長門の視線 ー過去編開始ー   作:電動ガン

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あけましておめでとう!

こんな時間に何してるんだって?

・・・職場なうです。

モンストが通信中のまま出来なくてつらい。


page27 私と夜襲

やあ諸君。長門だ。我々はいいこにお留守番しているぞ。決して提督がいないから夜更かしなんぞしていない。断じてだ。

 

「大淀、そっちに戦況報告をこっちにまとめてくれ。」

 

「はい。長門さんは被害報告まとまりました?」

 

「ああ、頭が痛くなるぞこれは・・・」

 

「戦闘開始から4日・・・こんなに被害が出ているなんて。」

 

「大侵攻時の作戦と比べると少ないが・・・今は時代が違う。」

 

「空母3、軽母8、重巡22、軽巡30、駆逐26、潜水艦2・・・空母がやられるなんて・・・」

 

「ここまで被害が出ているのに上位深海棲艦撃破の報告はない・・・」

 

「横須賀の連合艦隊がピストン出撃してますけど・・・いつまで保つでしょうか・・・」

 

「タフさも折り紙つきだが・・・」

 

「そういえば横須賀の提督が直々に千歳基地で指揮を執るようですね。あ、山元元帥!」

 

「なに!?山元提督が横須賀の提督か!?もうお歳なのに無理をする。」

 

「でもこれなら安心ですね。」

 

「しかし、上位深海棲艦が四体・・・気は抜けんぞ。なんせ私も初めてだしな・・・」

 

はい。ただいま0200ですね。良い子は寝てる時間です。しかし私は艦娘なのでそんなの関係ない。

 

「・・・大淀、このファイルの・・・」

 

「えっと・・・それはこっちでまとめて・・・」

 

「そうか・・・じゃあこっちの作戦立案の・・・」

 

「・・・補填資材は・・・これ・・・」

 

夜も更けて動物や虫の声も聞こえなくなった頃、どうにも胸騒ぎがする。いやな予感がするのだ。

 

「・・・大淀、この辺で一区切りつけよう。少々、夜更かししすぎた。」

 

「そうですね・・・もう0330・・・おわりましょうか。」

 

二人で、本棟から外に出て出撃ドックからの海を眺める。海が静かなんだよなぁ・・・変な感じだ。それとも大規模戦闘領域外はこんな感じなのかなぁ・・・

 

「私も・・・出来るなら作戦に参加したかったですねぇ・・・戦って私の性能を見てもらいたかったです。」

 

「ほう、そういえば大淀は前線司令部機能を搭載出来るんだったな。強力な無線は助かる。」

 

「砲は積めませんが役立てるんですよ?」

 

「だが、大淀は魚雷撃ったことないだろ?秘書艦だから戦闘訓練も水雷戦隊には及ばない・・・出来ないことはするもんじゃない。」

 

「でも・・・私も艦娘です!」

 

「ならば尚更だ。艦隊司令機能を持つ大淀は提督がいない今最も重要な立ち位置にいる・・・気を落とすな。戦わずとも、大淀はいなくてはならな・・・」

 

私も平和ぼけしたものだと思った。今は作戦展開中なのにのんびり外でおしゃべりなど、考えられないことだ。戦況報告などの連絡を取らねばならない執務室を離れたことも迂闊だった。そして深夜だという事で上空の警戒などしていなかった・・・平和に溺れた私は生涯このことを悔やむだろう。

 

「」

 

「うぐあああああああッッッ!!?!?!??」

 

目の前を閃光が包み、体が熱に包まれ衝撃波に吹き飛ばされた。何が起きたかわからなかった。敵の砲撃?馬鹿な、津軽海峡に近づくなど、千歳基地に何かあったのか・・・

 

「が、ごほっ・・・うが・・・お、おおよ・・・ど・・・」

 

喉が焼けて声が出ない。頭がガンガンと揺さぶられているようだ。火傷で痛む体に鞭打ち辺りを見渡す。手が、見える。眼鏡も。逃げねば、敵襲、空襲だ。早く、シェルターへ・・・すがるように手を握るといとも簡単に手が引き寄せられた。

 

「お・・・お・・・よ・・・!!!!」

 

手が、軽い、肘から・・・ああ・・・なんてことだ。空襲のサイレンが響き、妖精さん達が集まってきてきゃーとかぴー等と悲鳴を上げている。大淀・・・すまない、大淀・・・!!!

