聖杯奇譚 魔王降臨   作:ヤッサイモッサイ

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どうも始まりましたね第三章!というわけで作者です。
ガチャを引いて金のライダーが出た時は思わずガッツポーズをしました。期待を寄せて突き上がった光の柱を見守っていてのですが出てきたサーヴァントは二人組でした......一体いつになったら僕の手に星五は来てくれるのでしょう、ピーキー過ぎませんかね手持ち。
さて、そろそろ小説の話。まずは頂いたアドバイスについてですが、「文頭にスペースを入れる」......前回やったのですが自分で見た画面では反映されてません。これは何がいけなかったのか......わかる方いましたら教えて下さい。
さて、そして先日お気に入り百越えたぞー!ヤッター!ゲージは黄色くなったー!ナンデー!?海賊ナンデ!?ってのが作者のココ最近の心境です。
あとは......あれだね!これは第三章とかと何の関係もないことだけど!本当に全く関係ないけど!......ストーリーにヘラクレス出てきたら信長さんの扱いどうすればいいんだろうね!?敵だと仮定しておくと絶対ボスクラスなのに普通に殺すルートしかないもんね!神性Aって馬鹿かよ死にてぇのかよ。
あと主人公ぶっ壊れた面を強調しすぎましたので補足ですが、元々が壊れてただけで成長した今は普通ですよ。中身はおかしな事になってますが人格破綻者とかではなくそういう人格として完結しちゃった人です。


聖なる拳に唸るは鉄竜

俺はこの数年、正義を求め続けてきた。憧れた正義があった、しかし自分の中にそれを正義だと判断する機能は無かった。大衆がそう判断しているということだけが、俺にそれが正義であることを伝えていた。俺にはどうやら正義感というものが無いらしい。そして知らなかったことだが母さんからすれば達成感すら無いのだとか……我ながら呆れたものだ。目的があるのに達成しても何も得られないのだから。憧れたものがあるのになぜ憧れたり得るのか理解出来ないのだから。

だから俺は今までその基準を自分の中に見出すべく悪を求めていた。爺共の動きを無視していたのも悪と敵対することを待っていたからだ……でもどうやら違ったらしい。彼らは自分達にこそ正義があるとそう叫んだ。俺の背中で、今も輝く魔術刻印を、当主の証を桜へ移せとそういうのだ……おかしいじゃないか。父さんの、あの男の正義とそれは反するものだ。正義の反対は悪だ。正しいからこその正義で悪いからこその悪だ。そこに基準がないのなら、俺は何を求めているのか?……元から見えてなかったものが余計に見えなくなる。俺の行いは正義じゃない……?

……ふざけるな、俺は正義だ。それを証明する必要がある。そうだとも、みんなが認めることだろう、家族を守ることは正しいのだと。

俺は持ちかけられた話に乗る事にした。絶対的な正義の話、これをこなせば俺の正しさは証明される。基準なんて、もうわからないが……世界を救えばきっと俺も満足できる。桜を助け、俺が当主でい続ける理由ができる。実績ができる。

 

 

僕は家族を助けなければならない、僕は世界を救わなければならない、それはけして誰かのためじゃない────そうだとも、この独善こそが今日からの僕の正義だ

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

辺りは暗い、サーヴァントの脚力を持ってすれば、如何に深い森であろうと踏破は簡単であるが、敵から隠れて進む仲間との合流となればそれなりに走り回らなければならない

 

「しかし、高名な魔王がこのような少女とはな……」

「高いものは何でも好きじゃが、喧嘩の売り方としては安っぽいの。なんじゃ竜殺し、女が王を名乗るのは不満か?」

「そんなことは無い。戦士として戦場に立つ以上、性別は関係ないだろう……ただ、その生き方の苛烈さがイメージに合わなくてな」

 

一日走り回って置いて今更な会話だと思うだろうが、残念ながら今日一日まともな会話なんてものはなかった。普段は飽きれるほどにしゃべり倒す信長も、暗いタイプは苦手の様だ。明るいタイプも苦手であることを考えると、苦手だらけである

 

