提督に会いたくて   作:大空飛男

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一か月ちょっきりの投稿。理由はあとがきに記述します。

※コラボの数字を振り忘れていました


コラボ3:清水寺までの道中ですよ?

本殿での参拝をし終えた俺たちは、しばらく境内を回ったあと、清水寺へと向かう為に足を進めることにした。

 

因みに八坂神社は本殿以外にも様々な祠があるので、各自がそれぞれ行くべきと思う場所へ参拝をしに行った。例えばキヨは刃物神社へ行って料理関連の事を祈っていたし、艦娘達は館娘たちで、美御前社へと足を運んでいた。

 

美御前社は、祭神に市杵島比売神(いちきしまひめのかみ)多岐理比売神(たぎりひめのかみ)多岐津比売神(たぎつひめのかみ)と、美を象徴する神が祀られている。オメェら十分美人さん何んですがねぇ。と、一般ピーポー候の感覚で言いたかったのだが、女性は美に貪欲だし、現状を満足していないのだろう。しかしそれはあくまでもガサツ系男児な私個人の意見であって、女性の目線とは程遠いーまさにチンパンジーと人間くらい違うものである。つまりよくよく考えてみれば、飛龍以外は皆それぞれ恋人持ちであるし、そういう観点からさらに自分を美しく見せたいのだろうと、見方を変えれば容易に想像がつく。すなわちこっちも嬉しい向こうも嬉しい、WinWinな考えかもしれない。

 

「もうみんな集まったか?」

 

そんなこんなで参拝する場所が済んだため、待ち合わせの場所に指定しておいた舞殿の近くに各々は集まってくる。見た感じ、拓海大和ペアも例に漏れず、全員いる様子だ。

 

「皆さんいるみたいですよ?じゃあ歩き始めます?」

 

どうやら飛龍も同じく、人数をかぞえていたらしい。二人で数えて欠員がいないとわかれば、問題はないだろうさ。気が利くね。

 

こうして清水まで京都の町並みを観光しつつ、いざ向かう事になる。距離は一駅分くらいだし、一時間はかからないだろう。もちろん、寄り道しなければの話なんだけども。

 

まあそう言うのも、こうした道のりは言うまでもなく、お土産通りの様なもの。日本が誇れる伝統的な工芸品はもちろんのこと、観光目的できた外人に買わせようとしているのか、ローマ字で書かれたユニークグッズなども各店舗には並んでいて、もちろん修学旅行では定番の木刀なんかも置いてある。つまりこうした土産物に足を取られるというわけだ。

 

「望。これって剣道でも使える木刀なの?」

 

蒼龍はふと木刀に目が行ったのか、それを手に取とると、身長さゆえに俺の顔を見上げて聞いてきた。うーむ、ないと思うけど、振り回しそうで怖い。

 

「まあ、たぶんね。だって以前連れて行った剣道具店でも、この印あっただろう?まあ安物だけど、段審査とかでも使えるはずだよ。俺は使わないけど」

 

実際京都とかで置いてある木刀や小太刀は使えないこともない。第一こうして蒼龍にも言うように、その手の店で売っているしね。グレードは低いんだけども。

 

「へぇ…お土産なのに?と、いうか望の木刀は安物じゃないってこと?」

 

「わからないな。昭和初期の奴だからね。俺の木刀は、いわば爺さんの形見なんだ。だから、当時そこまでの値段じゃなかったとしても、今では値段のつけることが出来ない代物」

 

七星家は、実は代々剣道家の家系だったりする。親父は爺さんに反発して中途半端にやめたんだけども、それでも有段者。それに爺さんが現役時代に剣道をやっていた頃は、GHQによる武道改正の前だったけど、それでも三段を保持している。当時の事を考えれば、それなりには活動していた現われにもなるだろう。なおかつ、爺さんは当時も数少ない二刀流の使い手だったそうで、婆さんにそれを聞いたときは、何と誇らしかったか。

 

「じゃあ、代々あの木刀は受け継がれているんですね。まるでおとぎ話みたい。でも、そういうの私は好きかなー。だって…って、あっ!」

 

何か加えて蒼龍が言おうとする途端、彼女が発した驚きの声と同時に、俺は後頭部付近に淡い衝撃が加わった。なんというか、小突かれた感じだ。こんな幼稚いことをするのは、あいつしかいない。

 

「おいコラァ飛龍!!何すんじゃワレェ!!」

 

後ろをふりかえると、そこにはやはりというべきか、飛龍がにこにこと悪戯っぽい笑みを浮かべて、木刀を肩へと掛けていた。うすうすというか、おそらくこいつは振り回してくると思いました。予想的中したわ。

 

「んっふふー。一本とれちゃいましたねー」

 

悪気なく、むしろ得意げに言いやがる飛龍。念のためだが、後ろからは有効打じゃないんですよねぇ。と、まあ言うだけ理解せず無駄だと思うので、黙っておく。

 

「まったく。商品で遊ぶんじゃないよ。子供かお前は」

 

「えぇ~?負け惜しみですかぁ?」

 

