蓮は泥より出でて泥に染まらず   作:時雨ちゃん

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こんにちは。那由多遥と言います。

今回が初めての作品です。小説自体書くのは初です。
手探りで書いていきますのでどうぞよろしくお願いします。

ある曲を聴いていてどうしても書きたくなってしまい、書いてしまいました。

至らぬ部分等多々あるとおもいますがどうぞ暇つぶし程度の感覚で気軽にお読みください。

原作は買ってありますが他のが溜まっており未読。
アニメは一期二期共に視聴済み。


第1話

蓮の花というのは綺麗な水の場所ではあまり大きく咲かず、

水が汚れているほど綺麗に大きく花を咲かせるという。

 

人に例えるならば苦く辛い経験をすればするほどに大きく成長するという事だ。仏教やヒンドゥー教、様々な宗教にも深く関わっているような不思議な花なんだそうだ。

この話を知ってから俺は少し考えるようになった。

俺は昔黒歴史やなんやら色々あって今ぼっちをやっている。

その黒歴史は所謂苦く辛い経験だと思う。ならば俺は蓮の花のようにそれを糧にして大きく成長出来ているんだろうか。

わからない。

奉仕部に入る前と入った直後よりも、確かに少しは自分でも変化してきているんじゃないかと感じる部分はある。

一体どうなんだろうか。誰も正解を教えてくれない。

 

 

その答えを俺は今探し続けている。

 

 

 

 

「………んっ……」

 

今日も今日とて学校がある。時計をみると俺は早めに目が覚めてしまったようだ。

まだあと50分は寝れるじゃねぇか。

よし、寝よう、そしてこのまま夕方まで寝て学校サボってしまいたいまである。

……やめておこう、そんなことしたら我が部の部長、雪の女王に氷漬けにされちまう。

クソ、起きるか。たまにはね、うん、早くてもいいじゃない。

てかこの時間なら親いんじゃねぇの?

 

のっそのっそと布団から出て冷えきった床に足をつける。

 

「っ冷たい……。」

 

まだ2月下旬だしな、仕方ないね。

扉を開けて廊下にでて階段を降りリビングへ向かう。

すると丁度リビングから出てきた母ちゃんと鉢合わせた。

 

「あら、おはよう、珍しいこともあるもんね。どしたの?。」

 

「おはよう。特に理由なんかねぇーよ。たまたま早く目ぇ冷めちゃったんだよ。」

 

「ほーん。」

 

特に興味なさげに母ちゃん返事してますけど聞いてきたのあなただからね?

てか実の母親が興味なさげとか八幡カナシイ。

まぁもう慣れてるけど。

 

「いつも通りだと思ってたから朝ごはん作ってないわよ?」

「いいよ別に、小町の分と俺の今から作っから。親父は?」

 

「お父さんならもう10分前ぐらいに行ったわ。

私ももう行くところなのよ。」

 

「んー、了解。」

 

この時間で親父もういないのか、素晴らしい社畜LIFEですね。

養っていただいてありがとうございます。

すると母ちゃんは鞄を掛け直し玄関へ向かう。

 

「それじゃ行ってきます。」

 

「うぃー」

 

玄関が開いた音がして、続いて閉まる音がする。

それ以降は時計の秒針の音だけがリビングに響いていた。

 

トイレに行き部屋に戻って着替えて洗面を済ませたあとリビングに戻り、棚からコップを取り出して机の上に出してあるミネラルウォーターを汲み、一気に飲み干す。

昨日の就寝前にコーヒーを飲んでから水分を補給していない体に少しぬるめの水が染み渡る。

 

朝飯は簡単でいいだろう。

コンロにフライパンを置き火をつける。

 

フライパンが十分にあったまった後、油を敷く。

冷蔵庫から取り出しておいた卵2つを割り、蓋をする。

本当はハムエッグにしたかったのだがハムがなかったんだよ。許せ小町。

 

だから今日は目玉焼きを食パンにのせて食おうと思っている。

朝飯なんてこんなもんだ。え、こんなもんだよね?

