ダンジョンで銃を撃つのは間違っているだろうか   作:ソード.

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戦闘回です、なのでそんな描写が続きます。
それを踏まえてご覧ください。


第10話 最強への挑戦

クラウドは怪物祭の開催されている闘技場の地下、モンスターの管理用の檻がある部屋で1人の猪人と対峙していた。

フレイヤ・ファミリア首領、オッタル。名実共にオラリオ最強のLv.7の冒険者。

クラウドの心はかなり焦っていた。実はクラウドはLv.7と戦ったことはない。ロキ・ファミリア所属時にアイズに稽古をつけたり、団長のフィンや副団長のリヴェリアと手合わせをしたことは何度もある。その経験からクラウドが導き出した自分の実力は『Lv.5は1人か2人なら十分勝てる』『Lv.6は1対1なら互角以上』『それ以上は不明』といったところだ。

 

 

「(これが【女神の戦車(ヴァナ・フレイア)】とか【炎金の四戦士(ブリンガル)】なら話は変わってくるんだけどなぁ....)」

 

 

クラウドは確かにLv.5だが、技術や駆け引きで戦闘力を上げている。故に、ロキ・ファミリアでも実質的には1、2を争うほどの実力を誇っていた。しかし、それはフレイヤも知ってのこと。下手にLv.5やLv.6の冒険者と自分を戦わせたら彼らが負ける可能性はそこそこ高い。だから、オッタルをわざわざ寄越したのだ。確実にクラウドを圧倒するために。全くいい迷惑だ、とクラウドは無理に苦笑いを作り銃をオッタルに向ける。

 

 

「考えても仕方ねぇ、なるべく早くぶっ倒れてもらうぜ。 【凍りつけ】」

 

 

超短文詠唱。クラウドの持つスキル【魔術装填(スペル・リロード)】の効果の1つだ。この効果によって詠唱された魔法の効果が銃弾に付加される。

 

 

「【フロスト・スピア】」

 

 

詠唱と同時に引き金にかかった指に力が入り、弾丸が発射される。

弾丸は青白い冷気で覆われており、先端は貫通力を上げるため棘のように尖っている。まるで氷柱のようだ。

オッタルはそれをかわすこともなく剣を上段で構えたまま立っていた。そして....

 

 

「はっ!!」

 

 

剣で銃弾ごと叩き落とした。

弾くとか防ぐとか、そういったものではない。力と技でねじ伏せたような完全な防御。確かにクラウドもこれでダメージが通るような考えではなかったものの、まさか歯牙にもかけないとは少しだけ驚いた。

 

 

「....だったら」

 

 

クラウドは足を踏み出して走る。無論、下級冒険者程度ならば目にすることさえできない程の速度でオッタルとの距離を詰める。しかし、ステイタスでは向こうが上。そんなものは反応されている。

 

 

「ふっ....!」

 

 

クラウドはオッタルに左側頭部への延髄蹴りを放つ。だが、それは当然彼の左腕に阻まれてしまう。しかし本命はそれではない。

クラウドは右手の銃をオッタルの胸元へ無理矢理割り込ませる。さっきは遠距離での攻撃を防がれたが、この至近距離では剣で叩き落としたりは出来ない。

 

 

「【鳴り響け】」

 

 

クラウドも早口で詠唱をする。この動作の中で詠唱を終わらせ、魔法攻撃を喰らわせるため。

 

 

「【ヘル・ライトニング】」

 

 

青い電光と共に辺りに火花が散り、電撃を纏いし銃弾がオッタルの胸元に撃ち込まれる。オッタルもそれにはほんの一瞬だけ判断が遅れたのか、咄嗟に身体を捻って回避を試みるが、もう遅い。回避しようとしたため心臓付近ではなく、彼の左肩の辺りに命中したが、確かに攻撃が通った。

 

 

「よっ....とっ」

 

 

