波がテトラブロックくんを激しい抑え込みで押しつぶすように、包み込んでは引いていく。どうでもいいけどテトラブロックってなんか好きだ。特に形が物言わぬ愛くるしさを感じさせる所とかいいよね。別に無機質に欲情するわけではないけど。
「風が気持ちいねー。やっぱり大湊の風は好きだなー」
隣で飛龍はそういうが、現世ではここに来たことがなかったりする。でもその意見には同意だ。夏になれば蒸し暑くジメジメしまくって寝苦しい毎日が襲い掛かる我が県と比べると、すっきりとした風と言うのかな。そんな感じだ。
さて、そんな日常風景の一コマを切り出したようなシーンはどうでもいいとして、こうして暇を持てあましている俺と飛龍だが、これでも人待ちだったりする。武蔵の提案を飲んで、港で待っているように言われてるんだよね。なんでも艤装を付けたのち、ここで拾っていくらしい。
まだかなーと座り込み、自然な動作で煙草に火をつける。ふわりと舞うように副流煙が空へと昇っていくけど、アレは雲になるのだろうか。メルヘンチックな考えだが、結局悪いイメージが張り付いてしまっている煙草。体に害だし雰囲気悪いしで、それは結局ぶち壊されている。それでも吸うのは、アウトローに見せたい男のロマンもあったりする。
まだ来ないけど、時間がかかるのも無理はないかもしれない。大体予測は立っている。武蔵の大型艤装の装着や、牽引ボートの手配などを行っているんだろう。
つうか、酔わなきゃいいけど。問題はこれだ。
実は俺、船が得意ではない。いや、今更ながらだけど、船酔いはしょっちゅうだったりするわけで、吐いてしまう可能性も捨てきれないのが、怖いところ。提督なのに船酔いとか、海の男失格だ。まあ海の男じゃないんだけども。
不安が煙草の煙と共に、もくもくと盛り上がっては来るが、別の起点を利かせると、案外いい機会なのかもしれないとも思える。彼女らがどれくらいのパワーを持っているのか、一見できるからだ。画面越しだけの彼女らは、それこそすさまじいものであると予想は付くが、結局は肉眼で見ているわけではなく、そうした映像を見ているに過ぎないわけで、リアリティはまるでない。
思考を変えれば、なんだかわくわくしてきたぞと、数分後。波打つ音とは違う、海を斬るような水音が聞こえてくる。ぐりぐりと煙草を地面に押し付け、よっこいせと立ち上がる。
「待たせたな。提督よ」
ででんと効果音が付きそうな、自信が溢れだす武蔵。想定内ではあるが、隣にいる大淀とは比べ物にならないほど、厳つく重くらしい艤装だ。女子に装甲とはこれまたロマンがある。こればっかりはさすが大和型だなと言わざるを得ない。
「おほー二人ともかっこいいじゃん。やっぱり生で見ると迫力あるね」
武蔵の迫力がすごすぎるのもあるが、艤装の迫力は艦種に限らず圧巻する。まあ飛龍の艤装を見れないのは残念だけど、ともかく三次元の質感はと相まって現実味を帯び、とても空想上のものではないと再認識させられた。
「ふっふふ…そうだろう?かっこいいだろう?悪い気はしないぞ」
「そうですね。私もとてもいい気分です」
大淀と武蔵はたいそう喜んでいる。大淀はともかく、武蔵すらこうもはしゃがれては、ギャップがすごい。めっさ笑顔。こう凛々しい笑みとは違う、にひひと言った少女の笑顔だ。武蔵ってホント想像以上にかわいい子供なのかもしれない。いや、ウチの武蔵がおかしいのだろうか。
「そうだ。ねえ望君、二人の艤装どういうところが好き?」
キラーパスを投げてくる飛龍に、苦い笑いが漏れる。まあ、でも素直に感想を述べてしまおう。
「そうだなぁ…まず武蔵はでかいのがいいよね。もう規格外って感じだわ。人間サイズになっているとはいえ、さすが大和型だよね。迫力が違う。次に大淀はメカニカルな感じがいい味を出してる。大淀特有の優秀さがにじみ出てる感じ?」
「ほうほう、どう?二人とも?」
そう飛龍が言えば、武蔵と大淀も文句なしの表情をしてくれる。
「やるねぇって感じかな。うん、さすが蒼龍を落としただけあるね!」
ちょっとチョロすぎる気もするけど、どうやら合格点をもらえたようだ。すこしおじさん心配だなぁ。それに蒼龍を落としたとか、それはちょっとどうかなと思うけど、ともかく喜んでもらえて何より。まあ結構適当なところもあるが、純粋にほめちぎられている故に気分がいいんだろうね。武蔵は高らかに笑い、大淀はすっげぇ照れくさそう。
「っと、我々だけいい気分になっていては駄目だな。彼女たちが返ってくる。早く迎えに行かなければ」
