魔法少女リリカルなのは -転生者共を捕まえろ-   作:八坂 連也

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更なる力を求めますw


第29話 カートリッジシステムを搭載フラグが立ちました

 

 

 

 

 

前世の姿を見られてしまった。

 

あ~、説明するのを忘れてたよな。説明しておけば良かった。

 

そんな事を思いつつはやての家に着く。

 

そう言えば、はやての家にはなのは達全員が勢揃いしていたような気が。

 

〈とりあえず、改めて説明しておきましょうか〉

 

〈そうだな。今度は画像付きだから……はやて達が何と言うか〉

 

〈う~ん、ちょっと予想出来ません……〉

 

〈だよな〉

 

エヴァと念話をしているが、俺の今の状況は。

 

右手側にシグナム、左手側にシャマルと両腕を組まれた状態なのだ。

 

いわゆる、逃げられないようにと言う事なのだが。

 

それは単なる言いがかりでつまりはそういう理由につけこんで俺と腕を組みたいだけなのだろうと思う。

 

ザフィーラとヴィータの視線が少し哀れみを含んでる様に見えるからだ。

 

「……何か、悪さをした子供が連行されてる図にしか見えねぇな」

 

「……ほっといてくれ」

 

ヴィータの呟きにそう答えるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

家に上がり、リビングに連行される。

 

入ると、なのは達は驚いた様子で何やら片付けていた。

 

「……何を慌ててるんだ?」

 

「い、いややな! こんなにはよ帰って来るなんて予想して無かったわ!」

 

「そ、そそそうよ! 早く帰って来るなら連絡くらい欲しかったわ!」

 

顔を赤くしてるはやてとアリサ。

 

ふと視線を逸らすと、狼形態になったザフィーラの姿があった。

 

いつの間に変身したんだか。

 

あくびをして普通の犬みたいな雰囲気で指定の場所に丸まっていた。

 

普通の犬と大差ない様子で違和感が全く仕事をしていなかった。

 

「にゃ、にゃんでもにゃいよ! にゃんでもにゃいからね!」

 

少し噛んでるなのは。同じ様に顔が赤い。

 

「お、女の子には秘密が沢山あるんだからね!」

 

「うんうん」

 

「余計な詮索はダメだよ?」

 

アリシア、フェイト、すずかの順に喋る。

 

やはり、3人とも顔は赤かった。

 

非常に気になるが、何故か知らないがこれ以上詮索するとロクな事にならないと自分の勘が囁いていた。

 

自分の勘を信じて詮索を止めようとしたとき。

 

「うん?」

 

フェイトが前に抱えている本から1冊の本が床に落ちた。

 

「あ!」

 

俺はその本の表紙を見た。

 

「……可愛い男の子の攻略法」

 

「だ、ダメ!」

 

フェイトはその本を拾おうとして、更に数冊の本を床に落とした。

 

「『これで貴女も可愛い男の子を虜に!』、『可愛い男の子に惚れられるには!』、『将来、可愛い男の子を旦那にするには!』」

 

見なきゃ良かったと激しく後悔した。

 

俺はなのは達の顔を見た。

 

全員、視線を逸らしてくれました。

 

「……」

 

未だ俺を抱えてるシグナムとシャマルの両人の顔を見た。

 

両人とも視線を逸らしてくれました。

 

一体、誰がこんな本を渡したのだろうか。

 

該当すると言えば、俺の母さんか桃子さんしかいない。

 

プレシア女史はこちらの世界に来て間も無いからこんな本を探して来る事はまだ出来ないと思う。

 

と言うか、なのは達は段々と少年偏愛(ショタコン)の道に引きずり込まれてるんではないかと思うんだが。

 

シグナムとシャマルは手遅れにしても。

 

ヴィータは落とした本を何事も無かったかのように拾う。

 

「ほらよ」

 

「ありがと、ヴィータ」

 

何事も無かったかのようにお礼を言うフェイト。

 

「……」

 

ザフィーラから『頼むから話しかけて来ないでくれ』と言うオーラを身体から出していた。

 

「なあ……」

 

「あ、本片付けて来るね!」

 

フェイトは速攻で部屋から出ていった。

 

他のなのは達を見ても本は持っている様子は無い。

 

 

 

