世界一可愛い錬金術師がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:スキン集め隊

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空の青さを見つめていると見知らぬ彼方へ帰りたくなる

空の青さに吸われた心は遥か彼方に吹き散らされる

果てだ

ここは空の果てだ

遂にたどり着いた厳かに神秘の奉られる股間にいま

始まりの風が吹いていた


ーーーぐらぶるっ!第143話ユグドラシル・マグナ編第4コマより抜粋



11話

豊穣の女主人は、再び冒険者達の酒盛りをする声で覆われていた。ほんの数瞬前まで、ロキ・ファミリアの幹部が騒いだり、まさかのこの店で食い逃げが起こるというイベントはあったが別段騒ぐほどの事でもなんでもない。

オラリオでは数年前まで、ファミリア間の抗争など日常茶飯事で常に命の危険と隣り合わせだったのだ。強者はこのオラリオから世界中にその名を轟かせ、弱者はその強者に虐げられ嗤われ秘めた夢を容赦なく壊されるーーそんな世界だ。

 

目に見えて虐げられることこそなくなりはしたが、その風潮は今でも変わらない。いずれ英雄に至る器だろうがいま力がなければ、何を語ろうとそれはただの哀しい妄言となり下がる。

 

 

だからこそ、この場にいる誰も力の無い少年の事など気に留めたりしない。そもそも、その少年に現実を見せてしまったのはオラリオでも最高峰の実力を誇るロキ・ファミリアだ。もし、この酒場で起こった事柄を全て把握していたとしてもその少年を慰めるくらいのことしかできなかっただろう。ましてや、正面切ってそのロキ・ファミリアに喧嘩を売るなど誰にもできはしない。

 

 

ーーたった一人の蛇龍を従える美少女を除いて。

 

 

 

 

 

ベート・ローガは困惑していた。ピリピリと肌が警戒し、自身の狼耳が何かを察知したかのようにピクリと動く。ありとあらゆる身体の器官がどんなに小さな周囲の情報でも逃さないように鋭敏化していく。

 

この挙動は本来、ベートにとっての戦場であるダンジョンで無意識に行われているものだ。

 

己が最強へと至るために、誰も寄せ付けない高みへいくために、最高の戦場で最高の死に方をするために、自分が死なないように身につけた技術。それを、自分の本能が無意識に発動させていた。つまり、自らの命を脅かす存在がここにいることに他ならない。

 

 

高位の冒険者ほどやっかみは多く、そして狙われやすい。

 

 

だがーーここまで真正面から威圧されたのは初めてだった。ベートはその気質ゆえに敵を作りやすい。自分が一人の時に何度か不意打ちされた事はあったが、ここにはフィン達レベル6の冒険者もいるのだ。個人的な恨みなら一人の時を狙えばいいし、ロキ・ファミリア全体への恨みならこんな真正面から敵対するような馬鹿はいない。

 

(どこだ…どこにいやがるっ!?)

 

そのくせ真正面から喧嘩を売りながら未だに姿を見せる様子はない。ベート達を威圧してきているといっても、それは微弱なもので、それに気づいたのはロキ・ファミリアのレベル5以上の冒険者達のみ。ファミリアの末端の者達にまで迷惑をかけないよう視線だけぐるりと辺りを見回した。

それでも敵が見つからないことにベートは内心で舌打ちし、同じく周囲を警戒していたらしいフィンと目が合った。 団長である彼の判断はーー静観。フィンはただ苦笑を漏らすだけだった。

フィンには危険を察知する特殊な指がある。それでも彼が何もしないというのなら、ここは従うべきだろう。そう判断し、頭の片隅にその敵の事は追いやった。

 

 

(まあ、この程度の威圧しか出せねぇようなやつなら酒で酔って調子にのっただけだろ。いつか徹底的にーー)

 

ブチ殺す、と言葉は繋がれなかった。

 

先程よりも圧倒的に巨大化した圧力。警告レベルだったそれは、人類の死を想起させるまでに肥大化し、この酒場にいる冒険者達の心を支配していく。

 

(何だってんだ、これは……!?こんなもの、深層でだって感じたことはねェぞ…!!)

