世界一可愛い錬金術師がダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:スキン集め隊

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やっと投稿…なんですが、ハロウィンを投稿します。予想以上に次話の内容が浮かばなかったので申し訳ないですが…それより遅れた方が悪いかなーって思いまして。

どれくらい思い浮かばないかと思うと、ベート君を弄る方法を模索していたつもりがハイスクールD×Dの漢女のミルたんがもしも儚い系銀髪美少女(力はそのまま)だったらという話が思いつくくらい。不甲斐ない作者で申し訳ない…

そんなわけでハロウィンなんですが…一番書きたかったのが時系列的にダンまち三巻と四巻の間くらいなんですよ。なので色々と対人関係ネタバレ的なものもありますけど…いつか本編で出てくる部分の予告とでも思ってください(泣)すまない、本当にすまない…


番外編
オラリオのハロウィン(前)


 

「ハロウィン、ですか?」

 

「はい。結構有名な行事なんですけど知りませんか?」

 

僕は今、いつものようにシルさんのーー少し身も蓋もない言い方かもしれないがーーお弁当を頂きにきている。

そこで、いつもと違うオラリオの街の姿がどうしても気になってしまったのだ。

街灯や屋台の周りに作り物のカボチャが被せてあって、そのどれもが怪しく笑った怪物の顔に彫られていた。

他にもコウモリの飾りなどもあって、いつも魔石が光源となっているものは蝋燭に変わっていて、そして極めつけは道を歩く人たちだろう。

英雄譚に登場する化物の姿をしていたり、ダンジョンに出てくるモンスターの姿をしていたりと、中には余りにもリアル過ぎるのもあって、ホームから出た瞬間それらを見て思わず声をあげてしまったのは恥ずかしかった。

大人が厳ついモンスターの仮装をしているのは怖かったけれど、子供がアルミラージの仮装をしてはしゃいでいるのは見ていて微笑ましい。

 

「僕、ほんの少し前まで田舎にいたから知らなくて…教えてもらってもいいですか?」

 

「もちろんです!そうですねぇ、時期的に秋の収穫祭みたいなものですね。他にも悪霊を追い払うためとかの意味もあるのですけど」

 

「あ、悪霊ですか?」

 

「はい。とはいえ私達には神様達もいるので悪霊程度怖くもありませんし、あのようにモンスターの仮装とかして神様達や私達が合法的に騒げる祭になってるんです」

 

「なんというか…豪胆ですね。いつも身の危険に晒されているモンスターの姿になるなんて」

 

「それは、ほら神様達はあんな性格ですし」

 

シルさんの不敬ともとれる言葉に僕は思わず苦笑してしまう。でも彼女が言う通り娯楽好きな神様達のことだ、騒げる機会があるならばとことん騒ぎ、堪能し尽くすに違いない。

 

「あれ?そういえば今日はカリオストロさんはいないんですか?」

 

「あ、それが『今日は準備があるからカリオストロはいけないんだ。ちょっと寂しいかもしれないけど、頑張ってねベルおにーちゃん☆』って言われて。あの、この準備っていうのもハロウィンに関係あるんですかね?」

 

カリオストロがそういった後に『帰ってきたら楽しみにしてろよ』とも小声で聞こえた気もするけど。

 

 

「……」

 

「あれ?シルさん?…どうかしたんですか?」

 

「…ハッ!!い、いえいえなんでもないですよ〜♪あのー、カリオストロさんがそういったんですよね?」

 

「は、はい。そうですけど…」

 

どうかしたんだろうか?マイペースを貫くシルさんが固まるなんて初めて僕と出会った時くらいのものだけど…。

あれ?今シルさんが笑ったような。いつものシルさんの笑みじゃなく、あれは…そう、そうだ!カリオストロがいつも浮かべているような!そんな警戒せざるをえない笑みだった。

でもシルさんがそんな顔するはずないか、きっと目の錯覚だろう、うん。決してあんな笑みを浮かべる人物が二人もいたら僕の胃が痛くなるからでは断じてない…はず!