「さあ、お茶にしようで!」

「あ、私が準備して来るね!」

「私も!」

「た、たまにはあたしもお茶を入れてあげるわよ!」

「お兄ちゃんに美味しいお茶を入れてあげるね!」

 

 

 

全員がリビングからキッチンに向かって出て行ってしまった。

 

「……あたしもはやて達のお手伝いしてくる」

 

ヴィータまでも出て行ってしまった。

 

 

 

「……」

「……」

「……」

 

 

 

俺とシグナム、シャマルは呆然としていたが。

 

「とりあえず、ソファーに座るか」

 

「そうね」

 

「そうだな」

 

俺がそう言うとシグナムとシャマルはそのままソファーに連れて行ってくれた。

 

離してくれないのね。

 

ソファーの所に行ったらシグナムはソファーに座り、足を広げてその間を手でポンポンと叩いた。

 

「……シグナム?」

 

「アレスちゃんの席はここだぞ?」

 

「10分経ったら次はここよ?」

 

隣を見ると同じように足を広げてその間をポンポンと叩いているシャマルがいた。

 

このショタコンコンビをどうすれば良いのだろうか。

 

「……」

 

2人の目は少し濁っている様にも見えたので、もはや俺は何も言わずにシグナムの前に座った。

 

「ふふふ……」

 

そう言ってシグナムは俺を抱きしめてきた。

 

背中には柔らかいが弾力のある2つの大きな山が押しつけられてきた。

 

「……当たってるぞ?」

 

「当ててるんだ」

 

そう言ってシグナムは俺の腹の方をさすってくる。

 

非常にくすぐったいのだが。

 

「ああ、スベスベして触り心地が良いな」

 

そう言ってシグナムは俺の後頭部に顔をくっつけてきた。

 

「……良い香りだな」

 

「……」

 

俺は何と答えれば良いのだ?

 

ふと隣を見ると……。

 

『良いなぁ~早く10分経たないかな~アレスちゃんを抱きしめてお腹とか色々と撫でたいなぁ~』

 

と言いたげなシャマルがいた。

 

「全くアレスちゃんはけしからんな……柔らかい髪と言い、スベスベの肌と言い……」

 

けしからんのはアンタの言動だと思うんだが。

 

暫く、シグナムは俺を抱きしめてからお腹をさすったり色々と堪能した様だ。

 

「シグナム! 10分経ったわよ! ほら、早くアレスちゃんを渡しなさい!」

 

「む? 仕方ないな……」

 

シグナムは渋々といった感じで俺から手を離す。

 

俺は立ち上がってからシャマルの所に座る。

 

「ん~♪アレスちゃんの香り~♪」

 

そう言って抱きしめてきて俺の首筋に顔を埋める。

 

「く、くすぐったい……」

 

「ん~♪スベスベのプニプニの肌~♪」

 

俺の発言は一切無視して俺の腹をさすってくるシャマル。

 

そんなに俺の肌は触り心地が良いのだろうか?

 

自分ではそこまで良いとは思わないのだが。

 

俺としてはなのは達やシグナム、シャマルの方が柔らかくて良い感じだと思うのだが。

 

無論、そんなこと言うと俺の手を自分の胸やらお尻やら腹の方に引っ張ってきそうなので言わない。

 

「お茶が出来たで~」

 

そう言ってはやて達が帰ってきた。

 

「む~」

 

「こ、これは……」

 

ヴィータは顔に手を当てている。

 

なのは達は驚愕の表情を浮かべていた。

 

 

 

「……実にけしからんわ。けしからんけど、今後の私達の参考になりそうやね」

「良いなぁ~……私もあんな風にアレス君を抱きかかえたいなぁ……」

「にゃ~……私達の体型じゃまだ無理そうだね」

「早く大きくなりたいなぁ……」

「アレスお兄ちゃんをあんな風に抱きかかえる……良いなぁ……」

「……アレはありだわ! 早く……大きくなって……」

 

 

 

全員がそんな事を呟いていた。

 

全員少年偏愛(ショタコン)街道に入ってるみたいなんだが!

 

これはもう、修正不可能と判断するしかなかった。

 

俺は何気なくヴィータを見ると……。

 

「……ヴィータ、何故に胸の前で十字を切る?」

 

「……気にするな」

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、アレスちゃんの『あの姿』を説明して貰いましょうか?」

 

シャマルは真顔になって俺の顔を見る。

 

普段からこんな感じなら良いんだがな。

 

「あの姿?」

 

怪訝な表情を浮かべるはやて達。

 

「ヴィータ、映像を出せるか?」

 

「……ああ、大丈夫だぜ。アイゼン、頼む」

 

了解(ヤヴォール)

 

シグナムがヴィータに頼んだ……のは良いけど!

