マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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女性秘書官に続いて王宮男性が演説をした。それは日本とブルネイ、そして艦娘たちの未来を見据えた、希望的な内容だった。


「みほ3ん」EX回:第117話<未来への演説>

”今、人間同士で争っている場合ではないのだと”

 

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「艦これ」的「みほ3ん」

 EX回:第117話<未来への演説>

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<<女性秘書官:ブルネイ海軍概要>>

 

やがて、あの女性秘書官が演台に立った。彼女は参加者へのお礼とブルネイ海軍の概要について簡単な説明をした。

 

しかし驚いたのは、そのブルネイ海軍の規模だ。さほど大きくないのは聞いていたが、兵員は700名程度。戦艦や空母は保有せず、巡視艇部隊などが中心。ほとんど軍隊と言うよりは国土防衛、それも沿岸警備的なものだ。海賊くらいなら相手に出来るだろうけど、国防のためとしてはあまりにも弱い。

 

昨日の深海棲艦の攻撃は規模が小さかったにも拘らず、ブルネイ軍としては、ほとんど対処し切れなかった。

 

もし敵が本気を出して、美保に来たレベルの半分でも大挙して襲ってきたら到底、太刀打ちできないだろう。

 

まだ現代のブルネイは隣国との関係が良好だからいい。しかしもし仮想敵国とされるシナが本格的に海を渡ってきたら、想像するだけで恐ろしいことになる。深海棲艦に仮想敵国と、とても手が回らない。

 

ブルネイのような小国が、わが帝国海軍との提携を模索すること。

特に”艦娘”に注目するのは至極、当然の流れだろう。

 

<<王宮男性:演説>>

 

続いてSP男性を伴って、”王宮男性”が登壇する。今まであまり明るい場所で彼を見ていなかったから分からなかったが、やはり王族なのだろう。とても気品のある顔立ちだ。

重ね重ね私のような者が接して無礼が無かったか?と思うと、冷や汗が出る。ただこれも、美保鎮守府と艦娘の取り成す縁なのだろう。

 

彼はきれいな英語で話し始めた。

 

『本日、このような小国へ集った皆様に厚く御礼申し上げます。わが国とこのたびの演習について、ひとこと、申し上げます。

いま深海棲艦により、東南アジアだけでなく世界の安全保障が脅かされております。わがブルネイのような小国にとっては、自国防衛も不十分な中で、これは深刻な問題です。

 

昨日私は、初めて深海棲艦の脅威に接しました。恥ずかしながら改めていま、世界の海が彼らに制圧されている現実に目を覚まされたのです。

しかし国境とは人間が地面に自分勝手に引いた一本の線に過ぎません。ところが海には国境はない。一つなのです。人類共通の財産ともいえる海が不当に占領されている現状を見た場合、もはや地上での無用な争いは止めるべきでしょう。

 

しかし残念ながら我々が対抗すべき相手は、海だけではないのです。近年、この地域において突出した軍事力を行使する国家が現れております。彼らは深海棲艦の脅威の陰に隠れるようにして、この地域で様々な問題を引き起こしております。人類に対する明らかな敵意を持つ深海棲艦だけではない。同じ人間でありながら、なぜ我々は争わなければならないのでしょうか?

 

今、世界は狭くなったと申します。経済や防衛など、一国だけで存立できると考えるのは時代遅れです。我々は訴えたい。今、人間同士で争っている場合ではないのだと。

 

我々にも、自国を護る権利が御座います。明確な脅威に対しては、抵抗する義務が御座います。この小さな国で我々が選択した道は、同盟国日本との協力です。そして、昨年度よりわが国への帝国海軍の駐留を要請。さらに様々な検討を重ねた結果、新しい戦闘システムの導入を決断いたしました。この実現のために奔走された、関係者各位の皆様には心から御礼を申し上げます。

 

私はかねてより長い伝統と、高い精神性に裏付けられた日本の文化に敬意を持っております。わが国が日本帝国海軍と協力して防衛に努める理由もここにあります。

また日本には、物事を小さく簡潔にしながら、すべてを包括させる伝統文化が御座います。

そう、皆様は既にご存知でしょう。あの小さな艦娘たちを。まさに彼女たちが、わが国のような小さい国には、最適な防衛システム足りうるのです。

 

私も今回、初めて彼女らに接し、そしてその活躍を間近で体験いたしました。もちろん強力な戦闘能力もメリットかもしれません。しかしそれ以上に私が期待しているのは、その志です。彼女たちと接して私はすぐに分かりました。女性であっても、その精神は男性と変わらない。いやむしろ純粋な分、男性よりも崇高であるとさえ思えたのです。これが日本に伝わる武士道なのかもしれません。

 

ただ武力によって自国を守るだけではない。共に手を取り合って防衛し、共に成長し発展できる。そのような未来を感じたのです。私は日本帝国に期待をしています。両国が防衛だけでない、未来へ向かって共に発展できることを祈っております。

 

長くなって申し訳御座いません。この演習を通して、両国の発展と、我々の理念に賛同する国家がさらに増えていくことを祈念致します。ありがとう御座いました』

 

感動的な演説は終わった。まるで国家元首のような演説だった。礼をした彼に、会場からは割れんばかりの拍手が送られている。

 

何度も礼をする彼を見て私は深く反省した。彼の方が艦娘と接した期間が短いにもかかわらず、艦娘たちの本質を良く捉えている。やはり上に立つ者は、普通の人が見えない部分まで見えるのだろう。

 

私はふと隣の祥高さんを見た。彼女もこの演説に感動しているようで盛んに拍手している。私も彼女たちと共に、成長していかなければならないなと改めて思わされた。

 

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。

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