オルタが欲しいのに引いても出ません。カレイドスコープがいくら出ても装備するサーヴァントがステラか安珍様loveしかいないのでは宝の持ち腐れなのです。えぇ、すまないさんすら家には来ないのです。
仕方が無いので作者は今日もオールバーサーカーや通り魔若奥様で頑張ります
魔術刻印を継いで、当主という位置づけになってからというもの、色々なことに融通が効くようになった。魔術の研究は自分のやりたいようにできるようになったし、母さんにも念願の宝石魔術の理論を教えて貰えた。桜も成長してきている。父さんがいなくなったことも、徐々に二人の意識から抜けてきたようだ。
……強いて気になることを上げるとすれば父さんを殺した分家の連中がやたらと口を出してくるようになったことだ。本筋の父さんが死に、現当主の俺はまだ小学生、さらに母さんは元々外部の人間と来ている。今更分家が本家になり変わろうなんて考えはないにしても、何を考えているのやら。
まぁ、何にしても俺達家族に手は出させないけどな
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
アーチャーを打倒し、それでもなお奥にあふれる雑兵を蹴散らしながら俺達は奥へと進み、何故か山の中にポッカリと空いた大空洞の中まで来ていた
奥から漏れてくる気配はそれだけで魔術回路が暴れだしそうな程におぞましく、また濃厚だ。
進めば進むほどにより色濃く存在を主張するそれに若干酔いながら、むしろピンピンしているシロを羨ましく思う
そう長くない通路を超えて、一段と拓かれたその穴の中は巨大な儀式場のようにも見えた
「こ、これが大聖杯?願望器とは聞いていたけどまた目にするとなんというか……」
「極東の島国にあっていいものじゃないわね」
社長の意見もわかるがこの場の半数はその島国出身者ですよ。
「─────ほう、なかなか面白いサーヴァントがいるな」
響いた声は鈴のように可憐に、心地よく耳へ飛び込んでくる。しかし含まれた迫力ともいうべき畏ろしさは言葉のみで俺を跪かせんとする圧政の色に歪められている
声の元へ視線を向ければその儀式場のちょうど真ん中……濃密な魔力を霧のように自身の周囲へ漂わせ、彼の聖剣を地へと突き立てた黒騎士がこちらへを真っ直ぐに射抜いていた
「あいつ、わしよりも盾子に興味を示すとは無礼な奴め」
「さっきみたいに飛びかかるなよアーチャー。聖剣が無くても、あのバカみてぇな魔力の放出はそれだけで身を半分は持っていきかねないからよ」
とても聞き流せない物騒な会話に突っ込むことすら忘れ俺の視線は騎士王に固定されたまま離れない
その白き肌に金眼、月光に晒せばさぞ映えるであろう頭髪……どこからどう見ても優美な少女のそれだ
『女性が王になることは難しい。多くの文化でその色は見られてきた、おそらく彼女もその波に逆らえず男として王を演じてきたんだろう。史実でいうならばマーリン辺りの権謀術数だね、彼はそういうことを考える人間だ』
「歴史って深いんだね、帰ったらよく勉強することにするよ」
「私もそうする、なんか頭が痛くなってきたよ」
この場では皮肉でしかないけれど、しかし歴史とは難解だ
「少女よ、いや?キャスターに、アーチャーもか。目的ならばわかっている、その覚悟もまた私は知っている、ならば力を示せ少女。その宝具でもって超えていけ」
高らかに、うたいながら彼女は聖剣を抜き体の後ろへと流すように構えた
────卑王鉄槌
周りへと漂う彼女の
────極光は
もはや一つの巨大な十字架へと変貌したそれを両手へと構え直す
「マシュ!!」
「擬似展開─────」
シロの声に前へ飛び出しマシュが叫びながら突き刺した盾からは巨大な魔法陣が展開されていく。前面を盾を超えて大きう覆い尽くしたそれは彼女の宝具、文字通り擬似的に開放された仮想宝具───対するは人々の願いの結晶、反転した光の先
「─────光を呑め、
地鳴りの如く共鳴しては濃密な魔力を激突前から弾けさせる二つの神秘────
「──────
「──────
───────────ォ
「「「──────ウワァァァアアアア!!!」」」
音が余波に流される。盾の前の光景を見ることは叶わず、ただひたすら黒い世界の奔流に流されまいとその両足で踏ん張り続けた
「攻撃が途切れると同時に走れアーチャー!足を止めるな!」
