ナザリック小話   作:こりど

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ぷれぷれ女子プロレス

「うーむ、これは何と言うか……」

 中々いいものだな、眼前に並ぶ光景にアインズは今は余り感じる事の無くなった感覚と共に男として眼福と言う単語を思い出していた。

 アインズの前に勢ぞろいしたのは、いずれ劣らぬ美女、美女、美女。

 

 赤や紫、色取り取りのリングシューズ、きわどいカットの入った水着……もといリングコスチューム。それらに身を包んだ輝くようなプレアデス6人の娘達と純白のコスチュームに身を包むアルベドの姿である。

「で、では早速、私めはアインズ様に寝技のご教授を賜りたく!」

 と頬を染め大きく開いた胸元を寄せて上げてずずいっと寄ってくるアルベド。さっと手を上げて制するアインズ。

「いや……そういう、所謂寝技は地味で玄人受けしかしないから素人にはお勧めしない、プロレス的なものをやるべきだろう、○○さんもそう言ってた」

「……そうですか」

 ショボーンとするアルベド。それで張り切ってたのねと肩を落とすアルベドを見るアインズ。プレアデスの面々はと言うと頭上に用意され次々に切り替わる魔法の映像、プロレス関連の映像を参考に思い思いにどたんばたんとキャンパスで組み合っている。

 

「ええと……こうでしょうか?」

 

 白を基調に腰周りが黒のライン、下がミニスカートのチアガールをモチーフにしたようなコス姿のユリ・アルファ、が技を受ける側として腹ばいになっている、豊かな胸が押しつぶされ普段余り肌を露出しない彼女の事もありアインズから見ても実に扇情的な光景だ。その上に「失礼致します」と白地に大きく前がVの字にカットされたハイレグのような形、回りに黒の布が巻かれているコスのナーベラル・ガンマが腰を下ろし跨ってその顎に手をかける。

「それでは、失礼しますユリ姉様」

 プロレス技のキャメルクラッチと言う技だ。至高の御方の前とあって彼女らもお遊びとは言え真剣な表情である。ギリギリと体を逸らせる力が込められ、抵抗する方も本気だ。

「くっ……遠慮は無用ですナーベラル、貴女もなすべき事をアインズ様の御前に……」

 苦しげな表情でそう言い掛けたユリ、だがコキンと言う音と共にポロリとユリの首が彼女のチョーカーから外れナーべの両手に残った。

「「あ」」

 間の抜けた声が技を掛けた人物と掛けられた人物の双方から声が漏れた。

 

 

 

 

「ふーむ、大して期待して無かったがこれはこれで」

ナザリック地下大墳墓、第9階層アインズ自室。

 

「何をご覧になっておられるのですかアインズ様?」

 ぴょこりと言う感じで可愛らしくアインズの肩越しにそれを覗くアルベド、皆が居る前では馴れ馴れしい態度を控えているが最近は二人になると大体こんな感じの時が多い、普段は天井にエイトエッジアサシンが居るのだがアインズのこの手のプライベートの時間には部屋から追い出していた。彼女は報告書を素早く机に置くと何でしょうこれは?と表情で尋ねる。画面の内容の方に気を取られているのかアルベドとの距離も気にせずアインズもうむと答える。

 

「何か暇つぶしになればと思ってな、皆がギルド共用のアイテム・ボックスの中に放りこんでいた物を漁っていたのだが、なかなか面白いぞ?」

「まぁ? これは、模擬試合……でしょうか?」

 アルベドが覗き込んだ映像の中では布地面積の少ない人間の女性同士が太い紐が四方に張られた白い布地(キャンバス)の上で取っ組み合っている。

「近い――が少し違うかな? これは女子プロレスと言うものの見世物の格闘試合だ。友人の……至高のうちの誰かが溜め込んでいたビデオライブラリの一部だな」

 