「古い奴らはこれじゃから……苛烈な女子なんぞ今に始まったものではないのぅ。結局貴様のそれが偏見であることに変わりなし、先入観を捨てよ等と無茶をいうつもりもないが、見たままの現実くらいは黙って受け入れよ。わしはわしじゃ」

「いや……うむ、すまなかった。確かに俺のイメージなど関係なく、お前はお前だ」

「ぬ……やりづらいのぅ」

 

……とまぁこんな調子だ。なんとも恐ろしい程に自分の意見を押し通さない男である……というより、他人の意見を否定しなさすぎる男である。

どんな人間であろうと、自分の言葉を否定されて一切の反応を見せない存在など無いものだ。どこまでも人間臭さを突き詰めた信長からすれば、その常道から外れた存在はとてもやりづらい。ダヴィンチちゃんとは別方向へのズレだが、ジークフリートという英雄は少し人間味が欠けていた

 

「ともあれ、暗さや距離はともかく広さと木々による物理的な障害……それこそドンパチでも始まらなければ合流なぞ出来んぞ」

「ドンパチが始まっても間に合えばいいけどね。残念なことにウチの弓兵は狙撃というより制圧射撃と砲撃の分類しかないからなぁ」

「神秘が濃ければ一丁からでも有効打は打てる。そういう意味では騎乗兵、竜使いの聖女は戦いやすいがのぅ……問題は木じゃ。射角が取れん限り一丁の弾丸程度では木々に遮られて当たらん」

 

そりゃまぁ特異点とはいえ中世程度の神秘も何も無い木を相手に威力を発揮されても困る。ただの弾丸が大軍宝具的な被害を出すとか、扱いづらすぎるだろう。

 

「今の状態でも近場の木々を払う程度は出来るが……道を開くとなると宝具を使う必要がある。竜を相手取るならば温存しておきたい」

「賢明じゃな────っといやしかしこの展開はわし少し予想外」

 

会話の最中も足を止めなかった信長が、ここに来て突然静止した。アーチャーのクラスである彼女の知覚範囲は並大抵のそれではない。魔術を使っている時ならばまだしも、通常時の俺にはわからない何かを受け取った可能性は大いにある。

 

「……なるほど、確かに俺の知るものではないが竜の嘶きが聞こえる」

「わしが感じたのは木々のなぎ倒される音なんじゃが、まぁいい。聞こえたのが竜のものなら……件の追跡者は標的をこっちに変えたらしい。いつの間にか盾子共とはすれ違っていたか」

 

だからロマ二との通信を繋ごうって言ったんだ……まぁ今更だけど

ここまで来ればさすがの俺にもその破壊の音が届いてくる。竜……というのに空を飛ばず、地を這っているのか。信長の言葉通り木々を薙ぎ、吹き飛ばしながら立ち尽くす俺達の横を一瞬で通り過ぎて、その先の少し拓けた土地を完全に広場へと変えて見せた

 

「……あら?てっきり足止めに何人か残したのかと思ったけど、装いまで変わってるじゃない」

 

鉄竜────とでも呼べばいいのか?見た目は竜というよりも亀。だがその大きさに加え、鋼鉄のような質感を放つ外殻は竜と何ら変わりない脅威だ。もはや現代の戦車に近いその力で、無理矢理森を開拓しながらシロ達を追っていたのは情報通りの少女。長い黒髪に聖職者の着るような白い衣装、そして杖。何故か腕部には鎧のような篭手がつけられているが、まぁサーヴァントとしては不思議でもないのだろう

 

「やはり君か。一先ず施しを受けたことを改めて感謝しよう、ライダーのサーヴァント」

「……あぁ、あの時の竜殺しね。気にしないで、柄じゃ無いけどこれでも聖女、あんな状況で動かなかったら英霊になんかなれてないわ」

 

そしてジークフリートを助けたというのも彼女で間違い無いらしい。どうやら今回の特異点には竜、あるいは怪物や聖女に関わりのあるものが多く召喚されているようだ

 

