世界一可愛い錬金術師がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:スキン集め隊

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今回は短めです。面白い部分はファミリアについてからにしたいのです。

なんか内容が薄いなぁ…


5話

白兎のような少年───ベル・クラネルというらしい────に地上へ歩きつつこの世界について教えてもらった。

まずは今いる場所からだが、先程地上と言ったのはここが地下だからだ。ここはダンジョンと呼ばれており、その名前通り先刻ウロボロスが倒したモンスター達が蔓延っている。俺達がいたのは上層で現在攻略されている五十層辺りは深層と呼ばれ、地下に行けば行くほど危険度が増す。上層のモンスターであれば武芸を身に付けている常人で決死の覚悟で行けば倒せるらしい。だが、十数層からの中層は決して人の手には負えない。

 

そこで出てくるのが『神の恩恵(ファルナ)』。

一昔前までは地上もこのダンジョンから溢れでたモンスターが各地に放浪し、暴虐の限りを尽くしていたようで人々は人智を超えた存在、神に助けを乞う。そのためにこのダンジョンの真上に『バベルの塔』を築き、一柱の神がバベルの塔を破壊して下界に参上。それからというもの、次々と下界に神々が降臨し、それは地上の人々(神の子供達)の願いの為だったり、あるいは自らの娯楽の為だったり、ただ漠然と面白そうという欲求からだったり、それぞれのしょーもないものもある目的の為に行動しているのだという。

しかし、神々は地上では『神の力(アルカナム)』を封印しているため、自らが見初めた人々に神の恩恵を与える。つまり、人々は超人的な力を得る代わりに神にご奉仕し、神は人々に崇め奉られ人々に力を与えるというなんか鎌倉幕府的な関係。あれだ、ごおんとほーこー。

 

ヴァー、面倒くさそうだな。ベルの話では神は結構フレンドリーで良心的なのもいるらしいが、やっぱり一物抱えてるのもいるようだが…。

ま、悪い事ばかりってわけでもない。神の恩恵があれば未開の地にいけるし、この世界全体は神秘性が高い。となれば研究材料も多い。うーん、どうすっかねぇ…。一応冒険者としてダンジョンを攻略しつつ、色々研究してくってのが無難か。ま、カリオストロらしくそれなりに面白おかしく不思議解明してけばいっか。

 

「ここがダンジョンの入口ですね」

 

そして、と溜めて懐かしむように目をキラキラさせてベルは言った。

 

 

「────ここが迷宮都市オラリオですっ!」

 

 

巨大な白い光を抜けた先は、視界を埋め尽くす程の建物群と耳を侵す人の喧騒。

建物や衣服、大通りに出ている屋台などからおそらくこの世界の文化は中世あたりだろう。最も、この世界には魔法やら神様やらが実在していて全く別の文化が発達しているとみていいだろうが。

 

特に目に付くのは人間が数百人は入れそうないくつかの建物。その建物の側では旗が風で靡いており、なんらかのエンブレムが描かれている。あれが神とその眷属が住むファミリアのホームだろう。最も巨大な建物には道化師のエンブレム。…道化師と言えばロキか?他にも俺が知らないだけで道化師から連想できる神がいるかもしれんが。一応覚えとこう。たぶんかなり大規模なファミリアだろうから。

 

あと特に特筆すべき点は歩いていく人の容姿ぐらいだ。耳が長かったり、ケモ耳が生えていたり、褐色肌の露出狂としか思えない格好をした女がいたり。

…ま、俺が一番可愛いけどな!胸はさっきの奴はでかかったけど。

 

「なんというか、意外ですね」

 

「はぁ?何がだ?」

 

「その、今オラリオを見ていた時の眼が年相応に見えて」

 

「ふーん…ていっ」

 

「痛いッ!?」

 

そりゃこんな光景見たら興奮せずにいられるかよ。ベルに指摘されたのは気にくわなかったけど。

 

「ひどい…けど、その、嬉しくて」

 

え?ドM?ドMなの?(歓喜)

 

「僕も初めて来た時はそんな顔してましたから、カリオストロさんもこのオラリオに何かを求めたり、感じてくれたりしているんだって分かりましたから」

 

あ、そっちか。

それにしても、ふぅーん、へぇー?求める、ねぇ?