 記入されては居なかったが、持ち主の見当はアインズには大体見当がついた。確かプロレスと言う過去に存在した興行の歴史に詳しい人物が居た事を思い出す。

 かつてアインズが「これは……交互に攻撃をして受けてるって事は八百長ですか?」とその人物に聞いたら「違うよモモンガさん何て事言うんだ! プロレスは筋書きのあるドラマなんだ、攻撃を受けるのはレスラーの覚悟の現われなんだ、それは断じて八百長なんかじゃない!!」とえらい剣幕で怒られ、結局正座させられたモモンガはこんこんとプロレスについて語られた事があったのだ。懐かしいなと骸骨の首を傾け思い出す。

 

 生身の人間が行うプロレスと言う興行自体はアインズの居た時代にはすでに廃れていた、それとは別のガチの格闘技などはスポーツや賭けの対象として需要があったのか残ってたりしていたのだが、アインズはその辺の詳しいと歴史は解らない、まぁ残ってない以上は理由があるのだろう。

 かつての世界を思い出すと大体はアインズが偶に見る格闘系の映像もほとんどはユグドラシルのようにコンピューターの作り上げた映像だった。それが普通だったのだ。

 

 だがアインズの生まれる50年以上前に絶えたプロレス映像は結構ネットのあちこちにも残っていて、熱心なプロレスファンはその全てをドラマと共に回収して補完していたりして、その内の一人がかつての仲間内にも居たと言う事だ。古き良き時代を、実際は彼ら自身が生きていたわけでは無いのだが懐かしんでいたのだろう、そのぐらいはアインズにも理解できる、あの汚れた世界に生きる者に共通する一種特有の回顧趣味だ。

 

 至高の御方と聞いてアルベドは興奮気味に金色の瞳を輝かせた。

「素晴らしいですわ、特に女性同士と言うのが、も、もしかしてアインズ様もこのような格好の者がお好みで?」

 うーむと動画を見ながらアインズが顎に骨をあて考える、期待に満ちた眼差しのアルベドはその後ろでコスプレコスプレ、そういうのもアリかもと小さな声でぶつぶつ呟く。

 一方メインイベントが始まった画像の中では二人の女子レスラーが「きゅーてぃきゅーてぃ」と歌っている。所謂アイドルレスラーと言うものだが、当然そのような知識の無いアインズには何故格闘技の試合で歌を歌っているのかは解らない、だが見る前はあまり期待して無かったアインズも自分が知らない時代の映像に少々引き込まれていた。

 元々彼自身は格闘自体にはあまり興味が薄かったのだが、単純に女子同士が水着のような格好で戦ってるのが面白かったのか、はたまた男性としての残滓が精神面に残っていたのがきわどいコスチュームに引かれたのかもしれない。

「悪くないな」

ぱっと目を見開くアルベド、腰の羽をぱたぱたとはばたかせた。

「でしたら早速ユリ達を呼びましょう」

 

 

 

 

「なるほどなぁ……こうなるか」

 そして今アインズはリング上で繰り広げられるプレアデス達による異次元プロレスごっことも言うべきものをを眺めていた。

 実際に彼女らにプロレスをやらせて見るとプロレス技の大半が人間用だと言う事に今更ながら気がつかされるのだった。

 コブラツイスト、四の字固め、スコーピオンデスロックにヒールロック。まぁ色々代表的なプロレス技を一通り見てみたのだが。

 首のロックが外れるユリ、全関節が360度可動なシズ、不定形の姿(ショゴス)で関節が存在しないソリュシャン、蜘蛛人(アラクノイド)のエントマなども関節の可動域が違い過ぎる上オマケに多足だった。

「まぁこれはこれで面白いが、思ってたのとは少し違うな」

 

 今もルプスレギナがエントマにつり天井固めと言う技をかけようとしたら、この技は下の者が上の者を背面から両手両足を固め(クラッチ)して吊り上げる、いかにもプロレス的な技なのだが、エントマは吊り上げられ天井を向いたた状態から普通に首がぐるりと反対の下を向いて背中から出てきた足で下の者をくすぐり出す始末である。

「隙ありですぅ、ルプー」とエントマ、「うっひゃっひゃそれ反則っすよ」と笑った彼女の上にエントマが落ちて、ぷぎゃっと言う声が上がる。

 

