とはいえ、あまり期間が空き過ぎるのもいかがなものか。
と、いうことで、僅かばかりのクリスマスプレゼント更新をば。
ブラックサンタ的な。
……。
…………。
「……っ! いけない! みんな、もう少しこっちに!」
咲夜が杭に貫かれ、アーカードが
「幽香、貴女もよ!」
「えっ? ちょっ……!」
その直後、彼女は一人突出して闘う幽香の襟首を『スキマ』を介して掴み、そのまま拡げた
瞬間、床一面に広がる闇から突き出した杭、杭、杭。
その只中、不意に撒き散らされた
それは、紫が咄嗟に創り出した、強力な拒絶の『境界』による
「これは……!」
そこから外界を見渡す麗亜は、闇から突き出した、視界を覆い尽くさんばかりの
戦場を埋め尽くす無数の杭は、まさに在りし日の
「……少し外すわ。幽香、お願いね」
「はいはい。ま、別に何もできそうにないけれどね」
根源的な畏怖の対象となるべき惨憺たる光景を前に、『賢者』は皆の生命線である安全地帯を形成している『境界』を維持したまま新たな『スキマ』を拓く。
そして、僅かな焦りを見せるように、彼女らしからぬ素早い身のこなしでその中へと消えた。
…………。
……………………。
「……行くの?」
妖怪の山にひっそりと居を構える、守矢神社。
背後から声を掛けられた一人の少女は、しばし無言のまま高台に立ち、下界を見下ろしていた。
「……いいえ、その必要はないでしょう。ほんの一瞬でしたが、御二方も
「うん。
「もし
少女は高台からふわりと飛び降りると、自身の背に立つ声の主の方へ向き直る。
「早苗……」
「なに、待ちますよ。
どこか哀しげな表情で、しかし嬉々とした声色でそう呟くと、少女ーー東風谷早苗は、不敵な笑みを浮かべた。
「次は……」
それに応えるように、声の主は早苗と顔を見合わせる。
「ええ。
そして、それを受けた早苗は、声の主の横に佇む
「最高のタイミングで、
早苗と目を合わせた
「はい。それに、死んだ妖怪だけが、いい妖怪ですから。そうでしょう? 霊夢さん……」
まるで、そこにある
彼女がかつて持っていた純真無垢な心は、とうの昔に壊れてしまったのかもしれない。
人の身で、人の心で、神の力を振るうなど。
人のまま、神であることなど。
初めから不可能な事だったのかもしれない。
ただ、今の彼女は現人神として
それだけは、確かだった。
そして、同刻。
守矢神社の遥か上空を駆ける、一つの影。
(……ようやく、この時が来ましたか)
目にも留まらぬ速度で夜空を駆け抜けるその影の正体は、射命丸文であった。
彼女は、幻想郷最速と謳われるその速度を遺憾無く発揮し、
(……待ち侘びましたよ。永かった。本当に、気が遠くなるほど。でも、これでまた『
眼下に広がる紅い霧の先に、きっと『
そう考えるだけで、気持ちが昂ぶる。
身体が熱くなり、鼓動が波打つ。
いつか止まってしまった歯車を、再び動き出させるために。
止まってしまった時計の針を、その手で回し始めるために。
空を駆ける鴉天狗は風を纏い、一陣の疾風となり、彼の地へと急いだ。