世界一可愛い錬金術師がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:スキン集め隊

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カジノでメダルを四百万から千五百二枚まで減らした失意の作者も流石にクリスマスにハロウィンはやばいと思って頑張った。すでに24日だけど気にしない。なんか適当に書きすぎた気もするけど全部カジノのせい。二十人ビンゴ怖い。


オラリオのハロウィン(後)

あー、ちくしょう。ベルのリアクション楽しみにしてたのになぁ。シルめ…多分ベルにハロウィンの事教えたのもあいつだろうな。そういえばシルにだけあまりベルにハロウィンの事教えるなって言ってないし。いつもシルはオレと一緒にベルを弄る側だと思ってこれぐらい察すると思ってたが、逆に寝返ってオレを弄るとはな…

 

だが、あいつがシルにそうするよう仕向けた場合もあるしな。こういうイベントはあいつにとっても大好物だろう。

よし、バベルの塔にいくか。

 

いかにも高そうなレッドカーペットを歩いて、教会の聖堂から出ようとすると、妙な声が教会に響いた。

 

「ふっ、いつ見てもこの像は美しいでござるな。今日はカリオストロ殿もご不在の様子。どれ、今のうちにパンチラなるものを…」

 

一人の野武士風の黒髪を後ろで束ねた男が、進入禁止の幕を無視して立ち入り禁止区域に歩を進めた。

カリオストロ像の近くが立ち入り禁止区域になっている理由は下着が見えるためだ。それゆえに祈るやつも5メルは離れた場所から祈る。

というかジn…ゲホン、お前ござる口調じゃないだろ。あと像のパンツを覗こうとすんな。

 

「居るっての馬鹿野郎。アルス・パンチ!!」

 

「ありがとうございマスッ!?」

 

渾身の右ストレートが決まり、蹌踉めいたところをウロボロスが出現して尻尾ではたいて転ばせる。転んだところを変態似非武士…ああもう面倒臭い。ジンでいいや。ジンの胸板辺りを足でグリグリする。

 

「か、カリオストロ殿。本日はお日柄もよく…」

 

「お見合いでうまく話せない女性経験ゼロのヘタレかお前は!?…まあいい。でなんだ?バカなの?アホなの?死ぬの?お前そうやって覗こうとするの何回目だ」

 

「くっ、程よい力加減のグリグリッ!!誰しも存在するドMな部分を刺激する快感…これがイタズラ、これがハロウィン…ッなんと素晴らしき事か。だが、なぜこの角度からカリオストロ殿のパンティーが見えぬのか…、くっ噂では真っ黒い情欲を唆るものだとロキ殿が仰っていたと聞いたのに…」

 

 

・・・・・・。

 

 

「おい、連れて行け」

 

さっきまでカリオストロ像を拝んでいた信者達に手を叩いてそう言うと信者達は一度敬礼した後、ジンの両脇を抱えてどこかに連れ去っていく。

 

「ぬうっ!?ハロウィン衣装になって小悪魔感増しましになったカリオストロ殿の言葉責めがまだ途中でござるぞ!!巷で聞くベート殿を縛ったという縛り方も某は興味あーー」

 

ぐらぶるっ!であそこまで酷かったかな、あいつ。あと、絶対領域は美少女にとって必須。意図したものじゃないご褒美なんざあげてたまるか。

 

ていうか信者達がオレがハロウィン衣装なのに気づいて近くに来て拝み始めた。堅苦しいのは苦手だ。軽いノリで作っただけなのに、本格的に拝まれるのはちょっとな…。普通に可愛い、可愛い言ってりゃ良かったんだけど。

慕ってくるからには有効活用するし、相応の恩恵与えるつもりだけどな。

 

「あーもー、ウロボロス頼む」

 

さっさと教会から外にでて、ウロボロスに飛んでもらう。

バベルの塔に向かってオラリオが全貌できる高さまで飛ぶと、町の各地から空に飛ぶウロボロスに向かって「トリックオアトリート」と叫ぶ子供達が多数。

 