「……そうか、ではここからは剣士として応じればいいのかな?」

「私としてはそれでも構わないのだけれど、命令は聖女の追撃だもの、止めないなら見逃してあげるわ。そもそも一度助けた相手にトドメを指すなんて馬鹿らしいもの」

 

そして助けた相手だからこそ、ジークフリートの負傷具合はよく知っているのだろう。今の彼にまともな戦闘力が無いことは、向こうにも筒抜けの様子である

 

「まぁそういうわけにも行かないわよね。特にそっちのおチビさんは……初めましてかしら?竜殺しと一緒にいる時点で敵は確定よね?」

「いやいや、おもっくそ乙女の髪を乱して、その上ここまで放置しておいて敵もクソもあるまいよ」

 

……あぁ、さっき通り過ぎられた時の風か。信長の髪はセットされてるわけではないけど、空でもあの風なら髪型が崩れてもおかしくはない。少なくともいつも付けてる帽子は飛んでいってしまってる……あぁ、あそこの木に引っかかってるのか

 

「土は撒き散らす、木のクズも降ってくる、しまいには木の葉もまた別にプレゼント?あぁ、さっさと後ろを向いて聖女とやらを追いかけるがよい。さすればその背中、容赦なく撃ち抜いてやるわい」

「あら、ごめんなさい。でも私が近づくのを知ってて立ち止まってる方も悪いと思うのだけど?というかアナタはアーチャーなのね?だとしたら少し相性が悪いかしら?」

 

激怒の信長はほっておくとして、相性のことはまさにその通りだ。先程言ったとおり地形を気にしないでいい彼女と、地形に影響されすぎる信長とでは動きづらさが全然違う。

それに信長の弾丸が相性がいいとは言ってもそれは当たればの話……いや当たるのだがあのドラゴンの分厚い鎧を抜くのは流石の信長でも────

 

「相性を語るならもう少し相手をよく見てから語らんか」

 

ズドンっ、と流星一号お待ちどう。相手の言葉を聞くや否や、引き抜かれた銃が敵の竜めがけて火を吹いた。

どこに命中したのかはわからないが、凄まじい勢いで主を置いて吹き飛ぶ鉄塊……悲鳴からして生きてはいるのだろうがどう考えても火縄銃の威力じゃない。というか普通なら質量の関係で威力とか関係無しに弾かれる

 

「……わ、私のタラスクが────」

 

相手にしてきたのが今まで雑魚か相性があまり影響しない相手だっただけに、俺自身自分のサーヴァントを見誤っていたのかもしれない。

銃口から紫煙をくゆらして、怪しい魔力で目元をギラギラ光らせる信長は、頼もしいというよりもなんだか怖い。

 

「相性ゲー大得意、ここまで来て初めて相性じゃ。ほれ、後ろを向け。打ち抜いてやる」

「あら?せっかく人が見逃してあげようって言ってんのに────よくも私の便利奴隷(タラスク)を!」

 

対する聖女も、振り落とされながらバランスを整え着地すると、何故か武器であろう……というか信仰の象徴であろう十字の杖を投げ捨て拳を構える。

俺はこの時点で何かおかしいと思いながら、いつもの口喧嘩から始まるパターンを思い出して、ジークフリートを連れて後ろへ静かに下がった

 

「かかってきなさい、このドグサレチビがぁぁぁッ!!」

「上等じゃ、猫被りのレディース風情が!!」

 

瞬時に装填済みの銃へと持ち替えた信長が、距離を詰められる前にと二丁をそのまま向かってくる聖女へと放つ。宙を焼いて迫る二つの弾丸に対して、聖女がとった行動は己の拳をその間に差し込む事であった。

……音速の交錯。弾丸の間で捻られた拳に軌道を変えられ、閃光が空中で歪んだ軌跡を残す。聖女マルタといえば信仰の人であり、ドラゴンに乗っていることからもわかるとおりクラスはライダーである。弾丸が直撃すれば、それこそ先程吹き飛んだタラスクの二の舞になる所を、彼女はおそらくこう受け取ったのだ────

 

「こんなの当たらなきゃどうってことないわよ!!」

「この脳筋がぁぁぁっ!!!」

 

その通りである。

なんかタラスクが吹き飛んだ方向が、聞き覚えのある声を交えて騒がしくなってきたが、いやそんなことよりも今はこちらだ。

確かに対処法は間違えてない。触れたら一撃死は間違いない。ならば敵の攻撃には当たらない。そして銃の距離ではない零距離まで飛び込む、それも正しい。だけどそれを成せるライダー、というか聖女はいろいろ間違えてると思うんだ!