 エントマのリンコスは黄色と黒の入り混じったスレンダーな手足までしっかり隠れるもので蜘蛛の巣をイメージしたものなのかそれでいて和のテイストも入った見事なものだ、ルプスレギナのコスチュームは赤と白で真ん中で色分けされた競泳水着を模したようなもので活動的な彼女によく似合っている。シューズも上に合わせて左右で赤と白がコスチュームと逆になっている。そんな彼女らがきゃいきゃいと絡み合っているだけでも健康的な色気と言うか、表現し難い気持ちになるアインズだった。もしかしたら知人の娘と言う感覚もあるのかもしれない。

 

「ふむ、しかしルプスレギナとナーべなどなら一応はまともにプロレスができるのだな」

「はい、そのようです、あの二人は元の姿に意識しないとめったに元の姿に戻りませんから」とアルベド。

「それにしても皆のコスチューム、こういう姿を見るのもなかなか新鮮でいいものだな、シズのは迷彩柄の動きやすそうだし、シューズも迷彩柄でおそろいだな。ソリュシャンのあれなどは……黒の半透明で透けてるようだが、なかなか色っぽいと言うべきか……アルベドが作ったのだったな?」

 ちょっと露出が過ぎるかなどと思うアインズ。

「はいソリュシャンのコスチュームは黒の夜着をコンセプトにしております、私は恥ずかながら裁縫も得意としておりますので……そのアインズ様、ところで。わ、私は? 私はどうでしょうか?」

 恥じらいながらもアピールする白のドレスをモチーフにしたようなアルベドのリングコスチュームを上から下まで見てみる、シューズの先まで白のそれは清楚な感じで黒髪のアルベドがよく映えていた。

「む、うむ。もちろんアルベドも悪くないな、実に見事なものだ」

 コスチュームが見事なのか彼女の姿が見事なのか言った本人にも不明瞭だ。だがアインズが正面から見るのを照れたよう逸らすのを見てアルベドも、くふー!と鼻を鳴らして身を捩った。

 アインズ様のもご用意致しましたが?と見ればアルベドが掲げているのは黒いタイツのようなもの、何の映像を参考に作ったのか力道山と書かれてあった。マントは何故か虎柄で裏が真紅だ。アインズはなぜ自分にだけはいつもそんなデザインになるのだと思ったが、最高に似合っていますと言われ誤魔化すように咳払いした。

 

「さ、さて、それはそうとしてだアルベドよ」

「はい」

「だんだんカオスになってきたなコレ」

「はい、おっしゃる通りかと」

 

 笑顔の彼女と共に目を向けるとリングの上に映る記録映像はいつの間にやら実際のプロレスからプロレスを題材にした人気アニメに切り替わっていた、いわゆる超人プロレス技が次々に繰り広げられていたのだが、それを参考にしてプロレスを続行する彼女らには区別がついてないのか、だが本来常人には到底再現が難しい、そんな技の数々も彼女らの身体能力、運動能力をもってすればやれてしまうのだから恐ろしい。

 

「ここで必殺のっ! !筋肉バスターっす!」

「甘い……6をひっくり返すと9になる……逆噴射バーニア点火、筋肉バスター返し」

 シュゴー! スガァアン! ぎゃーっすと言う声をアルベドと共に見上げる、いやいや、あの高さまでシズを抱えて飛んだルプスレギナのパワーも大したものだなと冷静に思うアインズ。天井から二人の前にパラパラと壁面のかけらが落ちてくるが、彼女ら二人は天井にめり込んでいるのかまだ落ちてこないようだ。

 

「忍法蜘蛛糸縛りですぅ」

 コーナーに華麗に立つエントマが忍者のように片手を眼前に掲げている。リングロープを強引に中央でより合わせ対戦相手の身体に絡めている、捕らえた金髪の美女の柔らかな体がギシギシと軋む。白い肌の四肢に食い込むロープ。そして限界に達した五体が弾け飛ぶ。