 

「ベルさん!」

 

「は、はい!」

 

急にシルさんが詰め寄ってきて、シルさんの顔がすぐ目の前にあって上ずった声が出てしまう。こんなだからカリオストロにヘタレって言われるのかなぁ…。

 

「これをもらっておいて下さい!絶対に役に立ちますから」

 

そういってシルさんが手渡したのは銀紙に包まれた甘い匂いがするものだった。

 

「なんですか、コレ?」

 

「チョコです」

 

「え?」

 

「チョコです」

 

「役に立つものがですか?」

 

「はい。チョコです」

 

いったいなんの役に立つというのだろうか…?でもシルさんにはお世話になっているし(それ以上に面倒事を押し付けられている気もするけど)ここは素直に受け取っておこう。

 

「たぶんじきにわかる事ですから。それでは、今日も1日頑張って下さいね!」

 

そういってシルさんは僕にバスケットを渡す。満面の笑みでいわれてはこれ以上言及することもできないし。それに何よりああいった含笑いは絶対に何かあると僕は学習したのだ。あまり詮索するのは藪蛇だろう。

 

さぁ、今日も1日頑張るぞ!僕はシルさんにお礼を一言いってから真っ直ぐにダンジョンを目指した。

 

 

*****

 

「いいですか、ベル様。今日はダンジョンの最も危険な日と言っても過言ではありません」

 

「へ…?」

 

ダンジョンの入り口でリリと合流してダンジョンの一層を歩く中、唐突にリリが話しかけてきた。

ただ、その内容の今日が一番危険な日というのがわからないんだけど…

 

「今日はハロウィンです。オバケです。仮装です。つまりーーダンジョンには、ゴースト系モンスターの出現率がアップし、私達の同業者である冒険者達も仮装をします」

 

……どういうことなの?え?ダンジョンがハロウィンという祝日を認識して作り変えてるってこと?

 

「とにかく、ゴースト系のモンスターは魔法でしか倒せません。ですのでーー」

 

リリが僕にあまりにも大きすぎるバックを見せると、その中にはマジックポーションが大量に入っていた。

 

「頑張ってくださいね!ベル様!!」

 

…どうして僕の周りの女の子はこうも強かなんだろうか。いや、僕しか攻撃魔法使えないから仕方ないのかもしれないけど。

 

「というか、こんな量のマジックポーションをどこから仕入れてきたの?」

 

「カリオストロさんに言えば渋々用意していただけましたよ?」

 

ああ、うん。何気にカリオストロは優しいから文句をいいつつも用意してくれたのだろう。その様子が容易に想像できてしまう。

 

「あっ、とそういえばさっき冒険者にも注意しないといけないって言っていなかったっけ?」

 

冒険者にも注意というと…ドロップアイテムの奪い合いでも起こるのかな?確かに、ゴースト系のモンスターは普段は滅多にいないからその可能性も充分ある。

 

「ハロウィンですので、冒険者達も仮装するんです」

 

「うん」

 

「だから間違えて攻撃してファミリア間の問題になる場合もあるんです」

 

「…うん?」

 

どうしてそうなるのさ!と僕は叫びたい。だけど、ここで慌てふためいてもどうにもならない事も学習した。だから僕はあくまで冷静にリリに聞く。というか、話が繋がっているような、いないような…

 

「なんで冒険者同士で争いになるの?」

 

「冒険者の仮装があまりにもリアルすぎてモンスターと間違えてしまうらしいですよ。他にも、その恰好で驚かしてきて、つい反射的にーーとか。」

 

あんまりな理由に僕は絶句した。ダンジョンでは常に死と隣り合わせだ。だというのに、そんな事をしてさらに死亡率を上げるなんて狂ってるとしか言いようがない。そんなにハロウィンがみんな大事なんだろうか?