 

アイゼンってそんな機能があったのか!?

 

うーむ、考えてみたらヴィータってシグナムより汎用が効くとは思っていたけど、デバイスもだったのか。

 

侮れないな。

 

そんな事を思ってると空中ディスプレイに現れたのは、シグナムが紫電一閃で結界を切り裂き、中に入るシーンだった。

 

「おー、かっこええな~シグナム」

 

はやての呟き。

 

「問題は次のシーンです」

 

シグナムが続きを見るように促す。

 

結界の中に入り、目の前に現れたのは。

 

ブレザー制服を着た身長130㎝位で金髪の少女が2人。

 

全く同じ容姿で双子の様に見える。

 

自分の前世の姿を第三者の目で見るのは何とも言えない感じだよな。

 

「あれ?」

 

「これって……」

 

まあ、アリサとすずかはエヴァが実体化出来るのは知ってるんだが……。

 

ただ、同じ人物が2人いる事が不思議に思ってるのだろう。

 

「可愛いね……」

 

「うん、何か……お人形さんみたいだね?」

 

アリシアとフェイトは目を丸くしている。

 

と言うか、2人も充分可愛いと思うのだが。

 

「にゃ~綺麗な子だね~」

 

「……エヴァンジェリンやん。しかも2人って……まさか!」

 

はやては俺の顔を見る。

 

「知っておられるのですか?」

 

「知ってるも何も、この女の子……アレス君とエヴァちゃんやろ?」

 

そりゃあ、一発で分かるよな。

 

「はやてちゃん、知ってるの?」

 

驚いた表情で聞いてくるシャマル。

 

「そっか、シグナム達には教えて無かったんやな。アレス君には前世の記憶が残っててな。それで、その前世の姿が……その女の子や」

 

「言うことは、オメー……前世は女の子だったのか?」

 

ヴィータがジト目で俺の顔を見る。

 

「……まあ、な」

 

俺は苦笑しながら答える。

 

「なるほど、前世が可愛かったから今世でも可愛いんだな!」

 

「金髪で小柄でお人形さんみたいだったわね……」

 

シグナムとシャマルは盛大な勘違いをしていますが。

 

「でも、どうしてこんな姿になったんや?」

 

「どこの次元から転移したか知らないが、妙な輩と対決になってな。そいつはレアスキルで相手を前世の姿に戻すと言うとんでもない能力の持ち主でな。俺はそいつの攻撃を喰らって前世の姿に戻されたって訳だ」

 

「へー……幽白に出てきた裏浦島みたいな能力やな……」

 

「にしても、ホントに双子だったんだね~」

 

「そうね。アンタから話は聞いていたけど……」

 

画像を見ながらそう言うすずかとアリサ。

 

「とりあえず、納得は出来たか?」

 

「そうですね、納得出来ました」

 

「ああ。アレスちゃんの秘密を1つ知る事が出来て満足だ」

 

嬉しそうな表情を見せるシグナム。

 

「しっかし、あたしと大差無い風貌だったんだな……」

 

「……そうだな……」

 

ヴィータの呟きには肯定するしかない。

 

「そんな訳や。だから、シグナムもシャマルも遠慮せずにアレス君と一緒にお風呂に入ったらええねん!」

 

「うむ、前世が女の子なら問題は無いな!」

 

「そうよね! 全く問題無いわね!」

 

タヌキさん、シグナムとシャマルをあおるのを止めてくれませんかねぇ?

