聖杯奇譚 魔王降臨   作:ヤッサイモッサイ

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はい、どうもこんにちは。作者です。

急いで書いたからなのか、単に感覚が鈍っているのかどうにも文字数が伸びませんね。ちょっと悔しい笑

さて、本日グランドオーダーではCBCが開催されたわけですが......まさかのプロトタイプアーサーですね。体験クエストでバフ盛りして宝具打ち込んでみましたが、単体380000の全体攻撃が飛び出ました。正直笑いました。まぁ特攻の範囲がよく分からんので、実用性は微妙なとこですけども、それでもなかなかの高威力が期待出来そうなので引く価値はあると思いますよ。剣の星5はまぁ大体全体攻撃で役割かぶりというかなんというかですけども......うん、カッコイイしね。

さて、そんなゲームの話もそこそこに、本編と行きましょう。どうぞー


意図せずして叛逆のゴングは鳴り響く

地を削り、一つの波となって押し寄せるただ一騎のサーヴァント。

目的不明、正体も謎。となればこちらも取れる手段は一つのみ......

 

「上から叩き潰せ、信長ッ!」

「委細承知、せいぜい巻き込まれるなよ主!」

 

即座に展開された砲門六十六門。その全てが爆走する巨漢へと向けられ、その砲身を紅に染める。激しい発砲音と共に火線が宙を焼き切り、土砂波の中央へと殺到した。

鋼の大男はそれに対しグッと身を縮こめ、爆発的な加速力を叩き出す事で対処する────

 

 

 

「アッセェェエエエエイッ────!!!?」

 

 

......何故かその対処法は回避ではなく弾丸の群れへの突進であった訳だが。

早速狂戦士の片鱗が見えてきたわけだが、しかしだからといって生温い相手では無いようだ。信長の攻撃は確かに直撃した。決して高火力を誇る宝具ではないが、六十六発も直撃すれば大半のサーヴァントは落ちる。たとえそれが上位のサーヴァントであろうとも例外ではない。

 

「さて、勢いすら止めずに突っ込んでくるあれは何者か......?さながら猪武者よな、武田の騎馬隊でも彼処までの屈強さではなかったと言うに」

「信長、足元を崩せっ!」

 

ともあれ、あの勢いで雪崩込まれるのはこちらにしても困る。いよいよ距離もなくなってきたというところで、信長の第2射が大地に線引くように叩き込まれ、そこを踏み抜いた筋肉達磨を無理矢理留めることに成功する。自身で起こした土砂流に飲まれていく戦士を見送り、俺達は少し後退する事にした。

 

「───早速とんでもないのと出くわしたな」

「サーヴァントともなれば、弾丸を避ける斬る程度ならば茶飯事じゃろうが......よもや受け止める等という選択肢があろうとはな。正直な話、尋常のタフネスでは無いぞ、アレは」

 

言われずともわかっている。恐らくはあれこそがあのサーヴァントを象徴する宝具......常時展開型の、その身自体に込められた一種の神秘。であればあの種を解き明かすことが正体への近道。

 

「チッ───あやつ不死身か?」

 

信長の苛立たしげな視線の先には、土砂より生えた1本の腕が有る。確かに力の込められたその怪腕がグッと握り拳を作ったかと思えば、直後......地雷原がまるごと刺激されたかのような衝撃と共に大地がひっくり返った───否、ひっくり返された。

舞い上げられた土砂がこちらまで降り注ぐのを腕で庇いながら、爆心地を覗き込む。

 

───鋼の如き肉体に、いくつも刻まれた過酷な傷跡。手に持つのは身体の大きさには不釣り合いなグラディウス。降り注ぐ土砂を気にもとめず、真っ直ぐこちらを臨む彼の姿で、最も印象的なのは爛々と輝いた眼に引き伸ばされた口元......その男は笑っていたのだ。この非現実的な、災害とまで言える惨状の真っ只中で、何処までも綺麗に笑っていた。

 

素直にいえば、背筋に寒気が走った。

別にサーヴァントに対して恐怖を抱いたのは初めてではない。圧倒的な上位者はいつだって恐ろしいものだし、そも恐怖という感情を抱かぬような欠陥マスターシロだけでいいというもの......だが、この寒気はそんな恐怖とは違う。

要は不気味なのだ。俺はあのサーヴァントを理解することが出来ない。なるほど、これがバーサーカー......狂っていないサーヴァントに狂化を施して召喚するのではなく、端から狂った存在を召喚する......確かに、狂戦士と呼ぶ他ない。あんな存在、どうやって手綱を握れというのか?

 

「あぁ、至福の時だ。既に時は満ちている、抑圧された圧制の気を、存分に解き放つが良い。それもまたいずれ叛逆となる」

 

意思の疎通は不可能、装いは剣闘士。ローマと繋がりのある、『叛逆』の徒ともなれば......有名所では第三次奴隷戦争か......!