 

「全くです。これだから冒険者っていうのは…」

 

そういいつつ、リリ自身も魔法で小人族(パルゥム)から犬人族(シアンスロープ)になって、ロープにも細かな飾り付けで犬っぽいというより、可愛らしい狼を彷彿とさせる姿になっていて何気にハロウィンを楽しんでいるように思える。どうなってるのかな、オラリオって…

 

「…んん?ベル様なにか匂いますね」

 

「えっ」

 

そ、そそそそれって臭いってこと!?流石にまだ十代でそんなこと言われるのは嫌だよ!!

 

「ああ、いえ。臭いってわけじゃなくて…カカオ?チョコの匂いが強烈にするといいますか」

 

チョコ?もしかしてシルさんに貰ったチョコの事かな。そういえば普通のものより幾らか強い匂いだったような…。

 

「まあ、気のせいですよね。じゃあいきましょうか」

 

歩いていくリリを追いかけることに思考が切り替えられて、この時浮かんだ疑問を僕はすっかり忘れていた。

 

*****

 

つ、疲れた…。リリの言っていた通り、何人かの冒険者が驚かしてきて攻撃はしなかったけど思いっきり叫んでしまった。それで次はおどろかしてきても叫ばないように我慢してたら、次に来たのは本物のモンスターで慌てて倒すっていう…。おかしいよね?なんでみんなわざわざ魔法まで使って火の玉だしたり、不気味な音だしたり、身体を透けさせてゴースト系モンスターと無駄に同じように見せたりとするのか理解できない。

まあ、それもドロップアイテムと魔石が高く売れてリリと喜びあったから疲れもある程度とれてよかったけど。

 

今日は早くホームに帰ってやすm……

 

『帰ってきたら楽しみにしてろよ』

 

あ、……ああああああああ!!?そうだ、カリオストロがいるじゃん!!絶対ロクな事にならないよ!!やっぱり早く帰った方がいいよね。どれくらい僕の体力がもつかわからないし…。

 

僕はため息をつき、トボトボと露骨に肩を落としながらホームである廃教会に帰る。

しばらく歩くと、立派な教会が見えてきた。青い屋根の上には大きな鐘。壁は真っ白で、誰でも入って祈ることができるようにしてある大きな門はとても廃教会とは思えない。実際、聖堂には何人か祈りにきたり懺悔しにくる人がいる。

僕も、大きな門を潜り抜けて赤い絨毯を歩いていく先にあるのは天井まである巨大な女神像ーーでもなく。巨大なヘスティア像ーーでもなく、超巨大な黄金に輝くカリオストロ像がある。わかる。みんなのツッコミたい気持ちもわかる。けれど、本当にご利益があるから馬鹿にできない。ここで拝んでおくとなんらかの幸運が訪れると噂され、それに伴ってヘスティアファミリアの名も広まっている。僕も、拝んだ次の日はダンジョンでレアアイテムをゲットできるからできる日は拝むようにしている。

 

きっと、参拝客に何人か神威を感じるが気のせいだろう。気のせいと思いたい。

 

さて、その像の右隅にある通路を抜け、僕達ファミリアのみんなが集まる講堂に行く。非常に嫌な予感がするが、諦めるしかない。

 

 

彼女からは逃げられないーーそれが僕がオラリオに来てから”冒険者は冒険をしてはいけない”の次に沢山学んだことなのだから。

意を決してドアノブに手をかけ、回し、ゆっくりと開いていくーー

 

「トリックオアトリート!」

 

ああ、なんだまた面倒ごとか。僕は、めっきり変わってしまった部屋の内装と、白を基調としカボチャを連想させるゴスロリ服にヴァンパイアのような羽を広げて小悪魔感が増し増しになったカリオストロと、わぁ美味しそうだなーと思えるくらいカボチャ色になったウロボロスを見てそう思った。

 

 

「お菓子くれないと、イ・タ・ズ・ラしちゃうぞ☆」

 

 

これから始まるであろう夢幻の饗宴に、僕は偏頭痛を起こした。





カリオストロの羽があれなにでできてるのか正直わからないからもうヴァンパイアにしちゃいました。

あとビィスターソードゲットしたけどこれは強いのだろうか…?

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