さらに一歩踏み込むライダーに、下がる信長。ステータスは相性の良さから変動し、今や信長は攻撃しながらの後ろ走りでも、マルタの前進と同速度での移動を可能にしている。

今の所は打ち込まれる弾丸の雨を、時に弾き、時に隠れ、時に避けて凌いでいるが、知ってのとおり信長の最大物量は同時三千丁。それはもはや避けるとか隠れるとか逸らすとかの話では無い。

無論それを相手が知っているわけもないがジリ貧なのはわかっているようで状況を動かすべく、彼女は高らかに自身の宝具の名を叫んだ

 

愛知らぬ哀しき竜よ(タラスク)ゥ!さっさと来なさいこのバカァ!!」

 

瞬間吹き飛んでいった方向で炎が吹き荒れ、何やらその際に上がった悲鳴を引き連れながら炎の渦がこちらへと────

 

「────おい、おかしいだろう」

 

鉄竜が姿を現した。さきほど見たとおりの鋼の如き角と甲殻、ブレーキの為に大地を踏み締める足は大木の如しで、根を張っているかのような安定感だ……だがその姿はなにか決定的に違っていた。怒りのあまりトリガーハッピーになりかけていた信長すら思わず手を止めてしまうほどに。愛竜を呼び出し自信ありげにポーズまで決めていたマルタが思わずそのまま固まってしまうほどに。

 

「……あら?初めまして素敵な紳士に淑女の皆さん!私はマリー・アントワネット、可愛くマリーさんと呼んでくださいな!」

 

現れた竜にしがみつく様に二人、上に乗っては可愛くポーズを決めたのが一人。しがみつく二人は……あぁ、マシュとジャンヌ・ダルク(仮)だ。

 

「……なんというか王女と言うよりアイドルよなぁ」

「実際アイドルだったんでしょ。当時のフランスにとっては」

 

シリアスが続かないことが定番になってきた感があるが、英霊たちはいつもなれた様子で処理していく。彼女らの逸話の中にもひょっとしたらこんなコメディな一幕があったのかもしれない

 

「マリーさんよく見てください!違います敵です!」

『というか凜クン達じゃないか!?やっぱりこのタラスクは君たちのせいか!!』

「俺じゃなくて信長のせいだから!さも俺もその一味のように言わないで!」

 

まぁマスターなんですけども!

 

「────隙ありィ!!」

「ぬん!?」

 

突如現れた仲間の姿に気を取られた俺達を他所に、聖女様はその戦いの間隙を突いてくる。

弾丸すら逸らすその鉄拳を突き出して、狙うのは信長の脳天、人体の急所。サーヴァントの力でなくとも直撃すれば頭蓋の一つや二つ砕き割り、中身を散らすであろうその拳……それに銃を捨て信長は素手で抑えるように間に手を差し込む

 

「弓兵如きに止められるもんですか!!」

 

宣言通り、叩き潰すように振るわれた拳の衝撃に、大地が砕ける。

爆ぜた地面を何とか踏みしめ、浮きかけた体が宙に逃げるのを抑え込みながら、土煙のその先を見通すように目を細めた。マルタの拳は本物だ、対する信長のクラスは三騎士とはいえ遠距離専門の弓兵。刀による近接が出来るとはいえ、あの様な純粋なる力で勝っていたことは今までの記憶にない────しかしだ

 

「────信長はただの弓兵じゃない」

 

少し離れたところで騒いでいたメンツすら静まり返り、舞い上がった砂埃が晴れていく。固定された俺の視線の先では、成熟された女性の体を腕一本で支える少女の姿があった。

 

「魔人アーチャーの名は伊達では無いという事じゃの」

「────タラスクッ!」

 