 

ベートの認識も弱者から強者へ向けるものへと改変されるていく。己の格下から、格上。そして未知な領域に踏み入れている敵に最大限の警戒をする。

既に喧騒で溢れ返っていた酒場は静まり、酒で顔を赤くしていた冒険者の顔は真っ青で、ウエイトレスもいつの間にか酒場の厨房へと引っ込んでいた。

あまりの変わり様にいっそ盛大に笑ってやろうかとも思ったが、更に濃密になっていく威圧に盛大な舌打ちをした。

 

(ふざけんな。こんなのーーあの猪野郎以上じゃねぇか…!!)

 

これほどの敵ならば、とフィンの方を見る。が、目を細めてこそいるがまだ指示を飛ばす様には見られない。

更に際限なくーー地面に縛り付けられたような重みが増した。並の人間なら既に気絶していてもおかしくないほどの圧力には冒険者とはいえ限界だったのだろう。レベルの低い冒険者達から呻き声のような悲鳴が聞こえた。

 

「ひッ!?あ、…あぁ!!」

 

ガタガタと顎の筋肉が痙攣し、大量に滲み出た脂汗が頬を伝って床に滴り落ちた。

一瞬で自分を殺せるほどの存在の重圧が押し付けられているのだからそんな情けない姿を晒しても無理はない。むしろ未だにフライパンでよっ、ほっ、と言いながら料理しているミアが異常なだけだ。

 

そして、ベートが己を奮い立たせようとした時、カウンター席の方から靴底と床の擦れる音がした。こんな重圧の中歩いて行けるのは神力を解放した神。もしくはーーそれを発生させた人物だけだ。

一人、また一人と無意識にその人物の方へ視線を向けていく。

 

 

ーーそれはあまりにも異様な光景だった。

 

 

そこにいたのは金色の髪の少女。容姿は美少女揃いのロキ・ファミリアの面々から見ても最高峰と自信をもって言えるだろう。もしロキ・ファミリアにいれば主神であるロキが土下座し、無いに等しいプライドを投げうって喜んで囲うレベルと言ったほうがわかりやすいかもしれない。

ベートでさえ、自分が懸想しているアイズに似た金糸の髪に一瞬見惚れ、いまもかかっている重圧を忘れてしまうほどだ。

だが、その少女の周りを赤い蛇龍が回っていた。可愛らしい少女が凶悪なその蛇を従えている光景は、普段奇怪なモンスターを倒している冒険者から見てもあまりにも異質。

そしてーー少女の宝石のような紫の瞳がベートに向けられた瞬間、ベートだけに(・・・・・・)重圧に加え、殺気が解き放たれた。

殺気を向けられているベートも、殺気を向けられていない他の冒険者も現実離れした光景に忘れていた事実を思い出す。ーー彼女がこの空間の支配者であることを。

 

少女が歩みを止め、ベートをじっと見つめる。不意に少女が年相応の無垢な笑顔でベートに呟いた。

 

 

ーーーー怖いの?

 

 

一文字ずつはっきりとそう唇が動いていた。ベートにはしばらくその言葉の意味が理解できなかったが、ゆっくりと頭の中でその言葉を咀嚼し、思考する。

 

(怖いだと?そりゃ一体ーー)

 

少女の視線はベートだけに向けられている。ならば先程の問いはーー自分へのものではないのか。

 

(どうしてーー俺の手が震えてやがる!?)

 

理解したくはない。こんな年端もいかない少女に自分が劣っていることを理解したくなどない。だがーーベートもレベル5の冒険者なのだ。強者と弱者の違いなど本能で理解している。

 

少女は笑っていた。無垢な笑顔ではなくベートを圧倒的な格下に見て、嘲笑っていた。殺せるものなら殺してみろ、逃げたいなら逃げろと言わんばかりにベートを挑発する笑みだった。

 

 

(クソがッ!!んなこと最初から分かってるに決まってんだろーー俺がテメェに劣ってるなんてことは!!)