 

「ってか、前世関係無いだろ?」

 

俺の呟きは完全にスルーされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、シグナムのあの『紫電一閃』だっけ? アレ、かっこええなぁ~」

 

「ありがとうございます」

 

はやてがシグナムの技を見て褒めている。

 

「にゃあ、そう言えば……シグナムさんやヴィータちゃんのそのデバイス、変わってるのが付いてるよね?」

 

「そうだね。確か……カートリッジシステムって言ってたよね?」

 

「ああ。あたし達ベルカ式魔法にあるシステムでな。魔力を込めた弾丸で一時的に能力を底上げしてるんだ」

 

ヴィータはそう言って自分の首にかかっているアイゼンのキーホルダーを眺める。

 

「そう言えば、アンタのにもそのカートリッジシステムと言うのが付いてるわよね?」

 

アリサがクッキーをかじりながら俺に聞いてくる。

 

「うん? ああ、俺もベルカ式だからな。付いていても不思議じゃないだろ?」

 

ちなみに、弾丸作成はエヴァに任せてる。

 

俺が作ろうとしてもエヴァが奪い取って作るのだが。

 

「……ねぇ、私のレイジングハートにそのカートリッジシステムって付ける事出来るかな?」

 

ここで装着のフラグが立ちますか。

 

ぶっちゃけ言うと、この世界のなのはには付けなくても充分強いと思うが。

 

「私も欲しいかな……」

 

フェイトさん、貴女もですか。

 

「なのはとフェイトのはだいぶ形式が違うからな……。一応、装着は可能だと思うが?」

 

「えへへ、アレス君とお揃いにしたいんだ~」

 

「なのはも? 私もだけど……」

 

そんな理由かよ。

 

まあ、誰に頼むかだが。

 

フェイトはプレシア女史とリニスさんにお願いすれば大丈夫だろう。

 

なのはは……リンディさん辺りにネタを振ってみるか。

 

そう言えば、プレシア女史とリンディさん……会わせてないな。

 

そろそろ会わせても良いだろうな。

 

「ん~……シグナムやヴィータは使い慣れてるからだが。このシステムってちょいと癖があるからなぁ~。意外と身体に負荷がかかるし」

 

「そうなん?」

 

「はい。多用しすぎると身体に多大な負担がかかります。ですから私も1日に使用する回数を決めています」

 

「でも、戦闘でここぞと言う時に使うとやっぱり勝率は上がるけどな」

 

「まあ、切り札の1つとしては必要かも知れないな。フェイトはプレシアさんとリニスさんに相談してみ。なのははリンディさん辺りに」

 

「うん、母さんに相談してみるね」

 

「にゃあ~リンディさんに相談だね」

 

とりあえず、最終決戦までには使いこなせるようにしてもらわないとな。

 

何回も言う様だが、なのはには必要無いかも知れないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

「初めまして、プレシア・テスタロッサです」

 

「アリシア・テスタロッサで~す」

 

「フェイト・テスタロッサです……」

 

「時空管理局提督のリンディ・ハラオウンです」

 

「時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンです」

 

「えっと……時空管理局勤務のエイミィ・リミエッタです」

 

お互いに自己紹介しあうテスタロッサ親子とハラオウン親子とエイミィさん。

 

シグナム達に前世がばれてから3日後、プレシア女史とリンディさんを会わせる事にした。

 

今居る場所は翠屋である。

 

客の数はそれなりだが、こっそり魔法を使って外野には他愛ない会話の様に聞こえるように細工している。

 

ちなみに、店にはなのはと母さんがこっそりと店員としてお手伝いしているのは愛嬌だ。

 

特に母さんは重要な話が終わったら連絡する様に釘を刺されている。

 

イヤな予感しか感じないが、逆らうわけにはいかない。

 

「アレスちゃんから伺っておりますが、その子が魔導師の資質が高い娘さんですか?」

 

「ええ。出来る事ならアレスちゃんと同じ所属が……」

 

「なるほどなるほど……とりあえず、嘱託魔導師試験を受けて頂いてからですわね」

 

滞りなく会話は進む。

 

「それで、他に何か特記事項はありますか?」

 

「そうですわね、雷の変換資質を持ってますわ」

 

「雷……ですか。氷ほどでないにしても珍しいですわね」

 

リンディさんとプレシア女史の話は続く。

 

「なるほど、雷持ちか。結構珍しいな……」

 

「そう……なんですか?」

 

「ああ。他にも炎と氷もあるけど、局員で持ってるのはごく僅かだ。重宝されると思う」

 

以上がフェイトとクロノの会話だ。

 

「良かったじゃん、フェイト。私は何も無いからね~」

 

アリシアはそう言ってアイスココアを一口。

 

アリシアはフェイトみたいに変換資質持ちではないのだ。

 

エイミィさんは『こ、この味は!』とか『むぅ! 今までに食べた事無いわ!』とか呟きながらケーキを食べていた。

 