相当に自身のあっただあろう拳を止められたマルタは、瞬時に状況の悪さを理解して呼んだままになっていた自身の宝具を呼び戻す。

そんな主人の呼び掛けに答えてか未だに接触状態にあった三騎のサーヴァントを振り落として鉄竜が信長へ向かう。

 

「おっと、流石にソイツは────片手じゃ止められん」

 

そう言って突き出したのは自由になった右足、真名開放による幻想種全力の突進、あるいは先程のように回転だけでもしていたのならば、もちろん如何に信長とはいえそんな適当に止められはしない。

だが信長の側に主がいる以上、タラスクは先程のようにブレスを撒き散らすことも、回転して吹き飛ばすことも出来ないのだ。ならばこれはマルタの判断ミスかと言われればまた違う。そもそも生身で竜種を抑える弓兵など、存在するほうがおかしいのだから。

 

「────アンタひょっとしてバーサーカーなのかしら?それともそこの竜殺しみたいに防御の加護でもついているの?」

「なんじゃ貴様らは、揃いも揃って人を狂人扱い……先の怪人ならばまだしも、聖人にまでそんなことを言われては────哀しくなるではないか!!」

 

渾身の気迫と共に竜を蹴飛ばし、腕を振るってその先へと主を放る。

再び空いた腕にはやはり、彼女の代名詞足る火縄銃が現れ既にその銃口で持って敵を捉えていた

 

「そうら、討ち取るぞ騎乗兵(ナイト)

「────タラスク、迎撃ィ!!」

 

しかし竜を屈服させた逸話を持つ彼女も伊達ではない。一足先に吹き飛ばされた相棒にそう吼えると、タラスクもまたそれに応えるように吹き飛ばされて、不安定な体勢のまま回転し、車輪の如く地面を削りながら主の前へと舞い戻る。

静止状態ならば容易く竜を弾いた弾丸も、竜巻の如く硬質な角や鋼殻が暴れる中ではマトモに飛ばず、その全てを弾かれ、叩き落とされる。

 

「生意気な……往生際も竜使いも荒いな聖女よ!」

「ならアンタは竜使いに加えて人使いも悪いわね。人も竜も投げ飛ばすものじゃないっての!……というか、その弾丸の威力と連射性。それに加えてそのアホみたいなステータス。本気で弓兵を名のってるなら笑ってあげるけど?」

「名乗りを上げるまもなく襲ってきたのはどっちじゃ戯け」

「────いや、それは信長だろう」

 

確かに凄まじい勢いで横切りこそしたが、攻撃をしたのはどちらかと言われれば間違いなく信長だ。あそこまで派手に竜を吹き飛ばしておいて流石にそれはない。

 

「……はぁ、良いか主よ。アレは防止を飛ばされたから、代わりに相手のを弾いただけじゃ。本人に当ててないからノーカン」

「お前にとっては帽子も竜もお構いなしか!?てかそうだとしても、その後素手のライダーに向かってぶっぱなしてたじゃないか!」

 

な ん で 俺 が 呆 れ ら れ て る ! ?

おかしい、ちゃんちゃらおかしい!

 

「……やっぱりバーサーカーね。うん、そうしましょう。考えるのもめんどくさいわ」

「────本気でレディース擬きに言われるのが屈辱なんじゃが」

「時代的にはこっちが先よ。だからむしろレディースの元祖ね────あ、何も嬉しくないわこれ」

 

……どっちもどっちだよ。もう勝手に戦っていてくれ

再びぶつかり始めた二者を尻目に今度は投げ出された三人の女子の方へと歩いていく。知り合いは一人しかいないが……

 

「マリー・アントワネット……フランスの王妃かぁ」

 

ジークに起こされているかの有名な王女様、マリー・アントワネット。国を滅ぼした悪政の女、浪費の人、そう呼ばれる現代でも有名な王族の一人だ。サーヴァントとしては新しい方の存在だろうがそれでも彼女の逸話というのはよくぶれる。最近では有名な名言すら実は他人のものであると言われるくらいに

 

