魂の叫びでした。クリスマスストーリーのデブを信長で吹き飛ばしたことに快感を覚えた作者ですどうも。
......あれ?まてまて、この作品信長の宣伝のつもりだったのに......ここ数話信長の描写少なくね?今回に至っては名前すら出てきてなくね?それどうなん?ゲームのマスター名にI love 信長入れてる身として許されるの?
次回頑張ります。そして今回はマイナー鯖同士の......バトル?なんで後書きに説明入れときますね。それでは本編どうぞ
私は孤独だった
幼い頃から独りで戦い続け、愛し続け、その結果として命を落とした
後悔はないけれど、恨みもないけれど、願望すらないけれど、やはり問いたいことは残り続ける
あの時私を見ていた愛しき民に、見下ろしていた愛しき処刑人に、死を要求した愛しき国に、助けてやれなかった愛しき子に……そしてかつて夢に見た愛しき
私は問うた、アナタは恨んでいないのでしょう?
彼女は答えた、恨んでいない
私は思った、やはり私は
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懐かしい大地、懐かしい空、懐かしい香り……しかし決定的に異なる人の営み。ここは私が愛した国で、愛された国であるのに、しかし何処かが決定的に異なっている
「やっぱり聖杯戦争って不思議だわ」
生前絶対に会えないと思っていた人物に死後邂逅し、生前もう会うこともないと断じた人物に再び再開した。まさしく人生の不思議だろう、これを運命と言えたのなら、どれだけ素晴らしかったか
「……また会ったねマリー」
「いいえ」
今頃ジャンヌ達はアマデウス達と合流できているだろうか?街を守る使命を、聖ジョルジュより預かって、私はまた
でも断じて違うのは独りではない事。私には心強い
「あなたに会いに来たのよ、シャルル。あなたとの関係を終わらせに来たの。終わっていたことを教えに来たのよ」
ならば私は何を恐れるでもない、ただ私の役目を果たすのみ。きっと今回も私には……後悔なんて現れない、そう決まっている。あとを託せる人がいるのだから、私の死がまた求められているのだから
「そうかい、でもただでは終わらせないさ。そうとも、僕らは死を経てもなお強固に繋がっているんだ!」
「……えぇ、そうね。ただでは終わらせないわ、だってまだ役目が残ってるもの」
私の命に変えて────民と、友人を……救ってみせるの。満面の笑顔で、今日も私は笑ってる……─────???
「どうしたのシャルル、構えないのかしら?」
「あはは、酷いなぁ。ボクの刃をこんなにしたのは君じゃないか」
そう言ってシャルルは折れた大剣を掲げて見せた。彼の象徴のような、先の重い、断頭台の様な黒鉄の剣。その半ばには確かに私の蹄の跡が残っており、大部分が紛失している
「……なら、なんで出てきたの?ただ私に殺されたかった?そこまで狂ってしまったのかしら」
「違う、違うんだよマリー……処刑人は罪人を殺す仕事だ、他人の命を奪って日々を生きる仕事だ。ボクはその仕事に敬意を抱いている」
「知っているわ、だってあなたの目はいつだって罪人を見下しはしなかった。嘲ることなく、嫌悪するでもなく、周りの声すら耳に入れず、あなたは自分の世界を処刑台の上に作って、敬意を持って仕事をしていたもの」
それは誰よりも処刑された人達が知っているだろう。私を含め、彼が行った多くの処刑の該当者は、彼のその目をよく知っている
「……そうだとも、だからこそボクは生涯、苦痛の伴わない処刑を追い求め続けた。限りなく痛みの無い斬首、その手際はいずれ留まるところを知らず、その先を求めるようになった!ボクの斬首は罪人に快楽すらもたらす!ボクの処刑はもはや苦痛じゃない、快楽なんだ!!その最高傑作が君さ、君なんだよマリー!だから感じてくれ、もう一度深く繋がろう!至高の斬首の為の、準備ならすべて整っている!」