普段なら五月蝿いとか思うところだが、妙に癒される気がするのはさっきの出来事があったからか。ガキは良くも悪くも純粋だからな。

それにしても有名になったもんだ。最近ではオレがウロボロスに乗って飛ぶのはオラリオ名物になっているらしい。

確かに美少女が龍に乗って飛ぶ姿は見栄えがいいし、ロマンがある。

だが、人の語り草になるのはなんか嫌だ。なんか、こう…あれだ。ラカム壁画になりそうな絵だからだなたぶん。

 

「まあ、ハロウィンだしそんな事は今考えなくてもいいか。そら、菓子の雨だ。受けとれよ?」

 

ウロボロスの口が開き、そこから大量の駄菓子が空中に放り出される。全ての子供に行き渡るようにウロボロスが何度も旋回し、それらはオラリオを包み込んだ。

さすがにこの場所まで声は届かないが、確かに「ありがとう」と子供達の口は動いていた。

 

 

 

……ふん。

 

「ウロボロス、速度を上げろ」

 

今更だけどやっていることがハロウィンというよりクリスマスな気がしてきたな…。いっそ雪でも降らせるか?なんか顔が熱いし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、来て早々こういう事言うのもなんだがその顔やめろ」

 

オレが来たのはバベルの塔の最上階ーーオラリオ二大ファミリアの主神、フレイヤの元ーーなんだが。

 

「ふふ、ごめんなさいね。つい、こういう日は気分が昂ってしまうの」

 

上気し完全に雌と化した顔、滴る汗と肌にへばりつく銀の髪と服、唇をなぞる僅かに赤く染まった白い指。

 

それに下着の下の方が少し湿ってーー

アウト。完全にR指定だ阿保。

 

さらに言えば、その手元にある鏡で町にいる子供達を見ているのはかなり危ないお姉様っぽいぞ。

 

「あら、そんな目で見ないで欲しいわね。まあ、それも貴女なら悪くもないけれど」

 

「何割か増しである意味危ない存在になってないかお前」

 

「だって沢山の綺麗な魂が今日は強く輝いているのだから仕方ないでしょう?特に、貴女がお菓子をあげた時はね。」

 

ニヤリと笑い、イタズラ心を多分に含んだ目でフレイヤはそう言った。一番見られたくないところを一番見られたくない奴に見られた…。

 

「違うっての。ただ単に後でケチだとか菓子がもらえなかったとか騒がれるのが面倒なだけだ」

 

「ふふ、そういうことにしておくわ」

 

「…ふんっ」

 

バベルの塔の最上階の雰囲気は好きだが、こいつだけは苦手だ。

こいつからの話は有益だし、目的を完遂するために徹底的な仕込みや裏からの手引きなどそういった面では非常に役に立つしそんな話ができる相手はオラリオでもこいつぐらいのもんだからそこは好ましい。が、それでオレもこいつの手のひらの上で遊ばれるのは我慢ならん。

 

ひとしきり笑った後、また鏡を見て憂うようにフレイヤは呟いた。

 

「それにしても皮肉なものね。人は時が経てば身体は強く、逞しく、美しくなっていくのに。心は蝕まれていく」

 

「そうか?世の中には性悪説ってのもあるみたいだけどな」

 

その辺に舞う蝶々を自分が欲しいから捕まえて、飽きたらぞんざいに扱って最期には握りつぶしたりな。

 

「ただその行為がどんなものかあの子達は理解していないだけよ。それに、あの子のように純粋なまま育つ子もいる。あそこまで純粋なのは初めてだけれど。…これ以上こんな小難しい話はやめておきましょうか」

 

「最初に始めたのはお前だろうが」

 

「ごめんなさい。こんな話できるのも貴女ぐらいだもの。許して頂戴。…ああ、それと客人にお茶も出さないのは失礼だったわね。準備してくるわ」

 

眷属とかいないのか?わざわざフレイヤが茶淹れなんざやるとは…ああ、そういえばオッタルは最近ウロボロスにあてられてダンジョンに潜り気味だったか。

 

「空を飛んで窓から侵入してきた奴を客人なんて言うような酔狂な神はお前くらいのもんだ」

 

あ、人なら十分異常だが神ならそうでもないか。

 