「あら、そんな仰々しく呼ばないで?もっと可愛く!気軽にマリーさん!さぁ、どうぞ?」

「……あぁ、うんマリーさん。君、英霊なんだね」

 

芸術家よりはサーヴァントらしいけれど……本当に芸術家がサーヴァントになる理由がわからないな。もし正規の聖杯戦争で呼んでしまったらどうすればいいのやら。そりゃ戦えるには戦えるのだろうけど経験や直接戦闘力があまりにも悲惨すぎる。搦手前提とかとてもじゃないが俺やシロの手におえるものでもない

 

「クラスは……ライダーか。いやまぁアサシンとかセイバーで呼ばれるよりかは納得だけれども」

「いえ凜さん、少し感覚鈍ってませんか?」

「そうは言ってもマシュ、英霊なんて初めから俺達の手に負える存在じゃないじゃないか────あぁ、今はマシュもそうなのか」

「その信長さんを見る目と同じ眼差しからして、確実に不愉快な理解のされ方をしましたね」

 

アハハ、何を言っているのやら……なんて漫才をしてる暇はないか。信長とマルタが素手で取っ組み合ってる間にこっちもこっちでやることを済ませてしまおう

 

「ジャンヌさんだよね?話はある程度だけど聞いたから自己紹介はいいや。それよりもジークのにかけられた呪詛を解呪出来る?」

「呪いですか?えぇっと────ヒドイですね。傷もそうですが掛けられた式が複雑過ぎます。私も洗礼詠唱はできますがここまでのものとなると……そうですね、あと一人は欲しいです」

「……それは聖人を、という事か?だとすればこの身の頑強さに感謝する他ないな、まぁそろそろ限界も近いのだが」

 

聖人二人がかりで解呪する呪いなんてふっかけたバカはどこのどいつだ。下手に手を出さなくてよかった。そんなもの俺にどうこうできるわけもない

未だに癒える様子も無く、出血もまだ続いている。筋肉によって締め上げているのか量こそ多くはないが、傷口の多さと今まで流したものを考えると……サーヴァントといえど確かに限界が近かろう

 

「そうか、なら今度はまたいるかもわからない聖人を探しに行かなきゃか……後ろで殴りあってるのは一応敵だしなぁ」

「ジャンヌ・ダルクたるこの身に願いはありません。だからこそ本来ならばルーラーとしての力で、もっとなんとでもできるのですが……今は周囲の索敵もままならない状態でして」

「まぁついさっき俺達とすれ違ってた時点でなんとなくわかるよ。追跡してたライダーに意識が向いていたって言うのもあるんだろうけど」

 

フン、合流してすぐにはなるけど、やはり別行動の方が効率がいいのか?あぁいや、敵が追ってきている時点でこれはダメだな。とはいえ信長の感知もどちらかというと目によるところが大きい、俺のものも常時広げられるものでもないし……だとすれば頼れるのはカルデアのサポートか……あ

 

「そういえばマシュはさ───」

「はい、なんでしょう?」

「シロをどこにおいてきたの?」

 

……そう、見ないのである。現在彼女らと契約していると思われるマスター、俺の同僚たる少女の姿だけがこの場にはない。

 

「一応追ってきてるのはマルタだけじゃないって聞いたんだけど……一人で大丈夫?」

「あ、それならもう一人サーヴァントがいるので────」

「────まずいです、非常にまずいですよ!!」

 

俺の心配に対し、もう一人のサーヴァントの存在を教えてくれたジャンヌの言葉を遮ってマシュが顔を青ざめさせていく。そしてそのまま自分が元いた場所めがけて走っていってしまった

 

「……なに、あれ?」

「残ったサーヴァントがアマデウスだもの、私でも不安になるわ。まぁ、彼に何かを起こすほどの勇気はないだろうけど」

「アマデウス……誰だ?」

 

合流しても又すぐにバラケてしまう。それだけならまだしも、やる事も積み上がっているというのにこの場の混沌具合と来たら……英雄のことを知るのは楽しいがここまで来ると胸焼けする

