魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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いよいよ無印編に突入です


無印編
第3話 小学3年生になりました。いよいよ、事件が起こる……ハズ?


 

 

 

 

 

みんな、こんにちわ

 

藤之宮アレスだぜ。

 

あれから4年の月日が流れて……明日で!

 

ようやく9歳になるんだぜ?

 

毎日、勉強はまあ、適当に済ませて鍛錬の毎日!

 

目標である第5チャクラまで回せる様になった。

 

これなら能力が5倍あげる事が出来るから戦いが楽になる。

 

もっとも、身体がまだ出来てないから無理は禁物だがね。

 

さて、この4年間で起きた事をお知らせしよう。

 

 

 

 

 

まずは俺。

 

小学校に上がったら何故か、高町家で修業をする事となった。

 

一体、母さんと士郎さんとどんなやりとりがあったのか知らないが、ともかく修業する事になったのだ。

 

と言っても身内にしか高町家の技を教えないらしいので。

 

身体作りと剣術の基礎をやっている。

 

ちなみに、俺が徒手空拳時に使用しているのは『古流武術綾野式』と言う……まあ、マイナーな技なのだが。

 

ぶっちゃけ言うとどっかで見た様な技が沢山ある、とだけ言っておこう。

 

むろん、母さんから習っている……と言う事なので、多分これが高町家で修業するフラグが立ったに違いあるまい。

 

なのはも参加しているので、とりあえず運動音痴は治っている。

 

普通の運動神経にランクアップしている。

 

そして困った事に、母さんが『念法』をうっかり……いや、確信犯的にばらしてしまい。

 

ソレを聞いた士郎さんと恭也さんはダボハゼのごとく食い付いて来た。

 

その後、美由希さんも食い付いて来た。

 

と言う訳で、士郎さんは始めるには遅い年齢だった為に半年位前にやっと第1チャクラを回せる様になった。

 

恭也さんが第3チャクラ、美由希さんは何と第4チャクラ。

 

更に言えばなのはも何と第1チャクラを回せる様になっていた!

 

ぬぅはぁ! 『高町一族』から『TAKAMACHI一族』に進化してしまった!

 

……なのはに気を魔力に変換するアイテム渡したら。

 

魔力が尽きる事のない極悪砲台が完成してしまうんだが!

 

 

 

 

小学1年で『アリサ=バニングス』と『月村すずか』と出会った。

 

出会ったのは良いが、これまた2人とも双子の兄が居たのだ!

 

当然の事、2人は転生者だった。

 

で、聞くと前世では2人とも双子の兄弟で。

 

兄がアリサ派で弟がすずか派。

 

無論、なゆたと同じ様に光源氏計画を目論んでいたので戦うことに。

 

能力については兄がドラクエ呪文全部、弟がFFの呪文全部と言う仕様。

 

勿論、魔力は無限と来たもんだ。

 

もっとも、2人とも格闘術に関しては全く能力を貰ってなかったらしく。

 

俺が呪文全てを避けるものだから。

 

3時間に及ぶ戦いはあいつらの根負け。

 

そりゃ、ずっと避けられるし、体力が尽きる気配が全くしないから、精神的に参ってくるよな。

 

と言う訳で、前のなゆたの様に優遇条件を出したらこれまたあっさりと了承。

 

善は急げと言うことで2人もこの世界から姿を消して違う世界に転生して貰った事であろう。

 

まあ、マッチョ神に肉体的教育をたっぷりと受けてから……だろうが。

 

 

 

 

 

出会った時も原作に似たような感じではあったが、今回は俺が穏便に済ませてる。

 

アリサのデコにデコピンをしただけ。

 

尤も、『何であんたのデコピンは頭がグラグラするのよ!』と咆吼されたが。

 

ちなみにすずかは俺の顔を見て真っ赤になっていた。

 

まさか、俺の闇の力に気付いているのかも。

 

大抵のヤツには気付かれないが、やはり闇の力に近い種族ほど気になるのかもしれない。

 

その後、アリサとすずかとも友達となる。

 

私立聖祥学園初等部三大美女をいつもはべらせてる憎いヤツと認識されてるが、俺にはどこ吹く風状態である。

 

 

 

 

 

 

 

と言う事で俺は自室のベッドの上であぐらをかいて待機している。

 

何故かって?

 

明日は4月4日。つまりは9歳になる誕生日で、多分この夜天の書もどきが起動するからなのだ!

