蓮は泥より出でて泥に染まらず   作:時雨ちゃん

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遅くなってごめんなさい。
シリアスとか考えてたら遅くなりました。

ていうか全然まだまだ先だと思います。
いろはすターン終わらぬ。


第8話

「うっ…ぐすっ、うぅ。」

 

「おいおい、いつまで泣いてんだ。もう映画終わったぞ。」

 

「うぅ、せんぱい、だってぇ。ぐず。」

 

「確かに感動はしたが俺にはわからん………。」

 

俺と一色は今ららぽの映画館内備え付けのソファに座っている。

ららぽに向かう途中一色が

 

『そうそう!せんぱい!今みたい映画があったんです!』

 

というので観にきていたのだ。

 

恋愛映画だと言うから俺は速攻拒否したのだが当然の如く拒否するのを拒否され、せめて後ろの方でという抵抗虚しく真ん中より少し上の列の中央というど真ん中あたりに勝手に決められ連行された挙句、ラストあたりの主人公(女)が昏睡状態から目を覚ましてなんやかんやした所から一色が泣き出してしまって今の状況に至る。

 

一色は軽く化粧をしていたようでもうくっちゃくちゃになっており

 

『このままでは歩けません。落ち着くまで待って下さい。後でお化粧直してきますから。あ、こっちみないでください。見たら殺します。』

 

とのことらしい。

 

見たら殺されるとか、最初にぐずっって聞こえた時に見ちまってるしもう殺されるじゃないですかやだー。

 

まぁ見るなとのことなので俺は座ってからずっと一色とは逆方向と正面しか見ていない。

 

「……せんぱい、今からメイク落としでお化粧落とすので背中で隠してください。」

 

一色はやっと泣き止んだようでそう言ってくる。

 

「わかったから早く落として。そしてさっさと化粧直して。さっきから周りが『え?あいつ女の子泣かしてんじゃん。ありえねぇー、引くわ。』みたいな目で見ててかなり辛いから早く。ぼっちはこういうのに敏感だから。」

 

「もう、そういうこと言わずにスッと隠してくれればいいのに。」

 

俺が文句を垂れながら少し背中と背もたれの間隔を空け、前にズレてやると一色は不満そうに言ってきた。

なにやら鞄をゴソゴソと漁っている。

するとあった。という声とともに一色の気配が俺の後ろに移動する。

 

「もう少し待ってくださいね。」

 

「はいはい。」

 

「………。」

 

「………。」

 

まぁ沈黙だわな。

何も喋ることないし。

なんだ?さっきの映画の感想でも言えばいいのか?あんまり覚えてねぇよ。

 

でも泣いてる一色は……こう…守ってや…って何を考えてんだ俺は。

一色はこういう恋愛(笑)映画で泣ける私可愛い!みたいにしか考えてないだろ。

 

……そうなんだよなぁ、かわいいんだよな、こいつ。撫でたくな……ってだから俺はなんつうことを考えてるんだ。

 

俺は頭をぶんぶん振り回す。

あぁーダメだ、一色から葉山への気持ちの事を聞いてからなんか変だ。

絶対勘違いはない。うん、絶対。

 

「せんぱい背中ありがとうございま、って何をブンブンしてるんですか?」

 

「え、なんでもない、気にするな。……ていうか、お前化粧必要か?なくても全然いつもと変わらねぇし、かわいいじゃねぇか。」

 

「……………な!え!なななんですかいきなり!もしかして口説いてるんですか!?ていうか見ないでください!えっと、あぁーと!そのぉー、…と!とりあえずとにかくごめんなさい!お化粧なおしてきまぁーす!!」

 

一色は少しぽかんとした後、物凄い勢いで走り去ってトイレに駆け込んでった。ていうかまた振られた。なんだよとりあえずとにかくって。

 

でもやっぱ女子っていうのは化粧必要なのか。あんなに急いで化粧しに行くなんて。

 

ま、しばらくは戻ってこないだろうし本でも読むか。

 

 

 

 

「すいませんせんぱい。お待たせしました。少し混んでまして。」

 

俺がラノベを読み始めて十五分ほど経った頃化粧を終えた一色が戻ってきた。なんか顔が赤い気がする。

 

「おう、どうした?なんか顔赤いぞ。」

 

「え!な、なんでもないんで気にしないでください。」

 

「?そ、そうか。じゃあとりあえず出るか?」

 

「………。」

 

「一色?」

 

「え?あ、はい!なんですか?」

 

「もう映画館出るか?て聞いたんだけど。」

 

「あ、はい、そうしましょう。」

 

