マイ「艦これ」「みほ3ん」(第3部)前半コラボ   作:しろっこ

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提督は秘書艦と共に、朝食を取るために食堂へ向かう。その道すがら、美保や先達、艦娘に想いを馳せる。


「みほ3ん」EX回:第100話<改めて美保とは>

”人にも、艦娘にも、事情はある。”

 

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「艦これ」的「みほ3ん」

 EX回:第100話<改めて美保とは>

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<<本館内廊下:改めて美保とは>>

 

私と祥高さんは廊下を並んで歩きながら、食堂へと向かっている。窓から入る朝日は、まぶしいと言うか、南国特有の強さがある。当たり前の話だが、この日差しは未来も現在も、まったく変わっていない。

 

ブルネイの鎮守府は以前(未来)にも感じたのだが、とにかくすべてがキングサイズだ。もっとも比較する基準が私のいる美保鎮守府だと言うのが、そもそも違っているのだろうけど、ここではすべてが開放的でノビノビして、うらやましく思う。

 

だがそれは、あくまで個人的な感想だ。それが即、不平や不満につながるのではない。むしろ山陰と言う中途半端な土地に、後付的に開設された鎮守府。そこが艦娘という特殊部隊を中心に組織され量産化という特命を帯びている特殊事情を鑑みれば、美保のコンパクトさは必然性があると理解できる。

 

だが正直、着任当初の私は何も分かっていなかった。すべて五里霧中で手探りだった。

 

今回のブルネイへの演習と、それに先駆け突発的に発生した"未来旅行"は、結果的に私の美保鎮守府への理解を深めてくれた。

 

美保鎮守府を設営するまでの人々の苦労。そこに関わる艦娘たちの想い。それらが、いかに凝縮された鎮守府であったか?

 

およそ軍人に不向きな私が、この特殊な鎮守府へ着任したことも、何か計り知れない因縁を感じる。地元でもあるし。

 

だが私は決して優秀な軍人ではない。艦娘の心を掴むことは、女性とまったく縁遠かった私には一生涯、解決出来ない問題かもしれないし。

 

それでもお互いが軍人ゆえ、艦娘たちも必死に支えてくれる。その使命感と志に対しては私も命がけ応えていきたい。

 

指揮官としては不足だらけだが一人の人間として、そこは引き下がるつもりはない。それが一蓮托生だ。

 

<<本館内廊下:一蓮托生と事情>>

 

私はふと技術参謀の夫(提督)について想いを馳せる。恐らく彼も同じような気持ちだったに違いない。まして彼の時代は、まだ艦娘に対する認知も不十分な上に環境も整っていなかった。

 

一蓮托生……そして非合法とはいえ妻となった技術参謀(艦娘)を護るため自ら犠牲になった彼の後姿。何も分からない私にとって彼の行為は賞賛こそすれ、とても真似のできるものではない。

 

だが彼の気持ちは何となく分かる。そういう背景を考えれば、あの技術参謀の、どこか日本刀で切り付けられるような研ぎ澄まされた鋭利な感覚は理解できるのだ。その娘、寛代が美保にいることも、そして、妹である秘書艦、祥高さんも。

 

人にも艦娘にも、事情はある。

 

そこまで考えたら、”あいつ”を思い出した。最近も夢に見た、あの"茶髪の艦娘"こと”深海棲艦(大井・仮)”だ。

 

最近の私は、しつこく夢に出て来る"茶髪の艦娘"は、大井に間違いないだろうと思っている。"茶髪の艦娘"なりに私に対する恨みもあるだろう。そして僚艦を護れなかった責任感で今も苦しんでいると思う。

 

だが最近、徐々に"茶髪の艦娘"の印象が変わってきた。それはちょうど私が美保に着任した時期と一致する。また私自身が艦娘に対する理解が深まるごとに、"茶髪の艦娘"の印象も、変わってきている。

 

夢の中の"茶髪の艦娘"が大井である可能性は高い。しかしそれが何度も美保にやってきた現実の”深海棲艦(大井・仮)”と同じなのか?正直その確信はない。

 

だが、夏祭りの件もあるし、もしかしたら……?という想いは拭えない。

 

「そろそろ食堂です」

祥高さんの言葉で、私は現実に引き戻された。

 

「ああ」

私は応えた。祥高さんは、少し微笑んでいた。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。

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