 

時間は午後11時55分。後5分で4月4日になる。

 

ちなみに母さんは今晩だけ父さんの隣のベッドでお休みだ。

 

って言うか、本来の寝床に戻っただけなのだが。

 

確か、はやての時も誕生日の0時ジャストに起動して守護騎士達を召喚したんだ。

 

待てよ? この書にも守護騎士達いるのかな?

 

でも、ゼルディア様の話だと相棒はエヴァだけって言ってたしな。

 

という事は管理者がエヴァと言うことであろう。

 

「さて、後30秒だ……」

 

俺は時計を見ながら今か今かと待っていた。

 

「5、4、3、2、1……」

 

時計の針が0の位置で全て並ぶ。

 

「0」

 

その時、本棚から魔力が溢れ出す。

 

鎖で封印された本が浮かび、脈動する。

 

そして鎖が千切れ飛び、本は開いてページがめくれる。

 

速い速度でめくれるページ。

 

【封印を解除します】

 

……見たところドイツ語に似た言語が書いてある。

 

『グラーフアイゼン』『レヴァンティン』『レーヴァテイン』『ゲイ・ボルグ』『グラム』等々……

 

何だこれは?

 

武器の名前ばかり書かれている?

 

確か夜天の魔導書は魔法を記録する為に作成されたデバイスだったはず。

 

それが、武器の名前ばかりとは……もしや、これは古代ベルカに伝われた武器のデバイスを記録した魔導書?

 

そして本はバタンという音を立てて閉じて俺の前に浮かんで来る。

 

真紅に輝く十字の紋章。

 

 

 

起動(アンファング)

 

 

 

声が響き、俺の胸から黒く輝く玉。

 

ああ、リンカーコアか。

 

そして魔法陣が現れて……俺のリンカーコアと合体して光り輝く。

 

「くっ!」

 

俺は腕で目を覆った。

 

数秒経って俺は前を見た。

 

「『武神の魔導書』、起動しました。私は武神の魔導書の管制人格です」

 

目の前に現れたのは、黒い服を着て目をつむっている金髪の少女。

 

見た目10歳位の小柄な少女。

 

「ああ」

 

俺はベッドから立ち上がった。

 

「お久しぶりです、お兄様?」

 

少女は目を開けて立ち上がった。

 

右目は俺と同じ蒼色、左目は藍色の瞳が見える。

 

「久しぶりだな、エヴァ?」

 

「ホント、久しぶりです。ゼルディア様も言ってくだされば良いのに。100年以上は待たされましたわ」

 

そうか。古代(エンシェント)ベルカと言えば結構昔の話だな。その間、エヴァはずっと待っていたのか。

 

「ゼルディア様は意外とテキトーな所があるからな」

 

「そうですの?」

 

「ああ、そうなんだ」

 

「でも、ようやくお兄様とお会い出来ました♪」

 

そう言ってエヴァは俺に抱きついて口づけを交わす。

 

「んん……」

 

30秒位の交わりの後、エヴァは口を離した。

 

「いきなりだな?」

 

「てへへ。待ち切れませんでした」

 

舌をちょっと出して笑うエヴァ。

 

ちなみに俺とエヴァの身長はほとんど一緒である。

 

「ソレで、名前は? 前と同じで『エヴァンジェリン』で良いのか?」

 

「ハイ。それで良いですよ」

 

「了解。これからよろしくな、エヴァ」

 

俺はそう言ってエヴァの頬を撫でた。

 

「こちらこそ、よろしくお願いします。お兄様」

 

頬を真っ赤にして俺の目を見つめるエヴァであった。

 

 

 

 

 

 

「さて、粗方の予想は付いてるが……『武神の魔導書』とは?」

 

ベッドの上で正座しているエヴァに聞く。

 

「ハイ、古代ベルカ時代に作られた魔導書です。当時の騎士達が使用していた武器の記録を残す為に作られました」

 

「やっぱり……。レヴァンティンやグラーフアイゼンの名前が載ってたからなぁ」

 

「さすがお兄様。あの速い速度でめくれるページを読まれましたか」

 

「まあ、粗方だが。で、スペックは?」

 

「同じです。私の姉妹機の夜天の魔導書の守護騎士、『烈火の将』と『鉄槌の騎士』が持つデバイスと全く同じデータが入っています」

 

「なるほど」

 

これはこれで面白そうだな。同じ武器で戦うって言うのも良い鍛錬になりそうだ。

 

「それで、登録とかって出来るの?」

 

「ええ、出来ますよ。まだ半分位の空き容量が残ってますから」

 

「ほう」

 

これなら小太刀二刀も記録出来るな。今度データを作成しておこう。

 

「それで、ユニゾンデバイスなんだよな?」

 

「ハイ。お兄様とユニゾンしたら……多分、性別はそのままで前世の姿に戻るかと」

 

「……なんですと?」

 

今、恐ろしい事を聞いた様な。

 

アリスの姿で性別はそのままだと?