クラウドは後ろ軽快に跳びながらオッタルと距離をとる。今の一撃がどこまでのダメージになったのか、それを見るために着弾した彼の左肩を見る。

そこで、クラウドは驚愕した。あったのは、骨と肉を貫通して電撃と共に再起不能にされた肩ではなかった。確かに、左肩の部分に半径数C(セルチ)くらいの範囲の焦げ跡とその中心に少しだけ肉が抉られた部分があったが、それだけだ。

ダメージというよりも、ちょっとした怪我で済まされてしまうような傷が。

 

 

「流石はLv.7....俺の常識なんざ軽く越えてきやがるな」

 

 

「当たり前だ。8年前よりも強くなったのはお前だけではない」

 

 

「そうかよ....じゃあ、もう手加減はなしだ」

 

 

クラウドは何も持っていない空いている左手を左腰のホルスターに近づける。そして、2丁目の銃を抜いた。

 

 

「【駆け抜けろ】」

 

 

両手の銃の照準を自分の足元に向ける。今までほぼ見せることのなかった2丁拳銃による同時詠唱。

 

 

「【ヴァイオレント・ゲイル】」

 

 

発砲した弾丸が足元に届いた瞬間クラウドを中心に烈風が発生し、地面の塵や埃を吹き飛ばす。

 

 

「余所見するなよ」

 

 

「無論だ」

 

 

「そうかよッ!!」

 

 

足を蹴り出し、左側に迂回して先程とは比べ物にならない程の高速移動でオッタルに近づく。豊饒の女主人の前でベートと戦ったときにもこの魔法は使ったが、そのときは右手の一丁だけだった。今回は2丁、となれば速度は段違いのものとなる。

 

 

「【凍りつけ】【焼き払え】」

 

 

右手と左手の銃による別々の魔法の詠唱。【二連詠唱】というクラウド固有の技術だ。

その高速の詠唱で、炎と氷の弾丸が同時にオッタルを襲う。

 

 

「甘い」

 

 

氷は先程と同じ様に右手の剣で、炎は金属製の籠手を装備した左手で叩き消された。

 

 

「やっぱり下級魔法じゃ通用しねぇか....」

 

 

補足されないようオッタルの周りを風魔法で高速移動しているが、攻撃がまともに通用しないのでは意味がない。

 

 

「何だ、今ので打ち止めか」

 

 

オッタルは飽くまでも表情は変えずクラウドの姿を目で追っている。

 

 

「次は此方から行くぞ」

 

 

Lv.7のステイタス、それによる突進。一瞬、いや気がついたらオッタルの姿が自分の視界の左に現れていた。オッタルはその豪腕で横薙ぎに大剣を振るう。クラウドは必死に身を屈めてそれを回避。しかし、回避した先には空気を押し退けながら迫り来る彼の膝部分が。

 

 

「がっ......!!」

 

 

額に強力な膝蹴りを見舞われ、クラウドは後方に吹き飛ばされた。二転三転しながら壁に背中から激突。肺の中の空気が殆ど吐き出され、激しく咳き込んでしまう。

クラウドはその場に倒れそうになってしまうが、右膝と左手で身体を支えて呼吸を何とか整える。

壁にぶつかった際に舞った埃で視界は少し悪かったが、相手の低い声は聞き取れた。

 

 

「抜かり無いな、咄嗟に後ろへ跳んで威力を軽減するとは」

 

 

「....うるせぇ、それでもこのザマだっつの。この馬鹿力が」

 

 

クラウドはゆっくりと立ち上がり、両手の銃をしっかりと握る。まだ相手の姿は見えない。迂闊に撃って弾を無駄にするわけにもいかない。

それでも、オッタルはクラウドを逃していたわけではない。煙の中からオッタルは現れ、大剣を真上に大きく振りかぶって斬りつけてくる。

こんなものを喰らえば間違いなく真っ二つにされる。そう悟ったクラウドは前方に走り下半身に体重をかけて仰向けになるような体勢でスライディング。オッタルの両足の間を通り抜けて煙の中から脱出した。

 

 

「(一端距離をとらないと....やられる....!!)」

 

 

