マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ 作:しろっこ
「はい……姉以外ですと、司令が初めてす」
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「艦これ」的「みほ3ん」
EX回:第102話<秘書艦の告白>
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私の言葉に笑みを浮かべた祥高さんだった。彼女の笑顔を見るのは別に、今が初めてではない。しかし思い起こせば確かに今までの笑顔には、ちょっと不自然な感じがあったかも知れない。
だからなのか?今見る彼女の笑顔は本当に”笑って”いた。そう思った瞬間、あの"茶髪の艦娘"を連想したのだった。
<<食堂:秘書艦と深海棲艦>>
私の思いを察したかのように、彼女は語り始めた。
「あの深海棲艦(大井・仮)のことを思われていますか?」
図星である。彼女の感度の高さは相変わらずだと思いながら私は謝った。
「ああ、済まないね」
秘書艦を見て敵を連想するとは、我ながら恥ずかしいと思ったのだ。ところが彼女は、なぜか軽くうなづいていた。
「そう思われても不思議ではありません。私がそうでしたから」
一瞬その言葉の意味が分からなかった。”私がそう”という言葉の意味が分からない。だが彼女は、私の疑問にもすぐ答えてくれた。
「分かりませんよね。済みません、言葉が足りませんでした。私は深海棲艦でした」
「ごほっ!ごほっ!」
むせた。思わず珈琲を吹いた。相変わらずの奇襲攻撃だ。食べかけの朝食が一部、珈琲で被弾した。
しかし、どうしてこの人は、こう突発的なんだろうな~?
え……?しかし考えてみると、もし彼女がそうだったとすると、技術参謀は姉妹では……ないのか?
「いえ、参謀は実の姉です」
彼女は補足した。
「姉の夫……義兄でもある提督が亡くなった海戦で、私も沈んだのです」
「うぐっ」
さっきから爆弾発言の連打で、もはや、まともに食事が出来ない。私は慌てて水を飲みながら、もう食事を続けるのは止めることにした。
祥高さんは、私の悪戦苦闘ぶりは、まったく気にせずに淡々と語り続けている。ただ、その凄まじい経験が、今の彼女を形作っているのだと言うことは、いやと言うほど理解できた。
<<食堂:告白>>
「しかし……」
私はハンケチで口を拭いながら応えた。
「提督も倒れ、君も沈み、技術参謀も危なかったと言うのは、よほど凄まじい海戦だったのだな」
「はい。恐らく義兄の戦死以外の戦闘記録は、軍の公式記録文書にも残っているはずです。その後の海軍の戦術を変更させる、一つのきっかけになったとも言われる特筆すべき激戦でした」
ポツポツと語る祥高さん。その語り部のような口ぶりが逆に戦闘の壮絶さを連想させて思わず鳥肌が立った。
「私は沈んでから、気がつくと深海棲艦の巣のような場所へ行きました。周りは恐らく僚艦と思われる、もともと艦娘だったかのような深海棲艦で満ちていました」
うう不気味だ、想像したくないな。思わず私の舞鶴沖を思い出す。
「そこでは、指導者のような深海棲艦がいて、しきりに我々帝国海軍に対する敵愾心を鼓舞していました。特に私たち艦娘が、どれだけこき使われ、搾取されているか?そこから人類全体への恨みを煽っていました」
まるで、どこかの独裁国家みたいだな。
「現実、彼らと手を組もうとする人間の独裁国家もあると聞いたことがあります。ただ……」
ここで、初めて祥高さんは言葉を詰まらせた。泣くか?と思わせたが、彼女は強かった。そのまま話を続けた。
「私は、彼らの主張する気持ちも分かるけど、恨みだけでは争いごとは永遠に解決できない。彼らの言うことは何か違う。そう、私は納得できなかった。私の居場所はここじゃない。そう思った瞬間、私は大破した状態で海上に戻っていました」
だから……祥高さんって強いんだ。私は納得した。
「その……沈んで戻るまでの内容は、今まで誰にも話していないんだ」
「はい……姉以外ですと、司令が初めてす」
「分かった」
何か、敵味方、そして時空を越えた歴史的な、形容しがたい重いものが圧(の)し掛かってくる感覚にとらわれた。だが、それを今まで彼女は、たった一人、山陰の僻地で背負っていたのだ。そういう艦娘たちの重荷を私が共に背負っていく。それもまた一蓮托生だろう。私はようやく、残りの珈琲に口をつけた。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。