 

……男の娘かよ!

 

これはあまりユニゾンはしない方向で話を進めていこうか。うん、そうしよう。

 

「まあ、ユニゾンはあまりしない方向で」

 

「分かりました」

 

「それで、エヴァ自身の方は?」

 

「私は前世のままです。吸血鬼の真祖と同等の力と再生力で魔法もそのまま」

 

「おぅ……」

 

何と言うチート。下手な魔導師が来ても余裕で撃退出来るな。

 

「あと、血は吸いませんから」

 

「了解。それじゃあ……後は追々やっていくとして、明日の朝は母さんに紹介だな」

 

「バラして大丈夫ですか?」

 

「大丈夫。母さんも父さんもアテナ姉さんの部下やってるから」

 

「それなら大丈夫ですね」

 

「それで、家に居る時はその姿で大丈夫だけど、外に出る時は待機モードで」

 

「分かりました。ネックレス形態になりますから、お兄様の首にかけて下さい♪」

 

「ん、分かった」

 

そう言って俺は布団に潜る。

 

そしてエヴァも何事も無かった様に俺の隣に潜って抱きついて来る。

 

「……全く、エヴァは甘えん坊さんだな」

 

「仕方無いじゃないですか! やっとお兄様と一緒に眠れるんですから!」

 

顔を真っ赤にしてるエヴァ。

 

「分かったよ。それじゃお休み、エヴァ」

 

「もう、お兄様の意地悪」

 

と言いつつエヴァは抱きしめる力を少し強めた。

 

身体に暖かさが広がってくる。

 

そして俺はそのまま眠りについた。

 

 

 

 

 

 

学校が始まって2週間。

 

その間は何事も無く過ごしていたが。

 

とうとう、始まりのフラグが立った。

 

「……ユーノ」

 

起き抜けに言った言葉。

 

まあ、数々の小説等で『淫獣』扱いされてる可哀想な人。

 

夢の中で怪物と戦って、力尽きて倒れ、オコジョ……じゃなくてフェレットの姿になっていた。

 

オコジョだと色々な問題があるならな!

 

アレこそホントの淫獣だし。

 

「おはようございます、お兄様」

 

隣からゴソゴソと現れるのはエヴァだった。

 

「おはよう、エヴァ」

 

そう言ってエヴァの頭を撫でる。

 

「えへへ……」

 

顔が緩みまくってるエヴァ。

 

「さて、今日から始まるぞ」

 

「え? ああ、なのはちゃんとユーノ君が出会うんですね?」

 

「ああ。とりあえず、下校時に出会うハズだからこっそり後をつけて様子を伺うよ」

 

「分かりました、それでは今日からいよいよ行動開始ですね」

 

「ああ。デビュー戦だ」

 

俺はベッドから起きてキッチンに向かった。

 

そして、いつもの様に学校に向かう。

 

 

 

 

 

昼休み。

 

いつもの様に俺はなのは、アリサ、すずかの3人と昼食を食べていた。

 

ちなみに場所は屋上でピクニックみたいにシートを張ってその上で食べてるが。

 

周りには嫉妬の視線を浴びせてくる男子生徒がいるが、その程度の嫉妬目線では俺にダメージなぞ与えられぬ!

