世界一可愛い錬金術師がダンジョンにいるのは間違っているだろうか 作:スキン集め隊
あと何気に美少女モードのカリおっさん難しい。これでいいのやら。
あの後ベルがウザかった。本当にそれでいいのかとかまだ僕と神様だけの最底辺ファミリアだとか、何回もいいって言ってんのにしつこく聞いてくるんだもん。見た目的にその時の必死さが可愛いかったけど流石に何回も聞かれるとそう思っても仕方ない。
最終的には「オレ様に入ってほしいのかほしくないのかどっちだ」って聞いたら押し黙ったけども。
それからは自分のファミリアに人が増えるのはやっぱ嬉しいようでファミリアのホームに向かうまで上機嫌に色々話したけどな。かくゆうオレも上機嫌だが。
いやー、ベルってばセンスあるな。ウロボロスについても話したんだが、感想が「かっこいい」だと。その関連で錬金術についても話題になって炎を出したら目をキラキラさせて尊敬の眼差しで見られた。炎を出すっていうか魔法に憧れているようで、似たようなことの出来る錬金術にも興味が湧いたらしく懇切丁寧に教えてやると一言一句聞き逃さないようにうんうん頷いていた。これからもオレ様直々に教えてやろうか、こんな美少女が先生なんだから泣いて感謝しろよな。
あ、そうそうウロボロスについてだが、いくらウロボロスがかっこよくてもモンスターという分類に問題がある。こんな町中だとテイムしていたとしても目立つし冒険者登録してないから面倒な事になるのは確定ということで、どうにか隠そうとした所、「ハウス」って言ったら杖に身体を縮小させて巻きついた。
お蔭で服で隠せるし、もし俺の危険を察知したら即巨大化して俺を守れるようにしている。本当に安定のチートウロボロス先生ですねー。
「えと…ここがヘスティア・ファミリアのホームなんだけど…」
どうやら目的地に着いたらしい。そして前を見て───固まった。
目の前にあるのはボロっちい廃墟。所々欠けた女神像があるから教会だったんだろうが……
「……ボロくね?」
「グフゥッ!?」
ベルに瀕死のダメージ!ベルは膝から崩れ落ちた。
「あー、正直予想以上に酷かったが、自分で言ったことを曲げるつもりはないから安心しろ。元気だせって、な?」
「…うん」
この惨状を見たらな…ちょっとだけベルに優しくしてあげようと思った。
「こっちが普段使ってる場所なんだけど」
礼拝堂の横にある部屋のドアをベルが開けた。一室だけというのもあって、やはりあんまり大きくない。家具もあるが最低限の傷のついているものだけだ。余程貧乏なんだな…。貧民の振りして悲劇のヒロイン的なものにもなれるかもしれんが、カリオストロのキャラじゃないしやりたくねぇぞ俺は。即刻変えてやろう、錬金術さえあれば貴金属作って金に還元できるだろ。そう考えこんでいると、トテトテと足音が聞こえてきた。
「おかえりぃー!!」
「わぁっ、神様!?」
「うんうん、今日も目立った怪我は無いようだね。安心したよ」
…神様だと?こんな露出の多い服に胸を無駄に強調させている青い紐を巻きつけているツインテールのロリが?
そして向こうも俺に気づいたらしく、抱きついているベルの肩越しに視界に俺を収めると呆然とした顔になり、そのまま数秒固まったのち額に汗を浮かべながら口を開いた。
「べっ、ベベべベベべルベルベルベルベルベルべっべべ」
…俺にもわかる言葉で喋ってくんねえかなぁ。
「ベル君が女の子を連れてきたぁー!?」
女の子の前に超絶可愛いを入れろよデコ助女郎。
まあそんなことは俺の可愛さが天元突破している限りどうでもよくはないがおいといて、先程このロリ女神の言葉で気になった事がある。”友達”やあるいは漠然とした人を指し示す言葉ではなく、わざわざ相手を”女の子”と女性である事を強調したことだ。
それに付け加えて、ロリ女神の顔は愕然というより焦燥の方が割合は多い。ということは────ちょっと所か超面白いことになるかもしれない。ベルやロリ女神に見えないようにさり気なくあくどい笑みを俺は浮かべた。
* * * * *
やあ、みんな。ベル君の神様にしてヘスティアファミリアの主神、ヘスティアとは僕の事さ!