卵を焼いてる間に食パンを二枚トースターにぶち込んでおく。

 

 

「うし、完成。」

 

蓋を取り火を止める。そして焼きあがっていたパンにのせる。

あとは小町を起こし…ん?

 

「おー、カマクラおはよう。飯もらったかー?」

 

足に我が家の愛猫カマクラがすり寄ってきていた。

これは飯貰ってないな。いつも小町が起きてからあげてるしな、ちょっと早くてもいいだろう。

 

「よーし、ちょっと待ってろ。」

 

カマクラの飯を皿に入れてやると早速食べるのに夢中になっていた。

もうちょっとなんか構ってくれよ。なんてな。悲しくなんてないんだからな!ほんとだぞ!

 

「………小町起こしてくっか。」

 

本来小町は今はもう卒業を待つだけなのだが、今日はその卒業式の練習なんだそうだ。

あったなそういえばそんなのも。あれぼっちには辛いんだよ。

全校生徒とその保護者に見られながら名前呼ばれて返事すんの。

しかも練習では声が小さいとやり直しをさせられるという鬼畜っぷりだ。3回ぐらいやり直しさせられて、周りからの冷たい視線を受けたことは内緒な。

 

少し早いかなとも思ったがまぁいいだろう。

リビングを出て階段を上がって小町の部屋をノックする。

 

「小町ー、朝だぞー、今日学校だろー起きてるかー。」

 

…….。寝てるな。

 

「小町ー?入るぞー?。」

 

一応断りを入れて扉を開ける。

この前急に呼びながら入ったら

「もー!お兄ちゃんいきなり開けるとかびっくりするじゃん!それは小町的にポイント低い!」

とか言われてしまったのだ。

年頃の女の子って難しいね。

 

「小町ー、……あれ。」

 

部屋には小町の姿はなかった。

もう起きてんのか、洗面所かな?

 

すると後ろから

 

「お兄ちゃーん?もう起きてんの?珍しいねぇ」

 

と聞こえてきた。振り向いてみても姿はないから多分下から俺の声を聞いて声をかけてきたのだろう。

 

「おー、小町起きてたか。」

階段を下りながら声をかける。

 

「うん、ちょっと早めに目が覚めてね!おはようお兄ちゃん!」

 

と天使の笑顔で挨拶してくる。

うんかわいい。あざとい後輩の倍はかわいい。目に入れても大丈夫っ!

頭の中で何言ってんだ俺は。

 

「朝飯できてるから、早く食おうぜ。」

 

「え、お兄ちゃんが作ったの!?それ小町的にポイントたっかい!」

 

「うん、パン焼いて卵焼いてのせただけだけどな。はやく着替えてこい。」

 

「えー、無反応とかポイント低いよ。ま、いいや。オッケー♪」

 

っとタッタと階段を駆け上がっていく。

朝から元気だなー。

受験も終わり余裕が出てきているのだろう。

小町は無事に総武高に合格できた。

かなりギリギリだって自分で言ってたから正直ヒヤヒヤしていたが安心した。

兄としては受験前のデリケートな時期が終わって嬉しい限りである。

 

 

朝飯を食べ終えた俺達は今コーヒーを飲みながらソファに座りながら小町と一緒に朝のニュースを見ている。

 

「最近物騒だねー。」

 

今やっているのは東京で起きた殺人事件のニュースだ。

小町の言う通り最近確かにこの手の話題が多い気がする。

 

「確かに多いな、小町、気をつけるんだぞ。何かあったらすぐにお兄ちゃんに電話しなさい。」

 

「いやいや、まずは警察でしょ。」

 

ですよね、そうですよね。もし通り魔とかに小町が襲われて、電話掛かってきても俺勝てる気しないもん。

でも俺が盾になって何としても小町だけは逃すけどね。

 

「お兄ちゃんこそ気をつけてよね。」

 

「なんだ小町心配してくれてるのか?お兄ちゃん嬉しいぞ。」

 

「その目のせいで犯人に間違われないようにね。」

 