ちなみに、エイミィさんが食べてるのは俺が一番の好物のチーズケーキである。

 

「それで、お願いしたい事が1つありますの」

 

「何でしょうか?」

 

 

「『CVK792-R』を入手出来るかしら?」

 

 

「それは……まさか」

 

リンディさんが口を少し開けて驚きの表情を見せた。

 

確か、『CVK792-R』って言ったらベルカカートリッジシステム専用のパーツでリボルバータイプのヤツだったよな。

 

やっぱり、バルディッシュはリボルバータイプが組まれるか。

 

「インテリジェントデバイスにカートリッジシステムを組むのか。あまりオススメはしないんですけど……」

 

クロノはブラックコーヒーを一口飲んでから呟く。

 

「ええ、ちょっとキツそうだけどね。フェイトが『アレスとお揃いが良い』ってね……」

 

母性に満ちた視線でフェイトを見つめるプレシア女史。

 

「そうか、君は古代(エンシェント)ベルカ式だったからな。カートリッジシステムは既に搭載済みか」

 

「分かりました。手配しておきます」

 

「お願いするわ」

 

『バルディッシュ』が『バルディッシュ・アサルト』にランクアップするフラグが立ちました。

 

「えっと……」

 

丁度、なのはがやって来た。

 

「あら、なのはちゃん。どうしたのかしら?」

 

「私のレイジングハートにも同じモノを組んで貰いたいのです」

 

「え? なのはちゃんも?」

 

目を丸くするリンディさん。

 

「……君のその魔力でカートリッジシステム……だと? デバイスが保つかな」

 

「多分、大丈夫……? 女の勘だけどね」

 

クロノの呟きにエイミィさんが答える。

 

「ひょっとして、なのはちゃんも?」

 

「はい、アレス君とお揃いにしたいので……」

 

顔を赤くして両手の人指し指をツンツンとつつくなのは。

 

「あら~アレス君、モテモテじゃない」

 

ニヤニヤと邪悪な匂いをプンプンさせた笑みを浮かべるエイミィさん。

 

「にゃはは……将来の夢はアレス君のお嫁さんです」

 

どさくさに紛れて何を言ってるのかね? この栗色髪の少女は?

 

「なのは……ずるい! 私もアレスのお嫁さんになりたい!」

 

「私もアレスお兄ちゃんのお嫁さんになりたいんだよ!」

 

テスタロッサ姉妹ももはや手の付けようが無い。

 

「アレス君、ハーレムじゃん♪(確か、ベルカ自治区は一夫多妻制だったはずだけど、面白そうだから黙ってよ)」

 

「……頑張れ」

 

エイミィさんはニヤニヤと笑い、クロノは胸の前で十字を切っていた。

 

クロノ、人を死地に送る様な真似をするでない。

 

「時にリンディさん。以前、アレスちゃんを病院送りにしようとした者がいると聞いたのですが?」

 

急にプレシア女史の目が黒く輝きだした。

 

「……その事ですか。申し訳ないです、こちらの監督不行届で。ええ、その2人はこちらでみっちりと……!」

 

「分かりました。『アレスちゃんの可愛さが分かる同士』として、信じています」

 

段々と話がおかしげな方に進み始めたような?

 

「プレシアさん。アレスちゃんを見て……どう思いますか?」

 

「……可愛い真ん丸でちょっとつり目のドングリ眼、可愛い小鼻に可愛い口。柔らかい髪……まさに至高の名にふさわしい姿だわ」

 

「……そう……ですか」

 

プレシア女史とリンディさんの視線が俺の顔を射抜く。

 

そして、お互いに顔を見合った後。

 

 

 

 

 

「貴女とは良い酒が飲めそうです」

「貴女とは良い酒が飲めそうね」

 

 

 

 

 

同時にそう言って2人は固い握手を交わした。

 

会話を聞いていなかったら美女2人が握手する結構良いシーンなのだがなぁ。

 

会話を聞いていた俺にはもはや『ダメだこりゃ』と言う言葉しか浮かばなかった。

 

 

 

 

「同士ですね」

「同士ですね」

 

 

 

 

そう言って現れたのは……桃子さんと母さんだった。

 

あれ? 確かこの結界は会話は何気ない日常会話に聞こえる様に細工したハズなのだが?

