マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ 作:しろっこ
「司令・・・あんまり・・・一言、仰って戴ければ・・・」
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「艦これ」的「みほ3ん」
EX回:第84話<安全な集会>
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<<GR:安全な集会>>
「技術参謀、今夜は五月雨や日向が同席していてもまったく問題ありませんよね」
私は前回のこともあり、ちょっと不安になったので念押しで聞いてみた。
彼女は微笑みながら応えた。
「もちろんだ。だいたいさっき、あの用心深い日向でさえ丸腰で私を出迎えたんだぞ。この集まりだってお前、特に目的は無いだろう?明日の打ち合わせもとっくに済んでいるしな」
「左様です」
さすが参謀には私の魂胆は見抜かれていたか。
「?」
五月雨は私たちの会話を聞いた時点で早くも混乱している。そう、軍隊においては目的なく集まること自体あり得ない。ところが本省の役人で規律にうるさい立場の技術参謀までが今夜フラフラとこの部屋に来たことも不思議だよな。
・・・で、その不思議な彼女は言う。
「私自身不思議なのだ。まあ未来へ行ったこと自体が奇跡だが。もしあれが無ければ艦娘量産化はあと数年遅れていただろう。そうなっていたらもう私は倒れていたかも知れん」
まさか?タフそうな参謀が?
「なんだ、その顔は?」
「はっ済みません」
彼女はソファに深く腰かけた。
「私だって艦娘ではあるが超人ではない。だがな結婚して私もいろいろ変わったのだ。それに加えて一連の出来事・・・」
ちょっと考え込むようなしぐさをして再びこちらを見た彼女はボソボソと言った。
「少し前の私なら今朝お前が私に反逆した時点で即、射殺していたかもしれない。私も甘くなったものだよ」
マジですか?それは恐ろしい。ちょっと鳥肌が立った。
「艦娘とはな、ある面冷酷だ。目的に徹しているからな。だが言っただろう。私は結婚して子供が生まれて変わった。余裕というのかな?多少は他人を許せる気持ちが芽生えた」
それは良かったです。お陰で命拾いしました。
<<GR:敵対勢力>>
技術参謀は続ける。
「武蔵にも言ったがな。私は寛代が生まれて、なおのこと艦娘量産化を急いだ。だが正直言って私の身体もかなりボロボロだ。独り身で中央で無理をしすぎた・・・。おまけに美保鎮守府設置にも反対意見は根強いのだ。また艦娘そのものへの反対意見も、未だに政府内にある」
「それは初耳です」
「四面楚歌・・・つらいものだぞ。身内であるはずの海軍省内ですら反対はあるのだ」
彼女はふうっとため息をついた。
「今は深海棲艦への唯一の戦力が海軍だけだからな。だが陸軍も必死に敵の情報を集めて対抗兵器の研究を進めている」
陸軍と聞いて私は夏のことを思い出した。
「そういえばお盆で墓参したとき美保の陸軍が必死に深海棲艦の残骸を集めていました」
彼女は顔を上げる。
「そうだろう。陸軍を甘く見るな。連中もかなり研究が進んでいて独自に艦娘に近いアンドロイドも出来つつある。それだけじゃない。例のシナだ。あそこも、艦娘もどきのロボット部隊を研究している。だから明日は警戒しろというんだ」
「それは知りませんでした」
「お前は・・・何も知らないな!まったく・・・もっと陸軍や国際情勢にも目を向けろ。山陰といえども深海棲艦だけが敵とはいえないのだ」
「あ・・・」
気がつくと五月雨が白目をむいている。眠いよな~こんな話。だがこの娘も、かわいそうな立場なのだ。少しでも慰められたらなと思って連れてきたんだが・・・。
そんな五月雨を技術参謀も見詰めた。
「私はな、この娘のような艦娘を無数に見てきた。特に寛代が生まれてからは実験とはいえ試作型の艦娘が生まれては消えていく姿はもはや見るに耐えんのだ」
私はブルネイ司令を思い出した。あいつも似たようなことを言っていたな。
「だからこそ未来のレシピは希望なのだ。あの武蔵には本当に感謝しているよ。見逃してくれたのだから」
武蔵様か。彼女にはレシピからその後の戦闘支援まで・・・あまりにも世話になった。彼女とは不思議な縁があるのだろうか・・・。
その時、部屋のドアを開けて日向が戻ってきた。
「あれ、日向?」
<<GR:食べ物の恨み>>
だが彼女は一人では無かった。
「し、失礼します・・・」
後ろから付いて来たのは・・・赤城さん?
日向は頭を下げる。
「済みません、司令」
そんな彼女を見て私は悟った。ははぁ~さては・・・作戦失敗か。一応手に食べ物類を抱えてはいるが。彼女は言う。
「失敗しました」
やっぱり。黙って持ち出すことは難しかったか。でも、よくみると日向が顔を赤くしている。なんだか可愛いなあ~・・・もとい。
日向が申し訳無さそうに報告する。
「司令の命令だとか土下座したりあらゆる手を尽くしましたが。赤城さんは許してくれませんでした。結局皆で一緒に食べようと提案したらようやく・・・」
真っ赤な顔をした彼女はそこで止まる。やっぱり泥棒みたいなマネは、ダメだよな。赤城さんの頬は紅潮し目はウルウルしている。
「司令・・・あんまり・・・一言仰って戴ければ・・・」
ああ食べ物の恨みは怖い。
「ちょ・・・」
ああ!私が言い訳をする間もなく赤城さんの頬からは一筋の涙が流れ落ちてしまった。だめだ~!それがたとえオツマミ確保が理由であっても女性の涙には弱い。
「す、済まなかった」
私はあわてて頭を下げた。せっかく赤城さんがあまりお目にかかれない私服で来たのに、それを堪能するどころではなかった。そのとき五月雨は騒ぎで目覚ましたようだが。周りの状況にまたビックリしたような顔をしている。もう修羅場だな。
「ふははは」
技術参謀は笑い出した。
「まあ良いではないか赤城。我々はクルーだ。司令が勝手な判断をしたことは許し難いことかも知れんが私に免じて許してやれ」
まあ命令を出したのは私だ。勢いとはいえ赤城さんには悪いことをした。
私は改めて赤城さんの方を向いて立ち上がると頭を下げた。
「赤城さん申し訳ない。この通りだ」
すると日向も同様に頭を下げる。
「私も・・・申し訳なかった」
赤城さん、こんどは逆に困ったような顔をする。
「いえ司令そんな・・・私もこのような目的があると知っていれば別に・・・てっきり日向さんが勝手に持ち出すのかと・・・」
「私、司令の命令だと言ったのだが・・・」
日向はボソッと何かを言いかけた。私が小声で"おい!"と、制止して彼女は慌てて口をつぐんだ。・・・幸い赤城さんの耳には入らなかったようだ。相変わらず私たちは漫才やっているな。
「さあさあ、すべて水に流して。いろいろ持ってきてくれたんだろ?まずは皆でつまもう~」
微妙な空気だったが技術参謀が仕切ってくれたので助かった。
「・・・はい」
良かった。赤城さんが笑顔になった。ひたすら浮いていた五月雨も赤城さんにつられて笑っている。そうだよ皆で笑おうぜ。私たちはクルーなんだから。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。