────狂気。
充血した視線をあちこちへと飛び散らせながら、口から泡を吹きながら彼は歌う。シャルル・アンリ・サンソンの人生を、彼がかつて夢見た次元を。
それらを全霊で吸い込むのが絶たれた大剣、わずかに残った刃がその異次元の意思を受け取り、大きく、高く伸びていく
「見てくれ、マリー……これがボクが完成させた君のための
シャルル・アンリ・サンソンが生涯を持って追い求めた地平の果て……懐かしく、凄惨な過去の形状をしたそれは、再びフランスの地へと突き立った
「
「……シャルル、私はアナタのギロチンを今度こそ砕きに来たのよ。私があなたに処刑される謂れは無いわ」
いくら彼の用意した宝具が至高であっても、そこに罪人がいなければそれはただの
「まさかあなた、私が自ら進んで首を差し出すと、本気でそう思っているの?」
「……あぁ、もちろん。だって君は民を愛した人間だ、民のためならば君はその命をいくらでも投げ捨てる」
「それは、どういう─────?」
シャルルが無手になった手を掲げると、何処からともなくワイバーンが飛んできて、辺りを囲むように降り立った。
人気の消えた住居を壊し、平たく均しながら作られたのは断頭台を中心とした広場。先程までの住宅街の影は、もうどこにも残ってない。
「……助けて下さい」
────声が聞こえた。
「……帰して、下さい」
────懇願が届いた。
「……神よ、我らに救いを」
────祈りが、あった
これは民の声。あの時と変わらずここにある、民衆の声。だが確かにこの街の人々は外へと逃がしたのだ、そのために私はここに残り、聖ジョルジュよりその役目を頂いたのだ
「愚かな民よ、あぁ無辜なる民よ!喜ぶがいい、あの時と同じさ!彼女の断罪を持って、お前達は救われる!!思う存分に呪い、蔑み、蹂躙し、凌辱しろ!!」
「シャルル、貴方まさか──────」
「────処刑場はこれによって完成した。浅ましく卑しき民に、悲劇の王女、そして幕引きの処刑人!さぁ、次は君がそこに
着地した数多のワイバーンにくくりつけられているのは、ただ日々を生きていただけの人々、無実の民たち。
……シャルルはこう言っているのだ、「彼らを救いたければ、君が死ね」と
「……そう、そこまで落ちてしまったのね、シャルル」
「違う、違うんだ。ボクは強くなった!アレからさらに幾人もの首を落とし!殺して!ボクは格段に上手くなった!全て君のためだ、マリィィ!!」
……えぇ、そうなのでしょう。きっとそうに違いない。彼の言葉に、嘘はない……ただ、間違えてしまっているだけなのだ
「さぁ、怒号はどうした!お前らが望んだ処刑だ!たった数日前にも、お前らは聖女を殺したじゃないか?それと何が違う!?声を上げろ!怨嗟だ、怒りの声だ!!それをしてようやくお前らは救われる」
……間違えてしまったのだ。人を処刑するだけの日々に、きっと何か間違えてしまった
「────こ、殺せぇ!アイツは魔女だ!竜の魔女だァ!」
「そ、そうだ。殺すんだ!早く!早くぅぅ!!」
「誰かは知らんが、俺達のために死んでくれ!頼む、頼むよぉぉぉっ!!」
……私のように、何かを間違えてしまった。耳に届く声は、聞き覚えが無いのにすごく懐かしい
────階段を、昇る
「「死ね!」」
────階段を、昇る
「「「死ね!!」」」
────階段を、昇る
「「「「死ねぇ!!!」」」」
────階段を、昇った
「「「「死んでくれェェ!!」」」」
民の声と共に、巻き付くように格子が伸びて私の四肢を押さえつける
頭をたれ、まるで罪を宣告される罪人のように、私はその断罪の元に固定された
