているからだ。もちろんこの状況にするつもりはなかったけれど、ナゾノクサは手加減というものがよく分かってはいなかった。そして本気にならなければ一撃で倒せることはなかった。

つまり、まだまだ力不足だからこそ、こんな惨状になってしまったのだ。それに嘆くべきか笑うべきかは逃げてからにしよう。

 

苦笑するリザードンの背に乗り、私たちはクチバシティの町はずれ――――でもここよりも別の場所を目指して行った。

 

 

「よしいこうリザードン!そしてごめんねここに住んでるポケモン達!!いつか絶対直しに来るからね!!!」

『グォォウ…』

『ピチュゥ…』

『ナゾ?』

 

 

今の私たちには森を元通りにするような力はない。ポケモンたちを癒すことはしたが、それ以外のことは無力だ。だからこそ今度直しに来ると叫んでしまったが、一日もすれば野生のポケモンたちによって自然は復活するということを忘れていた。

 

 

今更だけどポケモンの生存力って凄い。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「よぉヒナ!リザードンに乗ってどうしたんだ?」

『マグ!』

「ヒビキ…いやちょっとナゾノクサのトレーニングしてたんだ」

『グォォ』

『ピチュゥ…』

『ナゾナゾ!』

「ふーんそっか!そういやぁこのナゾノクサって炎に強かったよな?何やったらそうなるんだ?」

『マグゥ』

「ハハハ…私にもよくわからないや」

『ナゾナゾ!』

 

 

リザードンが着地した場所には、ヒビキが近くにいた。ヒビキはちょっと不機嫌そうな顔で私に近づく。

 

 

「…そういえばシルバーはどうしたの?」

「あいつならジム戦!すぐ終わるっつって先に行きやがったんだ!!」

「そっか、マチスさんとのバトルかぁ。アリゲイツだとでんきタイプに弱いし……負けない…よね?」

「大丈夫だろあいつなら」

「ああうん。まあ根拠のない安心感はあるかな」

「むしろチルタリスのあのはかいこうせん見たら安心しかねえわ。バッチ取れなかったら鼻で笑ってやる」

 

 

そう言ったヒビキは、どうやらこの近くにいるポケモンをゲットしようとしてやって来ているようだ。マグマラシをボールから出してポケモンを探すヒビキはナゾノクサに興味津々といった様子で見つめていた。そんなナゾノクサはマグマラシの背中が気になっている様子。

私はリザードンとピチューに礼を言ってボールに戻し、ナゾノクサだけ出したままヒビキやマグマラシと向かい合う。

 

 

「あ、そうだ!ヒビキ、バトルしない?」

「バトル?」

「そう!私のナゾノクサの相手してほしいんだ!いいかな?」

「おう良いぜ!やろうかマグマラシ!」

『マグ!』

「よし頑張ろうねナゾノクサ!」

『ナッゾ!』

 

 

 

「――――ちょぉぉおおおっと待ったァァア!!!!!」

 

 

 

バトルしようという雰囲気の中、勢いよくやってきたのは地下通路で出会ったクリス。物凄い怒鳴り声を響かせながらやってきたせいか、近くにいたコラッタやポッポが怯えて逃げていくのが見えた。そしてこちらに近づいてからクリスは息を整え、私に向かって話しかけてきた。

 

 

「そのバトル、私も観戦していいか?」

「え、うん…いいけど」

「おいいきなりなんだよ」

「いきなりじゃないぞヒビキ!このナゾノクサはあのブーバーの炎に耐えることができた。それどころか無傷だったんだぞ!どうすればそんなナゾノクサになるのか私は見てみたい!」

「いやナゾノクサ生まれた時からこうだったんだけど…」

「それでもだ!いいだろうヒナ!!」

「あー……ヒビキ?」

「俺は構わねえよ。でも観戦するぐらいなら審判ぐらいはやれよな!」

「了解した!」

 

 

 

