魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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やっとアットノベルスに追いつきました

さて、あっちはどうしようかな…




第43話 行ってくるぜ、その名も『幻想郷』

 

 

 

 

参観日から1週間。

 

取り立てて、事件は起きていない。

 

さて、プレシア女史の依頼もこなしておかないとな。

 

今日は丁度土曜日で予定は入っていない。

 

と言うか、今回は全て断っている。

 

向こうでは何日滞在するか分からないが、こちらでは土日しか経過しないから問題は無い。

 

父さんと母さんにもその事は伝えてある。

 

ちなみに行くのは俺とエヴァ。

 

姿が変わってるからなぁ。

 

えーりんさん……覚えてくれてるかな。

 

そうそう、前に行った時は丁度えーりんさんが永遠亭から出てきた頃だったから……永夜抄辺りだったな。

 

うむ、今度は星蓮船が終わった辺りにしておこうか。

 

その旨をマッチョ神に伝えておく。

 

〈それじゃあ、頼む〉

 

〈うむ、転送するぞ〉

 

俺の足下にこの世界では見る事の出来ない形式の魔法陣が広がる。

 

さあ、久しぶりの異世界だ。

 

あちらでは、こっちみたいな変態淑女はいなかったはずだから。

 

のんびりと薬剤師の勉強をしようではないか。

 

 

 

 

 

 

 

「……うん?」

 

「ここは……」

 

着いた先はごく普通の住宅街。

 

周りには人の姿も無く、俺達の転移した姿を見た者はいない。

 

そりゃあ、夜だから当たり前だろう。

 

遠くでは野良犬と思われる遠吠えが聞こえるだけ。

 

あ~、そう言えばいきなり幻想郷に転移はいけなかったハズだから。

 

外の世界から妖怪の賢者に入れて貰ったんだっけ。

 

(ゆかり)……元気にしてるかな。

 

胡散臭いのは直らないだろうけど。

 

「えーっと。確か……外の世界の博麗神社に行けば良かったよな」

 

「そうでしたわね。こっち……でしたか?」

 

「……だな。何となくだが見覚えがある」

 

俺とエヴァは山に続く道に向かって歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

「ここだここだ」

 

数百段ある石積みの階段を昇って行った先にあるのは、廃墟と化した神社。

 

色あせた赤い鳥居には『博麗神社』と書かれている。

 

立ち入り禁止のテープが張ってあり、看板が立てられている。

 

その看板には『株式会社ボーダー商事所有地』と書いてあった。

 

色々とツッコミを入れたいが、ここはあえて無視しておく。

 

境内を通って神社の中に入る。

 

屋根は何とか大丈夫そうだが、壁とかは朽ちてボロボロだ。

 

「お化けとか出そうですわね……」

 

「見たところ、そう言うのはいないみたいだぞ?」

 

右目を起動させて見るが、周囲には幽霊等の類は一切見当たらない。

 

一応、神社だからだろうか。

 

「さて、とりあえず休憩するか」

 

「ですわね」

 

ポシェットからレジャーシートを出して敷く。

 

さすがに、直に座る気にはならない。

 

俺とエヴァは寄り添って座る。

 

どうやら今は春を過ぎた辺りだろうか。

 

夜でも少し寒い気がする。

 

「お兄様、寒くありませんか?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

前世の時を思い出すな。

 

真祖になった時はこうして2人で寄り添って夜を過ごしたものだ。

 

「しかし、なのはさん達も凄いですわね。虎視眈々とお兄様を狙っているんですもの」

 

「……まあ、な。俺もあそこまでアグレッシブだとは思わなかった」

 

「でも、お兄様は嫌いではないですわよね?」

 

「……まあ……な。滅多にない体験だと思ってる」

 

「うふふ」

 

そう言ってエヴァは俺の唇にキスをする。

 

「なのはさん達と身体を重ねたら、私もお願いしますわね?」

 

「……ああ」

 

前世の時はそういう行為をした事は何度もあったが。

 

この身体になってからはしていない。

 

まあ、俺とエヴァは体格的に大差無いからお似合いと言えばお似合いなのだろうが。

 

「……来たか」

 

「来ましたわね」

 

周囲の気配が変わる。

 

何かが……来る。

 