 と、思いきやころころと頭が転がったソリュシャンの頭部が事も無げに手足や胴体の各パーツから触腕を伸ばして再結合する。

「ここをこうやって、超人絞殺刑って……きゃああ!」

 またもや首が外れて場外に転落するナーベとユリ。

 

「うーむこれは本当に見世物にしたら金が取れそうだな……」

 アインズは顎をさすった。

(まぁ俺の元の世界ならと言う話ならなんだが)

 流石にこの世界の素朴な人達にこんなもの見せたら老人などは心臓発作ものだろうか。

 アインズの元居た世界なら大喜びして視聴しそうな人物がたくさん知り合いにも居たのだがと考える。主にペロロンとかペロロンみたいな、と友人のアバターが思い出される。

 まぁブループラネットさんみたいな純朴な男性で無ければ大体みんなそんなもんじゃないだろうか?とアインズは残滓のように残る感覚を頼りに考える。

 美女がきわどい格好で闘う姿は大抵の男にとって非現実的だがいいものだ、アルベドお手製のコスチュームの出来が良いせいもあるのだろうが、眼前の光景は見ていて本当に飽きない。

 キャットファイトとか言ったか?そんな単語を思い出したが正確な意味は学の無いアインズは良く知らなかった。

 そうなのだ、プレアデス達の見た目は本当に絶世の美人だしスタイルも抜群なのである。これを見れると言うだけで男など集まるだろうと思われ、ふとアインズは本当にもったいなくないかコレと考え始めた。何とかこれを生かせないかと腕を組み真面目な視線をリングに送る。思案げなアインズの貌を見てアルベドもなにごとかお考えなのかと微笑む。

 

「何かお考えですかアインズ様?」

「うむ少しな」

 

 以前からアインズが推し進めているアンデッドを労働力としてレンタルしてがっぽり儲ける、と言うプラン。現状今一つ上手く行って無かった。疲労も無く不満も無い、ずっと働き続ける理想の労働力アンデッド。あんな便利な物なのにと思っていたアインズだったがジルクニフは何度か持ちかけても苦い顔をしていた。それも一般の労働者の職を奪うとか教会がアンデッドの使用にうるさいなどと言われては仕方なく、渋々アインズも引き下がってはいた。だがナザリックの主要産業としていつかは必ず実現したいものだと常々思っていたものだ。

 だが今、そのアイデアの前に、眼前に展開されてるものから少し発想を変えてプロレス興行(これ)なんかはどうなんだろうか?と言う考えが浮かぶ。

 

「エンターテイメント……と言う考えは、そうか無かったな」

 真面目くさった顔でボソリと呟く。そういえば古代ローマでも娯楽は支配者にとっても市民にとっても重要な要素だったと言う。パンと娯楽を与えよだったか?確かにこれは一種普遍の原則のはずだ、アインズは行った事は無いが賭け事を楽しむカジノのような場所では露骨に女性同士を絡ませるものもあったはずだ、と思い出す。

 

 そう思って見るとまたかつてのように、これは素晴らしい名案だと、ふつふつとその空虚な脳裏に次々と商売のアイデアが沸いてくる。自分の部下だから新たに人を雇う必要も無いし、驚異的な身体能力から訓練期間もあまり必要ではない、会場の設営、設置などはゴーレムが昼夜を問わずやってくれる、無論これも自分が召還すればタダである。自分は営業職ではあったが意外に起業する才能もあったのかもしれないのじゃないか?などと言うのは先走りすぎだったかもしれないが。

 

(うーむ、可愛い女の子同士が闘う、この世界にあってはそれは画期的なアイデアだろう、そしていささか非現実的な肉体要素などは魔法なのだ……という線で説明し。 あんまりスキルを見せるような動きは不味いかもしれないが、何、いざとなったらその辺は演出と言って誤魔化せば……そして客層、最初は……そうだな珍しい物好き、かつ金持ちの貴族相手なら、うむ……これは意外にいけるのではないか?)