「貴女ならいつでも来ていいと言ったでしょう?それに今の貴女の格好も見ていたいもの。本当に可愛らしいわーー食べちゃいたいくらい」

 

そう言ってフレイヤは奥へと消えていった。…冗談、だよな?オレを欲しいとか言っていたが、そっち方面でもだとしたら守備範囲広すぎだろ。

 

 

 

 

 

*****

 

 

「それで今日私のところへ来たのは何の用?」

 

紅茶を優雅そのものを具現化したような動作で飲んだフレイヤの、その言葉を聞いて全部話した。シルのやらかした事+それをそそのかしたのはフレイヤじゃないのかっていう事を。

 

「知らないわ。おそらくシルの可愛らしい嫉妬でしょう?いつもあの子と一緒にいる貴女への。それに、元々お転婆だったシルをあそこまでイタズラ好きに変えたのはあなたでしょうに」

 

「む…」

 

それを言われると…。たしかに一緒にベルをいじりまくったけども。

 

「それにしてもシルが貴女を相手どれるまでに成長していたのは嬉しい誤算ね」

 

「あいつに護衛いるのかが既に疑問なんだけどな。無駄に冒険者へのおべっかも巧くなってるし、厄介ごとに巻き込まれるようなタマじゃないだろアイツは。そもそもシルやベルを巻き込むような厄介ごとを持ち込むのはお前だろうに」

 

「私も貴女にだけは言われたくないのだけど」

 

なんのことかカリオストロわかんなーいっ☆ていうか基本オレはベル関係だけだし、それも身内だけで治るようなものだ。シルを介してファミリア間の事混みで色々持ち込むこいつがやっぱり一番だろ。ベルに関しての事はシルもノリノリで、結果的にはベルだけが被害を被り強くなっているから文句はないけど。ベルの気持ち云々は知らんがな。

 

一通り話し終えて、フレイヤとオレが紅茶をまた含んだところでオレの中で次はどうするかという疑問が湧いた。

 

今日はハロウィンだ。紛う事なきハロウィンだ。こんな格好してここに来た手前、トリックオアトリートをせずに帰るのは逆に失礼というものだろう。

 

だが、こいつをつつけば一体何が出てくるのかわからない。

とはいえ、肝心のフレイヤはまた紅茶を注ぎ、ティーカップを揺らしながら紅茶に写る自分を見てうっとりしている。…やってる事がオレみたいじゃねえか。

 

いや、そうじゃなくて。こんな呑気にしてるヤツが何か仕掛けてると思えないんだよなぁ。ま、何か仕掛けてるとしてもこのスリルを味わう事もハロウィンの醍醐味か。

 

「フレイヤおねーちゃんっ☆トリックオアトリ「ちょっと待てやオラァァァ!!」ーーーあ?」

 

いやお前こそちょっと待てや。なんでエプロン姿なんだよ。しかも、ポケットに可愛い仔猫の刺繍付きの。

あと手には焼き立ての様々な形にくり抜いたクッキー菓子。

 

「むー、ねこちゃん邪魔しないで欲しいなぁ☆」

 

「てめえみたいな腹黒女にフレイヤ様に手出しさせてたまるか!あと猫じゃねえ、俺にはアレンっつー名前が」

 

「可愛いじゃない。ねこ」

 

「……チィッ!」

 

見てるだけで面白いんですけど。フレイヤにだけ心開きすぎじゃね?忠犬ならぬ忠猫かよ。ロキファミリアのわんちゃんに見せてやれ。

「で、なんでお前が菓子つくってんだ」

 

「この時期は男神がバベルの塔にフレイヤ様にイタズラしようと押し掛けてきやがるからロクに外に出れねえからそこらにある菓子買いにもいけけねえし、オッタルはいねえし、俺が菓子作って適当に男神に押し付けて追い払うしかねえんだよ糞が!!」

 

長々とおつかれー。

 

「普通にフレイヤを外に出せばいいじゃん」

 

「あいつらの獣のような眼みて、それでもホイホイ突っ込んでいこうとする主神様を放っておけるか!」

 