俺達の目の前の空間がピシッと割れる。

 

中は暗くて目が沢山見える。

 

「うふ……うふふふふふ……」

 

中から聞こえるのは少し高い声質の女性の声。

 

 

「……」

「……」

 

 

俺とエヴァは黙って割れた空間を見つめている。

 

「こんな夜更けに……こんな可愛い男の子を見つけるなんて……運が良いわぁ」

 

 

 

……。

 

 

 

何だろう。

 

もの凄く、妙な予感を感じるんだが。

 

割れてた空間から洋風の純白パラソルを手に持った女性が現れた。

 

金髪で、頭にはドアノブに付けるような感じの可愛らしい帽子をかぶって。

 

紫色のワンピースを着ている。

 

背が高く、胸とお尻は大きいナイスバディな体型だ。

 

原作の紫は小柄な少女らしいが、こっちの紫は20代半ばの感じに見える。

 

「こんな夜更けに、こんな所にいたら妖怪にさらわれるわよ?」

 

よく言うぜ。

 

たまに神隠しにしてるのはアンタだろうに。

 

「……その妖怪にさらわれに来たんだ」

 

俺は目の前の金髪の女性にそう告げる。

 

「あらあら、貴方達みたいな子供がこの世の中に嫌気がさしたのね?」

 

「まあ、ちょっと違うが。そっちの『世界』に用があるんだ」

 

俺の言葉を聞いて、目の前の女性は頬をピクリと動かす。

 

「知っているの? 妖怪が闊歩する……『幻想郷』を」

 

「ああ。昔、世話になった」

 

「ふぅん?」

 

扇子で口元を隠して俺の方をジロジロ見る。

 

相も変わらず胡散臭い雰囲気が漂ってるな。

 

「おかしいわね? 貴方みたいな可愛い子……見た事無いんだけど?」

 

そう言って、エヴァの方を見る。

 

「……貴女は見覚えあるわね……」

 

「私も貴女にお世話になってますわよ?」

 

「ふぅん?」

 

「俺達を幻想郷に招待してくれたら、俺とこの子の正体を話す」

 

「……幻想郷に害をなさない?」

 

「それは約束する」

 

金髪の女性は俺の顔をジッと見つめてる。

 

……段々と、目が潤んできてるんだが。

 

「……良いわ。もし、幻想郷で害をなす行動を取ったら……(性的に)食べてあげる」

 

「……ん?」

 

何か、変な単語が混じった様な?

 

「それじゃ、2名様ごあんな~い」

 

俺とエヴァの足下が開く。

 

「おっ」

「あら」

 

俺とエヴァはそのまま下に落ちるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

長い空間をくぐり抜けた先には。

 

赤い鳥居の神社の境内。

 

大勢の人が賑わっている。

 

どうやら、宴会してるみたいだ。

 

おお、いるわいるわ。

 

見覚えのある人がわんさかと。

 

まあ、実を言うと今は上空から落下中なんだがな!

 

「おーい」

 

「呼んだ?」

 

「このまま落ちたら俺はトマトみたいにつぶれるんだが?」

 

「……貴方なら飛べるのじゃなくて?」

 

「ばれてたか」

 

俺は力を込めてからゆっくりと降下する。

 

エヴァも同じように降下する。

 

境内の石畳に着陸。

 

神社を見ると、いい具合に痛んでる。

 

手入れをしてる様に見えて、微妙に手抜きが見受けられる。

 

「変わってませんわね」

 

「だな」

 

俺とエヴァは互いに顔を見合わせる。

 

「さ、到着したわよ。貴方達の正体を話して貰おうかしら?」

 

「そうだな。その前に、自己紹介だけしておく。藤之宮アレスだ」

 

「私はエヴァンジェリンです」

 

「八雲(ゆかり)よ」

 

「さて、後は師匠の所で話さないか? その方が早いだろ?」

 

「師匠? ここに貴方の師匠がいるの?」

 

「ああ」

 

「その師匠の名前は?」

 

「永琳。八意(やごころ)永琳(えいりん)さんだよ」

 

俺は大勢の中にいる銀髪で赤と青が交互になってる服を着ている女性の顔を見る。

 

宴会してる人達は俺とエヴァの方を見ている。

 