「……あー、そっちね。…うん、なんかわかってたよ。」

 

そこまで俺の目は腐ってるのか……。

 

「あ、小町どうする?ちょっと早いけどもう学校行くか?」

 

「うーん、そうだね、行こっか。」

 

「後ろ乗るだろ?」

 

小町は「うん!」とだけ言って鞄を取りに行った。

俺は持って降りていたのでテレビを消して小町が置いていった空のマグカップと自分のコップを軽く水洗いして中に水を溜めシンクに置いた後玄関へ向かい靴を履いて外に出た。

 

ビューーーーーー

 

「ーーーーーっ!さっむ!」

 

これは予想以上だ。マフラーとかしていったほうがいいかもしれない。

玄関を開けて叫ぶ。

 

「小町ーー!今日寒いからマフラーとかいるかもだぞ」

 

「んーオッケー!」

俺はー…いいや。取りに戻るのめんどい。

自転車に向かい鍵を開ける。

そして跨ろうとした時玄関が開き小町が出てくる。

 

「はいお兄ちゃんこれ。」

 

なんと小町が俺のマフラーを持ってきてくれていた。

なんてできた妹だろう。さすが小町だ。

小町に礼を言い鞄とマフラーを受け取りカゴに入れ小町が後ろに跨る。

 

俺がマフラーを巻いていると

「よーし!それじゃぁレッツゴー!!」

と、いつものように小町が元気よく宣言していた。

 

今週もあと2日だ。

今日も1日乗り切りますかね。

 

「しっかり掴まってろよ。」

 

「うん、事故らないでね?」

 

「大丈夫だ。今日は小町が乗ってるしな。」

 

「乗ってなかったら事故るんだね………。」

 

2月下旬の冷え切った風が顔を突き刺す。

この感覚はほぼ毎日味わっているのにいつになっても慣れない。

背中は小町がくっついているので暖かい。

その小町はというと「ひやーーーーっ!」とか言いながら寒がっている。

後ろでもやっぱり寒いみたいだ。スカートだしな。

俺いっつも思うんだけど女子ってあれ寒くないの?

タイツとか履いてるみたいだけどあんなのほとんど意味ないんじゃないの?

男の俺には一生解けないであろう疑問であった。

 

そうこうしているうちに小町の中学に着いた。

ヤダなぁ、背中あったかいのになぁ。

 

「小町ー、ついたぞ、降りろ。」

 

「うーん!ありがとお兄ちゃん!」

 

パッと飛び降りる小町

そこにほいっと鞄を差し出す。

 

小町は「ありがと。またねー!」と言って友達を見つけたのだろう。数人のグループめがけておはよー!と走っていった。

 

 

さて、俺も行きますかね。

 

……背中寒いなー。

 

「つっても俺ももうすぐで終業式か。」

 

そう、終業式。春休みを迎え入れる素晴らしい儀式なのだ。

はよ!春休みはよ!

あーでも由比ヶ浜とか

 

「ゆきのん!みんなで遊びにいかない!?」

 

とかいってうるさいんだろうな。

で、雪ノ下は由比ヶ浜に甘いから、一回二回断るけどそのあと絶対陥落させられるのは目に見えている。

ということは俺も強制的に行くことになるんだろう。

一色もどうせ

 

「せんぱぁーい♪。春休み暇ですよね?そうですよね。入学式の準備とか色々生徒会忙しいんですよぉ〜。手伝ってくれますよね??」

 

うっわ言いそう。超言いそう。

最近はちょっと収まったとは思うが春休みとか手伝わされんだろうなー。

まぁ別にいいんだけど。

春休み確かに予備校あるけどそれ以外は家にいるだろうしな。

………あれ、俺も一色に甘くなってる?