「あぁマリー、最高だ。ようやく……君に届けられる」
首が固定されて、彼の顔を仰ぐことは出来ないけれど、きっとその目は光悦に歪んでいるのだろう。少なくともあの時のような真摯な眼差しをしていない事は断言できる
「あら、だとすれば間違わせたのは私なのかしら」
「……なんだいマリー。もっと大きな声で言ってくれなきゃ、聞こえないじゃないか。君の最期が、周りに響かないじゃないか!」
いくら間近で狂気を浴びせられようとも、私は……私だけは表情を変えてはやらない。
そう、私は国に愛され、民に愛されたマリー・アントワネット。ならば暗い顔は出来ない、許されない。誰にでもない、私の友人達に向けられない顔なんて私は必要ない。
────笑顔を……浮かべた。
「……キラキラとね、輝くのよ」
民の声が、静まっていく。
怨嗟が遠くなり、恐怖すらも縮こまり、いつもの愛が、少し戻った気がする。
「どんなに辛くてもね、私は笑うことしか出来ないもの。剣を取って戦場を走る事も、紙を出して指を走らせる事も、もちろん罪人の為に刃を走らせることだって出来はしないわ」
いや、そもそも出来る出来ないの話ではないのだろう。それは私の役目ではないのだ。こうして戦うことすら、本来ならば私の役目ではない。人質に取られることも、彼らの役割ではない。悪逆をなすことも、処刑人の役割ではない。
人にはそれぞれ役割があり、自身のそれに誇りを持ち、そして他者のそれを尊重する。そういう形でこそ国は成り立つ。人々は笑顔になれる。
「だったら私がやるしかないじゃない。人々に笑顔を届けるのが私の役目、それが王女として私が定めた役割。私は聖女じゃないから────周りの人が笑ってない国に不満を漏らさないなんて出来ない!だって、笑顔の無い国なんて認めたら、私が私でいられないんだもの!」
王女は我侭だ、聖女の様にあらゆる事を許容することなんて出来はしない。愛した人には笑顔でいて欲しいし、愛するのならば笑顔で愛して欲しい!憧れた人にはとびきりの笑顔でいて欲しい、出会った人には笑顔でいて欲しい、罵った人には笑顔でいて欲しい、パンをくれた人には笑顔でいて欲しい、窓から見えた庭師には笑顔でいて欲しい、転けて泣いてる子供には笑顔でいて欲しい────それは私を処刑した人でも変わらない、とびきりの笑顔でいて欲しい!
「笑いなさい。こんな絶望なんかに屈せず、前を向いて笑いなさい。あなた達はジャンヌと共に時代を駆けた強い人達だもの……なら笑いなさい!魔女なんて恐れることは無い、すぐに聖女が助けてくれる!だから────笑って下さいな?」
「────ハハッ、さすがマリーだ。あの時と変わらない。何も変わらず、君は清いままだ」
「違うわ、私はただ外面がいいだけの王女だもの……でもだからこそ思ったのよ。たとえ今は嘘でも、それを続ければいずれは本物になるんじゃないかって……だから私は笑うのよ。本物を周りに届けるために」
たとえ数瞬後には死んでいるのだとしても、私の心は折れない
清くなくとも、私がそうであろうとし続ければ、それはきっと周りへの種火となる。笑顔となって伝播する。
私は聖女じゃないからこそ最後まで笑い続ける
「
だから、死の間際でも私は許さない。笑わないことを私は許容しない。絶体絶命であろうと、笑うことを強要する
「笑って、みんなの笑顔を私に見せて?」
「……驚いたな、ボクに笑えって?この醜悪の中で、君を処刑するまさにその直前に笑えと?傑作だ、それは素晴らしいよマリー────流石に理解に苦しむ」
そう言って吐き捨てて、シャルルは断頭台の周りを周りながら、民衆に言い聞かせるように狂気を振りまく