風魔法で後方に大きく退避する。接近戦では勝ち目はない。遠距離から銃で少しずつダメージを与えていくのが得策だろう。

 

 

「何から逃げている?」

 

 

背筋が凍った。有り得ない。そうは思っていても事実は変わらなかった。逃げた先にいたのだ。大剣を構えたまま此方を見据えるオッタルが。

魔法を使って速度を上げていても埋められなかった差。自分と目の前の男との力の差は予想以上に深く、そして大きい。

 

 

「ふんッ!!」

 

 

またもや剣が振るわれ、左肩を深く切り裂かれる。服はビリビリに破かれ、血と肉と骨が相手の剣によって削られていくのがわかった。

 

 

「ぐっ....ああっ!!」

 

 

思わずそんな声を上げてしまい、体勢が崩れる。左肩へのダメージで凄まじい痛みが身体を襲っているが、それを必死に堪える。オッタルによる2度目の攻撃は両手の銃で挟むように受け止める。

 

 

「....っ!!」

 

 

上からの攻撃。それを銃で受けたのはいいが、勢いまでは止められなかった。剣と銃が接触した瞬間、その衝撃に耐えられずガクンと身体が下へ沈む。

片膝を地面につき、筋肉が軋むほど両腕に力を込めるがオッタルの剣はそれほど勢いが殺されることはなくクラウドに向かって距離を縮めていく。

全身が痙攣し、骨が泣き喚くのではないかと言うほどまで消耗していく。そして剣の刃の部分がクラウドの頭に触れる、その数C(セルチ)前――

 

 

「【斬り裂け】」

 

 

そこで目を見開いて言葉を発した。

 

 

「【断罪波動(ジャッジメント)】」

 

 

クラウドが苦しげに詠唱をし、両方の銃からオッタルの両腕めがけて発砲。

至近距離での銃撃をオッタルは回避できずまともに受けてしまう。

着弾と共にオッタルの両腕に十字型の傷が刻まれる。傷は深く、肉が抉れ鮮血が吹き出した。

流石にこれは効いたのか、オッタルは身じろぎして剣にこもる力が落ちた。

 

 

「張り切りすぎなんだよ、ちょっとは余裕持て」

 

 

そんな軽口を叩きながら両手の銃を剣から離し、再び後退。オッタルを見ると、何故か怪訝そうな表情でこちらを見ていた。怒りや敵意ではない。恐らくこれは、疑問だ。

 

 

「一体どういうことだ?」

 

 

「....何がだよ」

 

 

「何故お前はそこまで多くの魔法を使える。8年前はお前は3種類しか使っていなかったはずだ」

 

 

オッタルの疑問も尤もだった。魔法というのはスロットに上限がある。一生発現しない者もいるが、先天的、あるいは後天的に魔法を会得する者もいる。だが、それは最大でも3つまでだ。

つまりたとえ魔法の才能に優れたエルフであっても3種類の魔法しか使用出来ないはずなのだ。

しかし、クラウドがこの戦いで使用した魔法は合計で5種類。これはどう考えてもおかしい。

クラウドはそんな疑問に「ああ」と興味なさげに呟く。

 

 

「....そんな簡単に教えるかよ、バカ」

 

 

実際には自分でもわかっている。だが、そんな簡単に自分の情報をバラすほど口は軽くない。

 

 

「(とはいえ....どうしたもんか。このままじゃ確実にこっちの体力が先に尽きるぞ)」

 

 

強がってはいるものの、身体はもう疲労困憊と言ってもいい。まるで長距離を走った直後のような息苦しさが止まらない。切られた左肩からも血がドクドクと流れているし、必死に肺に空気を取り込んでいるものの、まだ手足には痺れが残っている状態だ。

ステイタスで大幅に負けている以上、長引かせれば此方が不利だ。

 

 

「次の一撃で、終わりにしてやるよ」

 

 

大きく息を吸って、久し振りに正式な詠唱(、、、、、)を始めた(、、、、)

 

 

「【空と雲よ、その怒りを以て天地を翻さん】」

 