まぁいいか。最近奉仕部+αのあの場所は正直心地いいしな。

あいつらには絶対言わないけど。

 

近々始まる春休みに思考を巡らせていると校門が見えてきた。

そのまま進み駐輪場へ向かう。

 

「あ!せんぱいだ!せんぱーい!」

 

鍵をかけて鞄を取る。

今の時間はいつもより少し早い。

 

「あれ?せーんーぱーい!」

 

教室にはどれぐらい来ているんだろうか。

この時間に来るのははじめてだからな。

 

「せんぱいってば!」

 

早く暖房の効いた教室で突っ伏したい。

ていうかもう帰りたいまであ

「ぐぇ!」

後ろからマフラーを引っ張られた。

 

「なんで無視するんですか!」

 

振り向くとそこにはいつものあざとく頬を膨らました生徒会長がいた。

 

「………なんだよ一色、あとあざとい。」

 

「なんですかいきなりあざといって!ていうかなんだよって知り合いの人見つけたら声かけませんか普通?」

 

「お前らリア充達の普通を俺に押し付けんな。」

 

「む。そんなんだからせんぱいはぼっちなんですよ。」

 

「そんなの今に始まったことじゃないだろ。いいんだよ別に。」

 

「そんなことよりせんぱい。いつもこの時間なんですか?」

 

そんなことって…そんなことっていうならいちいち話題振らないでくれない?

泣いちゃうよ?

 

「いや、今日はたまたま早く起きてな。いつもはもう15分ぐらい遅いぞ。」

 

「へー、そうなんですか。………時間合わせようかな。(ボソッ)」

 

「ん?なんだよ?」

 

「え!なっ!なんでもないです!」

 

おかしいな。なんか言ったと思うんだけどな、聞こえなかったな。

難聴じゃないはずなんだけど……。

 

「それじゃぁせんぱい行きましょう。」

 

「え、なに、一緒に行くの?てか学年違うじゃねぇか。あとお前一人なの?」

 

「はい、今日は一人です。ていうかそんなことどうでもいいんです!一年の階のところまでは一緒なんですから!」

 

「ヤダ、断る。」

 

「えー!なんでですか!こんな可愛らしい後輩と一緒に校内歩けるんですよ!普通二つ返事ですよ!」

 

「だからヤダと断るで二つ返事したじゃねぇか。」

 

「屁理屈言わないでくださいっ!」

 

一色はまた頬を膨らましてプクッとしている。

……クッソ、正直かわいい。

 

「んだよ朝から元気だな。ホント。わぁーたよ、わかったからもう少し静かにしてくれる?目立って恥ずかしいから。」

 

「えっ!なんですかせんぱいっ!もしかして口説いてるんですか?朝から登校中の生徒にイチャイチャを見せつけて俺たちもうここまで言い合える関係なんだぜ?とか言っちゃって彼氏面するつもりですかそうですねちょっとだけちょーとだけいいなぁーって思いましたけどもう少しそういうのは雰囲気作ってからでお願いしますごめんなさいっ!」

 

「ちげぇよ!なんでいつもそうなるんだよ……。」

 

ホントよくそんな長いの言えるな。しかもまた振られたし。後半早口すぎてよくわからんことになってたぞ。

 

「ほら、わかったからもう行くぞ。」

 

「あ!ちょっと!待って下さいよ!」

 

この後結局逃げようとしたところを捕まり袖を引っ張られて連れて行かれた。チクショウ。

 

一色の学年の階で別れたあと俺は自分の教室に向かいステルスヒッキーを発動させて扉を開けた。

暖房がついてしばらく経っているのかものすごい暖気が体を撫でる

……超あったけぇー……。

 

教室にはいつもより少し少ない程度の人数がいた。

その中には由比ヶ浜の姿もある。

 

「あれ!ヒッキー今日早いね、やっはろー!」

 

朝一からおバカ全開の挨拶を交わしてくる。

チッ、見つかった。なんでこいついっつもステルス破ってくるんだよ。

それに俺は「うす。」とだけ返して席に座り、イヤフォンを耳にぶっさして音楽を再生し突っ伏す。

 

 

この後天使がきてすぐにイヤフォンを外したのは言うまでもないな。

 

end




いかがだったでしょうか。

短くて申し訳ありません。
少しでも面白いと思って頂けたなら幸いです。

気になる部分がありましたら教えて下さい。

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