当初の目的を思い出したのか、武蔵ははっとした様子だ。
しかし、そこで一つ、あれれと疑問が沸いた。
「あれ?牽引用のボートとかないじゃん?」
彼女らにボートを引っ張ってもらわなければ、俺は海に出れない。提督用の艤装なんてないだろうし、むしろつけたくない。…やっぱり、ちょっとつけてみたい。マスターなチーフみたいな装備とか、鉄男スーツとか、いいよね。
「え、望君は泳げばいいじゃん?」
「きみねぇ。彼女たちが帰ってきてるとはいえ、どれくらいあると思う?彼女たちまで何マイル?だよ?俺は水陸両用のロボットじゃないぞ」
俺は北極の基地に攻め入った灰色のカニだとかハイになったなんともないぜの海坊主ではない。つうか一つ目隊じゃないし。アンディとか叫ばない。うん、伝わるか怪しい。架空の空とか流れそう。わからない人は、調べよう。
「まったく飛龍。提督を茶化すのは辞めないか。彼は私たちの一応上官だぞ」
「そうですね。泳ぐのは人間では無理です」
武蔵と大淀はフォローを入れてくれる。わあいうれしい。武蔵の一応はちょっとしょげそうになるが、我慢だ俺。
ともかく、これでは行けなさそうだ。と、そんなことを思っていると、武蔵が俺に向かって、手を広げ始めた。
「ん?なにをなさっているので?」
「なにって、初めからこのつもりだったが」
ちょっと理解が追いつかない。視界情報から算出すると、飛び込んで来いと言っているような気もする。
「んー?え、だっこ?」
「ああ、そうだぞ」
「ボートとかで牽引すればいいじゃん?」
「それだと危険だな。大和型の馬力をなめないでくれ。まあ大丈夫、私なら安定して運べるぞ」
「うん。そうだとはおもう。だけどね、それは違うじゃん?」
「何が違うというのだ?…ああ、そういうことか」
やっとわかってくれたらしい。まあさすがにね。うれしい提案ではあるけどね。でも羞恥心がそれを押しとどめてくるわけで。
とか思っていたら、今度は手を広げるのではなく、すっと抱えるような形を見せてきた。
「こういうことだな?」
自信満々に言う武蔵。違うそうじゃない。
「ごめんどうしてそうなったのか君とは小一時間説教したい気分だよ。いやぁ…メルヘンな提案してきたねぇ?」
「じゃあどういうことだ!わからんぞ!」
ついに叫ぶ武蔵。大淀と飛龍に目を向ければ、大淀は満面の笑みでこっちを見ており、飛龍は笑いをこらえているようだ。こいつらめ…。
「ふひ…もう望君。仕方ないって。ひぃひぃ。うぷぷ…」
「いーやーでーすー。俺はそんな恥ずかしいことされたくないわ!俺はお姫様じゃないんだぞ!?それとはかけ離れた存在っつうか性別が反対だわ!どっちかと言えば王子様にも程遠い盗賊っぽい何かだわ!」
「何が嫌かわからんな…ほら、はやく来いよ。もう帰ってきてしまうぞ?」
提案に乗ったのは軽率すぎた。コイツやっぱり天然な娘だったようだ。初めから俺をこうして遠海に運び出したかったんだろう。羞恥心とかまるで考えずね。まあ悪気があったわけじゃないのはわかる。だが、無知は罪とも言うんだ。
ともかく、まさかボートじゃなかったとは想定外だった。つうか俺を抱えていくって重くない?とは思うも、艤装で本人自体がパワーアップしているわけだし、そうした点ではいらない心配なんだろう。
時間が押し迫っている。ここは行くしかないのか?いやいや、冷静に考えろ俺。それで茶化されるのも、さすがに今後滞在する期間を考えると苦痛の一言に尽きてしまう。
「んー。よし、望君」
と、決めあぐねていたその時、ふと飛龍が声をかけてきた。なんだよ、と振り返ると――
「そーい!」
何かを言うまでもなく、ばすっと両肩を押される。そして刹那的に、ふわりと浮遊感を覚えた。
俺今、飛んでるや。
そして、落下していく。
「おわあああ!?おまえぇええ!」
下手すら先ほど愛でていたテトラブロックに強打してもれなく死ぬんちゃうかと考えがよぎるが、その心配は必要ない。後ろには、武蔵がスタンバイしているからだ。
少々衝撃が走ったが、しっかりと抱えるように武蔵が俺をキャッチした。まるでラグビー選手が飛んできたボールをキャッチするように見えるが、結果的にあの抱っこに成ってしまう。石鹸の香りがふわりと横切った気がしたが、今は考えない。いや、ちょっと考えた。時間かかったのってそういうことだったのか?納得できたような気がする。
「大丈夫か提督よ?」
心配そうに、俺を抱え込む武蔵。あの抱っこをするのはあるかなと思っていたが、まさかされるとは思わなかった。男女逆転のこれとか誰得だよ。