喧噪が止まり、通夜みたいに静かになっている。

 

さて、どんなメンツがいるか見てみるか。

 

博麗神社の巫女、霊夢。

 

霧雨魔法店の魔女、魔理沙。

 

紅魔館のメンツ……レミリア、フラン、パチュリー、咲夜、美鈴、小悪魔を確認。

 

珍しいな、美鈴も呼ばれたんだ。

 

白玉楼の妖夢と幽々子確認。

 

八雲家の藍と橙確認。

 

永遠亭の輝夜、鈴仙、てゐ確認。

 

妹紅も確認。

 

アリスも確認。

 

プリズムリバー三姉妹も確認。

 

萃香もいる。

 

文、はたて、幽香、小町、映姫もいる。

 

秋姉妹と雛も確認。

 

にとり、椛もいる。

 

早苗、神奈子、諏訪子も確認。

 

阿求と三月精もいるのか。

 

チルノと大妖精もいるな。

 

衣玖と天子もいるんか。

 

地霊殿の……キスメ、ヤマメ、パルスィ、勇儀、燐、空、さとりに……見えにくいがこいしもいる。

 

命蓮寺のナズーリン、一輪、雲山、水蜜、星、白蓮確認。

 

離れに小傘とぬえもいる。

 

わお、ほとんどオールスターじゃん。

 

東方好きが見たら悶死するんだろうな。

 

そんな事を思いつつ、俺とエヴァは永琳さんの所に歩く。

 

全員が興味津々で俺とエヴァの方を見ている。

 

後ろでは紫さんが着いてきている。

 

……なんか、妙に呼吸が荒い様な。

 

ちらりと見ると妙に頬が赤く、瞳が潤んでるんだが。

 

非常に嫌な予感を感じる。

 

まあ、とりあえず永琳さんの所に行くか。

 

永琳さんの所に着くと、輝夜、鈴仙、てゐが怪訝な顔で俺の方を見る。

 

「……えっと。お久しぶりです、師匠?」

 

「へ?」

 

呆然と俺の顔を見る永琳さん。

 

やっぱり、分かるわけないか。

 

「永琳は貴方の事知らなさそうよ? コレは私に頂かれても良いと言う事ね?」

 

妙に鼻息荒い紫が俺の肩を掴む。

 

「お兄様、それは厳しいと言うものですよ。お久しぶりです、永琳さん」

 

俺の隣にエヴァが立って永琳に挨拶する。

 

「……貴女は……エヴァ……エヴァじゃない! 久しぶりね!」

 

途端に明るい顔になる永琳さん。

 

エヴァの名を聞いて輝夜、鈴仙、てゐも『あ……』と言った表情を浮かべてる。

 

「久しぶりねぇ~。5年位かしら?」

 

「えっと……ソレくらいでしょうか?」

 

「懐かしいわね~。っと、この可愛い男の子は?」

 

やけに艶めいた視線を俺に向ける永琳さん。

 

何か……ひっかかるんだが。

 

「気付かないのも無理ありませんわね。お姉様ですわよ」

 

「お姉様……え? アリスなの?」

 

驚いた顔で俺を見る永琳さん。

 

「はい。私とお姉様は一度死んでから転生したのです。私は以前と同じ姿ですが、お姉様は見ての通りお兄様になりました」

 

「へぇ~、輪廻転生かぁ。それでもこうやって記憶を持って出会うんだから凄いわねぇ~」

 

そう言って永琳さんは俺の頭を撫でたり頬をつついたりしている。

 

「……なるほど、思い出したわ。双子の真祖ね?」

 

「はい。今はこうして普通の人間になりましたが」

 

「……ふぅん……」

 

ジロジロと俺を見る紫。

 

「……良いわね」

 

「へ?」

 

「何でもないわ。とりあえず、貴方達が害を成すことは無さそうだから」

 

「すっかり可愛い子になって~。どうしたの? 私の所に来るってことは、薬師の修行?」

 

「ええ、作りたい薬があるんですよ」

 

俺は事情を説明する。

 

 




やっとアットノベルスに掲載している分に追いつきました

ここからは更新速度が遅くなりますw


さあ、紫と永琳さんの様子がおかしいですよ?

どんな事が待っているのでしょうねぇ?w


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