 

 

そして、ベートは逃げなかった。

 

恐怖して精一杯逃げて、そして震え縮こまっている自分の姿など、ベートには認められない。

自分より強い敵に出会い、恐怖して助けを請うぐらいなら冒険者になどならなければいい。英雄になるなんて愚かな夢を語らなければいい。

だがーー強くなりたいならば、勇気を振り絞って運命に抗ってみせろ。

ここで逃げたならーーきっと、もう二度と最強になどなれない。

 

だからーーー

 

(そこまで言うならーーーせめて一泡、吹かせてやるッ!!)

 

わずかに動き出したベートに皆の視線が移る。ベートは一度大きく息を吐いて、蛇龍と少女の元へ駆け出した。

 

 

 

恐怖を振り払うように咆哮し、一歩踏み締めるごとに加速していく。

 

(まだだッ!まだ足りねェ!!)

 

見た目は少女だが、そんなことは関係ない。もし一瞬でも気を抜けばただ貪られる。

さらなる高次元の速さを求め狼の如き唸り声を上げる。そしてーー更に加速した。

ロキ・ファミリアの面々がその速さに、今までのベートとは一線を画した姿に目を見張った。

 

少女を中心に蛇龍がとぐろを巻いている。何重にも回転する蛇龍の間から少女を攻撃することはできない。蛇龍の回転に巻き込まれ体が擦殺されて死ぬのがオチだ。

 

 

(あのトカゲごと吹っ飛ばす!!!)

 

 

ならば回転する蛇龍ごと蹴り飛ばしてしまえばいい。蛇龍の腹に狙いを定め、跳躍し更に威力を高める。

 

そして、ベートは気づいた。少女の口がーーー三日月型に歪んだのを。

 

(なんだ。今更何をするつもりだ……!?)

 

既に目標との距離は詰めている。あと一秒もしない内にベートの蹴りは炸裂する。もう間に合う筈もない。

だがーー既に手は打たれていた。

 

 

酒場の全ての視線を集めている少女ーーーの上空で一冊の本から淡く、錬成光が輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ?……ッ!?お、………ふぅっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

その錬成により店の床から木柱が生え、そして無残にも哀れにもーーーベートの股間を貫いた。

 

 

 

 

 

「ッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」

 

 

股間を押さえつつ崩れ落ちていくベートが見たのは、各々の股間を押さえる男性冒険者と、不憫な目でベートを見るロキ・ファミリアの女性冒険者。

 

 

 

 

 

 

そして、にっこりと笑っているのに何故か黒い陰が見える金色の美少女だった。





前に書いたベート君がかっこ悪すぎたからかっこよく書いてみた。もう直さない。これが作者の全力なんや…

次回の調教お楽しみに〜今回は触りだけでしたので



※以下作者のトチ狂った言葉が続くので注意














あああああああヴァンピィちゃん可愛いいちっちゃなおててちっちゃな翼が可愛いよおおおおおおお!!くんかくんかぺろぺろすーはーすーはーけんぞくぅ!!俺、ヴァンピィちゃんのけんぞくぅ!!フェイトエピソードで同じ声が二つあるとおもったけどヴァンピィちゃんの方が甘えた声ですごく興奮するよおおおおおお!!!スープ!ヴァンピィちゃんのおいしいスープ!!!俺もヴァンピィちゃんの作るスープ大好きぃ!!!!…え?カリおっさん?ああ、ごめんなさい!!カリおっさん可愛い!!ソイヤッソイヤッソイヤッ!!!ええい、ヴァンピィちゃんとカリおっさん属性違うけど両方メイン行きじゃあああああああ!!!
ロリ!!ロリ!!(21)!!おっさん!!おっさん!!おっさん!!ああああああああ戦闘ボイスカリおっさんとヴァンピィちゃんの声が連続で聞こえるううううう!!萌え死ぬううううううう!!!なんでジータちゃんはボイスないんじゃああああああああああああ!!!


追記


\ クラリスちゃんが最カワ!!/


…子孫丼ができるな!!


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