「私だってハロウィン楽しみたいのに子供達が外に出ないでって土下座してくるんだもの。さすがにそこまでされたらそれを無視するのも心苦しいしー」

 

「そのくせ他の眷属共は俺に全部任せやがってクソ野郎がああああ!!」

 

アレンはクッキーを机に叩きつけた。もったいない。

いいなー。なんかフレイヤファミリア超楽しそうだな。あー、この佳境にベルも突っ込んでみたい。

というかアレン、もといねこちゃんは最初見た時のクール(笑)の雰囲気が完全に無くなってるな。

 

「いいじゃねえか。おまえ甘党だろ?この前なんてシルの護衛の時に向かい側の喫茶店でいちごミルク飲んでるの見たし。菓子作りとか案外楽しんでるんだろ?」

 

「ばっ、てめえ。それをここで言うんじゃねえ!!」

 

ふふっ、とフレイヤが妖しく笑った。あれ?もしかして知られてなかった感じ?

 

「いつも私といる時はブラックコーヒーしか飲もうとしなかったわね。なんとなくアレンは甘党な気がしていたけれど、私がその場面で近づこうとすると逃げられて確証はつかめなかったけれど」

 

ブラックコーヒーっておい。正直、自分のこだわりなのか猫舌のくせにホットのいちごミルクをおっかなびっくり飲みつつ癒されてる姿みてたらそんなの笑いしか込み上げてこない。

やっぱり孤高(笑)で格好つけたがりなところはわんちゃんと一緒なんだよな。あとなんでも自分が一番でいたいってとこ。まあ、一番はカリオストロだから無理なんだけどね☆もしくはウロボロス。

 

「…クソッ!!」

 

「ねこちゃんったら顔真っ赤ー☆」

 

「テメエは黙ってろ!」

 

「スイーツ(笑)系男子なんてねこちゃんかーわいー☆」

 

「そうね、可愛いわね」

 

「フレイヤ様っ!?」

 

そして、フレイヤが爆弾を投下した。

 

 

 

 

「ーーそうね、アレン。今日は久しぶりにシてみない?」

 

「なっ!?」

 

 

あっ。こいつら主神と眷属ってそういう…。

 

……うん、そうだな。オレの影薄くなる前に退散するか。えーっと、そういうことをするならこれをっと。

ウロボロスの口からピンク色の液体の入った試験管を取り出した。

 

「フレイヤ、パース」

 

「…これは?」

 

「簡単に言えば媚薬」

 

「そう。…これについての商談はまた今度ね」

 

「ん、おっけー」

 

「ちょっと待て!テメェはフレイヤ様のこれがどんなやばいか知らないから「ねえアレン。私、今日はもう十分我慢したと思うの。」ッ!?」

 

おーおーまだオレがいるってのにズボンに手をかけやがって。全くお盛んなことで。フレイヤに関しては今更だけど。

ま、そうは言っても大抵こういうのは内心嬉しいもんだしねこちゃんのあれは外面上断っているだけだろう。…たぶん。うん、誰にとってもいい一日だったな。ベルを含めた冒険者達は金プラスレア素材を。シルはイタズラの成功したし、ヘスティアもじゃが丸くんで生き生きしてた。子供達は言わずもがな。フレイヤも今まで楽しめなかったハロウィンを楽しめたし、オレも割と最後はイタズラ染みたことできて良かった。

 

アレンは…うん、好きな人と結ばれて良かったな!!

 

「ハッピーハロウィン!!」

 

「なにがハッピーだクソッタレがあああああ!!」

 

「大丈夫っ☆媚薬の味はスッキリカボチャのハロウィン仕様!」

 

「そういう問題じゃねええええ!!」

 

数秒後、男の哀れな悲鳴がオラリオに木霊した…ような気がした。





終わりも適当すぎた感がしないでもないが、来年もどうせ書くから問題ない(震え声)。半分作者がフレイヤとの絡みを試行してみたかっただけですし、おすし。

それにしても本編の次話の声が多すぎィ。グラブルの「まずはあの魔物を倒してからだ」的なノリで待たせたのが悪かったんだね。反省。

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