「あぁ、覚えているともあの時だってコイツらは笑ってみていたんだ。国中が君の死を笑ってみていた────ふざけるな、人の死は何時からそんなに軽くなった?どいつもこいつも馬鹿じゃないのか!?人が死ぬんだ、どんな罪人だろうが、どんな人間だろうが、死んでしまうんだぞ?命が消えてなくなるんだ!何を笑う?何がおかしい!?気でも触れてるんじゃないか!?」
「それは違うわシャルル。だって彼らは────」
「違うことなんかあるもんか!!マリー、君は人間を美化しすぎだ。ボクも、人間は好きだとも。人の営みが好きだ、だからこそ僕は汚れる覚悟を決めて、誇りとともに刃を振り下ろしてきた!でもそれで誰かが救われた所なんて見たことがない!」
それは人の死を見続けた人間の、狂気の源泉だった。
きっと彼は、本当の笑顔を見失ってしまったのだろう。処刑を喜ぶ観衆の姿に、幸せと狂気を勘違いする民の姿に今度は彼はその境目を見失ってしまった。だとすれば、やはりその原因は私にあったのだろう、民に幸せを与えられなかった、偶像でしかなかった私が悪かったのだ
「見ろマリー!時代は変わっても、人々は君の処刑を望む、君に害されたわけでもないのに、むしろ救われようとしていたのに!それでもコイツらは君の死を望むんだ!自分の命が可愛いからと、そして動乱が終われば自分たちが犯した罪のことなんて忘れて幸せに笑うんだろうよ、戦の責任を、また聖女様に押し付けて、嘲りながら自分たちは悪くないと平気な顔で笑うんだ!!笑顔が綺麗だなんて限らないんだよ!そのことにいい加減気づけよ!馬鹿なのか?馬鹿じゃないのか!?」
「違うの、違うのよシャルル!」
「違わないんだよ!何も違わない!こいつらの笑みは、君の笑顔とは違うんだよ!自己を正当化するための、薄っぺらいマスクでしかないんだ!」
……確かにそれは間違えていないだろう。本当に幸せな時にしか笑顔を浮かべられないのであれば、私は笑顔なんて浮かべられないのだから。他ならぬ私がその薄っぺらいマスクに頼っているのだから。
でも幸せを求めるのが人間だ、それを求めないのは……聖人以外有り得ないのだ
「シャルル……お願いだから笑ってちょうだい?」
「────ッ!!……わからず屋め、もういいよ。せめて最後に最高の快楽を味わってくれ。これから広がる地獄なんて気にしなくていい。君は笑って死んでくれ」
シャルルの足音が途絶える。場所は────頭上の刃を固定する縄の前。
重い鉄塊の音は縄を断ち切る斧の音だろうか、まもなく私は死んでしまう。役目を────終えてしまう。それでも私は笑うことをやめない、きっとそれがいつか誰かの幸せにつながると信じて、笑い続ける────キラキラと、輝き続ける
「さよなら、マリー─────安らかな最期を」
縄が今────切断された
身近な時間だったけれど、誰かに幸せを送り届けられただろうか?私の友人は、きっと悲しむだろう────結局、彼のピアノを聞くことは叶わなかったな
「────待ってくれ!!」
────声が聞こえた
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
────いつまで待てど、久しき死の感覚は襲ってこない。
首に割り込む、鋭く冷たい鉄の感触もなく、しかし視界の中に垂れ落ちてきた縄が、確かに処刑の執行を意味していた
「────なんでだ?」
呆然としたシャルルの声、目の前の事象が理解出来ないといった、彼にしては珍しい間抜けな声。
処刑が完了したと判断されたのか固定されていた身体が解放され、私はそのまま這うように断頭台から滑りでる。
「────これは……刃が止まってる?」
見上げた巨大な断頭台からは確かに刃が降りてきていた。決められたレールを走り、寸分違わず私の首へと落ちるはずだった刃は、しかし半ばで何かに止められ落下し切れずに静止したようだ