「お、おう…。ってゴラァ!この飛龍てめぇ!」
もれなく始まる恋などなく、出てきたのはあのバカに対する怒りだ。
「だって早くしないとー。ねぇ武蔵さん?」
飛龍の驚くべき、いやマジ驚くべきすぎる行為に、流石の武蔵も苦い笑いを浮かべていた。なおその半面、大淀は笑いを隠し切れない様子で、くすくすと抑え込み切れない声が聞こえてくる。早速恥ずかしさが込み上げてきた。
「よし、提督もこの武蔵の手元に来たことだ。彼女たちを迎えに行こうか!」
先ほどの苦笑いからぱっと切り替えるように、武蔵は言う。いやいやマジでこのままいくのか。やめてくれ。
「せ、せめてお前の艤装の上にしてくれよぉ!」
俺の心からの叫びは、港中に響いたのだった。
*
結局だ。武蔵は偽装の上に、またがる形で乗ることを許してくれた。もっともそんなところに人間が乗る事なんて想定してないから、すっげぇ尻が痛い。つうか艤装の上にまたがる形で乗る提督とかなんともまあ滑稽と言うかあほらしいというか…。まあ出撃組に見られて終始精神的なダメージを受けるよりかは、まだ耐えれる。
しかしいざ乗り込んで――と言うのはおかしいかもしれない。跨り込んでが正解か。ともかく問題はそこじゃなくて、驚いたのはまったく揺れないということだ。武蔵の海上走行は、それほどにまで安定していて、ストレスフリーである。さすが大和型と言うか、大型の船を模しているだけはある。こうなると隼鷹とか豪華客船勢の乗り心地が気になるが、変な意味に捉えられそうだ。
「やっぱすげぇな武蔵」
そう口走る事しかできない。武蔵はそれを聞くと、腕を組んで得意げな顔をする。
「だから言っただろう?牽引ボートなどいらないとな。まあ人間をこうして艤装に乗せたことは初めての試みだが、思った通りに安定しているぜ?」
「うん、大淀の方でも下手すら安定するんじゃ?」
大淀もいうなれば軽巡。船としては十分に大きい方ではあるし、何より背負う艤装も大きい故に、酔いにくそうだ。
「試してみます?」
にっこりと笑顔を向けて大淀は言うが、俺は首を横に振って断る。まあ乗りたいわけではないからね。
「そうですか。あ、そろそろ合流できるのではないでしょうか?」
と、大淀が言うと、狙ったかのようなタイミングっで六つの影がこちらに迫ってくるのが見える。
「おーい!阿武隈達!迎えに来たぞ!」
武蔵が手をあげ、そう叫ぶ。けっこうな距離あると思うけど、六つの影は気が付いたようで、こっちに波を上げて近づいてくる。
「あれぇ?提督?」
先頭の阿武隈がふと気が付いたようで、武蔵の前で止まってみせた。
「よ、任務お疲れさん」
軽い挨拶のつもりだったが、阿武隈達には其れがいたく感激だったようで、わいのわいのと喜んで見せた。やっぱり影響力あるんだなぁと、変に権力を持った気分になる。
「ありがとうございますぅ!でも…なんで武蔵さんの上に乗ってるんですか?」
まあそら気になるよね。てなわけで淡々と言う。
「いろいろあった。結局こうなった。みんないいね?」
変な詮索をされては困る。故に強制的な言い回しでそう促した訳。これは命令に成るかどうか怪しいけど、とりあえずこれ以上深く突っ込むなよ?と意志が伝わったようで、彼女たちはなんとなくな様子で返事をした。よし、良い子だ。
さてはてそれはいいとして、やはり彼女らを見るとある思いがふと過ぎる。
「しかしまあ、お前たちを見るとまだ子供なんだなぁとは思うな」
阿武隈以下五名の艦娘たちは、どれも船形に即した姿をしていて、艤装を付けても何ら変わらない印象だった。それこそ艤装で大きく見えるかもしれないけど、やっぱりあどけなさが抜けきっていないと言うか、なんというか。とりあえず改めてこんな奴らを戦場に出してたんだなぁと、少し罪悪感のようなものが背筋を這い寄る感覚を覚える。
「もう、なんですか?バカにしに来たんですか?」
若干の言い回しでは、そう捉えるのも無理はないか。阿武隈は少し不服そうだった。
「いや、そんなつもりはないよ。改めて指示を出す重みを感じただけかな」
現に作戦最中は聞いていて他人事なのにまるで本人の様に緊張したし、実際今彼女らを見て改めてそう思った。これからこうした小さくともとてつもなく思い責任を感じていくんだなと。
「ふうん。いまさらな気がしますけど。でもまあ、知ってくれて私的には安心したかも」
「安心?」
どういう意味だろうか。阿武隈にそう言葉をそっくり返せば、だってと口を開く。