「無茶言うわい、どうせあれ宝具なんて使わなくとも似たようなもんじゃろ!?」
「だから走れってんだよ打ち合いで勝てるとでも思ってんのか!?」
「……是非も無し、ここは従おう」
こんな中でもサーヴァントにはまだ余力があるようだ。お互いにこの打ち合いの中で機会を伺いその力を溜めている。
「頑張って、マシュ!もう少しだから!」
「───りょ、うかいです……マスター」
この調子で行けば防ぎ切れるであろう事は間違いない。
先程まで音を拾うことすらままならなかった中、こうしてシロがマシュに声をかけられているのがその証拠だ
「────3、2、1……打ち止めです皆さん!!」
マシュの声のとおりに世界が晴れて流れていく
「走れアーチャー!」
それにタイミングを合わせ左右から信長とキャスターが飛び出していく。ベストなタイミング、遠距離攻撃を持つ二人ならば俺ほどの大技のあと固まっているセイバーを撃つことなど────
「いや……ダメだ」
「シロ、何を言ってるんだ?」
「セイバーはもう次の構えに入ってる!」
走る二騎から急いで視線を切り、黒騎士へと向けると先程よりも規模こそ小さいものの剣に纏わせた魔力を斬撃へと乗せ、幾重にも重ねてそれこそ波の如く駆けるサーヴァント達へと押し寄せている。
左右に分かれていることなどお構い無しのように虚空に刃をはしらせてはその闇が死神の手となって彼らを追いかける
「───流石にセイバー相手に接近はしたくなかったがのぅ!!」
俺達がいる以上マシュがここから離れる選択肢はない。
このまま逃げ続ける事に限界を感じたのか信長は刀を手に足を止め、黒い魔力の嵐へと向き直った
その手に持った名刀、圧切長谷部を閃かし黒い魔力のひとつひとつにあてがって威力で圧倒的に押し負けるそれの勢いをあえて利用して近づいていく
その様子にセイバーもようやく腕を止め近づく信長を迎撃するように構え直す
片や弓兵並みの遠距離攻撃を持つ剣兵の振るう黒刃、片や剣兵並みの剣の腕を持つ弓兵の振るう白刃、まるで対称的な二騎の王が全力で剣を振るい、そして鍔迫り合うことなく弓兵が横へと弾かれる
「逃げるのかアーチャー?」
「抜かせセイバー、なんでわしが貴様の土俵で戦わねばならん。素のステータスならまだしもそんな暴力的な魔力放出を前にこの柔肌を晒せるかい!!」
だから一々本音がおかしいんだお前は。
とはいえ信長の言葉は何もおかしくない。元々信長はその過激な史実の割には容姿が華奢で何よりも幼い。中学生、むしろ最近の発育のいい小学生といえば通ってしまいそうな程にだ。
同じ少女とはいえ信長のその姿で剣を振るうのは軽さとリーチの短さ、威力の弱さという点で圧倒的なアドバンテージを相手に与えてしまう。
かと言ってセイバーの砲撃を止めるには接近するかそれを上回る砲撃で持って止めるしかないが……キャスターの攻撃は対魔力によってまともに届かず、信長の火縄銃だけで撃ち合うにも攻撃の余波だけで弾丸が逸れてしまう───結果この不利すぎる睨み合いは必然のものだった
繰り出される剣戟に対しアーチャーは魔力放出の乗る前に刃を当て逸らせるか、もしくは端から魔力放出の乗った一撃とし事前に距離を置くかの二択でセイバーの飛ぶ斬撃を押さえ込む
キャスターの牽制もあってか傷はお互いないが……相手の無尽蔵とも言っていい魔力が何よりもインチキ臭い
「キャスター、はよなんとかせんか!」
「うるせぇ急かすな!杖なんて慣れねーもん使わせてココごと崩しても文句言うなよ!?」
「それは困るな、キャスター。この霊地は替えが効かない、それならばいっそここで貴様らが大人しく斬られる……というのはどうだ?」
「「ふざけろビーム厨」」
目から飛び込んでくる情報は紛れもなく神話の再現、耳から割り込んでくる情報は狂いもなく小学生の口喧嘩だ。キャスターはわからないが歴史に名だたる英雄が揃って何をしているのか……ともあれ今回の状況の解決は俺達の仕事のようだ
残った令呪二画、そして三騎のサーヴァント……どう使えば攻略できる?
キャスターが何か行動を起こすまで時間がかかるのならその原因は確実に時々放たねばならない援護の魔術だ。その負担さえ消せれば今にでもその何かしらは発動するだろう。ならば令呪で信長をブーストするか?……いや、流石にそれに一画を使うのはどうだ?