「そうか、
手に斧を持ったままのシャルルがなにかに気づいたかのように表情を歪めた。
何があったのか、いまいち理解は追いつかないけれど────
「シャルル、今度こそ終わりよ」
「……まだだ、宝具が無くなろうと、僕にはまだ人質が────ワイバーン!?」
辺りに広がるのは飛竜の亡骸と住居の残骸、そして自由になったフランスの民
「ねぇ、シャルル。笑顔も捨てたものじゃないでしょう?私の偽物の笑顔でも、こうして助けてくれる人が沢山いるのよ?」
そう、生者では無いけれど、彼らは故郷を守るためならばいくらでも力を貸してくれる。私の笑顔一つで、そんな一騎当千の騎士が亡霊となってまで集まってくれる
────それが、どれほど心強いことか
「すまねぇな嬢ちゃん」
そうして声を発したのは、自由になっても逃げずに残った人質の人々。恐怖に顔を歪めて、魔女への怒りに負けた人々。
「……わかってたんだ、嬢ちゃんが魔女じゃねぇって。でも俺達は怖かったんだ。自分の命だけじゃねぇ、家族や生活、この国までこんなわけのわからねぇ壊され方をして────嬢ちゃんに言われるまで俺らぁ誇り高きフランスの人間であることを忘れてた」
「あぁ、そうだとも。俺らは日々笑うために生きてんだ、それを忘れてんだから、聖女様だって魔女にもなって出てくらぁな!」
でも人は負けっぱなしではない。前さえ向ければ、その先の幸せを見ることさえできればこんなにも綺麗に笑えるのだから
「────ありがとう、フランスの皆さん」
本当に……ありがとう。
きっと最後の瞬間に声が聞こえていなかったら、私は諦めていたかもしれない。
────助けて、助けられる。これこそが人間のあるべき姿……私が生前欲しかった、幸せの形。
「まだだ……死は明日への────」
「────
広がる輝き、マリー・アントワネットが持つ二つ目の宝具。守りの役目を持つ貴き力。
私の背後へと広がるように展開されたそれは、再び人質を取らんと伸ばされたギロチンの根を阻み、干渉させない
「……君は何でもわかるんだね」
「シャルル……ごめんなさい。はじめに言っておくべきだったわ、私とあなたの関係はとっくの昔に終わってる。あなたと私に、強固なつながりなんてなかったの……ごめんなさい」
「謝罪は不要だ。正直にいえばボクは今やけになっていた。それくらいは許してくれよ、いくら自分が悪であると自覚出来ても、狂化の上にアマデウスや君のマスターと共に戦う君の姿を見せつけられて……嫉妬しないわけにはいかないじゃないか。ボクだって君を愛した、フランスの民の一人なんだから」
そういう彼の体は既に魔力へと還り、散り始めていた。
先の戦いを癒す間もなくこうして無茶をし、宝具の解放までして見せたのだ、魔力が無限でも核となる部分の損傷がからの存在を許さないだろう。
「あぁ、このいけ好かないピアノの音だ……あの野郎、ボクが鎮魂歌を嫌いだとわかっててやってやがるな」
「あら、そういう割にはあなた、今までで一番いい顔してるわ。ね?やっぱり笑顔は大事でしょう?」
しかし処刑人は黙したまま口を開かない。耳をすませて、癒しの旋律に心を寄せている
「……ボクはね、マリー。鎮魂歌は嫌いだけれど、音楽は好きなのさ────ヴィヴ・ラ・フランス、さよならだ」
存在は薄れ、彼方へと流れていく。
愛に妄執し、嫉妬に狂った男は召され……そしてフランス王女の物語もここで終わる
「皆さんは早く逃げてくださいな。街から市民を避難させるのが今の私の役目ですもの」
輝く粒子の先には、天を覆い尽くさんばかりの飛竜、そして一際大きな邪竜に跨りし黒き魔女の姿
駆けていく彼らを見送り、私は三度目の対峙をする。きっと、私の役目はここでおしまい。でも悔いはないのだ、最後に彼のピアノを聞けたから。この旋律に包まれて逝けるのなら────きっと私は何があっても笑っていられる