…一体僕は誰に話しているのだろうね。きっと僕は錯乱しているのだろう。しかし、それも当たり前だと思うよ。
だって、あの、あの!、あの!!ベル君が女の子を連れてきたんだ!
ベル君は初心だし、人を疑う事を知らない。それに加えてお人好しで夢を持っている。だから色んな子に出会うのもわかる。
「ベルさんっ、私にファミリアのホームの設備を詳しく教えて欲しいな☆」
「えっ!?う、うん。そうだね」
だけど───なんでその女の子がベル君の右腕に抱きついているのかな!?
あまりにも仲良すぎやしないかい!?一体どこのファミリアの子か詳しく二十四時間ぐらい問い詰めたいぐらいだよ僕は。
…あと、そんなにベル君と仲良くなれる方法も。だいたい、そこは僕がベル君の右腕に抱きついてこの豊満な!ロキよりも母性を感じさせる豊満な!!この、胸をベル君に押し付けて神様から一人の女の子として僕を意識し始めるパターンじゃないのかい!
「あ、でも先に神様に入団許可を貰わないと」
「えーっ…」
「えーっじゃなくてファミリアの内情に関わることだから必要なことだと思うんだけど。あと、何か楽しんでない?」
「…………そんなことないよっ☆」
「今の間はなに!?」
くっ、イチャイチャしやがってえ…。
※ヘスティアフィルターがかかってます。
とにかくあの娘をどうにかしないと…。そういえば、ギルドで見せてもらったヴァレン某にどこかあの娘は似ているね。もしや、金髪がベル君は大好物なのだろうか。ハッ、それよりあの娘の対処だよ。
A、素直にお帰り頂く
B、ベル君と僕がいかにラブラブか見せつける
C、実力行使、神の力を使うことも厭わない。そのままベル君と一緒に身投げして天界でベル君の魂と永遠の時を。
よし、Cd────「神様っ!!」
「どわあっ!?な、なんだいベル君」
あと少しで最高の幸せを僕は得ることができたのに!…あれ、さっきまで何を考えていたんだっけ?覚えていないなら大したことじゃないよね、うん。
「入団希望者ですよ!」
「へ?…にゅうだんってこの入団かい?」
「はい!」
うーん、自分で言うのもなんだけどこんな零細ファミリアに入ろうとするなんて変わった子だなぁ。
「えっと、どこにいるんだい。その子は」
「?何いってるんですか?ずっといるじゃないですか───僕の腕に」
えっ。そして悪魔がいた。あろうことかその悪魔は、ベル君の腕に頬を擦り付け、しかもベル君もその仕草に真っ赤に反応して、僕と目が合うとにっこりと笑って────小馬鹿にしたようにフッと鼻で笑ったのだ。
「くぁwせdrftgyふじこlp∠(゚Д゚)/■@ek────!!!!」
「か、神様っ!?」
そして、更に追い討ちをするかのように───実際にそのつもりだろうが────禁断の一言を言い放った。
「私、ベルさんが大好きなんです!ベルさんと結婚を前提にしたお付き合いをしているんです。 どうか同じファミリアに入れて下さい!」
「「えぇっ!?」」
頬を赤くして、切実といった表情で眦に涙を浮かべて懇願し、半分はベル君への勢いだったのか、いかにも演技したような────理想の美少女の姿だった。
「だ、駄目だ!ベル君は渡さないぞ!!永遠に僕とふたりきりで幸せに暮らすんだ!」
「カリオストロも神様も何を言ってるんですか!?」
思えば、なんでベル君も驚いているんだとか、あれは半分どころか百パーセント演技だったとか冷静になれば気付くけることがたくさんあった。
「ぷっくくく…」
「な、なんだい?どうしたんだい?」
「そんなに必死になって威厳の欠片もねえなぁ!!あ、そうそうベルに恋愛的な興味は一切ないから今後ともよろしくっ☆」
これが僕の恋愛の師匠にして、心労の原因の核が植え付けられた瞬間だった。
…あとベル君、女の子に恋慕を完全否定されたからといってそこまで落ち込まなくても…。
知ってるか?まだ半日しか経ってないんだぜ…。
魔の箱庭に縛られし民たちを選別せし儀式(テスト)もあるから今後の投稿も遅れるかもしれませぬ…。申し訳ございません。ハロウィンカリオストロゲットも忘れませんが。