 

「・・・ごほ・・・!」

 

体を引きずってドックの中に逃げよう。艤装が無いから立ち上がるにはダメージが大きすぎる。

 

「あぁ・・・す、まん・・・て、てを、かし・・・」

 

「(;゚д゚)(;゚д゚)(;゚д゚)」

 

「長門さん!!!」

 

「ママァ!!」

 

名取と夕立か、艤装を付けて・・・ああ、いかん・・・

 

「なにが・・・あった・・・」

 

「く、空襲です!しかし夜間で敵機確認出来ず・・・高高度からの爆撃かも、大淀ちゃんはどこですか・・・?」

 

「お、おおよどは・・・うぐ・・・」

 

名取に支えられながら指刺す物は・・・ついさっきまで大淀だったもの・・・名取はひっと声を殺し、夕立に上空を警戒するように命令して視線を逸らさせた。

 

「そんな・・・大淀ちゃん・・・」

 

「すま・・・ない・・・私が、け、いかい・・・していれば・・・」

 

「いえ、な、長門さんは、悪くありません悪いのは敵・・・!!ッきゃあああ!!!」

 

話てる途中にも爆撃されて瓦礫が舞い散っている。前にもあったが・・・何故大湊が襲撃されるんだ・・・?にしても不意打ち大破が多くて・・・

 

「うぐ・・・だ、大丈夫ですか!」

 

「すまん・・・ちょく、げき・・・で、うご、けない・・・」

 

んん?工廠の上に・・・

 

「な、なと・・・り・・・」

 

「長門さん!?どうしましたか!?」

 

「うえ・・・こう・・・しょう・・・」

 

「・・・?あれは・・・浮遊要塞!?それにしては小さい・・・あれは・・・」

 

「なんでもいいからぶちのめすっぽい!!ってぇー!!!」

 

夕立の高角砲が火を噴くが工廠の上の飛行する白い球体は容易く避けていった。なんて運動性能だ。見れば上空から同じ物がいくつも飛来してきてサーチライトに照らされている。爆弾を投下し、口から弾丸を撒き散らすあれは・・・

 

「なんで当たらないっぽい!?」

 

「ごほっ・・・げほ・・・」

 

「まずい・・・!!夕立ちゃん!長門さんを本棟の防空壕に連れて行くから援護お願い!」

 

「了解!」

 

「長門さんすみま、お、重い・・・」

 

すまん名取・・・艤装を付けてないから少しはマシだと思うがだいじょうぶか

 

「私だって長良型・・・根性ォォォォッ!!!」

 

「名取まだっぽい!?」

 

名取に担ぎ上げられた瞬間、真上に爆弾を今にも吐き出さんとする球状の敵機。これは、避けられん・・・!

 

「しまった!敵機直上・・・きゃああああっ!?」

 

「ぽぎゃっ!?」

 

爆風で二人とも吹き飛ばされ、地面に転がる。仰向けになってわかったが屋上から機銃と高角砲で迎撃する五十鈴達が見える。しかし苦戦しているようだ。球状の敵機は・・・工廠の上に集まっているな。・・・そうか。しかしどうして敵に知られたんだ?

 

「ごぼ・・・大型・・・建造・・・」

 

「ママ・・・!血が・・・!」

 

「あぐぅ・・・いたい・・・」

 

夕立は微損、名取は中破か・・・すこし喉はマシになったか、だが焼け付く痛みはひどくなった。それより早く千歳の提督へ連絡し敵の新型航空機の

 

「ゆ、ゆうだち・・・しつむしつへ・・・提督へ知らせるんだ・・・早く・・・!」

 

「で、でも・・・!」

 

「夕立・・・!これは・・・に、任務・・・だ!!!母の・・・母の言うことを・・・聞け・・・敵の狙いは、大型建造・・・敵新型航空機あり・・・救援、求む・・・だ・・・行け!!ごぼ・・・ゆうだち・・・!!!」

 

「う・・・わがっだああああうわああああん!!!」

 

「そうだ・・・あと・・・名取・・・」

 

名取を引きずって工廠の中にはいる・・・すると急に体が引っ張られ入り口のシャッターが降ろされた・・・

 

「長門さん!名取!!」

 

「あか、し・・・名取を・・・」

 

「二人とも・・・ですよ!!」

 

明石の艤装が展開され無数のクレーンが鋼材を動かし、名取の修理を始めた。なるほどな。明石の泊地修理。実際に見るのは始めてだ。

 

「長門さんごめんなさい・・・これは艤装を付けている人しか修理出来ないの・・・!」

 

「かま、わん・・・少し、マシになった・・・」

 