「マシュはあの宝具をいつでも使えるんだよな?」
「……?えぇ、幸い魔力効率はいいですし放出系の真名開放でも無いのであと数回ならば連続してでも────え?」
言葉の途中で何かを察したのかマシュは目を丸くして信じられないと言わんばかりの表情を浮かべる
「あの分なら攻撃をこちらに打つ余裕はない、なまじっか打たれたとしてもシロの令呪で呼び戻せる……マシュ、君がセイバーの動きを止めるんだ」
魔術師が以下な策謀を貼り回らそうとセイバーは何のアクションもなしに無効化できる。かと言って物理に走るのは論外。自然と残った選択肢は同じサーヴァントしかない
とはいえマシュの盾は目立つ。何のサポートもなしに隠密行動なんてできるわけがない
手持ちの被詠紙ほぼ全てを使って彼女の姿を覆い光透過と振動遮断の魔術で隠してしまう。内からの情報は内へと還元され、外からの情報はそのまま外へと還元する……礼装が無ければ魔力が枯渇してもおかしくないレベルの行使にはなったがここまですれば戦闘中のセイバーがこちらに気がつく事は無いだろう
「後ろから竜牙兵が来たらどうするのよ」
「自力で対処です、俺はもう魔力を無駄遣い出来ませんけど所長に強化してもらえば一応近接戦闘もできますしそもそも所長一人でなんとか出来るかと」
最も残ったサーヴァントがやって来たら諦めるしかない。作戦を諦めて大人しくマシュを呼び戻す……それで勝てるわけもないから状況が悪化するのは確実だろうがそんなもの行動しなくてもしても変わらない
未だに大空洞のど真ん中に陣取り派手に火花を散らしながら鎬を削る剣兵と弓兵。前に立つ壁がなくなり衝突の度に震える空気が直接身を打つ中マシュが目的の座標へと到着した
俺の取って置きを打ち破り突如その姿を周囲に晒した彼女は二人の剣戟に割って入りその巨大な縦を振り回してセイバーの活動範囲を削る。
事前に念話で伝えて置いたアーチャーとそれに合わせるように時に盾の下から、更には足場にして上からとお互いに攻撃のレパートリーを増やしキャスターの援護無しで均衡し出した
「無茶をしやがる!だが……よくやった」
そう言って振りまいていた炎を止めて蒼髪の魔術師は天に杖を掲げる。可視域に入った魔力がうねるのに合わせて炎が溢れて広がっていく染み出すようにそこから生まれるのは無数の木……炎にまみれながら成長し絡み合う命の活動
「燃え盛る木々の巨人、調整に手間取ったがしかと見な────
解合と共に立ち上った火柱から解き放たれるは炎の巨人、木々によって編まれた巨躯は大空洞の天上にも届きかねない高さを誇り、その大きさ故に一本踏み出す度にミシミシと身をしならせながらその内より炎塊を迸らせる
「でっか!?というかあっつ!!火加減!火加減!!」
「いや確かにキャスターさんの魔術は効きませんがだからといって───物理に走りすぎじゃないですか?」
その熱量と言えばこの広い大空洞をまるまる挟んでこちらにも届く勢いだ。というかむしろ外との唯一の接触点に立つ俺達の所へ逃げてきた熱気が集まる為に干からびる
それ程の規模の宝具、しかしセイバーはそれを一瞥すると簡単に声を漏らしたのみで焦る様子は見られない。
炎の巨人が未だに衝突を続ける三者へ一歩、また一歩と迫る中……黒騎士は何ら変わらぬ様子で口を開いた
「空気抵抗を知っているか?」
「藪から棒じゃの、聖杯の寄越した知識の中に入っとるわ。貴様もわかっておるだろうに!」
「そう、ならば空気抵抗は受ける面積が広ければ広いほど強く力を発揮するのを知っているな?」
そう言いながら信長へと振り降ろされた剣は割り込んだマシュの盾に阻まれる。何度も繰り返された行動、それを綺麗になぞっただけなのだがその後の黒騎士の行動だけが少し変わっていた。
両の手で握っていた剣を緩め、空いた左手を盾に垂直に立てたのだ
「─────あっ」
「魔力放出の推進力はこう使うことも出来る」
直後吹き荒れた黒い風はそのまま盾の表面を強く叩きそれに押されるように信長とマシュは爆ぜる人型の木々へと吹き飛ばされた
そうして二人の滞空中、空いた聖剣使いはその名の通りに再び愛剣へ魔力を貯め解放すべくその名を告げる
「光を飲め─────
広がる黒光と巨人に挟まれた二人に止まることなく宝具は迫る
「アーチャー!!!」
「マシュ!!?」
令呪を使う間もなく黒い極光が二人を飲み込みそのままの勢いで巨人すらも両断した
上下に分かれた巨人が地に沈み、炎を巻き上げる音のみが空洞に反響し、その凄惨な顛末を強調するかのように一人立つ騎士の姿を映し出していた
信長とギルガメの相性は悪くないです。ただしお互いに唯我独尊天上天下我唯一人タイプなので一度全力でぶつかり合わないとお互いを認めません。そしてぶつかり合うとお互いの殺傷能力の高さから必ず片方は消滅する運命......笑えますね。まぁ予想ですけど。
ちなみにこの世界、サーヴァントとが割と過去に召喚された時の記憶を保持してたりする描写があるのでそこら辺曖昧にしておきます。
ランサー、ギルガメとアーチャーの因縁やオルタのセリフ、加えて「うっそ生ネロ!?」などなど......過去の記憶があったりなかったり、この作品ではそんな感じです