 

「将来かぁ……」

 

そう呟いてタコさんウインナーをほおばるなのは。

 

その顔は少し思い悩んでいる。

 

「アレス君とアリサちゃんとすずかちゃんはもう結構決まってるんだよね?」

 

「ウチはお父さんもお母さんも会社経営だし、一杯勉強してちゃんと跡を継がなきゃ……だけど?」

 

とアリサはそう言っておにぎりをかじる。

 

「私は機械系が好きだから、工学系で専門職が良いな……と思ってるけど」

 

すずかはそう言ってご飯を食べる。

 

「で、アンタはどうなのよ、アレス?」

 

アリサがやや睨む様な目で俺を見る。

 

「俺か? 俺はまだな~んにも考えてない」

 

そう言って弁当の唐揚げをほおばる。む、これはエヴァがよく作った味。

 

そうか、母さんに教えたのか。

 

「くっ! 何か余裕ぶっこいてる様に見えてムカつくわね!」

 

「アリサちゃん、口調が……」

 

「そっか、アレス君はまだなのか~」

 

「ああ、まだだなぁ……。それと、別に余裕ぶっこいてる訳じゃないぞ?」

 

「どの口が言うのかしら? 常にテストで学年内トップ3内に輝いてるアレス君?」

 

アリサは額に血管を浮かべて俺の方を睨む。

 

「何を仰るウサギさん。たまたまトップ3内に入ってるだけだ」

 

「な・に・が・た・ま・た・ま・よ! 入学以来常に入ってるクセに! それとあたしはウサギじゃない!」

 

「ほぅ、なら何だね? 虎か? 獅子か? 灰色熊(グリズリー)か?」

 

「何で肉食で凶暴なヤツばかりなのよ! 子鹿(バンビ)とかあるじゃない!」

 

アリサの血管が更に増えた。ちなみに、グリズリーは雑食だぜ。

 

「それこそ何を仰るホオジロザメさんだ。なのはやすずかなら柴犬とか子猫とかフェレットとかリスとか合うが、アリサは……」

 

そう言って俺はアリサの顔をマジマジと眺める。

 

「な、何よ?」

 

頬が赤くなるアリサ。

 

「うん、軍鶏(しゃも)だな。アリサには軍鶏(しゃも)がお似合いだ」

 

 

※軍鶏

 タイ原産の闘鶏用、観賞用、食肉用のニワトリの一種。激しい気性から、気の短い人、けんかっ早い人の喩え、あだ名につかわれる。

 

 

「ぶっ!」

「ぶはっ!」

 

 

なのはとすずかがお茶を吹いた。それはもう、ドリフのコントのごとく。

 

「あんたはぁ! 今日と言う今日は許さないわよ!」

 

そう言ってアリサは右手を振り上げて殴りかかってくる。

 

俺は既に食べた弁当をしまってそれを難なくかわす。

 

「ほらほら、黙って座ってれば可愛いのに台無しじゃないか」

 

「うるさいうるさいうるさーい! あんたは大人しくあたしに殴られれば良いのよぉ!」

 

右から左からボクシングの……某デンプシーロールのごとく殴りかかってくるアリサ。

 

だが、速さは全く足りないから俺はそれを何の気も無しに避ける。

 

「さ、避けるな~!!!」

 

「避けないと当たるじゃないか!」

 

「当たりなさいよ!」

 

「当てたきゃパンチの速度をあげろよ、こうやって」

 

俺はからかう様にアリサの頬を撫でる。

 

「ウッキ――――!!!」

 

顔を真っ赤にして更に殴りかかってくるアリサ。

 

こうして昼休みは過ぎていく。

 

「あはは……アレス君ったら……」

 

「にゃ~……ああ見ると、アレス君って凄いなぁ……」

 

なのはとすずかは苦笑いで俺達の様子を眺めていた。

 

 

 

 

 

放課後。

 

なのは達3人は塾に行くため俺と別れた。

 

ちなみに昼休みの決戦は……アリサの勝利に終わった。

 

敗因は、すずかの助太刀によって。

 

すずかに羽交い締めにされたあと、アリサに引き渡されてそのあとパロ・スペ○ャルをかけられたから。

 

しかもきっちり決まってたから結構痛いのなんの!

 

ってか、何で社長令嬢のアリサがそんな技を知ってるのか少し疑問ではあるのだが。

 

つーかキ○肉マン読んでるのか。

 

さてそれはさておき。

 

3人と確かに別れたが、俺はその3人の後をつけていた。

 

無論、俺の穏行術は素人なら絶対にばれない自信はある。

 

某聖杯戦争でアサシンのクラスとして呼ばれてもおかしくないレベルだと自負している。

 

そうこうしてると林の中を通る。

 

途中、なのはが立ち止まる。

 

〈たすけて……〉

 

ユーノの声だ。

 

そしてなのははまた立ち止まって周りを見渡す。

 

〈助けて!〉

 

二度目の声が聞こえた時、なのははいきなり走り出した。

 