こっちなんてそっちのけで殴り合う二騎に遠くで孤立しているマスター、そしてそれ目掛けて走り出したサーヴァントにテンション高めの女子勢についていけない男二人……この状況にふさわしい言葉を言うとすれば、そうだな。

 

『────いつの世も、女は強い。英雄とはいえそれは変わらずだ』

 

……といったところだろう。どうかこの後の状況がよろしくなりますように

 




今回は......あー、じゃあ信長さんでどうだい?よし、それで行こう。ステータススキル宝具は他のあとがきを参考にしてくださいな!
というわけで今作のメイン!キャラが未だにこんなのでいいのか不安な魔人アーチャーこと織田信長ちゃん(9歳)!黒髪ロングの幼女にしてババア口調!見に纏う軍服はドイツ製を元に作られた特注品(生前のものではない)!あふれるカリスマに見合わぬ見た目!でもやっぱり漫画的にはラスボスクセぇ容姿!目だけ赤!織田!信長!
はい!織田信長、クラスは弓兵。性格は苛烈で自己顕示欲が天元突破してます。聖杯にかける願いはありません!出典作品では登場した瞬間に自身のマスターを一刀両断するバイオレンスちゃんです。魔王化すると髪に赤が交じり、肉体も美女というレベルに進化します。胸でかいです。

さて、ここからが作品オリジナル。まずこの作品の信長は全体的にジャイアニズムを発揮してます。天上天下唯我独尊タイプで言ってしまえばギルガメです。まぁ本人は王ではなく覇者として君臨してるつもりなので礼儀を欠いたからと宝具による絨毯爆撃はありません。でも機嫌を損ねると似た結末になります。
他には女性である所をよく出してます。主人公への説教にも現れてますね。女として扱って欲しい願望はないですが強いて言うなら「母性」的な感情があります。そして殿であったが故に目がいいです。物理的にではなく鑑定眼的な意味で人間や物の良いところや特徴を見抜きます。ただし序列的には「自身の趣味>客観的な審美」なので正確性そっちのけで大絶賛したりしますね。例えばですが上等な着物と今の軍服を並べた時、彼女の目には芸術的に着物の方が価値があるとわかってますが軍服の方が好きなのでついそっちを絶賛する傾向にあります。
好む人間の行動原理は欲や「自分の中で完結している目的」。それ以外の他者に帰属する目的や形のない目的を嫌う。神仏の類を嫌っているわけではないがそれを信仰し目的として停滞する物が嫌い。言ってしまえば「全てにおける偶像」が嫌い。だからアイドルとかわりと否定気味だしイスカンダルの目指した世界の果てとやらも正直個人的にはどうかと思ってる。目指してる人間は「自身の中でそれを完結させている」ためエリザベートやイスカンダルを否定することはないが「馬鹿らしい」と夢を笑うことは笑う。ちなみに一番嫌いなのはそういった偶像信者が自分の覇道を阻むこと。ブチギレる。
魔王化も怒って行った際にはステータスが若干変動します。独自設定はこのくらい?ネタバレしないように控えてる部分もありますがほんよ一部です。だいたいこんな感じ。
あと以前、感想で指摘されて自分でも前書きで書いたことなのですがスキル「天下布武」についてです。別のウィキを見たところによると詳細が語られていまして、あれはちゃんと「神秘、神性」に反応するものらしいので宝具がなくてもやはり神性を持つ相手はボッコボコらしいですね。なので前は「対神性」は宝具から漏れだしたものとしましたが、今回からはちゃんとスキルとして確立させます。ちなみに今回タラスク吹っ飛ばしたり筋力でマルタを圧倒してたのはマルタが神性持ってるからです。均衡しているのは信長が武器を使うのをやめている間だけなので武器使うと一瞬で終わります。というか使わなくてもマルタを集中的に狙えば終わります。
信長さんが生みの親をしてチートと言わせる所以ですよねこれ。いや本当に相手が強ければ強いほど強くなるとかそれどこの神の右席───おっと、これはいけない。
次回の後書きはマルタさんかオペラさんを……いい加減オペラさんかなぁ?んじゃそんな感じで皆さんまた次回。今回の後書きは少しまとまりが悪かったですね

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