 

詠唱を始めると同時に、クラウドは全力で横に走る。クラウドの考えに流石に気付いたのか、オッタルもその後を追う。

 

 

「知ってるか、オッタル。俺の銃の弾丸は手作りでな、特殊な仕掛けが施してある」

 

 

走りながらもクラウドはオッタルの注意を逸らそうと話を続ける。

 

 

「この銃の弾丸は『魔力を吸収し強化する』能力を持ってる。超短文詠唱で弱体化した魔法を強化するためにな。

ここまで言えばわかるだろ? そんな弾丸に正式な、しかも時間をかけた詠唱による魔法を吸収させたらどうなるのか」

 

 

クラウドの考えはこれだ。スキルで詠唱の省略を行えばその分威力が軽減されてしまう。

だが、正式な詠唱ならば威力は減ることはない。しかも弾丸には膨大な量の魔力が蓄積される。そんな魔法を使えばどうなるのか、オッタルはすぐに危険を察知した。

 

 

「させると思うか」

 

 

オッタルはクラウドの左腕の上腕部を自分の左手で掴む。そして自分の膝との間に挟み込むようにぶつける。激痛で詠唱が崩されそうになるが、それでもクラウドの心は折れない。

 

 

「....ぐっ!! ....【罪無き者には恵みを、罪深き者には災いを】」

 

 

左腕は醜く変形し、骨ごと粉々に砕かれて使い物にならなくなり、握っていた銃が左手からこぼれ落ちる。だが、今は右手の銃さえ使えればそれでいい。構わず詠唱を続ける。

 

 

「【天より出でし雷雲よ、宿主の心を喰らい、その願いに答え給え】」

 

 

剣が振るわれ腹の部分がバッサリと斬りつけられ、血が辺りに飛び散る。オッタルの攻撃に痛みでおかしくなりそうになるが、クラウドは頭の中で次の詠唱文を導き出す。

 

 

「......な....け....っ、【()け】」

 

 

詠唱は終わりだ。これが、最大にして必殺の一撃。上級魔法のゼロ距離攻撃。

 

 

「【暴虐雷雨(サンダー・ストーム)】」

 

 

右手の銃がオッタルの胸元に向けられ、発砲。稲妻を纏った大規模な暴風が発生し、オッタルの巨体を呑み込む。銃口から絶えることなく暴風が吹き荒れ、同時に発生した電撃によって辺りはまるで昼間のように明るく照らされる。

オッタルは数秒後には耐えられず後方に吹き飛ばされる。壁に激突し、崩れた壁の破片がガラガラと彼が飛ばされた辺りに崩れ落ちた。

 

 

「はぁ....はぁ....ったく、手間かけさせんなよ」

 

 

息を切らし、身体がフラフラになりながらも何とか意識を保った。剣で深く斬られた傷に折られた左腕。魔法を連続で、しかも最大規模のものを最後に発動させたせいか精神力(マインド)もかなり消費した。

もうあんな規格外の敵を相手取るのは御免だ、とクラウドは右手の銃を腰のホルスターにしまう。

 

 

だが、安心したからか、次に起こった事態に心臓が飛び抜けんばかりに驚いてしまった。

 

 

 

 

「驚いたな」

 

 

 

 

「........は?」

 

 

やけに冷静な、低い男の声。言うまでもない。オッタルの声だ。一体どういうことだ、さっき自分が戦闘不能にしたはずではなかったのか。

彼の声はやけに落ち着いていて、少なくとも瀕死の人間の出せる声ではない。そこから導き出された答えは1つ。

 

 

「嘘....だろ? あの距離で喰らっても動けるってのか....?」

 

 

積まれた瓦礫の山が突然内側から砕かれ、そこからゆっくりと長身で大柄な猪人が姿を見せた。オッタルは確かに服があちこちボロボロになり、ところどころに裂傷や内出血があるのが見えた。だが、戦闘にはさして支障はないと言わんばかりに2本の足でしっかりと立ち、大きく息を切らしている様子もない。

 

 

「まさか、押し負けるとは思っていなかったぞ。だが、これでは俺を倒すには足りんな」

 

 

口調からも焦りや緊張は窺えない。まだ健在というのは間違いない。クラウドは頭が混乱さえしてきた。何でこいつはここまでやれる? 何でこいつはあれだけやってまともでいられる?