アリサとすずかも後を追う様に走り出した。

 

よし、ユーノを無事に見つけた様だ。

 

俺は更に後をつける。

 

少し走るとなのはがフェレットらしい小動物を見つけていた。

 

それを見たアリサとすずかは少し焦ってる。

 

少し話をしてすずかが携帯で電話をすると3人はまた走り出した。

 

更に俺はその後を追う。

 

 

 

 

暫くすると3人は病院らしい建物の中に入った。

 

看板を見ると『槙原動物病院』と書かれていた。

 

「……よし、これで大丈夫だ」

 

俺はそう呟いてその場を後にした。

 

これで今夜にはユーノからの救難信号が届くであろう。

 

それまでは少し休憩だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈聞こえますか……僕の声が……聞こえますか!〉

 

「ああ、聞こえてるよ……っと」

 

ベッドの上に寝ころんでいた所を起きる。

 

〈聞いて下さい……僕の声が聞こえる貴方……お願いです……僕に少し力を貸して下さい!〉

 

「やれ、なんぼでも貸してやるよっと」

 

俺はいつもの私服に着替える。

 

黒いシャツに黒のジーンズだ。

 

〈お願い! 僕の所へ! 時間が……危険が……〉

 

そう言って声は途切れる。

 

俺は窓のカーテンを開ける。

 

見ると私服に着替えたなのはが走っていった。

 

「エヴァ」

 

「呼びました?」

 

ドアを開けるエヴァ。

 

「行こう。なのはがユーノの所に行った」

 

「分かりました。それでは待機状態になりますね」

 

そう言ってエヴァはペンダント形態になる。俺はそれを首にかける。

 

〈父さん、母さん、行って来るよ〉

 

〈分かったわ。気を付けてね〉

 

〈おう、行って来い!〉

 

父さんと母さんに念話を飛ばして俺は窓から飛び出した。

 

ちなみに靴は部屋に置いてあるのだ。

 

 

 

 

 

「なかなか速いな、なのは」

 

【お兄様が念法教えたのでしょ? 体力がほとんど無限になってるから全力で走って行ったのでは?】

 

「そりゃそうだ……と」

 

俺は今、第1チャクラを回して全力で走っている。

 

暫く走っていると、目の前にいるのは……。

 

なのはだ! そしてユーノを抱いて走っている。

 

そして、上から降ってくるのは……黒い煙の様な化け物。

 

浄化の蒼水晶(スター・サファイア)、起動!」

 

俺は右目に気を通す。

 

どうやら思念体みたいな感じらしい。

 

真ん中には水晶みたいな青い宝石みたいなモノが。

 

アレがジュエルシードか。

 

「エヴァ、武器に杖はあるか?」

 

【ありますよ。『レーヴァテイン』が】

 

「ああ、そう言えばそうだったな。大体は剣で伝わってるが、杖と言う説もあるらしいからな。それを頼む」

 

【分かりました。騎士甲冑は?】

 

「任せる。大丈夫だな?」

 

【分かりました。かっこいいのを作ります! 武神の書、起動!!】

 

俺の身体が輝き、一瞬にして服装が替わる。

 

手甲に頑丈そうなブーツ。

 

申し訳程度の肩当てに胸の部分に鎧。

 

よく見るとザフィーラの服に似てるな。

 

色は黒がベースだが。

 

そして手には……何かドラクエに出てきた武器、『魔道士の杖』に似たデザインの杖だった。

 

「よし、これならミッド式の魔導師に見えるだろ」

 

【残念ながら足下の魔法陣でモロばれですけどね】

 

「それを言うな」

 

俺の足下に見えるのは三角形をベースに頂点に円をくっつけたベルカ式の魔法陣だった。

 

ちなみに色は漆黒。ま、夜だから見えにくいかな?

 

見ると後少しでなのはに襲いかかる怪物。

 

「やらせるかよ!」

 

俺は怪物を杖で思い切り殴った。

 

「ギャッ!」

 

吹っ飛ぶ怪物。バウンドして何処かの家の塀に突き刺さる。

 

「……アレス……君?」

 

大きく目を見開いて俺の方を見てるなのは。胸元のユーノは呆然と怪物を見ていた。

 

「こんな夜遅くに出歩くなんて……なのはは悪い子だな?」

 

俺は口元をつり上げて笑った。

 

「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!? 何でアレス君が!?」

 

「そんな事より。そこのお前!」

 

俺はなのはの胸にいるユーノを見る。

 

「え!?」

 

「アレはどうすれば良い?」

 

塀に突き刺さった怪物はゆっくりと起き上がって俺の方を向いた。

 

「そうだ、これを!」

 

ユーノは真っ赤な色をした丸い宝石をなのはに渡した。

 

「今から言う呪文を唱えて下さい!」

 

よし、それなら俺は時間を稼がせて貰おう!