「ヴィヴ・ラ・フランス!」
私はマリー・アントワネット、輝きの王女。
今日もキラキラ輝いて──────人に幸せを届けるの
──────さよなら、フランス
シャルル=アンリ・サンソンとマリー・アントワネットの物語ですね。
これはゲームであった戦いそのままなのですが、もちろん内容はだいぶ変更されてます。第一にここではサンソンが死なないこと、第二に人質とか取ってないことですね。ネタバレ避けるために深くは言いませんがまず展開が少し変わってます。あと第三、これは地味ですけどアマデウスの演奏がマリーに届きました。本来はそもそも演奏すらしてません。
そしてここからは説明です。まずサンソンの宝具、死は明日への希望なりは簡単に言えばギロチンです。これはギロチンの考案者が彼であることが理由でしょうね、この作品では剣が変形する形で出しましたが本当はそんな描写無いです。というかゲームが携帯ゲームなので詳しい描写はありません。さて、宝具としての特性は即死です。要は刃を通さない硬度の鎧を持っていてもギロチンに切られたら死にます。ランクによって宝具の効果そのものを弾くゴッドハンドには効かないでしょうけどね。ジークフリートのような物理依存の防御は効かないでしょう......が、即死の判定はこれ今までで一番軽い宝具です。ゲイボルクなどに比べたらその性能は歴然、なんと「精神の強さ」的な何かで決まります。要はこれ人間でも防げるのかもしれんってことです。wikiに詳しく乗ってなかったのとサンソン育ててないのでひょっとしたら間違いあるかもですけど......さて、ではこれを小説化するに当たって判定の失敗をどう描こうか?刃が首にあたって砕けるのはシュールだし、当たってもノーダメですり抜けるのもマジックショーみたいで愉快です......だからこう解釈しました。「運命を切り開かんとする精神が運命を歪め、外的要因でギロチンの行方を阻む」と。つまり判定に失敗したらご都合主義を呼び寄せて自ら不発になる宝具であるとしました。なので相手によっては倒れたりとか、縄が切れなかったりとか、拘束が外れたりとか、判定の失敗パターンは無限大です。今回はマリーの不屈の笑顔が判定に関わり、先程残した傷が原因で不発になりましたね。
あとはマリーの事ですが、マリーの攻撃パターンは二つ。一つは「笑顔に寄ってくる騎士」です。この作品では幽霊。この作品のマリーの主な攻撃手段ですね。そしてもう一つは「王権に敵対するものへの美声乗せられた魔力攻撃」です。ただ後者のは王権に敵対するものというのが曖昧で、「マリーといった王族」に敵対するものなのか、はたまた時代の体制派のことを指すのか、そしてこのフランスのように既に滅びかかっている場合に効果を発動するのかがわからなかったのでこういう形にしました。幽霊達はマリーがサンソンに「笑顔です(武P感)」している間にせっせとバレないよう人質を開放してました。
ふぅ、長くなった......いや、マリーさんが笑顔厨になった感じがしましたがもうしょうがねぇ。だってゲームさん描写少ないねん。そんなん戦いの間持たせるのにどれだけオリジナルの会話をぶち込まなければならないのか......しかも一人称だと心内描写まで......三人称視点がかけるようになりたいです。
ちなみに本日の脱落者はマリーさんとサンソンさんですね。お疲れ様でした。お二人共イベントの話をやる機会があったらお月見あたりでまた会いましょう。
次の更新はいつでしょうね。本当は第一章終わらせてしまいたいのですがまじで二浪とか洒落にならない感もある......正月までには投稿したいなぁ。ではそんな感じでまた今度