 

「堅苦しい、カリオストロ様でいいぜ」

 

「更に堅苦しくなったよ!?」

 

「そうそう、そんな感じ。んで、さっきの言い方からするとベルも何かを求めにきたっつーことだよな?」

 

 

 

 

 

「…ひゃいっ!?」

 

何今の面白い反応。確信した。こいつ絶対なにか面白いなにかを隠し持ってるわ。

 

「えーっと、その…」

 

またベルは口篭る。ほんっっっとにコイツヘタレだな。おねーさん心配だぞ。冒険者なんてのは大抵は荒くれ者って相場が決まってる。そんな中でコイツがちゃんとやっていけるのか…。

 

 

「さっきまであんな恥ずかしい思いしてたんだ。今更羞恥心とか気にする必要もないだろ?」

 

「うぐっ、ま、まぁそうだけど…うぅ、わかったよぉ。出会いを求めてきたんだ」

 

「出会いぃ?」

 

 

「僕を育ててくれた祖父が言ってたんだ。『ハーレムは至高!』で男の浪漫だって」

 

 

 

 

 

「………は?」

 

 

ん?出会いってつまり女の子との出会いってことか?それで、えーと、えーと、は、ハーレムぅ?

 

 

「…誰がハーレムを作るんだ?」

 

「僕、だけど‥」

 

「マジで?」

 

「マジだよ」

 

「……………ぷっ、は、アハハハあ、ありえねーよゲホッ、ちょ、まじで冗談はやめてエホッケホッ」

 

「笑いすぎじゃないかな!?」

 

 

いや、だってなぁ…。

 

 

「だってお前、俺様がちょっと体触れさせただけであんなんだぞ?」

 

「うぅ…」

 

「そんなのがハーレムって言われてもなぁ。カリスマが足りねーよ、カリスマが。ま、いいんじゃねーの。夢があるし。」

 

「否定…しないの?」

 

「まあな。まだ若いし」

 

それにありえないなんてことはありえない。世界に絶対なんてものもないからベルがハーレムができる可能性もないわけじゃない。あるとすれば俺の可愛さだけだけど。

子供の夢を壊さないようにするってのも年上の役割だしな。

 

「あー……あと、え、英雄になりたいなーって」

 

 

…………………。

 

 

「よしよし、なれるように頑張ろうなー」

 

「なんなのその生暖かい視線!?」

 

 

ハーレムに英雄ねえ。まあ鉄板っちゃあ鉄板だな。だからと言って目指すかフツー。悪くいえば世間知らず。良くいえば純粋ってとこか。

 

コイツ大馬鹿だ。だがヘタな馬鹿よりも振り切ってるコイツならいっそ爽快に思えてくる。興味あることにたぶん周りを見ずに前突っ走るタイプだな。完全に餌に食いつく兎じゃねーか。

 

だが、面白いな。どう進んでいくのか。どう挫折するのか。どう強くなるのか。どう弱くなるのか。どう足掻くのか。どう英雄になるのか。そして、どう堕ちるのか。

 

ハーレムだって女関係で死んだ王だっているし、英雄も必ずしもいい英雄ばかりとは限らない。

 

何も知らないコイツが変わっていく様を見るのは、多少の暇潰しにはなるだろう。

 

まあ、それにほんの少しの手助けをしてやるのも吝かじゃないけどな。

 

ま、ぶっちゃけるとこんな格好つけた建前じゃなく。

 

 

 

「ベル。俺様がお前らのファミリアに入ってやるよ」

 

 

 

まあ本音を言えばハーレム築いて四苦八苦するベルがみたいだけなんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、まさか、ここまで生活環境が酷いとは思わなかった。この数分後ほんの少し後悔した。






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