 ニヤリと骸骨の面で邪悪にほくそ笑む。

 プレアデス達の美貌はそれ単体で連れ歩いても人が集まるレベルなのである、アインズはモモンとしてナーべを共としている事でそれは実感として計算できていた。それが今度はフルメンバーで団体で興行……そう考えるとアインズの脳裏には喝采する皇帝と貴族達。是非にと請われて各国巡業する妄想がぽやややんと浮かんだ。

 各国でも娯楽に飢えた庶民達にも大歓迎を受け大うけして黒山の人だかり、そして投げられる山のような金貨の幻想(ビジョン)がアインズの脳裏に浮かぶ。ついでに興行権を皇帝に約束させてウハウハのぼろ儲けだ。

「いやいやこれは困ったな……」

 そういえばと思い出す。帝国にはでかい闘技場があったハズだ、まずはあそこで大々的に……たしかあそこでは色々な催し物が開催されているとフールーダも言っていた。ならば変わった催しの一つや二つ追加されても問題はあるまい、自分の頼みなら皇帝(ジルクニフ)も断れまい。とりあえずそこから始めるか。

 

(ついでながらナザリック――引いては魔導王の、つまりアインズ・ウール・ゴウンの華やかなイメージアップに繋がり、こんな一面もあるのかと見られるであろう。かつかなりの副収入が見込める。悪くない、悪くないな。まずは軽く楽しそうなショープロレス的なものを皇帝に見せて反応を見てみるか。我ながらいいかもしれんなこのアイデア……うちであと女性と言うとシャルティアとアウラと……マーレはいやいや流石にちょっと何を考えている)

 

 いつも美少女の格好をしている男の娘マーレの姿を思い描く、あれにきわどい女の子のリンコスさせても喜ぶ人は喜ぶだろうが、股間のふくらみの事を思い起こすとアインズはふるふると頭を振った。

 知人の子を流石にそういういかがわしい風には使いたく無い。アウラなども子供過ぎるし呼び出しなどがいいだろうか、などと考える。

 シャルティアはどうしよう、そう言えばナーべとあれはそう言えば顔が知れているしマスクも必要か、アルベドなどもスタイルがいいし出したいのは山々だが角はともかく翼がさすがにどうだろうか、アインズはとめどなく沸いてくる考えにわくわくしてきた。

 

「うむ、そうなると掴みは大事だな……まずはプレゼンテーションと行こうか」

 そうしてアインズ気合を入れてマジックアイテムの創作に取り掛かったのだった、こんなに気合を入れたプレゼンはかつてのブラック会社勤務時代でも無かったと言う程だった。

 

 

 

 

 

 それからしばらくして。

 

 親愛なるジルへ、そう記された魔法のスクロールがアインズ・ウール・ゴウン魔導王の署名入りでその後帝国の元に届いた。

 問題だったのはそのアイテムに込められたただごとでは無い魔力の量であった。どのような種類の魔法が込められているのか現在の帝国の魔法技術では皆目特定が出来ないが、最悪帝都の半分が吹き飛ぶかもしれません。などと言う帝国の誇る魔法機関の恐るべき鑑定結果が出たのである。

 蒼ざめつつも、まさか堂々と爆弾を送りつけて来るはずもあるまいとは思った皇帝だったが、結局は討議の末帝国の誇る高位の魔法詠唱者(マジックキャスター)がダース単位で監視する厳重な警戒の元それは開封さる運びとなった。

 そしてスクロール開放の時、完全武装の近衛が十重二重に皇帝を守る眼前でそれは空中に光り輝く一大スペクタル映像の数々を大音量のバックミュージックと共に生み出したのだった。

 

 若き鮮血皇帝と呼ばれた存在は唖然とした、そこにはいつか見たアインズの部下である絶世の美女達、凄まじい力を秘めていると帝国情報部が結論したメイド達があられもない姿で汗にまみれ、くんずほぐれずしている理解し難い映像が次々に流れていったのである。極め付けに映像の最後に添えられたアインズの画像付お願いメッセージを聞いて彼の顔が引きつった。

 

 「やあジルクニフ、今度こういう興行を、そちらでしてみたいんだがどうだろうか?」

 

 


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