「じゃねぇよ。俺も子供に巻き込むな。つうか常識的に考えてくれ…目立つだろ?」

 

まあ無駄とは言うもの、現代社会で生活するにおいては最低限のマナーだってある。多少向こうの世界との相互があるとしても、こちらにいるのは事実。そればかりは守らなければならないだろうよ。

 

「えー。わたし目立ってもいいけど…って、それはまずいか。あはは」

 

だが、飛龍はこうしてあまり反省の意識を見せない。なんか最近、飛龍がかまってちゃん化してきているような…。と、言うかよくよく考えてみると、飛龍ってこうしたちょっかいをかけてくることが多い気がする。

 

「飛龍さぁ。お前さびしんぼなの?」

 

もしやと思いつつ、呆れながら、かつ冗談交じりに俺は聞いてみる。まあどうせ笑いながら何言ってんですかとか言いそうだけどもね。と、言うか寂しがりやって大体こう言うと思う。

飛龍は俺の言葉に一瞬「えっ」と顔色を変えたが、すぐににやりと口角を上げてきた。

 

「何言ってんですか?そんなわけないじゃないですかー」

 

やはりというべきか、俺の思った通り否定をしてきた。それも小ばかにしたような表情で。しかし、刹那的に見せた、確信を突かれたかのような表情。素直な飛龍らしい、本心を隠しきれないミスだろう。

 

「まあ、そうだよな。エネルギッシュなお前がそんなわけないよな」

 

「そ、そうですよ。私はどっちかっていうと、傍観者ですからね。そう!二人を見極めるための!」

 

うんうんと頷きながら、力説をする飛龍。もうそうおっしゃっている時点で自分が寂しんぼだと自白しているようなもんなんですけどもね。と、言うか力説をしている時点で、余裕が無いように見られるって、わからんのか。

 

「あはは…墓穴掘ってると思う。飛龍」

 

そんな事を思っていると、横で同じくあきれ顔の蒼龍が、ぼそりと飛龍の確信を付いてきた。蒼龍にも、いとも簡単に感じられてるね。まあ、姉妹だし分かるもんなのか。

 

「ぼ、墓穴掘ってない!私は真実を言ってるだけよ!」

 

せっかく小さく蒼龍が口にしているのに、それを聞き取っちゃうこと自体がもう失敗。うん。ちょっとかわいく見えてきてしまったぞ、飛龍。

 

「はーわかったわかった。ちゃんと寂しんぼ飛龍ちゃんも構ってあげますか」

 

やれやれと俺は大げさに肩をすくめると、飛龍はきーきーと文句を並び立ててきた。

 

「むきー!だから違うって言ってるじゃない!日本語分かれー!提督のばーか!」

 

いじる側からいじられる側へ、立場逆転してますやん俺たち。飛龍は蒼龍をいじるのが楽しいとか言っていたけど、俺にとっては飛龍の方が、弄りがいがあると思うなぁ。

 

 

 

 

さてさて、しばらく歩いて皆がまだかまだかとぐずりだす頃。先ほどまで通っていた道より明らかなくらいにぎわいを見せている、坂道へと出た。そう、ここが清水坂。このまま登って行けば、待ちに待った清水寺へとたどり着くことができる。

 

目的地が見えてこれば、自然と気分も踊るもの。先ほどまでぶーぶーとどことなく文句を並べていた夕張や飛龍は、先ほどの態度はどこへ行ったのやらと言ってやりたいほど、早く登ろうと催促をしてきた。

 

「ほら!何ぐずぐずしてるんですか!目的地はすぐそこですよ!」

 

そういうや否や、我慢の出来ない夕張に手を引かれ、統治を合わせた二人は俺たちよりも一歩前に出る感じで、先陣を切る。

 

「そんな急いだって、清水寺は逃げていかないぞ〜」

 

そんな事を言いつつ、満更では無い表情を、統治は浮かべる。先程まで俺と蒼龍飛龍のからみばかりを紹介してきたけども、この二人は二人で随分とまあイチャコラしていたんだよね。二人の絡みは言うならば、何というか兄弟のそれに近いのかもしれないが。

 

しかし、夕張は何時もよりも何処か瞳を無邪気に輝かせていて、なんだかんだ言って軽巡って子どもなんだろうなぁと思わせられる。中学生くらいなんだろうし、それは当たり前で、まあぞんぶんに旅行を楽しんでくださいって感じかな。

 

「うん、もう我慢ならねぇ。やはり統治は爆死すべきだろう。なぁ兄者」

 

「むう。この俺とて、もはや奴に容赦はせぬ。どう処刑をしてやろうか…フハハハ…」

 

俺が和みながら二人を見ていると、別の二人こと、統治にだけ風当たりの強いヘルブラザーズが並列して歩いていました。たぶんうらやましいとは思ってないんだろうけど、統治が女の子にああしていちゃつかれると、一般ピーポーとしていじりたくなるっつうこいつらの性なんだろう。わあこわい。

 

「俺も協力するぜ!お二人さんよぉ!俺も雷ママに甘えてぇのによ!」

 

と、加えて如何わしいことができる母を求めるキヨまでもが、参戦をしようと口を挟んできた。面白くなって参りました。

 