というわけで、クリスが審判をつとめるバトルとなった。

マグマラシが気合いを出した炎を見せたらナゾノクサが目を輝かせていて、それを興味深そうに見るクリスとヒビキ。

そして始まったバトル。

 

「それでは!マグマラシ対ナゾノクサの試合を始める!試合開始!!」

 

 

 

「マグマラシ、ひのこ!!」

『マァグ!』

 

「直進!」

『ナゾ!』

 

 

「え、ちょっ…やっぱりか!!!?」

『マグッ?』

「炎を好む草タイプか。本当に珍しいな」

 

 

ナゾノクサがわざとぶつかりに行ったのを見てヒビキ達は驚愕する。地下通路での戦いでも見せたその行動に信じられなさそうな表情だ。それでもマグマラシが見せた背中の炎に向かってぶつかり、炎を楽しそうに浴びているのを見れば信じざるをえないだろう。

ナゾノクサが背中に乗っているのを見てマグマラシは戸惑い、ちょっと泣きそうだ。進化しても臆病なのは変わらないのかな。

一時的にバトルを中断し、私はヒビキ達に向かってナゾノクサのことを説明した。

 

 

「この子、何故か炎が好きみたいなの。それで反対に水が苦手なんだ」

「何だそれ?!炎タイプかよ!!」

「弱点が反対になっているってこと?ならナゾノクサにとって弱点となる…氷なんかはどうだ?」

「よく分からないんだ。一応、カスミさんとのバトルで氷の道を難なく歩いたのは見たけど…」

「おい氷の道を平気で歩くナゾノクサって見たことねえぞ」

「嫌がることなく歩いたというのなら、氷も平気ということになる…のか?」

「うんもしかしたら…後でシルバーに確認してもらおうかなって思ってたとこなんだ」

「まあその方が良いかもな。あいつポケモンの事ならいろいろ知ってるしッッグホォォっぅ!!!」

「クソ!シルバーの野郎!!ムカつく!!!!」

「八つ当たりで俺殴んな!!!」

「ハハハ…」

 

 

『マァグ…!』

『ナゾ!!!』

『マァ…マグゥ!!』

『ナゾォォオ!!』

 

 

マグマラシとナゾノクサが戯れているように見えるが、ナゾノクサの行動にマグマラシが泣く一歩手前まで来てしまっていた。これはヤバいと思って私はナゾノクサを抱き上げる。すると、ようやく解放されたマグマラシはヒビキに向かって突撃した。腹にマグマラシがとっしんの勢いでやってきたことにヒビキはうめき声を上げていたが、ちゃんと受け止めて頭を撫でた。

クリスは、草むらから飛び出してきたポケモンに向かってチコリータを出して八つ当たり気味にバトルしている。

 

 

 

「ナゾノクサ、炎が好きなのはわかるけどやり過ぎは駄目よ」

『ナゾ!ナゾナゾ!』

「炎が好きならちゃんと欲しいって言ってから行動すること。突撃しちゃマグマラシが可哀想でしょ」

『……ナゾ』

「わかったらマグマラシに謝る。ヒビキもごめんね」

「いや俺は平気。マグマラシも大丈夫だよな?」

『……マグ』

『ナゾ!』

『マァグ』

 

 

 

 

この様子だとバトルはできないよね。まあ仕方ないか。

 

 

 

 

 

 

 







「そうだ。クリスはバッチ集めとかしてるの?」
「もちろんだ。バッチを集めれば世間から優秀だと認められることになるからな」
「じゃあお前もクチバジムに挑戦ってことかよ…」
「なにか文句でもあるのか?」
「いや別に」

「アハハ…とりあえずポケモンセンターにでも行く?宿泊の予約もしなくちゃ―――――」






「―――――――盗っ人ォォオオオ!!!!」



「はっ?!」
「何?」
「何かあったの?!」



「ちょっそこのトレーナー!!そっちに行きよった悪党捕まえてくれへんかぁ?!」



「んんっ?」
「悪党だってぇ?」
「何だかよく分からないけど…とにかく行こう!!」






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コガネ弁誰か教えてください。





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