 

「この時代ローマ縁の奴隷なんて腐るほどいるからなぁ......」

「......真名当ても重要じゃが、早いところやつのタフネスのタネを突き止めんと、手の打ちようもないぞ」

 

確かにそれもそうだ......が、そちらの問題はおおよそ確認済みだ。

 

『あぁ、三千世界の着弾と同時に敵性サーヴァントの内包魔力が唐突に跳ね上がった。元々頑強そうなではあるけれど、今現在無傷なのはその魔力の影響だろう』

 

信長はダヴィンチちゃんの報告にスッと眉を顰めると、受け入れ難い事実を口にした。

 

「つまりアレか。受けた攻撃を糧に自身を強化、回復してる......なんてふざけたものが奴の宝具、先の無謀な突進の正体であると?」

「......見たいだな。傷が多すぎて判別しずらいけど、確かに弾痕が残ってる」

 

つまりは信長との相性がまたしても宜しくないお相手ということになる。相性ゲーとは本当によく言ったものだ。

 

「......いや、まぁソレが奴の宝具だと言うのならそれはそれで構わん。タネさえ割れてしまえば、いつぞやの吸血鬼の劣化版じゃ───再生速度を超えた連撃で挽肉にすれば問題あるまい」

 

ゾッとする様な圧を出し、信長は急な加速を持って飛び出した。図体のでかさに見合って反応速度はそこまでではないらしく、信長の速度に全くついていけていない。

何時もの銃制動による高速機動で懐へと飛び込んだ信長はそのまま右手の銃を突き出すと、さながらアッパーカットを連想させる勢いで発砲、あの巨体を持ち上げ空中へとかちあげることに成功する。

 

「いかに強大な力であろうと───」

 

向けられた砲門、その数まさに百三十二門。先の倍の数───それを彼女は容赦なく見舞う。

 

「宙空においては何も出来まい」

 

百云条もの閃光が鋼の肉体に突き刺さっては炸裂する。断続して続く烈火の狂宴に、巨躯の持ち主は落下すら許されず打ち上げられ続ける。

 

「ぬぐぅゥゥウウウっ!?」

 

古代ローマ、俺の見立てであれば紀元前の時代を生きた英雄......神の時代と人の時代の境目の時期だ。信長のスキルが反応するのも必然だろう。このまま行けば確かに奴を屠るのは問題ない筈───なのだが、どうにも胸騒ぎが治まらない。

だがそれを掴むこともままならず、乱入者の声に思考を中断させられた。

 

 

「───ちょぉっとまったぁぁぁぁああああ!!」

「うぉっ!何おヌシ!?危な、いや車輪危ない!??」

 

乱入者の正体は、いくつものチャリオットを率いてやって来た赤髪の女性。彼女はチャリオットに乗せてきた......お湯桶?を大男にぶちまけると一息つく。混沌が深まってきた場に唖然としながら、思うことは一つ

......この行き場の失った胸騒ぎはどうすればいいんですか?

 




今回紹介するのは鋼の巨人、スパルタクスさんです。
この方は凜君に予想させたとおり第三次奴隷戦争なるもので中心的役割を持っていました。内容は簡単に言えば奴隷階級対支配階級の解放戦争です。
そんな戦争で先頭に立ち戦い続けたスパルタクスさんはバーサーカーとセイバーのクラス適性を持つサーヴァントです。最も今のところはバーサーカーでしか登場していませんがね。
さて、そんなスパルタクスさんの初登場はApocryphaなのですが、作品内で彼はこう紹介されています。「召喚した人間は敗北が決定する」......まぁニュアンス的にはそんな感じのことです。詳しくは忘れましたけど。
しかしまぁそこまで言われるほど弱いのかと言われれば、別にそういう訳では無いのです。ただ支配階級......つまり圧制者(マスター)の命令を聞かなかったり叛逆を企てたりするだけで、普通に強いのです。
......え?もう一度言ってほしいと?何度でも言いましょう。彼はマスターに叛逆します。無論マスターにもよるのですが、順当な魔術師に呼ばれた場合十中八九叛逆して殺してしまうらしいのです。スペック上は「神代と古代の中間あたりの時代の戦士」でいかにも当たりなことが余計に罠なのだとか。
そんな彼の宝具は『疵獣の咆哮《クライング・ウォーモンガー》』、常時発動型の逸話昇華による宝具です。
作中で紹介したとおり、スパルタクスは受けたダメージを魔力へと変換し、回復と強化にそれを回すことができます。ダメージが蓄積すればするほど変換効率は増していくので、後半の彼は正しく戦車さながらの暴れっぷりとなるでしょう。Apocryphaでは聖杯の影響だったか宝具が暴走状態?にありこの時の再生能力が過剰すぎて正真正銘の不死身状態になっていたどころか、余りに余った魔力の影響から姿形が完全にバケモノのそれへと変貌したようです。腕とか足とか目が増えたりティラノサウルスの顎が生えてきたりとかそんな感じのSAN値チェックが必要なビジュアルを想像していただければよろしいかと。
この時の彼は本当に災害そのもので、彼の攻撃を避けたとしても、それによって生じた石礫にすら魔力が宿りサーヴァントにダメージを与えてくるというはバケモノ具合。挙句溜め込んだ魔力を解放して爆発まで可能というのだから溜まったものじゃない。それでApocryphaでは小さい山をひとつ消し飛ばしていたはずです。

うん、こんな所でしょうか?見た目とか笑顔とかはまぁ作中で描写した以上のことは特に無いですしね......っとあぁ、忘れてた。彼はお湯につけると大人しくなるそうです。お風呂は偉大、つまりローマも偉大。はっきりわかんだね!
それじゃまた次の更新で

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