 

杖と言えどそれなりに扱えるんだぜ?

 

『突かば槍、払えば薙刀、持たば太刀。杖はかくにもはずれざりけり』ってね!

 

俺は左手に杖を持って切っ先の方に手を添えた。

 

竜の一撃、受けてみろ!

 

「はあぁぁ!竜牙ぁ!」

 

一呼吸で5m以上の間合いを詰めて突く槍と刀用の奥義。

 

まあ、ぶっちゃけ言うと『るろうに剣心』に出てきた『牙突』と言う技にそっくりなんだけどね。

 

そこ、パクリとか言わないの。

 

怪物の胴体?らしき場所を突いて怪物はまたも10m近く吹っ飛び、違う家の塀に突き刺さる。

 

 

 

「レイジングハート・セーットアップ!!」

「レイジングハート・セーットアップ!!」

 

 

 

なのはとユーノの声が響く。

 

 

【スタンバイレディ・セットアップ】

 

 

紅い宝石から声が聞こえた。うむ、生レイハさんの声ですな。

 

その刹那、膨大な魔力がなのはから溢れ出した。

 

桃色の光が周囲に溢れる。

 

眩しくてなのはの姿が見えない!

 

なるほど、大きいお友達対策ですね、分かります。

 

「とりあえず、これで!」

 

なのはの声が聞こえた。これで、未来の『魔王』様が誕生しましたな。

 

【しかしお兄様。私と同等の魔力ですわ】

 

「そうか。エヴァと同じタイプか……。魔法に関しては俺よりなのはが上だな」

 

【まあ、お兄様は元々は『気』を使うタイプ。それでもそこまで魔法を使えるのは凄いと思います】

 

「はは、それでもせいぜいが1.5流だな。悪くて二流だ」

 

【もう、そこまで謙遜しなくても良いのに。お兄様ったら】

 

「自慢しまくって天狗になるよりはマシだろ」

 

【そうですわね】

 

エヴァと会話してると光は治まり、そこには。

 

 

「……ゑ?」

【……あれ?】

 

 

なのはが居た。当たり前だがなのはがいる。

 

バリアジャケットのデザインは小学校の制服がベースだ。デザインは良い。全く問題無い。

 

問題なのは色だった。

 

なのはと言えば白色が目立つバリアジャケットだ。

 

『管理局の白い悪魔』とか、『管理局の白い魔王』と言う二つ名が似合う位に。

 

「……何か、不穏当な言葉が浮かんだの」

 

「気にするな」

 

さすがなのは。俺の思考を読んだのか?

 

まあいい。

 

それが、ラインは良い。青いラインだ。

 

杖の形も良い。いや、レイハさんのコア部分の形がおかしいが。それは後で述べる。

 

 

何故……。

 

何故、空色なんだ!?

 

澄んだ水色とでも言えば良いのか!?

 

これでは『管理局の水色魔王』になるではないか!

 

そしてレイハさん! 貴女の……そのデザインは何ですか!?

 

なのはの杖の先と言えば、真紅の宝石で球体が付いている、レイハさんです。

 

それが……何ですか!?

 

なのはと同じ様な色で形が正八面体の形は! そして真ん中にめちゃくちゃ小さく紅くて丸い宝石が見えるだけ!

 

 

……

 

 

…………

 

 

………………

 

 

ちょっと待て。その色、その正八面体……。

 

 

俺は背筋に悪寒が走った。

 

【私も分かりました。あの形……前世でお兄様に見せて貰った……とあるアニメに出てきた】

 

「ああ……」

 

俺はゴクリと生唾を飲んで言い放った。

 

 

 

 

 

【第五使徒ラミエル】

「第五使徒ラミエル」

 

 

 

 

 

俺とエヴァの同時つぶやきはなのはとユーノには聞こえていなかった……。

 

 

 




魔砲少女ラミエルなのは……始まります……!


元凶はニコニコな動画ですw


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