まあ、あらかじめ言っておくけども、統治とこいつらは幼児の時代からの幼馴染だし、中学時代から絡むようになった俺とはまた扱いが違っているんだろう。つまり、自然と抜け駆けのように恋人ができた統治を、いじり倒したいのだ。あ、でもたぶんこいつらは心の底で、祝福をしているんだろうよ。それを口に出さないのが、こいつらのポリシーなんだ。俺も十年近く付き合ってれば、わかるもんだ。こいつらの内心をね。

 

「ね、ねぇセブンスターさん。あの三人がなんかどす黒くてまがまがしいオーラ出してるんやけど、あの人たちホンマカタギなんやろか?」

 

ひきつらせた顔で、拓海が俺へと聞いてくる。まあ拓海は怯えてしまうだろうなー。まあたぶんカタギじゃないかなぁ。と、いうか人ごみの中でそんなオーラ放つもんだから、自然と流れゆく人々避けてますがな。

 

「おらにもわかんねぇ。ただ、奴らはどこぞの野菜人ではないことは確かだ。スッゾコラーとは言わないし」

 

そんな超人みたいなやつらではなければグラサンかけた量産型クローンとも違うからね。黒いオーラが見えるのも、目の錯覚だと思います。はい。きっと夏のせいだね。うん。

 

「本職も顔真っ青なくらい怖いんやけど…」

 

「て、提督!私も怖いですよぉ!」

 

どうやら大和もおびえているらしい。拓海の隣でガクブルを決め込んでいるようだ。俺の隣で苦笑いしている蒼龍は、もうさすがに慣れようで、以前のように携帯のバイブごとくに震えてはおらず、飛龍も相変わらずと言わんばかりの顔になっている。だが大和はこうしたこいつらを始めてみるもんだから、バイブレーションに加え、女性の割に高身長なのに、縮こまって、少々似つかない。ちなみに、そうした大和のいろんな意味で止まり木になっている拓海が、何かに気が付いて少々顔を赤らめたのは、これもたぶん夏のせいだということにしておこう。

 

それから苦笑いを俺たちは浮かべながら、おそらく後方のオーラを肌身で感じつつも夕張に連れられている統治を先頭に、ヘルブラザーズとキヨに着いて歩いていると、飛龍が何かに気がついたのか、「ねえねえ」と俺の服を引っ張ってきた。

 

「なんだ。うまそうなものでもあったか?」

 

にやりと口角を上げていう俺に、飛龍はむっと口をとがらせつつも答えた。

 

「わたしのこと、食いしん坊だと思ってない?まあ…それはいいとして、あのお店、なんかもすっごい人がいるんだけど」

 

確かに飛龍の指す方向に目を寄越せば、その店は普通の店に比べて、かなり客の出入りが多い。何かイベントをやっている訳ではないようだが、何故出入りが多いのかは看板を見れば一目瞭然であった。

 

「ああ、あそこは八つ橋売ってる店やね。本家西尾八つ橋の、清水店」

 

俺が答える前に、拓海が口を開いた。まあ、こうした説明はこいつに任せたほうがいい。修学旅行で京都清水寺まで出向けば、一度は見た事があるはずのこのお店。お土産に八つ橋を買うとなれば、大体の確率で寄ることになるだろう。

 

と、まあ相手は艦娘だ。以前も言っていたように、修学旅行など彼女らにはない。飛龍はもちろん、蒼龍や大和も、不思議そうに首を傾げた。

 

「八つ橋って、なんです?食べ物ですか?」

 

そこからかと、思わず俺と拓海は「えっ」と声を漏らす。かの有名な八つ橋を知らないとは、やはり耳を疑ってしまう。

 

「あ、えっと。私たちって、きっと大和さんもそうですけど、基本内地の土産物や特産物って、あまり知らないの。基本的には基地内の食堂や、間宮さんの作るお菓子しか口にもしないし…」

 

蒼龍が驚きを浮かべる俺たちに対して、補足説明を入れてくれた。なるほど、そんなシステムもとい規約があるとは、なんと不自由というか、束縛されているのだろう。正直年頃の女の子たちだと思うのに、かわいそうなものだ。

 

「…そうかい。じゃあうまいもんをめい一杯楽しまねぇと。なぁ、みんたく」

 

「そうっすね。勿論、セブンスターさんのおごりやと思うけど」

 

にひひと笑みを浮かべていう拓海を、俺は軽く小突く。「あいた」と声が聞こえたが、気のせいだろう。うん。




どうもお久しぶりです。飛男です。
一か月ぶりの投稿ですね。一応、多作品をこっそり投稿してますが、あれは筆が乗ったら書いていこうという作品です。
さて、まず就活ですが、続いています。内定もいまだもらえず、危機感を覚える始末。せめてひとつくらいは、早めにとっておきたい…。
次に、PCが壊れました。一応リカバリディスクなどにより復旧させましたが、かなり時間がかかる始末。大変でしたね。
以上が、遅れた理由です。これからもこのようなことが多くあるかと思いますので、どうかご理解をいただけるようによろしくお願いします。

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