明石の泊地修理を見ていると金属のひしゃげる音が頭の上から響く。

 

「・・・修理中は、機銃とか武装が使えません・・・屋根なんてあっという間ですよ・・・!」

 

「修理、急げ・・・!やつらは、大型建造ドックを、狙ってる。」

 

「ドックを・・・?何故深海棲艦が・・・」

 

「・・・もう喋っている暇もなさそうだ。」

 

屋根を食い破り球状の敵機が侵入してきた。破られた天井から屋上の五十鈴達が見える。必死にな形相だが・・・生き残ることだけを考えるんだ・・・

 

「はっ・・・はっ・・・明石、ここは私に、任せろ・・・」

 

「何言ってるんですか・・・!!馬鹿なこと言わないでください!!!」

 

「大型建造ドックが敵にまわれば・・・もしかしたら、今以上の、深海棲艦が生まれるようなことに、なるかもしれない・・・そうなれば我々に勝ち目は、ない・・・」

 

ちょうど良い所に、鉄骨があるじゃないか・・・重いな。よく見たら腕が焦げているじゃないか・・・これじゃ持てんな・・・

 

「私もここまでか・・・」

 

鉄パイプで我慢だ。思い切り投げたが軽々と避けられ、獰猛なうめき声を上げられた。数は・・・10・・・20・・・まぁいい。たくさんだ。私を食らい尽くすと全部には行き渡らないだろう・・・ああ、そういえば食堂にしなちくを作っていたな。無事だろうか。床下収納にいれたからぶじだといいな。あれがあれば夕立もご飯を美味しく食べられるだろう・・・ああ、急に膝の力が抜けた。明石が後ろで叫んでいるがもうわからん。通販で頼んだ夕立の服、明日か明後日辺りには届く予定だったが・・・これじゃあ受け取れんな「お母様ぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」・・・なんだうるさいな。もう頭が痛いんだから・・・ん?お母様?

 

「全機発艦!!!目標、お母様に仇なす不届き者!!!」

 

目の前を無数の紫電改二が通り過ぎて球状の敵機を打ち落として行く。どうして艦載機が・・・?振り向けば輝く銀髪に鉢巻、右腕の存在感のある巨大で重厚な甲板、足下のバルバスバウ、各所のバルジ・・・似ている、が誰なのだろうか・・・?

 

「翔鶴型装甲空母一番艦、姉の翔鶴です・・・お母様の危機を感じ取り馳せ参じました!」

 

「お、おう・・・」

 

少し見渡せば無理矢理こじ開けたような建造ドックのシリンダー、装備のコンテナ、なるほど。この翔鶴は私が建造した翔鶴か・・・装甲空母・・・装甲空母・・・そうだ。大鳳か。しかし日本に大鳳以外の装甲空母がいたのか?聞いた事無いな。それにまず大鳳が艦娘となった等も聞いた事もない。大鳳が建造されれば日本中の大騒ぎになるはずだ。奥が深いな、大型建造。

 

「な、なにそれ・・・装甲、空母・・・?」

 

「まずはあいつらを蹴散らします!!艦載機の皆さんお願いします!!」

 

翔鶴が矢を放てばたくさんの紫電改二が上空の敵機を追い詰めていった。すごい。

 

「ぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!」

 

「む!しまっ・・・」

 

「お母様!」

 

水平に突っ込んできた敵爆撃機が私に迫った瞬間翔鶴が遮るように私をかばった。なんてことだ!!空母が爆弾をまともに受けては甲板が・・・あれ・・・甲板が?

 

「装甲空母は、伊達ではありません!はぁあっ!!」

 

爆撃に耐えた翔鶴が敵機を握りつぶした・・・無傷だった。すごいな・・・なんというか・・・

 

「ご無事ですか!?」

 

「あ、ああ・・・」

 

「ああお母様!!こんなにお怪我を・・・すぐに、すぐに塵芥を掃除しますのでもう少しまってください!」

 

「そ、そうか。頼もしいな・・・」

 

「お母様・・・!私は嬉しいです!」

 

翔鶴が三本同時に矢をあてがい放つ、既に鎮守府の上空は70機以上の艦載機が埋め尽くしている。敵機は撤退しているらしく二式艦偵を放ち、追撃しているとのこと。大型建造ってすごい。そう思ったところで私は意識を手放した。最近このパターンが多いな

 

「海内無双の一航戦・・・翔鶴型、ここにありです・・・ってきゃあああ!お母様!しっかりしてください!お母様・・・」

 

・・・この翔鶴は、声が大きい・・・な・・・。

 


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