「私たちのこれまで、私たちの戦闘は、結果かしか見てなかったわけで、その努力とかそういうの、本当に知ってはもらえてなかったかなぁって思ってました。でも、これでそう思える様になってくれたのなら、私的にはいいかなって、そう思ったんです」
なるほどそういう事か。確かに作戦の失敗成功を重視していたのは否めないし、彼女たちの戦闘過程は、知る由もなければ知ることもできなかったわけで、彼女たちの努力や根気や負けん気は、本質的には知れなかった。
つまり、阿武隈はこういいたいわけだ。結果もそうだけど、努力も見てほしい。私たちがいかにして戦っているか、私たちがどうした気持ちで戦っているかと、そういう事だ。
作戦を成功させるためには、結局は努力をしなければならないわけで、それはすなわち練度に結びつく。だけども練度以外の努力も確実にあるはずで、そこを見てほしいのだろう。確かにこれは、失念していた気もする。
また一つ、また一つとこの世界の本質を知ることができた。今まで画面だけで、彼女たちの本職の本質を染み込む様に理解できて来たわけだ。
「まてよ…つまり…」
ここでふと、俺は一つの考えが過ぎる。もしやそういう事か?と、この世界に来た理由に結びつくのではと。だが、それは他事が起きれば忘れそうな小さなものだった。
そう、他事が起きなければ。
「ところでぇ。提督私には載ってみないんですか?」
ニヤニヤとした様子で、阿武隈がふとそういう。意識が思わず、そっちにいった。
「いや、だから好きでここに乗っている訳じゃないんだって」
「ああ、そうだぞ阿武隈。私が大和型だから、提督は私の上に乗っているのだ」
それはちょっと違うよね武蔵。君がこれしかないとか言って、結局乗る羽目になっただけだよね?
「でも、私だって軽巡ですし、提督は乗っても私的にOKだと思うんですけど。だから交代しません?武蔵さん?」
「まて、そもそも俺はマスコットや置物じゃないんだぞ?テディベアとかと勘違いしてない?自分の足で帰れるなら、今すぐここから降りたいんだけども。まあそれが無理だと分かってるけど、だからってそんな電車を乗り換える様にコロコロ乗り換えたくもないんだぞ?」
「じゃあ最後に私に乗りましょうよ。ね?提督?」
「却下で」
ええいやですとも、こんな羞恥プレイをコロコロ変えられるのもたまったものじゃないですよ。はい。
だが阿武隈はまさかと言うべきか、驚くことに俺の足を引っ張ってきた。
「おい阿武隈!やめないか!」
「ウェイト、ウェイト!落ちるわボケ!やめろ!」
武蔵と俺の静止で促しているのに、それでもいいじゃないですかーと引っ張る事を止めない阿武隈。お前そんな奴だったか?つうか積極的すぎないか?引っ込み事案な気弱少女だとばかり思っていたぞ?改二になって自信でもついたのか?
ついに艤装から降ろされそうになり、武蔵が手を出し始める。だが彼女はいうなれば後手なわけで、なおかつ後ろ斜めから引っ張られている形なわけだ。彼女は片手でしか、俺を掴むことができないわけで、その姿勢も力の半分ほどしか出せない形だ。
ふと、ずりりと手が滑る。残念ながらラッキーな事にはならないのが俺のスタイルなわけだけども、その代りその手は武蔵の腕を掴む形に成り、武蔵は「ひゃっ!?」と世にも珍しい乙女っぽい声を発した。
「わ、わりぃ!?」
と、情景反射的に手を離す。そう、手を離してしまった訳だ。
次に俺の目の前に映るのは、水面だった。やあ水面。元気かいと?バカな事を思う頃には、俺は水面に叩きつけられる形で入水することになったのだったとさ。
どうもお久しぶりです。飛男です。
最近の忙しさに猫の手も借りたい勢いで、早数か月。何とかこっちを投稿することができました。正直な話、どうしようかなと悩んではおりましたが、また熱が高まったので執筆に至った感じですね。自分で言うのもアレですが、過去に書いたものをふとした拍子で見てみたら、それが火種になった感じです。
オリジナルに手を出してみたはいいですが、そっちが行き詰ったのもあります。もしどんな作品かなと気になったら、読んでいただけると幸いします。つうかうれしいです。
さて、本編の話になりますが、こうグダグダ続けているうちに全然話が進まないのが正直なところ。いっそここらでバビュンと進めてしまおうかとも考えておりますが、それは反応次第になるかもしれないです。コメントくださいとは言っておりませんが、ちょっと気になってはいますね。
では今回はこのあたりで。また次回にお会いしましょう。