 

「あら、直美さんと桃子さん……」

 

「アレスちゃんの可愛さについて話し合ってると聞いて」

 

「ウチの自慢の息子です」

 

「時に直美さん。アレスちゃんはレンタル可能……ですか?」

 

目を潤ませて母さんに尋ねるリンディさん。

 

「……将来のお嫁さん候補がおられるなら」

 

「実は、はやてさんを養子に迎えようかと……」

 

「それなら大丈夫ですわね」

 

色々とツッコミを入れたいのだが、待てや。

 

「母さん? 俺はいつからレンタル物件になったんだ?」

 

「あら、アレスちゃんの可愛さを世に知らしめる為よ?」

 

後ろでウンウンと頷く桃子さん、プレシア女史、リンディさん。

 

ダメだ、この少年偏愛(ショタコン)四天王どうにかしないと。

 

「いや、知らしめなくて良いから。目立つの嫌いだから」

 

「そんな事言ってもねぇ。最近、店に来る女性客に『執事服来た可愛い男の子は何処にいますか?』って言われてるのよねぇ」

 

いつぞやの執事服着てやったウエイターやった時の事か。

 

この町は少年偏愛(ショタコン)がそんなに多いんかい。

 

「執事服……ですって?」

 

「それは……実に興味深いですわね?」

 

あ、プレシア女史とリンディさんの目が光った。

 

「はい、これです」

 

そう言って母さんは写真を1枚取り出して2人に見せる。

 

其処には執事服を着た俺とメイド服を着たなのはが写っていた。

 

 

 

「っ!」

「これは!」

 

 

 

2人の目は少し血走り、鼻から出てはならない赤い液体がツツーッと。

 

もうイヤだ、このショタコン達。

 

「良いなぁ……なのは、アレスとツーショット……」

 

「ブ~私もアレスお兄ちゃんと一緒に撮りたい~」

 

まあ、予想通りでしたね、テスタロッサ姉妹は。

 

「……アレス、君は」

 

「ありゃ~、これは艦長のど真ん中ストライクゾーンだね」

 

「にゃはは、アレス君とお揃いだね♪」

 

そうなのだ。母さんが用意したメイド服と執事服は同じ人がデザインしたのであろう、ピッタリとマッチするのだ。

 

 

 

『リンディ! 貴女今至福の時を過ごしているでしょう!?』

 

 

 

リンディさんの前に突如現れた空間ディスプレイ。

 

其処には眼鏡を掛けたキャリアウーマン風の女性、レティさんが怒りの形相で佇んでいたのだ。

 

「レ、レティ! 貴女ここは管理外世界で魔法文化が無いのよ!?」

 

『そんなのはどうでも良いわ! リンディ! 愛しのアレスちゃんの写真を見て悦に浸っているでしょう!?』

 

恐ろしくピンポイントで事実を突いてくるレティさん。

 

恐ろしい勘である。

 

〈エヴァ、念のため結界を追加しておいてくれ〉

 

〈了解です、お兄様。しかし、凄まじい勘ですわね〉

 

〈……ああ。あの勘は流石に真似出来ないぜ〉

 

〈私でも無理ですぅ……〉

 

そんな感じでエヴァと念話をしてると。

 

リンディさんとレティさんが激しい口論を繰り広げていた。

 

内容は、実に下らなかったが。

 

「母さん……」

 

クロノは額に手を当てていた。

 

目も当てられない状況とはよく言ったものだ。

 

その光景を唖然と見守ってる他のメンツ。

 

まあ、母さんは全く動じていないが。

 

「母さん?」

 

「ん?」

 

「その写真、焼き増しある?」

 

「勿論、沢山あるわよ?」

 

どんだけ作ったんだか。

 

「……レティさんにあげて良いか?」

 

「良いわよ~? 同士は多い方が良いからね」

 

正直これ以上増えるとシャレにならないと思うんだが。

 

「クロノ」

 

「ん?」

 

「これを渡しておくから、帰った時にレティさんにこっそりあげておいてくれ」

 

俺は写真をこっそりとクロノに渡す。

 

「……分かった。母さんの分も頼む。ばれたら殺される」

 

「……了解した」

 

その後、何とか場を収めてから今後の話を進めるのであった。

 

何だ、このグダグダ感は!

 

 

 

 




 
直感と言うよりもはや未来予知かもしれないw

某腹ペコ王でも真似出来ないかとw

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