あらゆる面でクラウドの常識や考えを覆す。理不尽なまでの戦闘力。

 

 

「確かに今の攻撃は、Lv.5ならば消し炭、Lv.6ならば致命傷だ。しかし、俺にはこの程度(、、、、)のようだな」

 

 

「....化け物がッ」

 

 

これが、最強なのか。こちらの足掻きなど意にも介さないのか。

どうすればいい。左手はもう使い物にならないし、足も震えていてそこまでの長距離は走れない。

傷を負わせられない相手ではない。こうなったら少しずつでも削っていくしかない。

そう考えてクラウドは再び銃を自分の肩まで上げる。

 

 

「無駄だ」

 

 

オッタルのそんな声が鼓膜に届いたかと思うと、右手に握られていた銃がオッタルの剣によってゴシャッと叩き壊されたことに気付いた。

銃をしっかり握っていた右手には、恐ろしいほどの打撃による痛みが発生。

もはや喉が枯れて、叫び声も僅かに口から漏れただけだ。

 

 

「勝利に拘る姿勢は評価するが、あまりあの方の時間を無駄にするわけにもいかん。

何より、全力を出したお前にはもうあの方も十分満足されていることだろう」

 

 

自分を見下ろし、剣を肩に担ぐオッタル。クラウドは虚ろな目でオッタルの視線の先にいる女神――フレイヤを睨む。

さっきから2人の戦いを見ていた彼女はその美しい顔に笑みを浮かべていた。

 

 

「殺しちゃ駄目よ、オッタル。その子は私が大切に可愛がるんだから」

 

 

フレイヤはそこで唇に人差し指を当てて扇情的にオッタルに忠告をする。

オッタルは相変わらず無表情だったが、それでも「承知しています」と律儀に返事をした。

 

 

「まさかこの8年でここまで実力差ができてしまうとはな。正直、失望したぞ」

 

 

「はっ....バカ言え....まだ勝負は....ついて....ねぇだろ」

 

 

地面に片膝をつき、息を荒くしてクラウドはオッタルの顔を見上げる。

 

 

「お前は、強くなったのは自分だけだと思うなと言っていたな。確かにその通りだ。お前も8年前に比べて強くはなったのだろう」

 

 

オッタルは大きく右手に持った剣を上段に振りかぶる。止めを刺すつもりだ、クラウドは直感的にそう思った。

 

 

「だがな、大した違いはない」

 

 

そのまま一気に振り下ろされ、意識を刈り取られる――

 

 

 

 

 

その、寸前だった。突然クラウドの見ていた色彩のある世界が白黒に染まる。そして振り下ろされた剣の速度も限り無く停止に近いほど減速されて見える。

何が起こったのか、全くわからなかったが次の瞬間脳内に綺麗な女性の声が響く。

 

 

『クラウド様、チャージした【経験値(エクセリア)】のポイントが使用可能です。どうしますか?』

 

 

聞いたことのない、澄んだ声。誰かが自分に話しかけているのだろうか。

 

 

『使用しなければ6割の確率で死亡します。使用することをお薦めしますが』

 

 

またもや同じ声。錯覚とか幻覚とか走馬灯とかではない。今実際に誰かが話しかけているのだ。クラウドには彼女の言っている意味がわからないが、このまま何もしなければ自分は意識を失うか、最悪死ぬのだろう。

 

それは、駄目だ。

 

 

『....使用する』

 

 

心で念じるだけでそれは実行できた。その声が届いたのか、またもや相手は言葉を発した。

 

 

『了解しました。では、【呪装契約(カースド・ブラッド)】の能力を発動します。

クラウド様はそのまま5秒ほどお待ちください――』




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