なんか今ボーとしてたな。

ま、特に体調悪そうってわけでもないし大丈夫だろ。

 

そうして俺と一色は映画館を後にした。

 

 

 

 

「あ!結衣さん結衣さん!やっと出てきましたよ!」

 

「……すぅー。……ん。」

 

「ちょっと結衣さん!結衣さんってば!」

 

「!……は、はれ。小町ちゃん、どうしたの?」

 

あたしは小町ちゃんにゆさゆさされて目を覚ました。

あれ、あたしいつの間に。

 

「もう!何寝ぼけてるんですか!ほら、お兄ちゃんと一色さんが映画館から出てきましたよ。」

 

「え、やっと出てきたの?」

 

かれこれ三時間は出てこなかった。そんなに映画長かったのかな?

でも他の人たち映画終わったって感じじゃないし……。

まぁいいや。

 

「あ、下に向かうみたいです、行きましょう。」

 

「あ、うん。」

 

見てみるといろはちゃんとヒッキーはエスカレーターを降りていた。

見失わないようにしないと。

 

 

 

 

映画館を出た俺たちは下の階に降りてぶらついていた。

 

「あ!せんぱい!あの小物かわいくないですか?ちょっと見てもいいですか?」

 

「ああ、別に構わん。」

 

一色は一つの店のショーウィンドウを前屈みになりながら中に展示してある置物やらを見ている。

 

こいつのこういうところをみると、やっぱり女の子なんだなって思う。

いつもはあざといあざとい言ってるけどこういう時は純粋に女の子してるというかなんというか。

やっぱりこういう一面を見れば見る程もっと素直にしてればいいのにと思ってしまう。

 

「せんぱいせんぱい!」

 

「んあ?」

 

そんなことを考えていると一色が俺の袖をつかんで引っ張ってきた。

 

「あのこれ、多分ヘアピンなんですけどどっちがあたしに似合いそうですか?」

 

一色はショーウィンドウの中にある2つ並んで置いてあるヘアピンを指差す。

 

そのヘアピンは見た目はシンプルで花の形をした装飾がついてあるヘアピンだ。

色違いが2つ置いてありそのどちらが似合うかということだろう。

一つは花の色が黒でもう一つは薄い感じのピンク色。

正直一色ならどっちでも似合うと思うが聞かれているのはどちらが似合うかだ。

まったく、そういうのを俺に求めるなっての。

てか一色めっちゃ見てくるんだけど。なに。そんなキラキラした目で見ないで。

 

「うーん、強いて言うならば………。」

 

「強いて言うなら……?」

 

「……どっちも。」

 

「ちょっとー!」

 

とまぁこんな感じである。

だってどっちも純粋に似合うと思ったし。

そう正直に言えば多分許してくれるはず。

 

「もー、わたしはどっちが似合いますか?って聞いたんですよ。」

 

「お前ならどっちでも似合うと思ってな。」

 

「そう言えばゆるしてもらえると思ってませんか?」

 

そんなことはありませんでした。

 

「ヤ、ヤダナァ。ソンナコトアルワケナイダロ?」

 

「バレバレです。あーでもちょっと高いなぁ。もうちょい考えてからにしようっと。」

 

「チラチラ俺を見るな。買う金なんて俺もねぇぞ。」

 

「ちぇー。」

 

ほんと、ブレないなこいつ。

 

「というかせんぱい、そろそろお腹空きませんか?」

 

「そういや昼飯まだだっけか。」

 

俺と一色はまだ昼を食べてなかったなそういえば。

現在十四時五十六分。もう三時になる。まぁ食うより先に映画観ちまったしな。

 

「どうする?すぐそこにフードコートあるけど。」

 

「ですね、もうそこにしちゃいましょう。」

 

「いいのか?もっとリア充御用達!みたいなとこじゃなくて。」

 

てっきり却下されるかと思ったのに。

 

「せんぱいはわたしをどんな子だと思ってるんですかね。」

 

「あざとい子。」

 

「はいはい、そう言うとおもいましたぁー。ほら、行きますよ、お腹すきました。」

 

一色は俺の回答に適当に返し、本当に腹が減ってるようで席を探しにフードコートへ向かっていった。

 

「ま……、あざと可愛い後輩に変えといてやるよ。」

 

俺は周りに聞こえないようにそう呟く。

 

「ちょっとーせんぱーい、早く来てくださいよー!こっち空いてますから!」

 

「はいはい。」

 

俺は今もあざと可愛く手招きする一色のところに向かうのだった。

 

 

 




今回は少し短いですね。駄文で申し訳ないです。

お読みいただきありがとうございます。

何かあれば教えてください。

ではまた次回。

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